中国史に関する史料については、やはりさまざまな制約があるが、当然ながら分野によって随分状況が違う。
残っているのは基本的な刊行文献となっているものが多い。ただし清朝末期のものは、档案(トウアン)館に残っているものもある。
台湾の公文書館が体系的に公開している。また、国民党の文書館もある。
大陸の中央政府関連の文書館は、あまり公開していない。ただし分野によっては、日本より体系的に公開しているものもある。また、地方政府の文書館は、比較的アクセスしやすい。
文書所蔵の種類
政府内部での使用で限定的に製本されている資料集があるが、なぜか謎のルートで手に入るらしい。
個人文書を文書館や図書館に寄贈あるいは委託しているもの。
米国の
フーバー研究所の蒋介石日記などが有名。
中華人民共和国の档案館について
档案館とは、行政文書をはじめとする档案(トウアン)を
保存・管理する行政機関であり、大小をあわせて4000弱の施設があるとされる。
ここで日々扱われている行政文書は、基本的に「解放」後のものであるが
中には、それ以前の歴史的文書(歴史档案)を扱う档案館もある。
の3つの施設である。
中央档案館は北京にあり、非公開である。
中央档案館の早期公開が望まれるが、現時点では原則として
史料を公開している2つの歴史档案館が、研究者の利用に適している。
申請によって複写が可能であり、簡易目録も公開されている。
しかし歴史的経緯にともなう政府の移動などによって
行政関係の史料の相当量が、各地に分散していることから、
地方の省・市・県などの档案館(北京市/上海市档案館など)でも
中央政府関係の史料が所蔵されていることがある。
また、東北部の黒龍江省・吉林省・遼寧省の各档案館などでは
満鉄・軍関係や、満洲國時代の档案などが所蔵されている。
また国家図書館などの図書館施設や、博物館にも史料の所蔵がある。
中華民国の档案館について
中華民国内で、歴史档案が保存されているのは主に
- 中央研究院近代史研究所档案館
- 国史館
- 中国国民党党史館
の3つの施設である。
この他にも、故宮博物院や中央研究院歴史語言研究所にも
清代の宮中档案(大陸から持ち出されたもの)が収められているという。
ここで所蔵されているのは、主に外交档案
(清朝の総理衙門および外務部、中華民国北京政府時代)および、
経済関連档案(民国期から現在に至る)である。
しかし最近は、個人・団体からの寄贈档案が増加しており、
二二八事件資料関連など、国共内戦後の台湾の状況を示す資料も増えているという。
ここには、国民党が台湾に持ち出した档案が閲覧できる。
さらに大渓档案(蒋介石・蒋経国機要档案)や、台湾総督府文書などが所蔵されており、
蒋介石関連については1949年まで公開され、目録も刊行されている。
(朱文原主編『蒋介石総統档案目録』〈第1冊・第2冊〉、国史館、1998年)
この他にも戦後の史料(経済関係以外)があり、蒋経国档案なども検索することができる。
中国国民党党史館は、国民党本部にあり、本部七階が閲覧室となっている。
国防最高委員会档案、中央政治委員会档案などが、原則30年ルールで公開されているが
現用文書との関係もあり、1949年以降の文書については制約がある。
『蒋介石日記』の公開なども行った、米スタンフォード大学と提携関係にあり
文書のデジタル化などに関する共同プロジェクトが進行しているという。
最終更新:2009年01月05日 00:34