アットウィキロゴ
  • 第二章「旅路」

この世界は平行世界とで成り立ったいる。

僕は昨日まで慣れ親しんだ世界に別れを告げ、崑崙鏡の地に足をおろした。

クゥにこの世界を誘われたのは絶妙のタイミングだった。
僕のいたアクロニアの世界では大きな使命などなく、リングと云われるギルドに属して、修練とレアアイテム探しの日々に少し単調さを感じはじめていた頃だったからだ。

クゥとはこの世界に来るずっと前から続いている友人だ。
いつも相談に乗ってるのに、こっちから相談すると必ずこてんぱんに叩きのめされる。だが悪びらない彼の性格が余計な気をつかわずに済むため、いつの間にか長い付き合いになっていた。
クゥと共に過ごした世界は初めて出会ったその一度だけだったが、互いに別々の世界を歩みだしても、そこでの情報交換などを取り合っている。

僕がこの世界に転生を決めた理由は、クゥが相変わらずの同姓トラブルで、暫らくこの世界を離れたいと相談してきたからだ。
ならいっそ世界ごと交換してしまおうか?と、何気なく口にしたのが面白いと思ったらしい。僕も初めてクゥに告白されたときは面食らったが、今日まで付き合いが続いてるのは友情だ。と…かたく信じている。

今ではパソコンが媒体となって多数の平行世界を行き来できるようになっていた。

ベビーユニバース理論が解明され、反陽子や陽電子を素粒子と融合させると…みたいなことを学生のころに教わったが、まさか携帯電話並みに普及するとは考えもしなかった。

現世では平和な日々が続いている。僕らのような人間が平行世界に転生して、その世界の手助けや、世界全体に広がった「ゆがみ」を正すこともできるまでに浸透してきていた。

現実世界が無くならない限り帰る場所を失うことはないらしいが、既に社会現象いっぽ手前というところかもしれない。

鏡王クントゥとの話を終え、自分のいくべき道も理解したところで転生ポイントに立ち一呼吸をした。
やがて、からだが黄金色の光に包まれていく。
長陽城にでもくりだそうと光の中からでた途端、目の前に旅団の申し入れが届いた。

この世界では挨拶と云うものが存在しないのかな?
と、ふと考えながら目を向けると医者の身なりをした少年がこっちを見ている。

つくづく男に縁が深いな…僕は心のなかで苦笑した。色々な世界を見て回ったが誰にでも打ち解ける性格が災いしてか恋人と呼ばれるような関係になったことは一度もない。唯一、告白されたのもクゥひとりというなんとも不甲斐ない人生だ。

蒼瑠璃色の瞳に青い長髪が少し冷淡さを感じたが、医者である以上、他人を思いやる気持ちがあるに決まっている。あくまで僕の偏見ではあるのだが…。

クゥからこの世界の情報はある程度仕入れていたけれど一人で行動するのはあまり好きではない。

いきなり旅団に誘われるとは思わなかったが、話だけでも聞いてみようとその申し入れをあっさり受けてみた。
もともと破天荒で明るい性格のせいか、どの世界にいっても歓迎されたし、闘いもそつなくこなしていた。彼次第だが気が合えば長い付き合いになるかもしれない。

人の出逢いとは元来そうゆうものだ。

「冬架」と名乗るその少年は話してみるとぶっきらぼうだが何処か親しみを感じられる。平行世界の経験は崑崙鏡が初めてのようで、この世界でもまだ日が浅いらしい。
冬架に街を案内してもらいながら、とりとめのない話をしていると彼から思いもよらない一言が飛び込んできた。

「流派をつくりたいんだ。協力してくれるか?アウスラ

彼と流派をつくったらどんな未来になるんだろう…。淡い期待と興奮を覚えながら、いつの間にか僕は彼の背中を後押しして、成長の過程を見守ってみたいと考えていた。そんな気にさせる仲間に巡り合う確率は滅多にあるものではない。

「流派を興すには仲間があと四人は必要だね。二人で手分けして仲間を集めよう」

「そうだな。出来るだけ初めての奴がいい。アウスラ、勧誘は得意そうだから期待してるよ」

僕の物怖じしない性格を冬架に見抜かれたか。経験がない訳ではないし確かにそうゆうのは得意中の得意だ。

僕らは四人の仲間を探すべく長陽の城下町を走り回った。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年10月06日 04:19