アルミニウム
アルミニウムは原子番号13、元素記号Alの元素である。 
性質
アルミニウムは周期表において、13族3周期に分類される元素である。
アルミニウムは、銀白色の固体の金属である。
沸点は2519℃、は融点660℃である。
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融点 |
660.32℃ |
|
沸点 |
2519℃ |
|
密度 |
2700kg/m3 |
|
電気陰性度 |
1.61 |
|
酸化数 |
3 |
アルミニウムは13族に属する銀白色の軽い金属である。
アルミニウムは我々にとって身近な金属のひとつであり、常温で熱,電気
伝導性がよいことや、軽いこと、アルミニウムイオンは一般的に無害で
あるとされていることなど、優れた特徴を持っている。
化学的性質は同族のガリウムやインジウムに近く、ホウ素を除く13族の
ように融点もほかの金属と比べて低めである。
金属としての反応性は比較的高く、イオン化傾向も大きい。
代表的な両性元素のひとつであり、酸、塩基に溶ける。ただし、硝酸には
不動態を生じて溶けない。粉末状のものは特に反応性が高く、テルミット反応
などにみられる激しい反応を示す。しかし、一般的に空気中でアルミニウムは
薄い酸化皮膜をつくり、不動態となるため、大きなアルミニウムの塊は内部が
まもられ、その結果、著しく酸化に強いようにみえる。
反応
アルミニウムは反応性が高いため、多くの反応が知られている。
粉末マグネシウムを空気中で熱すると強い白色の光と熱を放って酸化アルミニウム
を生成する。
4Al+3O2→2Al2O3
アルミニウムを塩化水素(HCl)の中に入れると、激しく水素を出して塩化アルミニウム
が生成される。
2Al+6HCl→AlCl3+3H2
しかし、実際生成されるものは塩化アルミニウム6水和物であり、無水物を得たいときは
直接塩素と反応させるとよい。
2Al+3Cl2→2AlCl3
アルミニウムを水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に溶かすとアルミン酸ナトリウムが生成される。
2Al+2NaOH+6H2O→2Na[Al(OH)4]+3H2
粉末アルミニウムとアルミニウムより貴な金属酸化物を混ぜて着火すると激しい熱と光、火花を
発生させて金属酸化物を還元する。酸化鉄(Ⅲ)(Fe2O3)の場合は以下のようになる。
2Al+Fe2O3→2Fe+Al2O3
この反応はテルミット法、またはゴルドシュミット法と呼ばれている。
製法
アルミニウムは一般的に単体として析出しないため、化学的に生成される。
実験室レベルであれば、フッ化アルミニウムの融解塩電解で精製できる。
2AlF3→2Al+3F2
工業的にはホール・エルー法で精製されるのが一般的である。
ホール・エルー法では以下の反応によってアルミニウムを精製する。
Al2O3+3C→2Al+3CO
ホール・エルー法ではこの反応を起こすために多大な電力を用いるが、
アルミニウムをリサイクルする際はこの電力の3%で済む。
化合物
アルミニウムは反応性に富むため、多くの化合物が知られる。ここではその一部
を挙げる。
ハロゲン化物
アラン(AlH3)
ジアラン(Al2H4)
フッ化アルミニウム(AlF3)
塩化アルミニウム(AlCl3)
臭化アルミニウム(AlBr3)
ヨウ化アルミニウム(AlI3)
酸化物系(Al2X3)
酸化アルミニウム(Al2O3)
硫化アルミニウム(Al2S3)
多原子イオン塩
水酸化アルミニウム(Al(OH)3)
硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)
硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)
アルミン酸塩
アルミン酸ナトリウム(Na[Al(OH)4])
アルミン酸カリウム(K[Al(OH)4])
同位体
|
同位体 |
中性子数 |
半減期 |
崩壊モード |
天然存在比(%) |
|
21Al |
8 |
3.5×10-8秒
|
? |
0 |
|
22Al |
9 |
0.059秒
|
β+,γ,PE |
0 |
|
23Al |
10 |
0.47秒 |
β+,γ,PE |
0 |
|
23mAl |
10 |
0.35秒 |
? |
0 |
|
24Al |
11 |
2.053秒 |
α,β+,γ |
0 |
|
24mAl |
11 |
0.1313秒 |
α,β+,γ,IT |
0 |
|
25Al |
12 |
7.183秒 |
β+,γ |
0 |
|
26Al |
13 |
18949.4年 |
β+,γ |
0 |
|
26mAl |
13 |
6.3452秒 |
β+,γ |
0 |
|
27Al |
14 |
安定 |
なし |
100 |
|
28Al |
15 |
2.2414分 |
β- |
0 |
|
29Al |
16 |
6.56分 |
β- |
0 |
|
30Al |
17 |
3.6秒 |
β- |
0 |
|
31Al |
18 |
0.644秒 |
β- |
0 |
|
32Al |
19 |
0.0317秒 |
β- |
0 |
|
32mAl |
19 |
2.0×10-7秒 |
? |
0 |
|
33Al |
20 |
0.0417秒 |
? |
0 |
|
34Al |
21 |
0.0563秒 |
β-,NE |
0 |
|
35Al |
22 |
0.0386秒 |
β-,NE |
0 |
|
36Al |
23 |
0.09秒 |
? |
0 |
|
37Al |
24 |
0.0107秒 |
? |
0 |
|
38Al |
25 |
0.0076秒 |
? |
0 |
|
39Al |
26 |
0.0076秒 |
? |
0 |
|
40Al |
27 |
0.01秒 |
? |
0 |
|
41Al |
28 |
0.002秒 |
? |
0 |
|
42Al |
29 |
0.001秒 |
? |
0 |
アルミニウムはモノアイソトピック元素で、27Alのみが安定である。
27Alと26Al以外は28Al,29Alを除いて半減期が1分以下と短命な核種が
多いが、26Alはある程度の寿命を持つ。
自然界には痕跡量26Alがあるが、これは大気圏でアルゴンが宇宙線陽子
によって破砕されることが原因とされており、このことは年代測定法に利用
されている。
歴史
アルミニウムは単金属の分離以前から明礬やコランダムの形で人間と関わってきた。
18世紀になると、粘土の中には石灰とは異なる塩基が見出されるようになり、1809年
に、デービーが酸化アルミニウムを化学的に合成されることでこれが証明された。
アルミニウムの単離に成功したのはウェーラーで、1827年に塩化アルミニウムを
カリウムで還元することで金属アルミニウムを精製した。
実際、初めてアルミニウムを単離したのはエルステッドであるが、収率はきわめて悪い
ものであった。
アルミニウムの名づけのもとはラテン語で明礬を意味するalumenであり、aluminiumは
デービーが提唱した名前である。
存在
アルミニウムは土壌中に、粘土鉱物として、広くかつ多く分布している。クラーク数も7.56%
と第3位であり、いかに多いか分かる。しかし、資源としてアルミニウムを使う場合は、
ボーキサイトなどといったアルミニウム含有量の高い鉱石を使うのが一般的である。
現在ではアルミニウムはホール・エルー法によって生成されるが、このとき大変な電力
を要するためにアルミニウムの価格はこの電力費に大きく左右される。
リンク
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