窒素
窒素は原子番号7、元素記号Nの元素である。 
性質
窒素は周期表において、15族2周期に分類される元素である。
窒素は、常温、常圧下では無色無臭の気体である。
沸点は-196℃、は融点-210℃である。
|
融点 |
-210℃ |
|
沸点 |
-195.79℃ |
|
密度 |
1.251/L |
|
電気陰性度 |
3.04 |
|
酸化数 |
5,4,3,2,1 -1,-2,-3 |
窒素は無色の非金属元素の気体で、窒素族に分類される。
窒素は比較的、常温では反応性が低く、安定なガスとして知られる。
しかし、高温化ではさまざまな金属元素や酸素と反応し、窒化物など
を与える。また、常温でリチウムと反応したり、フッ素とは直接反応
しないというほかにはあまり見られない性質も持つ。
窒素には3つの異性体が存在し、N2,N5とポリ窒素と呼ばれるものが
ある。 とくにポリ窒素は非常に強力な爆薬になりうるとして注目されて
いる。
有機物においても窒素は重要な元素のひとつであり、窒素を含む有機
化合物はアミノ酸などが名前に示すとおり、多く存在している。
また、窒素は沸点が低く、毒性がほとんどなく、かつ安価なので、圧力
をかけて、液体にした、液体窒素はよく冷媒として化学・物理実験で
使われる。
反応
窒素を空気中で強く熱すると、二酸化窒素(NO2)が生成される。
N2+2O2→2NO2
窒素と水素(H2)とを500℃以上かつ鉄触媒下で反応させるとアンモニア
(NH3)が生成される。(ハーバー・ボッシュ法)
N2+3H2→2NH3
アルミニウムを空気中で融解させると、多少の窒化アルミニウム(AlN)
が生成される。
N2+2Al→2AlN
製法
窒素は空気中に78.08%と多く含まれ、特別に需要がない限りは空気の
分留だけでもよい。
実験室規模で窒素を化学的に精製したいときは例えばヨウ化窒素(NI3)
を爆発させると得られる。
2NI3→N2+3I2
しかし、この反応は危険である。同じく、フッ化窒素(NF3)以外のハロゲ
ン化窒素では同様に爆発により単体窒素を得ることができるが、やはり
危険である。また、アジ化ナトリウム(NaN3)の分解によっても同じく得ら
れる。
2NaN3→2Na+3N2
ただしこの反応も爆発を伴う。
化合物
窒素は有機物の構成に大きくかかわる元素であり、範囲を有機物にま
で広げると膨大な数となる。したがって、ここでは窒素の無機化合物の
一例を挙げる。
ハロゲン化物
アンモニア(NH3)
フッ化窒素(NF3)
塩化窒素(NCl3)
臭化窒素(NBr3)
ヨウ化窒素(NI3)
酸化物系
亜酸化窒素(N2O)
一酸化窒素(NO)
二酸化窒素(NO2)
四酸化二窒素(N2O4)
五酸化二窒素(N2O5)
窒化物
窒化リチウム(Li3N)
窒化ナトリウム(Na3N)
窒化ケイ素(Si3N4)
窒化ホウ素(BN)
窒素のオキソ酸およびその塩
硝酸(HNO3)
亜硝酸(HNO2)
次亜硝酸(H2N2O2)
硝酸ナトリウム(NaNO3)
亜硝酸ナトリウム(NaNO2)
同位体
|
同位体 |
中性子数 |
半減期 |
崩壊モード |
天然存在比(%) |
|
10N |
3 |
2×10-22秒 |
? |
0 |
|
11N |
4 |
5.9×10-22秒 |
PE |
0 |
|
11mN |
4 |
6.9×10-22秒 |
? |
0 |
|
12N |
5 |
0.011秒 |
β+,γ |
0 |
|
13N |
6 |
9.965分 |
β+,γ |
ほぼ0 |
|
14N |
7 |
安定 |
なし |
99.6 |
|
15N |
8 |
安定 |
なし |
0.4 |
|
16N |
9 |
7.13秒 |
β- |
0 |
|
17N |
10 |
4.173秒 |
β- |
0 |
|
18N |
11 |
0.622秒 |
β- |
0 |
|
19N |
12 |
0.271秒 |
β- |
0 |
|
20N |
13 |
0.13秒 |
β- |
0 |
|
21N |
14 |
0.087秒 |
β- |
0 |
|
22N |
15 |
0.0139秒 |
β- |
0 |
|
23N |
16 |
0.0145秒 |
? |
0 |
|
24N |
17 |
5.2×10-8秒 |
? |
0 |
|
25N |
18 |
2.6×10-7秒 |
? |
0 |
窒素には安定核種が2つあり、14Nと15Nである。しかし、それ以外の
核種はすべて短命であり、最も長い13Nでも10分に満たない。しかし
13Nはわずかに自然界中に存在し、とくに太陽よりも大きな恒星の
CNOサイクルと呼ばれる核反応の過程において15Nと同様に重要である。
また、13Nはアンモニア分子の中に組み込まれ、トレーサーとして用いら
れる。
歴史
窒素ははじめ、ラザフォードによってその存在を空気中に発見されたが、
彼は当時、窒素のことを「フロギストンの飽和した空気」とみなしていた。
また、1789年、ラボアジェはこの気体中では呼吸ができないことから、
生きられないという意味で、azoteと名づけた。
現在の窒素の英語名であるnitrogenのもととなった、nitrogeneは硝石を
生じるものとして、シャプタルが提案したものである。
存在
窒素は前述のとおり、空気中に約78.08%も含まれている。また、硝石な
どの鉱産資源としても地殻中に十分に存在する。また、生命体にもアミノ
酸やアンモニアといった形で存在しているため、まずもって枯渇することが
予想されない物質のひとつである。
また、窒素は精製にも95%くらいのものなら、安価に手に入るためコスト面
の心配も特にない。
リンク
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