マグネシウム
マグネシウムは原子番号12、元素記号Mgの元素である。 
性質
マグネシウムは周期表において、2族3周期に分類される元素である。
マグネシウムは、銀白色の固体の金属である。
沸点は1090℃、は融点650℃である。
|
融点 |
650℃ |
|
沸点 |
1090℃ |
|
密度 |
1738kg/m3 |
|
電気陰性度 |
1.31 |
|
酸化数 |
2 |
マグネシウムは2族に属する銀白色の軽い金属である。
単体のマグネシウムは軽く、やわらかい金属である。反応性が高く、空気
中で熱すると、激しく明るい白色の光を放ちながら燃焼する。
また、酸とは非常に容易に反応し、特に塩酸との反応はよく知られている。
マグネシウムは2族に属しながらも、同じ族に分類されるアルカリ土類金属
とは大きく異なった化学的挙動を見せる。それらは炎色反応を示さないこと
や、水酸化物が弱塩基であることなどがあるが、すなわち性質はおおむね
ベリリウムに近いということができる。しかしながら、ベリリウムと違い、塩基
とは反応しないこと、イオン結晶を多く作ることなどからはベリリウムよりも
アルカリ土類金属的性質を備えていることがわかる。
マグネシウムは合金としても用いられることがしばしばである。とくに知れ渡った
ところではジュラルミンが好例であり、とにかく軽いことが特筆すべき性能
である。
反応
マグネシウムは反応性が高いため、多くの反応が知られている。
マグネシウムを空気中で熱すると強い白色の光を放って酸化マグネシウム(MgO)
を生成する。
2Mg+O2→2MgO
マグネシウムを塩化水素(HCl)中で反応させると、塩化マグネシウムが生成される。
Mg+2HCl→MgCl2+H2
マグネシウムを熱水中に投ずると水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)ができる。
Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
マグネシウムを二酸化炭素中(CO2)で熱すると二酸化炭素を炭素にまで還元する。
2Mg+CO2→2MgO+C
製法
マグネシウムは自然界中に単体では析出しない。
単体マグネシウムの製法として、最も一般的なものは融解塩電解である。
普通電解に用いられるのは、資源として豊富な塩化マグネシウム(MgCl2)である。
また、酸化マグネシウムをカルシウムなどで還元することも不可能ではないが、
実際、非効率的などの理由でまずもって行われない。
化合物
マグネシウムは反応性が比較的高く、それに応じて化合物も多い。ここではその
一部をあげる。
ハロゲン化物
フッ化マグネシウム(MgF2)
塩化マグネシウム(MgCl2)
臭化マグネシウム(MgBr2)
ヨウ化マグネシウム(MgI2)
酸化物系
酸化マグネシウム(MgO)
硫化マグネシウム(MgS)
多原子イオン塩
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)
硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)
硫酸マグネシウム(MgSO4)
炭酸マグネシウム(MgCO3)
リン酸マグネシウム(Mg3(PO4)2)
同位体
|
同位体 |
中性子数 |
半減期 |
崩壊モード |
天然存在比(%) |
|
19Mg |
7 |
不明 |
? |
0 |
|
20Mg |
8 |
0.0908秒 |
β+,γ |
0 |
|
21Mg |
9 |
0.122秒 |
β+,γ |
0 |
|
22Mg |
10 |
3.8755秒 |
β+,γ |
0 |
|
23Mg |
11 |
11.317秒 |
β+,γ |
0 |
|
24Mg |
12 |
安定 |
なし |
79 |
|
25Mg |
13 |
安定 |
なし |
10 |
|
26Mg |
14 |
安定 |
なし |
11 |
|
27Mg |
15 |
9.458分 |
β- |
0 |
|
28Mg |
16 |
20.915時間 |
β- |
0 |
|
29Mg |
17 |
1.3秒 |
β- |
0 |
|
30Mg |
18 |
0.335秒 |
β- |
0 |
|
31Mg |
19 |
0.23秒 |
β-,NE |
0 |
|
32Mg |
20 |
0.086秒 |
β-,NE |
0 |
|
33Mg |
21 |
0.0905秒 |
β-,NE |
0 |
|
34Mg |
22 |
0.02秒 |
β-,NE |
0 |
|
35Mg |
23 |
0.07秒 |
? |
0 |
|
36Mg |
24 |
0.0039秒 |
? |
0 |
|
37Mg |
25 |
0.04秒 |
? |
0 |
|
38Mg |
26 |
0.001秒 |
? |
0 |
|
39Mg |
27 |
2.6×10-7秒 |
? |
0 |
|
40Mg |
28 |
0.001秒 |
? |
0 |
マグネシウムには中性子数7から28までの核種が知られている。安定核は
3つあり、最も長い半減期を持つものは28Mgの約21時間である。
23Mg、24Mgは恒星においての炭素燃焼過程で作られる同位体である。
また、中性子数16から18までの核種はウラン、ネプツニウムのクラスタ崩壊で
生成される。
歴史
最初にマグネシウム化合物として単離されたのは1695年にグルーのエプソム塩
である。その後1707年にバレンチンが塩基性炭酸マグネシウムを取り出すことに
成功した。しかし、結局単金属として分離されたのは1808年のことで、デービーが
酸化マグネシウムの融解塩電解によって得た。1886年にはドイツでカナール石
の融解塩電解でマグネシウムが得られるようになったため、それ以来、マグネシウム
は工業的につくられるようになった。
存在
マグネシウムは単体で産出することはないが、化合物としては地殻中、海水中に
豊富に存在している。海水にはにがりとして知られるように、塩化マグネシウム
として存在し、地殻中にはマグネシウムを含んだ鉱石としてドロマイト、滑石などが
ある。マグネシウムはこのようにさまざまな形で存在し、かつ経済的な製法がある
ため、枯渇することはないと考えられ、しばらくは価格の大きな変動もないと
思われる。
リンク
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