第八章…「迷宮の迷い子」
城内の井戸から妖魔が湧きだすという近衛兵ダールの情報をもとに井戸の入り口を模索していた僕らはソンバという老婆の協力を得てなんとか井戸に降りれるようになった。どうやらダユエンの誓いに関係がありそうなため調査しなければならない。早速、流派で勇士を募り旅団をたてた。メンバーは
アウスラ、
フェルグス、シェリル、らん丸、
ひまにゃの6人だ。
井戸に降りると洞窟になっていて、かなり入り組んだ地形になっている。だが僕は此処に来たことを少し後悔していた。湿ったカビ臭い空気と狭く薄暗い通路が更に不安を煽る。そう…誰にも云えないが実はダンジョンが大の苦手なのだ。正確に云うと怖いのが苦手なのだが最悪なのは僕が救いようのない方向音痴ということだ。医者という職務上、先頭に立たないで済むのが唯一の救いであるがこんな心細い場所でひとりになったら一貫の終わりだ。僕は皆を見失わないよう気をつけながらも平静を装っていた。
前衛のフェルやらん丸達が道を切り開いてくれる。その後続にいるアウスラとシェリルはお構い無しのドツキ漫才を繰り広げていた。スライムやらコウモリやら妖魔がウヨウヨいる中でも相変わらずの馬鹿さ加減には違う意味で頭が下がる。
「大丈夫?顔色悪いけど…」
「うわ!!」
ひまにゃが突然後ろから声を掛けてきた。前にいるとばかり思っていた僕は驚いて声をあげてしまった。
「だ、大丈夫さ。別に怖くなんてないよ!…(ドキドキ)」
「ふ~ん=x=;」
ひまにゃの問い掛けに平常心で喋ったつもりが逆に動揺を隠せない返答になってしまった。ひまにゃは意地悪そうな笑みを浮かべて呟いた。
「ひょっとして…怖いの苦手?(゜∀゜)」
少し前を歩いていたシェリルとアウスラの足が止まり、猫のように「ぴょこん」と聞き耳を立てた。振り向いた2人が化け猫に見えるから不思議だ。
「シェリルさん聞きました?」
「ええ…アウスラさん聞きましたとも(笑)」
「あらやだ聞こえちゃいました?お二人さん(笑)」
口元を手でふさぎ、近所の主婦の寄り合いみたいな会話を始めだした(しかも聞こえるような小声でっ!)
・・・これは非常にマズイ状態だ。ダンジョンから抜け出すまでは奴らの執拗なまでの『弄り』を受けなければならない。ただでさえ足が竦むほどのこの状況でどうすりゃいいんだ?フェル達に助けを求めようにも二人はネバに囲まれ身動きが取れない状況だ。
ここはなんとか話題を反らそう。
「ほら。フェルとらん丸の援護しないと…」
「おっと、ごめんごめん」
皆が援護に向かいネバの群れに突っ込んだ。僕は少し離れた位置から回復術をかける。ネバは徐々に数が減り、やがて5~6匹になった。
・・・おかしい。群れのなかにいたはずの仲間の姿が見えない。ぎょっとした僕は目を凝らした。するとネバのほうからフェルの声がする。
「とうぅかぁぁ。皆ネバに食われてしまったようだ~私も、もう・・・だ、駄目だ・・・ぎゃぁぁぁぁ!」
ネバの口がぱっくりと開き、中からフェルの顔だけがはっきりと見えた。
「うわぁぁぁぁ!」
僕は驚きのあまり飛び上がって逃げ出してしまった。
一目散に逃げる冬架を見て私はネバの死骸を脱ぎ捨てた。アウスラやらん丸達も逃げ惑う冬架を尻目に遥か彼方まで見えなくなるのを茫然と見送っていた。
「あら~本当に怖いの苦手なんだなぁ…@@;」
「アウスラの悪戯に付き合ったのはいいが少しやりすぎたな」
「あっはっは。しかしあそこまで怖がりとは驚いたぜ!」
「いや~んwひまにゃのネバ着ぐるみもかわいぃ!(抱)」
「ちょwまた始まった!助けて兄ちゃん~」
アウスラ達がネバとの乱戦の最中にこの提案を持ち込んだ時はホンの冗談のつもりで乗ったのだが冬架がここまで怖がりだとは思いもよらなかった。きっと今頃、ひとり心細い思いをしていることだろう。
「アウスラ、冬架がこんなところで迷ったら大変だ。さっさと追い掛けよう」
「んむ。あいつの方向音痴は筋金入りだしな(笑)」
我々は急ぎ冬架のあとを追った。
「はぁ…はぁ…」
息を切らすまで逃げてしまった僕はやっと今のが彼らの悪戯だと気が付いた。なんて卑劣な奴らだ。きっと首謀者はアウスラに違いない。僕は耳まで真っ赤にさせながら大声を張り上げた。
「アウスラ!今度やったらタダじゃおかないからな!!」
「・・・アウスラ?」
なんの返事もない。辺りを見回しても誰の気配も感じられなかった。まずいぞ!これは・・・どうやら完全にはぐれてしまったらしい。無我夢中で逃げてきたからココが何処になのかさえサッパリわからない。
僕は途方に暮れながら出口を探し歩きだした。
続く…
最終更新:2008年10月31日 01:50