よどみに浮かぶうたかたは
かつ消えかつ結びて
久しくとどまりたるためしなし
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昭和五十五年、文明華やかなりし二十世紀。鉄と排煙に包まれた鉛色の時代はとうに過ぎ、高度な経済成長の後押しを受けた社会はより良き未来を目指して物質的な富を人々へ供給し続けている。冬木市内も例に漏れず近代化と開発を繰り返し、今や一地方都市としては中々の発展を遂げていた。
そんな市内某所、所属する中学校を去り、少女が帰宅したのは17時を過ぎた頃だったか。
道を歩く少女は、端的に言えばかなり目立った外見をしていた。金糸を梳いたような金色の長髪に、エメラルド色の双眸。白磁の肌は薄茶の制服の生地に映え、整った顔立ちはまるで良くできた人形のような美貌を湛えていた。
しかし彼女の目立つ理由を極めて単純に言ってしまえば、彼女は外人さんなのだ。この時代では市井における外国人の存在というのは未だ珍しく、故に彼女は周囲から浮いた存在でもあった。しかし、その外見の秀麗さに気立ての良さ、雰囲気から滲み出る人の良さから、彼女の周囲では悪い噂はまるで聞こえてこなかった。
道行く少女が辿りついたのは、大きな邸宅だった。庭付きの一軒家は洋風に洒落ており、手入れもよく行き届いていた。家人の趣味か、あるいは人を雇っているのか。どちらにせよ、裕福な家庭であるのは間違いない。
夕陽が差し込む玄関を、少女は慣れた様子で開けた。蝶番の軋んだ音が小さく鳴る。
「ただいま帰りました、おばあさま」
「ああ、お帰り、フィア」
帰宅を告げる少女に、答えたのは老いを感じさせるしわがれた女の声。
その声の持ち主は、窓際の安楽椅子に腰かけていた。しわがれた声と「おばあさま」という呼び名に相応しい、壮年を通り越した老女の姿がそこにあった。白髪混じりの頭はそれだけ年を感じさせ、落ち着いた雰囲気は人生経験の重みを表しているかのようだった。
「どうだったねフィア、学校は楽しいかい」
「ええ。皆さんとても良くしてくださいますし、私も色々なことを経験できてとても充実しています。本当にありがとうございます、おばあさま」
「そんな畏まるのはおよしよ。おまえの世話を見るのは当然だし、何より好きでやってるんだからね」
老女の言葉に嘘はなかった。「心」を読めば、それが内心の思考と全く同じ言葉であるのだとすぐに分かる。
かつてはその本心を知ることを恐れ実行に移せなかったことを、しかしこの場においてフィアと呼ばれた少女は躊躇なく実行した。何故ならば、この老女はフィアの知る「本物」ではない故に。
「この街におまえが来て、そろそろ一月といったところか。どうだい、友達はできたかい?」
「……えっと、どうなんでしょう?」
「おやおや、そんな弱きでどうするんだい。これじゃあ男を捕まえてくるのも当分先になりそうで、私は今から不安だよ」
「もう、おばあさまったら」
靴を綺麗に脱ぎ揃え、フィアと老女は他愛もない会話に興じていた。内容には少々下世話なものも含まれていたが、それも併せてフィアにとっては楽しく、そして幸せなものだった。
フィアにとって、この老女との会話は世界で唯一安らげる時間だった。それは、この見知らぬ世界における偽物の彼女であっても変わることはない。
「それではおばあさま、一度お部屋に戻らせてもらいますね」
「おや、ついつい引きとめてしまったか。悪いことをしたねフィア、もうお行き」
「はい」
数分の会話の後、フィアはいそいそと部屋を出て突き当りの階段を昇った。フィアの自室は二階にある。階段を昇って正面の部屋、そこがフィアに割り振られた自室だ。
「フィアの部屋」と可愛く装飾されたプレートが掛かった扉を開き、中へ入る。小奇麗に整えられた、やや殺風景な室内がフィアを出迎えた。
フィアは鞄を机に置き、いそいそと制服から着替えて壁のハンガーに吊るした。一連の作業が終われば、訪れるのは空虚な沈黙。
静かにベッドに腰掛け、息をひとつ。そうしてフィアは、振り絞るように呟いた。
「……おばあさま」
その呟きは。
残酷な、無慈悲な運命に対する。
やり場のない憤りにも似た、声だった。
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フィアはこの時代の人間ではなかった。
昭和どころか、その次に訪れる年号である平成の世の人間ですらない。彼女はおよそ200年後の未来に生きた者だった。
何故自分がこの時代に存在するのか、それはフィア自身もよく分かっていなかった。気が付いたらここにいた、としか言いようがない。
I-ブレインの記憶領域に書きこまれた情報でしか知らないはずの、200年前の情景はあまりにリアルだった。生活水準や生活環境も自分の元いた場所とはまるで違う。行き交う人々は魔法士なんて存在はおろか、情報端末の一つだって持っていないし知りもしない。
そして何より、この空だ。
見上げた空には、あり得るはずのない青が一面に広がっていた。燦々と輝く太陽、突き抜けるような青空、風に流れる白い雲に、夕陽の赤さや星の瞬き。それらはフィアのいた未来では決して見ることのできない代物で、故に彼女がタイムスリップしてしまったと考えるのは当然の帰結と言えた。
けれど、単なるタイムスリップだとすると不可解な事象もあった。それが、先ほどフィアと会話していた老女―――七瀬静江の存在だった。
彼女もまた、フィアと同じ時代の人間だった。孤独に俯いていたフィアの拠り所となり、その心を支えてくれた恩人。そんな彼女が、何故かこうして昭和五十五年の人間として存在している。
税所、フィアは彼女もまた自分と同じ境遇にあると考えた。そしてその考えのもとに、フィアは自身の有する「同調能力」によって静江の記憶野を詳細に読み取った。
結論から言うと、この時代に生きているという静江の言葉に嘘はなかった。静江の数十年分の記憶は間違いなく「昭和」を生きたものであり、200年後の未来のものではなかった。次にフィアは、静江に何らかの記憶処理が施されているのではないかと考えたが、これも違った。脳内を隅から隅まで探査しても、それらしい痕跡は一切見受けられなかった。
それだけならば、まだ疑いようもあったかもしれない。しかしこの世界に組み込まれたのは静江だけではなく、フィアもだった。フィアには冬木市内の中学校に通う学生という身分が何故か与えられていて、静江は血のつながらない後見人という立場にあった。
この時点で、フィアは自分の記憶こそが間違っているのではないかと錯乱寸前にまで至った。もしかしたら夢なのでは? という儚い現実逃避は長く保たなかった。脳内に表示される現在状態が、ここは現実であるとはっきり告げていたのだから。
元々いた世界、2198年の未来において、フィアはとある少年に会うため軌道エレベーターを登っていたはずだった。放置された一室の天蓋、そこに植えられた人工の花畑。そこで待っているはずの少年へ、今生最期の別れを告げるために。
結局、それは叶うことはなかった。その前に自分はこんなところへ連れてこられたのだから。
もしかしたら、自分はとっくにロボトミー処置を受けてマザーコアとなり、意識とか魂とか、ともかくそういうものだけが天国やあの世に行ってしまったのかとも考えたが、どうやら違うらしい。
現状に戸惑うフィアの前に現れた「サーヴァント」が、それを教えてくれた。
彼の言葉を聞くことによって、フィアはようやく自分の置かれた状況というものを把握することができたのだ。
「さて、十分な時間が過ぎたが、お前さんの意思は変わらんかな」
静江に勝るとも劣らないほど老いた声が部屋に響いた。ベッドに腰掛け俯いていたフィアは、その方向へ顔を向ける。
老人がそこにいた。仕立てのいいスーツを纏い、白く口髭を蓄えた様は微塵の汚らしさもなく気品として成り立っている。深い皺は年輪の如く、彼の持つ知性を感じさせるようだった。
「はい。最初に言った方針は変わりません。
私は元の場所に帰ります。そして、マザーコアとしての役目を果たします」
そう語ったフィアの声は、自分でも分かるほどに震えていた。
それは暗に込められた嘆きでもあって、嗚咽でもあった。けれど、フィアはそれを声以外に出すことはない。
フィアは、静かに笑っていた。不安を感じさせないように。
この老人こそが、フィアに与えられた、この世界で唯一の道標であり、力でもあるサーヴァントだった。その好々爺な風貌に違わず、彼は時折フィアとの対話を望み、幾度か言葉を交わす間柄となっていた。
既に彼には話してある。フィアの来歴も、身の上も、定められたその末路も。
「お前さんが望むなら、わしが従うのも吝かではない。
しかし、聞かせてはくれんかな。何故そうまでして、お前さんは自分の命を捨てようとするのか」
老人の言葉は静謐なものだった。憤りも悲嘆も、そこにはなかった。
「簡単なことです」
対するフィアも、ただ静かに微笑むだけだった。
「私には大切な人たちがいます。こんな私でも、守りたいって思える人ができた……それだけのことなんです」
彼女が元いた世界―――2198年の地球は生物根絶の瀬戸際に立たされていた。北極と南極に一つずつ設置された大気制御衛星が謎の暴走事故を起こし、干ばつ対策用の遮光性気体を撒き散らし、世界が終わらない冬に閉ざされたのは今から12年前のことだった。
永久凍土に覆われ死に絶えた世界。日光を遮る暗黒雲により地上からは一切の光が失われ、世界の平均気温は零下40℃を下回った。如何に寒冷に強い植物であろうとも陽の光なしでは生きてはいけず、それはエネルギー供給の90%以上を太陽光発電へと移行し始めていた人類も同じことだった。
当時の世界情勢は、それは酷いものだったと聞く。人類は僅かに残された地熱・風力発電プラントの利権を争い、次第に戦争状態へと移っていった。そして引き起こされたのは第三次世界大戦。人類は僅かな資源を湯水のように消費し、勝者が生まれるはずもない不毛な戦いへと身を投じていった。
文字通り世界全土を巻き込んだ戦争は、2年に渡って行われた。核融合炉の暴走によってアフリカ大陸は地図からその姿を消し、失われた人名は198億人にものぼった。最終的に人類に残されたのは、たった7つのシティと2億人足らずの世界人口。血で血を洗う戦いの果てに、人類が得たものは何もなかった。
陸生生物が悉く絶滅するほどの過酷な環境下で、碌な資源もなく疲弊した人類がそれでも生き残れたのは、何故か。
その理由は、マザーシステムという機構にこそ存在した。それは「とあるもの」を核とした第二種永久機関であり、人類に残された最後の希望とも呼ぶべき代物だった。
大戦前は「人道的な」理由から使用を断念されたこの機構に、しかし大戦を経て疲弊した人類は我先にと縋りついた。そのための犠牲を「必要なことだ」としたり顔で受け入れて。
マザーシステムの核は、マザーコアと呼称された。
それは、魔法士と呼ばれる特殊な人間の、脳髄だった。
「それが、お前さんの死ぬ理由か」
「いいえ、死ぬんじゃありません。生きるのを止めるだけです。私の脳はシティとその周辺の街を生かし続けるでしょう。
だから、私はいいです。あの街があそこにあって、みんなが笑って生きていけるなら、私はそれでいい」
つまるところ、少女は生贄にも等しい存在だった。
マザーコア特化型魔法士『天使』。ただ殺されるためだけに生み出され、予定通りに死ぬ行くだけの儚い命。
けれど、それでも救いはあった。
本来、彼女は殺されるだけだった。誰かの都合で生み出され、誰かの都合で死んでいくだけの消耗品。そこに彼女の意思は介在せず、運命に流されるだけのはずだった。
そんな、人間未満の人形でしかない彼女は、しかし最期に守りたいと思える人々に出会うことができた。
だから、これは悲劇などではないのだ。誰かに無理やり死を押し付けられるのではなく、彼女は自分の意思でその道を選んだのだから。人間未満の人形が、それでも多くの人々を助けることができたなら、それは祝福とさえ呼べるだろう。
「聖杯を使う、という選択は取らないのかね」
「……使えません」
使わないのではなく、使えないと、少女は言った。
「私は世界が好きです。人間が好きです。誰にも泣いて欲しくないし、みんなに幸せになってほしいです。だから、誰かの願いを踏み躙るようなことは、できません」
少女は、フィアは笑顔のままだった。その裏に潜む感情を、彼女は見せることがない。
あくまで穏やかな声だった。穏やかな表情だった。優しい少女が、人を傷つけないために作り上げた笑い面。
自分自身でも気付いていない、ボロボロの仮面だった。
「……昔、お前さんとよく似た女と会ったことがあるよ」
ぽつり、と。
サーヴァントの老人は語った。それは昔を懐かしむような、失ってしまった何かを思い返すような声で。
「そやつはグーリエと言ってな、傍にいるだけでなんとも心安らぐ女だった。そやつもまた、皆が安らぐ世界を夢見ておったよ」
「その、グーリエって女の人は……」
「死んだよ。お前さんと同じような道を選んで、我が身を犠牲にして死に絶えた」
それは遠き星のおとぎ話。かつて永遠を生きて、しかし他我の永遠性をこそ尊んだ一柱の女神の物語。
彼は語って聞かせた。グーリエと呼ばれた女の話を。自らの生ではなく生き物たちの未来を望み、それ故に彼が刻まなければならなかった過去を。
フィアは黙ってそれを聞いた。いや、あるいは自らの境遇と重ねたのかもしれない。
何故ならグーリエという女の選択は、フィアの選ぼうとしているそれと限りなく近く、同時に限りなく違ったものであったから。
「あなたは、グーリエという人の選択を間違っていたと思いますか?」
「……いいや。彼女は何も間違ってなどいなかった。彼女の創り上げた世界は歓びに満ちていた。間違っていたのは、わしのほうだったよ」
「それなら」
そこで、フィアは笑った。
それはとても眩しく、あまりにも尊いものだったけど。
心からの笑みではなく、それはやはり、仮面の笑みだった。
「それなら、私も同じです。みんなに、あの人に、生きてほしいと願う私の心は。
決して、間違ってなどいないのですから」
けれど。
例えそれが悲しみに満ち溢れていようとも、百劫の罪に引き裂かれんとする少女の嘆きであろうとも。
想う心は本物であった。誰かに今を生きて欲しいと、願う光は偽りなどではなかった。
「……お前さんの決意は尊い。だからわしも信じよう。お前さんの救う命たちが、今度こそ正しい道を進めることを」
故にこそ彼は、呪われた永遠の放浪者は願う。
いずれこの少女の悲しみが、シューニャの階梯へと至り「かなしみ」に昇華されることを。
遠き空の果てであろうとも、星海の芥粒の一つであろうとも。
人はこうして悲しみを胸に抱き、いつかシューニャの空へと至る。
できるとも、この少女ならば。
こんなにも自分を責め、こんなにも人の死に心を狂わせる彼女ならば。
生の終わりを垣間見て、その想いが成就することがあれば。
犠牲でも逃避でもない第三の選択肢を選び取ることも、また。
だからこそ、彼は告げるのだ。
肯定するでも否定するでもなく、ただ少女の未来を見据えて。
いずれ訪れるかも分からぬ、果て無きものを見つめて。
「生きよ、一切のかなしみと共に。お前さんの旅路の終着点が歓びで満ちることを、わしは祈っている」
例え定められた終わりが迫ろうとも、ただ、今を生きるのだと。
そう、アハシュエロスは告げたのだった。
【クラス】
クリエイター
【真名】
アハシュエロス@ドグマの箱庭シリーズ
【ステータス】
筋力D 耐久D 敏捷C 魔力A+ 幸運E 宝具A+++
筋力A 耐久A 敏捷C 魔力EX 幸運E 宝具EX(宝具発動時)
【属性】
秩序・善
【クラススキル】
創造:-
かつてクリエイターは星における地上の一切を創造し、人類種を作りだし、その歴史の趨勢を三度に渡って観測した。
しかし彼は一度は人類の文明圏を破壊し、二度目も同じ道を歩みかけ、三度目は真に独力で創造することもなく、現在では神格・クリエイターとしての権能はほぼ失われている。
なお、クリエイターは文字通り人理の破壊者であるため「デストロイヤー」のクラス適性を内包する。このクラスで呼ばれた場合、状態が神格で固定となり、属性が反転する。すなわち召喚は不可能。
【保有スキル】
魔術:A+(A+++)
万物を創造した者として、多種多様な魔術を扱うことができる。原初の混沌の内に光を生み出すことも、一瞬にして巨大な城や天を覆うほどの巨剣を作り上げることも、大地を逆巻き割れさせることも彼には容易い。
宝具発動時においては()内のランクに修正される。
神性:-
既に彼は神であることを捨て去っている。人の似姿であるアハシュエロスは元より、神であった■■■でさえも、かつてとある情景を目にした瞬間に神であることを「止めて」しまった。
本来は神霊にして星の最強種であるクリエイターをサーヴァントとして召喚することは不可能なのだが、このスキルの消失に伴い、霊格と存在規模を極限まで低下させることにより辛うじてサーヴァントとして現界するに至った。
プルシャの悟り:B
無人称の盲目な意思、シューニャへ至る階梯を観ずる者が纏う守り。
対粛清防御とも類似したスキルであり、物理攻撃・概念攻撃・次元攻撃を無条件で一定値削減する。また、精神干渉であるなら100%シャットアウト。
【宝具】
『"いつか"が彼らを分かつまで(アンバロ)』
ランク:A+++ 種別:対神宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
簡素な造りの古ぼけた短剣。
この宝具の正体は、神の遺骸より作り出された星作り/星殺しの剣。神が星の為、そして星に生きる遍く全ての存在のために創造した、自身を含めた神格を殺害するに最も相応しい性能を誇る剣という、矛盾した神造兵装。
ランクに見合った相当量の神秘を内包するだけに留まらず、神性スキルを持つ者やそれに類する存在に対し特効の効果を発揮する。この宝具を所持した者は無条件でEXランクの神殺しスキルを取得し、該当サーヴァントにおいて防御に関わるあらゆるスキルや宝具による体質・耐性・加護・補正を無視して切り裂く。
また、クリエイターはこの宝具を任意で他者に譲り渡すこともできる。そしてこの宝具はクリエイターの死後も残り続ける。
かつてクリエイターが愛した者を切り裂くために使われ、そしてクリエイターが愛した者より生み出された、彼の愛憎の変遷を象徴する宝具。
『反存在・星殺しの嘲笑者(アンチビーイング・アースキャンサー)』
ランク:EX 種別:奉神宝具 レンジ:0 最大捕捉:1
反人間、反存在、人類の嘲笑者にして神殺しの神格。アハシュエロスのかつての姿を限定的に顕現させるのがこの宝具である。
真名解放に際してクリエイターの姿は皮を剥された巨大な顔面へと変貌し、ステータス及びスキルランクの修正を受ける。
この宝具の本質は、星殺しにして神殺しの神格に近づくと同時に生前の逸話を色濃く反映するものであるため、天もしくは星の属性を持つサーヴァントに対し極めて有利な補正を得るが、三度人類種に敗れた逸話により人の属性を持つサーヴァントに対しては逆に極めて不利な補正を取得する。
クリエイターは進んでこの宝具を使うことはない。何故ならこれは、彼にとって最大の過ちを犯してしまった時の姿であり、そして愛する者を二度失った喪失の象徴であるからだ。
【weapon】
バロスの杖
【人物背景】
彼の者は創造し、破壊した。
彼の者は自らの行いに無自覚的であった。愛憎の果てに自らの肋骨を、手足を、胴体を、顔の皮を彼の者は捧げた。
彼の者は変容を目指した。娘は死んだのだ。彼の者は死すべきものになりたかったのか。自らを打ち破った人間、その不可解を理解するために。
真実を知った者は去らねばならない。娘は死んだ、そして神も死ぬ。
「お前と共に再生したこの星は、歓びに満ちていた」
「総てが失われる時に初めて知った……娘よ、我はお前を愛していた」
【サーヴァントとしての願い】
最早この身に願いは無い。
ただ、叶うのならば。
娘は安らかに逝けたのか、それだけが知りたかった。
【マスター】
フィア@ウィザーズ・ブレイン
【マスターとしての願い】
元の世界へ帰り、マザーコアとしてこの身を捧げる。
【weapon】
なし
【能力・技能】
魔法士:
大脳に生体コンピュータ「I-ブレイン」を持ち、物理法則を改変して戦う生体兵器。マザーコア特化型の天使である彼女は戦闘能力に乏しい。
同調能力:
自身を中心とした一定の半径内に情報的な支配領域を広げ、領域に触れた対象の全存在情報を取り込み、情報の側から支配する。人を取り込んだならばその動きの一切を封じ、物質を取り込んだならば原子配列の変換を初めとした自由度の高い操作が可能。
ただし支配領域は球形上かつ触れる者全てを無差別に取り込むため、遠隔の対象を選別して取り込むことには向かない。また、領域内の情報量があまりに多くなると自動的に発動がキャンセルされる。取り込み限界は常人やNPCならば20人程度。空間や無生物ならば無尽蔵。
魔力によって構成されるサーヴァントに対しては上手く働かず、同調して取り込むことはできない。
【人物背景】
全てが崩れ去った未来において、生に縋る人類が生み出した希望のための生贄。ただ殺されるために生み出された『天使』の少女。
【方針】
帰りたい。誰かを傷つけることは、したくない。
【把握媒体】
フィア:ラノベです。原作1巻からの出典なのでそれだけ読めばいいです
アハシュエロス:フリゲです。作者様のサイトから落とすことができます
最終更新:2016年07月13日 18:03