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俺が転校し、デュエル部に入って1ヶ月余りの月日が経った。
それはあっという間だった。
そして、見事に部員は入らず。
……放課後に結構見物人は来るようになったのになぜにこの部に入りたがる奴はいないのだろうか?
テストとかがあったりして、いろいろとごたごたしていたのは分かるが。
そんなある日。


福留 雪奈は大爆睡していた。
机に顔を伏せ、幸せそうな顔をしていびきをかいて寝ている。
長い髪が見事に散らばっていてとてもだらしがない。
……授業中だというのに。
もし、野生だったらすぐに喰われているだろう。
その脳天に平手が飛んできた。
とてもいい音が鳴った。
雪奈はバッと顔を上げた。驚いたのだろう。
アホ毛が出ているのは放っておいた。全然身だしなみを気にしていない。
いつもより、3倍は我に返るのが早かったようだ。
雪奈は周りを見回した。皆こちらを見ているが、隣のアイツの姿を見て怒りがこみ上げてきた。
隣のアイツこと霧生 真近は手をひらひらと振ってきた。
無表情を装ってはいるがかなり痛そうだ。
雪菜とはなるべく視線を合わせないようにしている。
先生に雪奈を起こせと言われたので、どうやったらこの爆睡少女を一発で起こせるだろうと考えた結果このような行動を取った。
が、いい感じに命中し衝撃で手がヒリヒリした。
横の席の奴をちらりと見た。
……殺気立ちながら教科書を凝視している。
かなりマズイ。
次の休み時間に復讐する気だ。鳩尾や脇腹に目掛けて拳や膝をぶつけるかもしれない。
真近は時計を見た。
教室の時計がどのぐらい正確かは分からないが、その時計では残り2分程度だ。
知らず知らずのうちにダッシュに備えるべく、脹脛や太ももを手で揉んでいた。
2人とも終わり直前の授業内容なんぞ、頭に全く入っていない。
自分のことに手一杯だったからだ。
そして―――
時計の秒針が25秒ぐらい過ぎたときに……チャイムが鳴った!
本来ならば授業前後に礼なりするものだが、2人にはそんなことはおかまいなしだった。
まず、真近が飛び出した。
飛び出した真近を見、驚いてその周辺の生徒が真近を見る。
と同時に真近の席から何かがぶつかったような音がした。
雪奈だった。雪奈が真近をその場で捕まえるべく真近の席に飛び込んだのだ。
真近は全力疾走で雪奈から逃れるべく校舎を走った。
俺は、普段は使われていない通路とかに身を潜めながら逃げていた。
自分の教室は、三階にある。今いるのは、二階だ。
携帯の時計を見た。
休み時間終了まで残り6分。
どうにか、次の時間までには逃げ延びなければならない。
そう思った俺は場所を移動するべく、走り出した。
休み時間は、人が多い。とりあえず、人に紛れながら逃げることにする。
廊下を歩いていると、……殺気立ったものが後ろからビスビス刺さってくるではないか。
間違いない。雪奈だ。
これは……捕まったら間違いなく殺される!!
真近はそう直感した。そして、迷わずに走りだす。
雪奈は見つけたとばかりにふふふ……と不気味な笑い声がしたような気がしたが気のせいでは無いだろう。
通行人の生徒はドドドドドドッと走ってくる2人を見てあわてて道の端に寄る始末だった。
トイレにでも逃げ込むかとも真近は考えた。
しかし、雪奈のことだ。
鍵をかけても上から上ってきてその場で締め上げるであろう。
となると……
真近は中庭に出た。
大きな池がある。
俺は、池の周りをぐるぐると回り始めた。
狙い通り、追いかけてくる。真近の目的は時間稼ぎだ。
雪奈が池の反対側にいる姿が目に入ってくると真近は、時折立ち止まり様子を窺がっていた。
それにつられて、向こうも立ち止まる。
……実は、力はあっちの方が強いがスタミナや足の速さは僅かではあるがこちらが勝っているようである。
そういえば、運動神経いいのになんで部活とか入らないのとか言われたこともあったな。
彼女と視線が合った。形相を歪ませて睨みつけてくる。
無茶苦茶怖い。だが、俺は全く気にしていないような素振りを見せて相手の動きを窺がった。
この池の深さはよく知っている。
以前に締め上げられたときに反動で落とされたことがある。
……中庭に男の胸辺りまである深さの池を置いておいてよいのだろうか?
女子でカナヅチであれば溺れているんだが。
自分の教室から中庭はほぼ真下だった。
正確には自分の教室の前の廊下。
見物人がチラホラいたのだが、この2人は全く気がついていない。
睨みつけている雪奈を横目に見ながら、俺は携帯を開いた。
……時間は13時38分。
そろそろいい時間だな、真近はそう思い走りだした。
無論、校舎の方へ。つられて雪奈も走り出す。
教室へどんなに速く走っても、1分はかかる。
俺の教室、なんであんなに端っこなんだろう。
ちなみに、中庭の入り口から見て端っこという意味であり、下駄箱からという意味では意外と普通の位置にある。
俺はバンっ、と教室のドアを開けた。
教卓の所にいる人物を見つけて、俺は勝利を確信した。
次の授業は現代文。授業前にはもう先生が教室に入っている!
こういう時、先生の生真面目さにありがたみが出てくる。普段は真面目すぎてウザいとぐらいとしか認識がなかったが。
俺は席に着く。5秒ぐらいして雪奈が教室についた。
途中見失ったのだろう。
先生を見るなり、うっとした表情になった。
雪奈と目を合わせるなり、笑顔を見せてやった。
ざまぁみろだ。
そして、走りつかれたのか怒りも忘れその時間も寝ていた。
寝たら何をやったのか全て忘れている性格に毎回助かっているんだなぁ。
先生は何度か雪奈を起こしにきたがちっとも起きずあきらめきって授業を進めていた。






その日の放課後、俺は部室に行った。
相変わらず散らかっている……
とりあえず、俺はカードを漁っていた。
何か隠されたカードとかあるかもしれないからだ。
……普段は全然見向きもしないが。
探し始めて20秒早速いいカードを見つけた。
『大寒波』のカードだ。
少し汚れているがまだ使えるだろう。
このカードは未だに絶版状態で手に入れるのは非常に苦労する。
再版されればおそらくレア度はスーパーレア以上は行くであろう。
たしかに、使えるのだが自分のデッキにはあんまり有効では無いような気がした。
魔法とかガンガン発動するコンボ系のデッキだからなー
がさがさと漁っていた。
そして、約5分後。
ふと、あるカードに目が止まった。
『召喚僧サモン・プリースト』
見つけたときは偽物じゃないかと本気で思った。
カードの状態はあまりよろしくないが、これも絶版状態だ。
手札の魔法カードを一枚捨てることでデッキからレベル4のモンスターを特殊召喚できるというかなりお得なカードだ。
しかし、これも俺のデッキと相性が良くない。
とりあえず、パクっておくか。買うと恐ろしく高いし。
そのカードをポケットに入れた瞬間、雪奈が入ってきた。
俺は驚いて、振り返った。

「おっつかれー! 今日の部活なんだけど、私の諸事情により中止にしまーす!」

はぁ、とか言ってしまいそうだった。
ま、部員が2名しかいないからそれは無理だがな。
(上級生が一人いたけど、俺が入ってくるなりやめていった。多分男が入ってきたからであろうか。それとも自分より強い奴が入ってきたからか……)
久々に早く家に帰れるな。
とりあえず、近所のコンビニで何か買って帰るかな。
俺は学校を出た。
もう、10月か……吹いてくる風が冷たいな。
帰り道、コンビニで肉まんを買って帰った。冬場と言えばこれだろ。
あとは、こたつに入って食べる雪見だいふくとかは最高だな。うん。
コンビニから出て、肉まんをかじりながら歩いた。
そして、家の近くの公園を突っ切ろうとするときに事件が起きた。
手に持っていた肉まんが消えた。
さっきまで食べていた肉まんが見事に。
俺は何処か無いか探していた。
下ばかり向いていた。しかし、違ったのだ。
何処からか烏の鳴き声が聞こえた。上だったのだ。
烏は電柱の上に止まっていた。俺と視線が合った気がする。
というか、電柱の上の小さな影を凝視してしまった。…俺の肉まんじゃねーか!
真近は烏が自分のほうへ飛んでくるのを見た。
反応が遅れた。上空から頭を突かれた。

「……っで!ヤッロウ……」

俺は、烏を睨みつけはしたがその場にあった石を投げたりはしなかった。
投げてもどうせ当たらないだろうし、それに顔を覚えられて仕返しされても困る。
遠くから、おーいという声が聞こえた。
烏はその声を聞くと飛んでいってしまった。
俺はその烏に追っていった。
しばらく、走ると烏が円を描くように飛んでいた。
そして、2周りぐらいするとそこに降り立った。
俺は烏の降り立った場所に行ってみた。人がいる。
あれ……アイツは。

「関口じゃないか。こんなところで何やってるんだ?」
「あ、霧生くん。家ここらへん?」

彼は関口 要。
俺と一緒のクラスだ。普段から温和な性格をしているが、なんか噂話とかが好きなんだよなぁ。
あと驚異的に几帳面な所があり、人が変わったようになる。……委員長に向いているタイプだ。
しかし、情報収集が好きなためクラスでは新聞委員でもしてたな。
それにしてもこんな所で一体何を……
と、要の肩にさっきの烏がとまっていた。

「さっき、烏に襲われて俺の肉まんが……」
「あー、お腹空かせていたんだね。スーウィサイド」

烏が一声鳴いた。
随分懐いているように見える。
まさかとは思うがそれって……

「……それ、烏の名前なのか?」

とりあえず聞いてみた。
要は案の定、「うん、そうだけど?」と答えた。
響きがかっこいいからなのか、その名前は!?
Suicide(スーウィサイド) 英語。 自殺の意。
俺はその場で立ち尽くしていた。
その反応を見たのか、要は答えた。

「あー、こいつはね。何年か前に雛が落ちてたから拾ってね。大きくなって飛べるようになったから放してやったんだけどよくくっついて来るんだよ」

はぁ、なるほどー
よく親の許可をもらったものだ。
真近は違った方向で感心していた。まず、納得するのはそこではない。

「んで、その烏はよく公園にいると?」
「まぁそういうことになるねー。僕もよくここに来るから覚えたんじゃないかな?」

余談だが烏の脳は犬よりも大きいらしい。
あと、鸚鵡のごとく言葉を教えればちゃんと喋ってくれるらしいぞ。
要が部活の話に切り込んできたので話を変えざるおえなかった。

「とりあえず、今日は部長の都合上休みー」

一応アイツは部長だ。
いろいろと切り盛りしてらっしゃる。
部費は全てカードに費やされているらしいが、部費が年2万とかどうだろうか。
よほどこの部活が落ち込んでいるのだろう。

「……あ、そういえば」

要が思い出したように口を開いた。
今から思えば、このあとの言葉が聞きたくなかった。
それを聞いて俺も走りたくなる気分を味わうこととなった。

「今日、デュエルモンスターズの新パックの発売日だねー」

……
あの野郎ッ!!
俺は体の向きを180度変え、走り出そうとしたが要に腕を捕まれた。

「HA☆NA☆SE!」
「落ち着け!
というか、なぜにそんな言葉になっているの!?」

しばらく言い合っていたが、要の言葉が決定打になった。
「もう、売り切れてないよ」という。
考えてみればそうだった。
俺はまず、部室に入ってきた雪奈の最初の行動を見て気づくべきだった。
何だか今日は異様にそわそわしていたのだ。
おそらく、コンビニやデパート、カード屋の残りのパックを全て買収するつもりだろう。
……帰りが自転車の人が物凄く羨ましい。

「くっそー!あいつめぇ……」
「今日のことまだ根に持ってるんじゃないの?」

そして俺は断じてそれはないと答えてやった。
あいつが寝ボケたあと、その二時間ぐらい前のことを聞いてみたが何も覚えちゃいなかったと答えた。
要はなにやらメモっていた。目が違っている。
絶対ネタにするつもりだ。

「はぁ、じゃ俺もう帰るから」
「お疲れー。あ、明日部室見ていっていいかな?」

待望の一言を言いやがった!
……まぁ、初心者でも大歓迎なのはうちの部活なんだがな。

「え、見ていくのか?」
「うーん、福留さんの噂はかなり聞いてるから。やっぱり霧生くんの実力も見たいかなぁとか」

ほー、なるほど。
学級新聞のネタにでもしてくれれば誰か入ってくれそうだな。
とりあえず、俺はその晩雪奈にメールをした。
即OKをもらった。(ちなみに新パックのことを打ったがスルーされた)







次の日の放課後。
雪奈は見事に今日も寝ていた。進級は大丈夫なのだろうか?
俺は雪奈と共に関口を部室に連れて行った。
そのとき、俺は関口の性格を忘れていた。
極度の几帳面ということを。
部室を見るなり、関口はゴミ袋とか取り出して掃除し始めた。
俺達は本題に入るまで関口の掃除が終わるのを待っていなくてはならなかった。
しかし、あいつの几帳面さには驚かせられる。
カードが山のようにあったのに、30分ぐらいで五十音順、モンスター、魔法、罠別に分けられていた。
……すげぇ。
しかし、不都合なことにこれで部室のカードがパクれなくなってしまった。
余計なことを。
実質1時間半ぐらいで掃除が終わった。
冬が近いので外はもう太陽が沈みかけている。

「んで、部室に来たわけだが……見学か?」
「いえいえー、戦りに来たんですよ」

そういうと、関口はデッキを取り出した。
……こいつもやっていたのか。
雪奈の噂は聞いているとか言っていたな。
となると――俺が相手するのか?
隣にいる雪奈を見た。目がなんだが……危険を察知するような目をしている。
1回やったことがあるのだろうか?
それにしては何も緊張感が無い奴だな。

「それで、その勝負は俺が相手なのか?」
「はい。もちろん。福留さんとは中学校からやってますし」

要は肩をすくめながら言った。
やはり、やっていたのか。それにしてもなぜこの部活に入っていないのか。
とりあえず、辺りも暗いが広いスペースが必要だったのでグラウンドに出た。
十分な距離を取り、デュエルディスクを構える。

「用意はいいか?」
「いつでもどうぞ」


「「デュエル!!」」


真近 LP4000
要  LP4000


「俺の先攻!ドロー!!」

多少事故ったか?
まぁ、リクルーターっぽいやつがいるからいいけどさ。

「俺は、『ミスティック・エンジェル』を守備表示で召喚!」

ミスティック・エンジェル
攻1200/守1400

「ほー、噂には聞いていたけど。ミスティックデッキだね」

要は感心したように頷いていた。
雪奈はデュエルの邪魔にならないように見学していた。
そういえば、対戦したことがあるって言ってたな。こいつのデッキが何か分かるってことか。

「カードを1枚セットし、ターン終了!」

この状況で来てもあんまり意味が無いんだけどな……
あれが禁止になったから入れてみたが多少失敗だったか?
要のターンが始まっていた。
すでにドローをし終わっている。

「僕は、『ブラインド・ダークスパロウ』を攻撃表示!」

なんだ、そのカードは!
鳥獣族デッキなのか……?

ブラインド・ダークスパロウ
攻1500/守1500

「『ブラインド・ダークスパロウ』のモンスター効果。相手モンスターを1体裏側守備表示に変更することができる!」
「裏側守備……」
「そして、もう1つの効果。このカードが守備モンスターに攻撃したときそのモンスターをダメージ計算を行わずに破壊する。」

普通に戦闘で破壊したほうがいいように思えるが……リバースカードに警戒しているのか?
ミスティック・エンジェルの姿が消えた。
裏側守備表示になったためだ。裏側の横になっているカードだけが表示されていた。

「『ブラインド・ダークスパロウ』でリバースモンスターを攻撃!
効果を適用し、ダメージ計算を行わずに破壊!」

カードが砕け散る。
真近は至って冷静を保っていた。

「『ミスティック・エンジェル』がフィールドから墓地に送られたとき、デッキからレベル4以下のミスティックと名の付くモンスターを1体攻撃表示で特殊召喚する。俺は、『ミスティック・ソードマン LV4』を攻撃表示で召喚!」

お馴染みのミスティック系モンスターの元祖を召喚した。

ミスティック・ソードマン LV4
攻1900/守1600

「カードを2枚伏せて、ターン終了」

リバースカード2枚か……
鳥獣族をメインにしているのは分かっているんだが……
なんだか、嫌な予感がする。

「俺のターン!」

勢いよくカードをドローし、そのカードを確認するとすぐさま発動させた。
魔法カード『増援』
レベル4以下の戦士族モンスターをサーチするカードだ。
俺は『ミスティック・ランサー』を手札に加え、召喚した。

ミスティック・ランサー
攻1700/守1000

「トラップ発動!
『悪夢の夜雀の歌声』フィールド上に闇属性鳥獣族モンスターが存在している時のみ発動可能。召喚・反転召喚・特殊召喚をしたモンスターをゲームから除外する。」
「専用効果を加えた『奈落の落とし穴』って感じか……まぁ、いい。バトル!
『ミスティック・ソードマン LV4』で『ブラインド・ダークスパロウ』を攻撃!」

ミスティック・ソードマンが切り込みにかかる!
だが、途中で止まった。
それどころか、真近と対峙していたのだ。

「な・・・ッ」
「永続トラップ『カース・ナイトバード』発動」

雪奈の表情が変わっていた。
やはり、来たか。ナイトバードのカード!
カースだから……相手のモンスターを洗脳するカード……

「相手モンスターが攻撃宣言をしたときに発動できる。攻撃モンスターのコントロールを得、このカードが破壊されたとき対象モンスターはゲームから除外される」

これじゃ、破壊したのと一緒じゃないか!
真近は少し焦りを覚え始めていた。
雪奈の表情が曇ったのが多少なりとも分かる気がする。
だが、なんとかこいつは部員に欲しい。このぐらいの腕なら十分即戦力として通用するだろう。

「カードを1枚伏せ、ターン終了」

1枚は現状鏡では全く意味を成さないカード。
もう1枚は……やつの行動によるな。もっとも、戦闘を止められるものではない。

「僕のターン。ドロー」

要はカードを確認し、すぐに発動させた。

「魔法カード『夜の電信鳩』デッキ及び墓地からナイトバードと名の付く魔法・罠カードを手札に加える。僕が選択するのは、『セカンド・ナイトバード』」

仕掛けて来るか。
セカンドということはファーストやサードとかもあるかもしれない。

「そして、『セカンド・ナイトバード』を発動。相手フィールド上の裏側になっているカードをゲームから除外する。僕が選択するのは右のカード」
「チェーンし、トラップ発動。『砂塵の大竜巻』!
相手フィールド上の魔法・罠カードを1枚破壊する。俺は、『カース・ナイトバード』を選択する」

サクリファイス・エスケープだ。
カードの破壊、除外対象がフリーチェーンのカードだった場合に有効だな。

「しかし、『カース・ナイトバード』が破壊されたことによりミスティック・ソードマンはゲームから除外される」

負けるよりはマシだ。
真近はそう考えていた。
俺のフィールドはがら空き。次の攻撃はダイレクト・アタックになる……

「僕は、『最期を告げる夜雀』を攻撃表示!」

最期を告げる夜雀
攻 800/守 200

「2体でプレイヤーにダイレクト・アタック!」

2体の鳥が猛襲してきた。
なぜか、こんなときというのに烏に襲われたときを思い出してしまった。

真近LP4000→LP1700

さっきから、考えていたがなんとなく分かったことがある。
こいつの使うカードは……闇属性の鳥獣族ばかりだ!
少し耳にしたことがある。
闇属性の鳥獣族でデッキを統一させるとなぜか使い勝手がいいと。
普通、鳥獣族は風属性で統一させることが多く、あまり目立たないコンセプトらしいが俺は今それと戦っているようだ。
あと、ナイトバードのカード……あいつ、まだ夜鳥カードを持っていそうだな。
こんなときなのに少しにやりとしてしまった。

「楽しそうだね。霧生くん」
「当然。ようやく面白くなって来たって感じじゃないか。あまり見ない鳥獣族カードばかりだしな」

要はふーんと言っていた。
気づかれたか、内心ではそう思っていたのだ。

「僕はターン終了」
「俺のターンドロー!」
「『最期を告げる夜雀』の効果発動。このカードがダイレクト・アタックに成功したとき、相手のスタンバイフェイズ毎に相手は500ダメージを受ける。この効果は3ターン続く」
「500だと!
……まずいな、微量のダメージでもバーン効果でやられる」

真近LP1700→LP1200

真近はさっきドローしたカードをすぐに使用した。
魔法カード『ミスティック・ドロー』!
ミスティックと名の付くモンスターをデッキの一番下に戻し、デッキの上からカードを3枚ドローするカード。ドローしたカードの中に罠カードが入っていた場合そのカードはデッキに戻す。
真近は『ミスティック・マジシャンLV5』をデッキに戻し、カードを3枚ドローした。
ドローしたカードの中に『神秘の円陣-ミスティック・サークル-』があったのでデッキに戻した。
さて、どうする……
さっき『ミスティック・マジシャンLV5』を戻した……モンスターはいない。
戻した理由はここにあるんだがな。
攻撃力が低いモンスターがいて助かる。

「俺は、『ミスティック・マジシャンLV3』を攻撃表示!
そして、『最期を告げる夜雀』に攻撃!」

ミスティック・マジシャンLV3
攻1200/守 500

「あー……しまった、レベルアップか!」
「まさにそのとおり」

ミスティック・マジシャンが杖を一振りすると、夜雀が苦しそうにもがき始め粉々に砕け散った。

要LP4000→LP3600

「カードを1枚セットし、ターン終了。
ターン終了時にミスティック・マジシャンはLV5にレベルアップ!」

成長し、強くなったミスティック・マジシャンが召喚された。

ミスティック・マジシャンLV5
攻2300/守2200

雪奈は拍手していた。
ここで上級モンスターを出すとは。レベルモンスターの醍醐味だね。
よくまぁ、低攻撃力のモンスターを見逃さなかったもんだ。
でも……まだ、あのカードが来て無いなぁ。
闇属性鳥獣族の要とも言えるワンターンキルカードが。

「僕のターン、ドロー!」

要はそのカードを確認した。
そして、にっこりを微笑んだ。
どうやら、僕の勝ちのようです。そんな顔だった。
少し、冷や汗が流れる……
雪奈にこんな表情をされたら殴りたくなるが、要だとなぜか裏の表情があるようで怖いからだ。
雪奈はあの表情を見て悪寒が走った。
忘れたくもない、あのカードを再び見ることとなったからだ。

「僕は、『サクリファイス・スパロウ』を攻撃表示」

サクリファイス・スパロウ
攻1400/守 200

「……ッ!
真近、来るよ。とんでもない大鴉が!」

雪奈の大声を聞き、何やら凄い奴が来るということは分かった。
あいつが俺に何が来るか教えるってことは、相当やばめのカードに違いない。

「『サクリファイス・スパロウ』のモンスター効果発動。このカードを生贄にすることで、手札からレベル8以下の鳥獣族モンスターを1体特殊召喚できる。
僕は『ダーク・ハイドクロウ』を攻撃表示で特殊召喚」

現れたのは、漆黒の大鳥だった。
太陽も沈みかけているグラウンドでこいつの姿を見るのは一苦労だったが、とんでもなく大きい鴉だった。
だが、そいつの威圧感が大きい。鴉の主とも言えるだろう。

ダーク・ハイドクロウ
攻   0/守   0

「上級モンスターなのに、攻守力0だと!」
「『ダーク・ハイドクロウ』の永続効果発動!
自分フィールド上の闇属性鳥獣族モンスター1体につきこのカードの攻守力は1200アップする。自身も闇属性鳥獣族なので攻撃力は2400。
さらに僕は、墓地の『最期を告げる夜雀』をゲームから除外し『ナイトメア・クロウ』を攻撃表示で特殊召喚。闇属性鳥獣族モンスターが増えたことにより、『ダーク・ハイドクロウ』の攻撃力がさらに1200上昇」

ダーク・ハイドクロウ
攻   0/守   0 → 攻3600/守3600

ナイトメア・クロウ
攻1900/守 800

「悪いねー。この鴉でどうしても決めたいから多少のことは勘弁してよね!
『ダーク・ハイドクロウ』でミスティック・マジシャンを攻撃!」

鴉が空を舞った。
突風が吹いた。急降下してくる物体が1つあった。
真近はすぐさまリバースカードをオープンした。

「速攻魔法、『装備変更』!
手札を1枚デッキの一番下に戻し、自分フィールド上のミスティックと名の付くモンスター及びサイレントと名の付くモンスター1体を対象にして発動する。
そのモンスターをデッキに戻しそのカードに記されているモンスターで「ソードマン」と名の付くモンスターの場合は「マジシャン」と名の付くモンスターを。
「マジシャン」と名の付くモンスターは「ソードマン」と名の付くモンスターをデッキから召喚条件を無視して特殊召喚する!
『サイレント』と名の付くモンスターは俺のデッキに存在しない。『ミスティック・マジシャンLV5』をデッキに戻し、『ミスティック・ソードマンLV8』を守備表示で召喚!」
「っ、戦闘破壊体性モンスターか・・・!」

鴉が要の元に戻った。
要はこれでターン終了だった。
真近のターンだ。
はっきり言ってここで何か手を打たなければ負ける。
手札には特殊召喚条件モンスターの『ミスティック・マジシャンLV7』
さっきのレベルアップで要があんなことをしなければ召喚していたモンスターだ。
あのカードがあれば……
もし、あのカードが引ければ奇跡とも呼べるだろう。
真近は……カードをドローした!




カードを確認すると、真近は歓喜の声を上げた。
欲しかったカードを引き当てたのだ。
『最期を告げる夜雀』の効果により真近のライフが減少。

真近LP1200→LP700

「俺は、『神秘の地への誘い手』を攻撃表示で召喚!」

神秘の地への誘い手
攻 900/守 200

「『神秘の地への誘い手』のモンスター効果発動!
フィールド上のミスティックと名の付くモンスターとこのモンスターを生贄に捧げることで手札から『ミスティック・ソードマンLV8』及び『ミスティック・マジシャンLV7』を召喚条件を無視して特殊召喚する!
『ミスティック・ソードマンLV8』と『神秘の地への誘い手』を生贄に『ミスティック・マジシャンLV7』を攻撃表示で特殊召喚!」

ミスティック・マジシャンLV7
攻2800/守2400

「ここで、ミスティック・マジシャンを出すなんてなんという風の吹きまわしかね?」

たしかに常人ならここでソードマンLV8の効果で耐えしのぐだろう。
しかし、真近はそれをしなかった。
何か策があるというのか?
あの歓喜声といい、一体……

「その言葉はこのリバースカードを見てから言ってくれないか?」

真近はリバースカードをオープンした。
雪奈と要が驚く。
さっきからこの状況では全く意味を成さないとあれほど言っていたカードだ。
今の状況なら何か意味を成すのだろう。

「永続トラップ、『リミット・リバース』!
攻撃力1000以下のモンスターを墓地から復活させる。このカードが破壊されたり、対象モンスターが守備表示になったときそのモンスターを破壊する。
俺は、さっき生贄に捧げた『神秘の地への誘い手』を復活させる!
そして……『ミスティック・ソードマンLV8』がチューナーのように『ミスティック・マジシャンLV7』もチューナーだ。俺は、『ミスティック・マジシャンLV7』と『神秘の地への誘い手』をシンクロさせる!」

雪奈はこのモンスターを何度か見ていた。
そして、あーこの勝負真近の勝ちだ。
そう確信していた。
2体のモンスターが天空で1つとなる。

「『ミスティック・マジシャンLV10』を降臨!」

ミスティック・マジシャンLV10
攻3200/守2600

「僕の『ダーク・ハイドクロウ』より攻撃力が低いんですけど」
「最高レベルまで達したミスティック・マジシャンは補助無しで相手モンスター全てに攻撃が可能。さらに戦闘で破壊したモンスターの効果は全て無効にされるんだ。」
「相手モンスター全てに攻撃……ま、まさか……!」

そのとおりと言って真近はにやりと笑った。

「取り巻きの闇属性鳥獣族モンスターを全滅させれば済むという話だ!
いけ、ミスティック・マジシャン!」

ミスティック・マジシャンは宙に飛んだ。
大鴉よりもさらに高く。
そこから流星弾を放った。
2体の鳥が声を上げて砕け散っていく。

ダーク・ハイドクロウ
攻1200/守1200

最後の大弾が鴉命中すると、粉々に砕け散った。
要はがっくりと項垂れていた。

要 LP3600→LP0

















俺達がデュエルが終わったのは日が落ちてからだった。
帰るときにはもう門が閉まっていた。俺達は唖然としてしまった。
……先生、俺達一応部活やってるんですけど。
俺と関口と雪奈は正門を跨いで学校を出た。
雪奈が自転車通学なので、自転車を上げるのが大変だった。
こんなに遅くなったのは、部室でいろいろと雑談をしていたのが悪かったか……
俺の頑張りもあって、関口が部活に入ってくれた。
情報兼掃除係が出来て本当に役立ちそうな部員が入ってくれてよかった。
雪奈も多少は喜んでいるようだ。
しかし、中学時代関口にデュエルに全く勝ててなかったらしい。
それの執念でここまで這い上がってきたとか何とか言ってたな。
あー、そういえばもう10月かー
体育祭とか何やるんだろうなー
そういえば、雪奈12月に大会やるとかなんとか言ってたな。
それにしても、よく校長とかから廃部宣告とかされないものだ。



甘かった。俺は雪奈のことを深く考えていなかったのだ。
雪奈がとんでもなくお気楽者ということを恨むのは数日後のことであった。

















あとがき
どーも、遊戯王小説の2話です。
読んでくれている人たちに本当に感謝いたしますね。
さてさて、今回もメインキャラとなるオリキャラが一人登場しました。
関口 要くんです。
烏のスーウィサイドと仲良しで使うデッキはナイトバードデッキ。つまり闇属性鳥獣族カードを主体とするデッキです。
性格は几帳面かつ噂話好き。
モデルとしては絶望先生の木津 千里と東方の射命丸 文なんですがねー
あ、そうそう。実は今回のデュエルのプロットは前回より短いんだよ。うん。
今回は真近が先攻だったのもあったからかな。
ちなみに前の話と一緒なのは真近のターン数。
前回も今回も4ターンで終わらしました。
以外にもパワーデッキなので、雪奈とは多少相性がいいです。
雪奈が苦手とするデッキタイプですね。パワー系は。
(ブリザードは平均攻撃力が多少低めな為)
あと、デュエルオンラインというフリーソフトでオリカが作れるので早速真近デッキと雪奈デッキを組みました。
雪奈デッキが最高に使いやすかったです。(笑)
真近デッキは……
まぁ、新サポートを大量に出したから多少は使いやすくなっているでしょう。

さて、次回予告っ!
教頭先生に部員が集まらなければ廃部と迫られていることを雪奈は真近に打ち明かした。
とりあえず、部員も入ってきたので教頭に言ってみたが却下され。
そして、デュエル部存続の為真近と雪奈でタッグデュエルを組むこととなった。

っていうような感じにしようと思っています。
パワポケ1で似たような展開を見かけた?
……てへっ
それではまた次回会いましょう。


最強カードっぽいもの
ミスティック・マジシャンLV10
星10 地属性 魔法使い族 攻3200 守2600
シンクロ/効果
ミスティック・マジシャンLV7+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがフィールド上に存在する限り、相手のモンスターは全て攻撃表示となる。
表側になったモンスターのリバース効果は発動しない。
このカードはバトルフェイズ時相手モンスターに1回ずつ攻撃することができる。
このカードが戦闘で破壊したモンスターの効果は発動しない。

感想とか誤字脱字等ありましたらこちらにどーぞ
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最終更新:2008年03月23日 23:32