ケイ素
ケイ素は原子番号14、元素記号Siの元素である。 
性質
ケイ素は周期表において、14族3周期に分類される元素である。
ケイ素は、黒灰色の固体の半金属である。
沸点は2355℃、融点は1414℃である。
|
融点 |
1414℃ |
|
沸点 |
2355℃ |
|
密度 |
2329kg/m3 |
|
電気陰性度 |
1.9 |
|
酸化数 |
4,3,2,1 -1,-2,-3,-4 |
ケイ素は14族元素(炭素族)に属する半金属である。
ケイ素は常温常圧下ではダイアモンド型結晶構造をとり、ガラス質の
硬い半金属として存在する。半金属であることより、半導体性を持ち、
この性質は半導体の製造に極めて重要である。
ケイ素に圧力を加えると結晶構造が変化し、完全に導体となる。
化学的にケイ素は酸には一般に不溶ではあるが、強塩基にはケイ酸塩をつくり
ながら徐々に溶けてゆく。常温では酸素、ハロゲン とは反応しないが、
熱すると反応する。
炭素族には属しているが、炭素とはあまり類似しない。炭素が有機物
として、多種多様な化合物を作るのに対して、ケイ素は結合エネルギーが
小さいために、ケイ素を骨格とした複雑な化合物は難しい。
しかし、ケイ素と酸素間の結合エネルギーは比較的大きく、安定して
いるので、これを骨格とした、シロキサンなどの化合物が知られている。
反応
ケイ素は一般に安定ではあるが、高温下では酸素やハロゲンと反応する。
ケイ素を酸素中で赤熱すると、二酸化ケイ素(SiO2)が生成される。
Si+O2→SiO2
ケイ素はフッ素と常温で爆発的に反応する。できる化合物は四フッ化ケイ素(SiF4)
である。
Si+2F2→SiF4
ケイ素を濃水酸化ナトリウム水溶液にいれると、ゆるやかに水素を発生させ
ながら、(メタ)ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)が生じる。
Si+2NaOH+H2O→Na2SiO3+2H2
ケイ素を二酸化ケイ素と混合し、熱すると、一酸化ケイ素(SiO)が生じる。
Si+SiO2→2SiO
ただし、この一酸化ケイ素はすばやく不均化し、もとのケイ素と二酸化ケイ素
に戻る。
製法
ケイ素は二酸化ケイ素の形で地殻中に存在するため、これを還元してケイ素
を作る。たとえば、二酸化ケイ素(SiO2)を炭素で還元することができる。
SiO2+C→Si+CO2
こうしてケイ素は得られるが、ケイ素は非常に純度の高い形で用いられるため、
以上の反応で作られたケイ素を精製することとなる。
この場合、ケイ素と塩素を高温下で反応させて、
Si+2Cl2→SiCl4
これを還元することで、純度の高い四塩化ケイ素を分解し、純粋なケイ素を得る。
SiCl4+2H2→Si+4HCl
ほかにも精製法はあり、さらに純度の高いものとなると、ゾーンメルティング法や
チョクラルスキー法が用いられる。
実験室でも四塩化ケイ素の還元と同じように作るのが一般的と考えられる。
化合物
ケイ素には多くの無機、有機化合物が知られているので、その一部を示す。
ハロゲン化物
四フッ化ケイ素(SiF4)
四塩化ケイ素(SiCl4)
四臭化ケイ素(SiBr4)
四ヨウ化ケイ素(SiI4)
酸化物系(SiX2)
一酸化ケイ素(SiO)
二酸化ケイ素(SiO2)
二硫化ケイ素(SiS2)
(メタ)ケイ酸塩
ケイ酸ナトリウム(NaSiO3)
ケイ酸カリウム(KSiO3)
同位体
|
同位体 |
中性子数 |
半減期 |
崩壊モード |
天然存在比(%) |
|
22Si |
8 |
0.029秒
|
β+,PE |
0 |
|
23Si |
9 |
0.0423秒
|
β+ |
0 |
|
24Si |
10 |
0.14秒 |
β+,PE |
0 |
|
25Si |
11 |
0.22秒 |
β+,PE |
0 |
|
26Si |
12 |
2.234秒 |
β+ |
0 |
|
27Si |
13 |
4.16秒 |
β+ |
0 |
|
28Si |
14 |
安定 |
なし |
92.2 |
|
29Si |
15 |
安定 |
なし |
0.5 |
|
30Si |
16 |
安定 |
なし |
0.3 |
|
31Si |
17 |
157.3分 |
β- |
0 |
|
32Si |
18 |
170年 |
β- |
0 |
|
33Si |
19 |
6.18秒 |
β- |
0 |
|
34Si |
20 |
2.77秒 |
β- |
0 |
|
35Si |
21 |
0.78秒 |
β-,NE |
0 |
|
36Si |
22 |
0.45秒 |
β-,NE |
0 |
|
37Si |
23 |
0.09秒 |
β-,NE |
0 |
|
38Si |
24 |
0.09秒 |
β-,NE |
0 |
|
39Si |
25 |
0.0475秒 |
β- |
0 |
|
40Si |
26 |
0.033秒 |
β- |
0 |
|
41Si |
27 |
0.02秒 |
β- |
0 |
|
42Si |
28 |
0.013秒 |
β- |
0 |
|
43Si |
29 |
0.015秒 |
? |
0 |
|
44Si |
30 |
0.01秒 |
? |
0 |
ケイ素には28Si,29Si,30Siの3つの安定同位体が知られている。不安定核の中
で最も半減期が長いのは32Siであり170年である。32Si,34Siはプルトニウムや
アメリシウム、キュリウムのクラスタ崩壊によって生成することができる。
また、ケイ素は大質量恒星の燃焼過程である、ケイ素燃焼過程に深く関与
する。このとき燃焼に使われるケイ素は28Siである。
歴史
ケイ素は人間と、石英やガラスとして多くかかわってきており、古くから様々な
用途に用いられてきた。しかし、ケイ素という元素が意識されるようになったのは
19世紀以降からのことで、1811年、ゲイ・リュサックが四フッ化ケイ素を還元して
低純度のケイ素を得た。それまでは、ケイ素が含まれる、火打石が元素である
と思われていた。
高純度のケイ素を得たのは1823年、ベルセリウスがゲイ・リュサックと同様の
方法で得た。ケイ素の英語表記である、siliconは、ラテン語で、ケイ砂を意味
する、silaxに由来し、その名づけはラヴォアジェである。
存在
ケイ素は地殻中で二番目に多い(質量パーセントにして)元素であり、その多くは
二酸化ケイ素の形で普遍的に存在している。海中にはケイ酸塩として含まれるが、
多くはない。
多くの鉱石はケイ素をその組成式中に持つため、ケイ素化合物の入手はいたって
容易であるが、実際、単体のケイ素を得る場合は、珪石や珪砂、シリカなどの
いわゆる二酸化ケイ素からつくる。
ほぼ無尽蔵に存在するケイ素だが、純粋なケイ素として得る場合、多くの電力を
必要とするため、電力が安い国がケイ素の輸出国となる。
ケイ素は工業的に高純度のものが求められ、もちろん高純度のもののほうが
値段は高くなる。このことから、ケイ素単体の値段は純度にもよるが、豊富な
資源の割には安いとは言えない。
リンク
↑
↓
ゲルマニウム