『廻狂四郎』にとって、冬木の街並みは、歴史の教科書の中でしか見る事の出来なかった光景だった。
20~30代の人間に、自身が生まれる百年前の時代の風俗や常識が想像出来るかと問えば、恐らくは多くの者が答えに窮するであろう。
想像が難しいからだ。百年も前となると生活の様式も違うし人々に根付く常識も、人々の言葉づかいも違う。
だから、今を生きる若人に、百年前の事を想像せよと言う事が、無意味なのだ。いや、下手をすれば、生まれる10年、20年前の事ですら、もう危ういかも知れない。
現代はそれだけ、世界の変化が目まぐるしいのである。だから人は、自分の生まれる前の事は、『歴史』として、文献や映像からその時の様相を学ぶのだ。
だが余人が見れば、狂四郎のその驚きの様子を、奇妙に思うかも知れない。そして、次にこう言うだろう。
「狂四郎よ、何を驚くのだ。地方都市に人がいて、当たり前のように街の中で経済が回っている事が、おかしいのか」、と。
都市に人がいて、血管の中を血液が巡るが如く都市の中を金銭が巡り、都市の中で様々な積荷を乗せたトラックや自動車が行き交う。
日本国の都市ならば珍しくも何ともないその光景。それこそが、狂四郎にとっては、歴史の教科書の中でしか見た事のない、彼にしてみれば伝説の光景であった。
蛍めいて明かりを煌々と照らさせるビル、幸せそうに家族が過ごす一軒家、道路を行き交う車、街道を歩く人々。それらは全て、御伽噺やメルヘンの世界の話とすら、思っていた程だ。
2030年、日本からは経済と言う概念は滅んでいた。
経済が冷え込んでいるだとか、不況だとか言う次元の問題ではない。経済そのものが機能していない状態なのだ。
人工飽和による食糧危機、食糧危機を発端とする森林の農地化による、世界的な緑地不足。これらが引き金となって勃発した第三次世界大戦により、人類は、
最早風前の灯とも言うべき状態となっていた。第三次世界大戦とは、ミサイル万能論を体現した戦争、より言ってしまえば、核戦争だった。
迎撃ミサイルの性能を凌駕する核ミサイルは、世界中の都市から人類を殺戮するに相応しい、数千年にも渡り磨き上げて来た人間の武器の歴史、その最奥と言っても良かった。
世界人口の八割は先の核戦争で失い、戦争の影響でアメリカと中国は事実上消滅。世界最高峰の経済大国と農作物輸出国の消滅で、世界中で経済と言う概念そのものが破綻。
日本国も例外ではなかった。人口増加を恐れた日本は、事実上の断種法と言っても過言ではない男女隔離政策の施行により、国民全員が男女と言う性に分けられ、
それぞれがオアシス農場と呼ばれる国営の大農場、つまりロシア史で言う所のソフホーズへと送られた。
経済の担い手は金ではなく人である。都市から人が連れ去られ、人の全てを国営の農場に連れて行かれれば、経済が機能する筈がない。
日本から人の活気が失われて既に久しい。そんな2030年の日本からやって来た狂四郎にとって、1980年の冬木の街の日常は、神話か伝説の中での光景のようだった。
一般国民の99%が粛清された国家。残る1%の特権階級が、国の富と食物、エネルギーを独占する国家。それこそが、狂四郎のいた2030年の日本だった。
それに比べれば、冬木の街は、天国のようなもの。気付いた時には苦界に生れ落ちていた狂四郎にとって此処は、天国としか言いようのない場所であった。
「――お前の望むものは、安寧か」
場所は冬木の街の郊外だった。
家の数も疎らで、周囲百m程の土地の比率はどちらかと言えば田畑寄り。目線の先には林が広がり、如何にも地方都市の拓けた所から外れた場所の風景だった。
時刻は夜。夜勤を担当する狂四郎は、都市部の他に、自転車でこんな所もパトロールせねばならないのだ。
「ただの平和じゃねぇ」
怖いものを腹に収めたその声で、狂四郎は、目の前の『影』にそう返した。
影、と表現したのは、まさにそうとしか言いようのないシルエットをしている存在が、彼の前に佇んでいるからだ。
狂四郎は夜目が利く。長年、人工照明に類するものが存在しない世界で活動し、夜でも月明かりか星明りがあるのなら、相手の顔も体格も自由に見分けられる。
冬木の郊外の、照明類がないこの場所においても、相手の姿を認識出来る。だが、狂四郎が認識出来たのは、相手の姿が黒いと言う事だけだった。
黒人のように、肌が黒いとか言う意味ではない。その存在を例えるなら、黒い墨の様な焔を人の形に型抜きにした何か、であった。
辛うじて人の姿をしている、と言う事は狂四郎にも解る。だがそれだけ。夜の闇の方が趨勢の強いこの場にあって、夜闇よりもドス黒い色をした炎の人形(ひとがた)は、人の姿をしていながら、全く人間とは思えない立佇まいをしていた。
「ならば、オレは重ねて問う。お前の求める平和とは、何か。それを謳ってみせろ」
黒炎で構成された人の似姿は、若い男の声にノイズが混じったような声で問うた。
「女房と一緒に、支え合って生きて行きたい。それだけだ」
「更に、問う。お前の女は、英雄と敵対し、聖人の赫怒を買い、神との間に不忠を齎させてまで、共にいたいと思える女か」
「俺は少なくとも、志乃との生活を夢見て、国を敵に回した」
「なお、問う。お前は何故、その女の為に国家に仇を成した」
「志乃が国の奴隷であり、俺が国直々の指名手配を受けた犯罪者であり、そして――俺はユリカと一度だって、顔を合せて話をした事がないからだ」
M型遺伝子異常。それが、廻狂四郎と言う一個人に課せられた烙印だった。
ヒトゲノム計画と呼ばれる、世界各国が鎬を削り、30億以上の塩基配列の全てが解読されたのは、2003年の事だった。
医学やバイオロジーに多大な貢献を与える事が予測されたこの計画。しかし、日本のある科学者が、その30億の遺伝子塩基対に属さない、全く新しい遺伝子を発見した。
M型遺伝子と名付けられたそれは、人間が成長するにつれ起る精神衝動の情報が含まれているとされる物で、つまり、
『人間の将来が生まれた時点で遺伝子によってある程度決定づけられている』事が解ると言うのだ。それは、『生まれた時点で犯罪者になる人物が解る』と言うに等しい。
狂四郎は、そのM型遺伝子異常の中でも一番最悪と呼ばれる、国家反逆病の発症を予測された人物だった。故に、徹底的に国から差別される。
第三次世界大戦においても、世が世なら今頃少佐にまで出世しているであろう戦績を上げたにも拘らず、元居た世界では地方巡査止まりの役職だったのは、この男が国家反逆病発症予備軍であった事に由来する。
戦時の過酷な体験と、殺人を行う事による精神の摩耗。戦争が終わり、戦後の復興活動に政府が明け暮れる中、狂四郎は、日々を鬱屈として過ごしていた。
そんな狂四郎の精神を救ってくれた女性こそが、VRの世界で出会った、北海道の政府機関で下級公務員を行っている女性、志乃――現実世界での名をユリカと言う女性だった。
彼女がいなければ、きっと狂四郎は今頃深刻なPTSDを患い、病んでいた。自殺すら、していたかも知れない。
彼女に遭うが為に、狂四郎は国家を裏切り、たった一人で国家へと立ち向かった。全ては、遠く離れた北海道で、狂四郎の到来を待つ志乃、ユリカの為に。
成功の望みが低い決死行である事は解っている。解っていても、狂四郎は進むのだ。自分を必要としてくれる女房がいる。その不変の事実があるから。
「一度たりとも、同じ空間で話をした事のない女を女房と呼び、仮初の世界で契った絆を頼りに――貴様は、此処まで出来るのか」
黒い焔の男が言いたい事は解る。
狂四郎は周りを見渡した。右肩から左腰に掛けて袈裟懸けに斬られた、煌びやかな服装の女が死んでいた。
狂四郎と黒炎は、こうやって落ち着いて戦う前に、この女性と、彼女が使役していたアーチャーのサーヴァントと交戦していた。
黒炎は、腕に類する所から青黒い光芒を放ってアーチャーの急所を貫いて即死、消滅させ、その後に狂四郎は、
アーチャーを使役していた――俄かに信じ難い存在だが、いるらしい――魔術師のマスターを斬り殺したのである。今も狂四郎は、相手の女を斬り殺した業物の刀を、その腰に下げている。
人は死ぬ時、安らかな顔をすると言う。
比喩を抜きに、数百人、事によれば千にも届く人間を殺害して来た狂四郎からすればそれは、半分は正解、半分は嘘である。
もう半分は、地獄の光景を見た様な苦悶の表情を浮かべて死ぬ事が殆どで、死んだ女の場合は、これに該当する。
瞳は絶望と苦しみで大きく見開かれ、口からはどす黒い血がゴボゴボと零れている。主要な内臓を狂四郎の刀の一振りが破壊した為である。
襲って来たのは、向こうが先であった。パトロール中にアーチャーに襲撃され、絶体絶命のピンチを迎えたその折に、自身のサーヴァントであるらしいこの黒い炎は現れた。
会話をしようにも事態が事態であった為に、言葉を交わす暇もなく。今狂四郎らはアーチャー達との戦闘を終え、会話を行うだけの時間を見つけ、現在のようになっている。
黒炎のサーヴァントが問うているのは、己の覚悟なのだろう。
人を殺すと言う業を背負ってまで、狂四郎の語る女は、逢瀬を行うだけの価値がある女なのか。
もしも、それを狂四郎に対して問うているのであれば――愚問、と言う他なかった。
「出来るよ」
狂四郎は即答した。
「確かにアンタにとって志乃は、バーチャルの世界の中でしか今の所は出会えない、儚い存在にしか見えないのかも知れない。そして、そんな女を女房と思い、人殺しの道を進み続ける俺を、馬鹿で哀れな存在と思うかも知れない」
「――それでも」
「俺にとって志乃は『女』じゃない。『妻』なんだ、女房なんだ」
狂四郎は、ずっと志乃が好きだった。大好きだった。これからもずっと好きであるだろうし、死ぬまでも、死んでからも好きであろう。
荒んだ狂四郎の心を、志乃は思いやりのある言葉と、仮想空間で行う性行体験による疑似的な性的快楽で癒してくれた。
自身が現実世界に於いて、好きでもない醜い男達の性の剥げ口にされた事を、隠しもせず正直に話してくれた事は今でも忘れない。
美しく、気高く、聡明で、優しく、努力家で。狂四郎にとっての志乃とは、天女だった。そんな女性が、自分を愛してくれている。夫だと思ってくれている。
それだけで、国家を裏切るには十分過ぎる理由であった。屍山血河を築き上げるに足る正義だった。死ぬまで頑張れるには、決して不足のない全てだった。
「逆に、俺の方から問うぜ、『アヴェンジャー』」
狂気染みた感情を宿した瞳で、狂四郎は、アヴェンジャーと呼ばるる黒い焔を睨んだ。炎は、彼の瞳の中に、餓えて血走る『虎』を見た。
「お前は女房を引き裂かれて、奮い立ても出来ない腰抜けなのか?」
その一言を受け、アヴェンジャーは、即座に切り返した。
「それに関わった者達全てを、地獄に叩き落としてなお、溜飲が下がらぬ」
即答するアヴェンジャー。「腰抜けじゃなかったみたいだな」、と狂四郎は茶化した。
「貴様の望みは解った。では、これを以て最後の問いとしよう」
間をおかず、黒炎は語り始める。
「貴様の令呪に導かれた俺は、黒き怨念の体現だ。人の性に怒りを抱く、復讐の化身だ。貴様はそれでも俺を――」
「さっきからピーチクパーチク小難しい事ばかり言いやがって。俺の答えは決まってんだよ」
アヴェンジャーの言葉を遮り、狂四郎は、イラつき気味に口を開く。彼の中での答えは既に、決まっていた。
「俺のわがままに付き合え、アヴェンジャー。お前が復讐の化身だろうが、黒き怨念だろうが関係ない。俺はお前を使って、志乃と幸せを掴むんだ。手を貸せ、アヴェンジャー」
この冬木は、いや。この世界は平和だった。狂四郎の見た2030年の、並行世界の日本よりもずっと。
この世界でなら、志乃とやり直せる。志乃と慎ましいながらも平和な毎日を送る事が出来る。ついでに、あの口煩い相棒の、人の言葉を喋る犬も連れて行こう。
――その為には、聖杯戦争を勝ち抜かねばならない。この戦いで狂四郎は、人殺しの魔境に没入せねばならない。心に、狂気と言う名の瘡蓋を作らねばならない。
相棒のバベンスキーは今頃、元の世界で自分の不在を志乃と同様不審に思っているかもしれない。あれは喧しい奴ではあるが、出来た相棒だった。
その頼れる奴が、この世界にはいない。聖杯戦争、それを勝ち抜くには、相棒の力がなければ不可欠だ。
その為には、目の前にいる、迂遠な物言いを多用する男を利用せねばならなかった。俺に力を貸せ、余りにも率直な狂四郎の物言いを、目の前の黒炎は――
「……クッ、ハハ……ハハハハハハハハハ!!」
笑った。いや、嗤ったと言うべきなのだろう。爆発するような哄笑で返した。
躁病染みた呵々大笑を上げながら、アヴェンジャーは笑い続ける。人間の心の奥底に潜む、闇の何かを震えさせる、そんな笑い方であった。
その気違いの様な笑いをひとしきり上げた直後だった。男を覆っていた黒き焔が霧散し、その姿が露になったのは。
ダークグレーのジャケットと長ズボン、羊皮紙のような白色のシャツの上に、死神めいた黒い外套を纏った青年だった。
黒いポークパイハットに、あらゆる方向に乱れて伸びる白い髪をしたその青年は、如何にも整った西欧風の顔立ちをしていながら、鳩の血を思わせるその紅色の瞳には、世界の全てに怒りを向ける怨怒の念と、廻狂四郎に対する喜悦の念が、同居していた。
「そうか。お前にとっては、愛した女のいないこの世界こそが、決して抜け出せることのない監獄塔(シャトー・ディフ)と言うわけか。成程、貴様は確かに救えない」
死神めいた風貌、この世の全てに赫奕たる怒りを向ける紅蓮の瞳。
仏頂面の似合いそうなその男はしかし、百万の民に対して演説を行う独裁者が如く、饒舌な口ぶりで言葉を紡いで行く。
「気付いた時に地獄に生れ落ち、人に国家に時代に裏切られ、己の行いがエゴであると知りつつも、女一人の為に無明の地獄に赴かんとするそのザマ!! その泥臭く血腥い姿……ああ、貴様は何と――人間らしい人間なのだろうか!!」
アヴェンジャーは、己と狂四郎の姿を重ねていた。あのような無駄な問いかけをするまでもなく、この男が好ましい人物である事は解り切っていた。
それでもアヴェンジャーが問わずにいられなかった訳は、あくまで確認をしたかっただけに過ぎないのだが、事此処までのやり取りで確信した。廻狂四郎は、嘗ての己の鏡に近い男であると。
一体この男は、これまでの人生でどれだけの人間に裏切られて来たのだろうか?
一体この男は、志乃と呼ぶ妻の女性の為に幾人の人間を斬り殺し、志乃を知る以前にもどれだけの人間を血の海に沈めて来たのだろうか?
そして――生まれたその場所が既にシャトー・ディフであったこの男は、残り幾つの年月を消費すれば、本当の幸せを掴めるのだろうか?
廻狂四郎は未だに勝利を知らぬ男であると、アヴェンジャーは確信した。
アヴェンジャーは知っている。自身が敗北したと認めぬ限り、その人物には絶対に敗北を齎す事は不可能である事を。
これは逆もあり得る。『自身が勝利したと認めぬ限り、その人物には絶対勝利は訪れない』と言う事を。狂四郎はまさに、この人物だった。
この男にとっては、志乃或いはユリカと言う名前の女性を取り戻さない限り、それは真の勝利とは言えないのだろう。
つまりこの男は人生において、未だ勝利を経験した事がないのだ。それは正しく――復讐者(アヴェンジャー)、未だ勝利を得る過程を歩み最中だった自分の身の上とそっくりで。
この、何処までも愚かで、矮小で、哀れで、それ故に黒曜石の如く輝いて見えるこの男を、アヴェンジャーは人として認めた。
人生とは、墓場に行くまでに起った滑稽な出来事の事を指す。アヴェンジャーは、廻狂四郎と言う男の、墓場まで歩む一幕を、見届けてやろうと、思ったのだ。
「良いだろう、虎として生まれながら、ただの一度も勝利を経た事のない童貞よ。この毒の炎たるこの俺が、貴様の顛末を見届けてやろう」
「そして――」
「存分に足掻き、苦しみ、絶望し、俺を楽しませろ。人類の欲望の縮図たる聖杯戦争は、貴様が見た事もない程の伏魔殿を生みだそうよ。……それに怖じず、臆さず、膝を折らぬというのであれば――」
其処で言葉を切り、アヴェンジャーは真正面から狂四郎を見据えて口を開く。狂四郎は、アヴェンジャーのその瞳に、凪一つない『海』を見た。
「如何なる結末が待ち受けていようが、希望を胸に前に進め。貴様は十分過ぎる程待ったのだ、足を止めずに前に進むんだぞ」
アヴェンジャー、『岩窟王 エドモン・ダンテス』は、死を選んだ方が楽な程の苦境に立たされ、それでもなお希望を捨てぬ者を、見捨てない。
シャトー・ディフに捕囚されていた時の自分を救ってくれたファリア神父を終生の師であり友と認めている男であるのだから、それは道理だった。
そして、もう一つ。岩窟王は口には絶対しないが、廻狂四郎を称賛していた。
勇ましく死ぬのではなく、絶望に立たされてなお、愛する者の為に地獄に耐え、地獄から抜け出そうと敢闘する狂四郎を、アヴェンジャーは認めていた。
エドモン・ダンテスは知っているからだ。逆境に咲く愛が、どれ程尊く、そして、モンテクリスト島で得たどんな財宝よりも価値のある物だと。
復讐鬼としての側面で現れても、それだけは、彼は忘れる事がないのであった。
【クラス】
アヴェンジャー
【真名】
岩窟王 エドモン・ダンテス@Fate/Grand Order
【ステータス】
筋力B 耐久A+ 敏捷C 魔力B 幸運 宝具A
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
復讐者:A
復讐を志す者の性根。恩讐と怨嗟を糧に生きる者。自身の復讐の対象となる存在と対峙した際、有利な様々な補正が掛かるスキル。
アヴェンジャーの場合、自分をシャトー・ディフに陥れた人物のみが対象となる極めて限定的なスキルであるが、
世界で最も有名な復讐者としてのイメージを確立しているアヴェンジャーは、其処から更に解釈が拡大。自身に攻撃して来た者を、かの監獄塔にアヴェンジャーを幽閉した鬼畜に連なる者と定義する事が出来、補正がかけられるものとする。アヴェンジャーは攻撃を受けた際に、その威力の半分程の魔力が自動で回復する。
忘却補正:B
忘れ去られやすい者。アヴェンジャーと交戦、或いはアヴェンジャーと接触した者について自動で発動するスキル。
このスキルを受けた者は、アヴェンジャーの風貌と言った身体的特徴や、どのような戦い方をするのか、と言う事や交わしたやり取りを忘れやすくなる。
いわば記憶に作用する情報抹消。ランクBは、アヴェンジャーと接触してから6時間後には、交わしたやり取りや交戦内容、身体的特徴を完全に忘れてしまう。
但し、アヴェンジャー自身が己の情報を開示した際には、このスキルの効果は解除。それまで忘れ去っていた内容を全て相手は思い出す事が出来る。
自己回復(魔力):D
世界に対する憎悪と怒りの具現として顕現したアヴェンジャーは、これらの色が濃厚なフィールドに於いて、自動的に魔力が回復する。
【保有スキル】
鋼鉄の決意:EX
鋼に例えられる、アヴェンジャーの不撓不屈の精神。脱出不可能と呼ばれたイフの塔における地獄の生活を14年も耐え抜き、
終生の友であるファリア神父の力を借り脱出。そして、黒き情念を糧にモンテクリスト島の財宝を獲得、見事彼は自分を地獄に叩き落とした鬼畜を地獄に落とし返した。
本来ならば同ランクの精神耐性を約束するスキルだが、アヴェンジャーはその強固な精神性を己の肉体にも反映する事が出来、
筋力が関わる攻撃の威力と耐久性に補正を掛けられる他、決意が最大限に高まった時、相手の宝具やスキルによる無敵を突破し、ダメージを与える事が出来る。
黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。
モンテクリスト島の財宝を獲得したアヴェンジャーは、生まれは船乗り、働き盛りの20代を捕囚としてドブに捨てたとは思えぬ程の財を獲得した。
窮地の智慧:A
急場や危難を凌ぐ機転の良さと天稟。平時はCランク相当の心眼として機能するが、命の危機が差し迫った時の場合、スキルランク相当の心眼として機能する。
このスキルを発動し、迫る危難を打ち破った時、相手に精神的動揺に纏わる判定を掛ける事が出来る。
【宝具】
『厳窟王(モンテ・クリスト・ミトロジー)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
彼は復讐の化身である。如何なるクラスにも当てはまらず、エクストラクラス・アヴェンジャーとして現界した肉体は、その生きざまを昇華した宝具と化した。
強靭な肉体と魔力による攻撃。自らのステータスやクラスを隠蔽、偽の情報を見せることも可能。常時発動型の宝具。真名解放の効果も存在するが、原作ではその効果は使われていない。
『虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)』
ランク:A 種別:対人/対軍宝具 レンジ:1~20 最大補足:1~100人
地獄の如きシャトー・ディフで培われた鋼の精神力が宝具と化したもの。肉体はおろか、時間、空間という無形の牢獄さえをも巌窟王は脱する。
超高速思考を行い、それを無理矢理に肉体」に反映することで、主観的には「時間停止」を行使しているにも等しい超高速行動を実現するのである。
原作においては、高速移動に伴う「分身」による同時複数攻撃といった方法を戦闘時に多用していた。
【weapon】
魔力による熱線や光弾、それを纏わせての徒手空拳を行う。その際に纏う熱線や光弾は、青黒い炎のような形をしている。
【人物背景】
復讐者、として世界最高の知名度を有する人物。通称『巌窟王』もしくは『モンテ・クリスト伯爵』として知られる。
悪辣な陰謀が導いた無実の罪によって地獄の如きイフの塔(シャトー・ディフ)に投獄され、しかして鋼の精神によって絶望せず、
やがてモンテ・クリスト島の財宝を得てパリへと舞い降り──フランスに君臨する有力者の数々、すなわちかつて自分を陥れた人々を地獄へと引きずり落としたという。
真名こそエドモン・ダンテスだが、マルセイユの海の男であった『エドモン・ダンテス」』と自分は別人であると彼は認識している。
なぜなら『エドモン・ダンテス』はパリに於ける凄絶な復讐劇の果てに悪性を捨てたが……サーヴァントとして現界した自分は「復讐鬼の偶像」で在り続けている。ならば自分はエドモンではない、と彼は言う。
【サーヴァントとしての願い】
復讐者として顕現はしているが、生前の時点で復讐は全て叶っている為、叶える願いはない。人間の性を怒り、この世に憎悪と怨嗟を抱き続けると言いながら、マスターである狂四郎の行く末を見守ってやる
【マスター】
廻狂四郎@狂四郎2030
【マスターとしての願い】
志乃と共にこの世界で過ごす。
【weapon】
刀:
文字通り、日本刀の刀身を持った軍刀。平時は懐に隠すか、時間帯次第では拠点に置いている
【能力・技能】
M型遺伝子異常:
心の設計図であるM型遺伝子、その異常性。この異常性の係数が高いと、M型遺伝子に異常があるとされ、将来犯罪を犯す確率が高くなると解釈された。
狂四郎はその中でも、将来国家に対して反旗を翻す可能性が高い「国家反逆病」キャリアとして、長年国家と国民から差別を受けて来た。
しかし実際にはM型遺伝子の異常と言うのは遺伝的に優れた資質である事が殆ど。狂四郎が元居た世界の日本の官僚の何人かはこのM型遺伝子異常の最高レベルであったし、これは狂四郎自身も知らない事柄だが、国家元首ですらこのM型遺伝子異常である。
身体能力:
M型遺伝子異常の治療と言う名目で幼い頃に、関東厚生病院と呼ばれる事実上の軍事訓練施設に入れられ、過酷な軍事教育を叩きこまれた。
示現流、柳生新影流、小野派一刀流、他7つの剣術を実戦でマスターしている為、剣術の技量は凄まじく、十分な威力と角度があれば、鉄の箱をも斬り裂ける。
素手での格闘術にも長けており、貫手で人の首を貫ける他、人間では回避不可能な銃弾やレーザーガンも、距離さえ十分なら回避可能。
化学的な毒ガスについても耐性があり、大抵の神経ガス兵器は無効化出来る。これは幼少の頃から毒ガスに身体を慣れさせる訓練を積んでいたから(これが有名な『おかわりもあるぞ!!』の下り)
また多くの戦いで従軍経験がある為か、銃火器の取り扱いも非常に得意。有効射程外から拳銃で人間の頭を撃ち抜く事など造作もない。
軍事知識及び軍事技能:
銃火器の扱い以外にも、元々空軍パイロットであった為、ヘリや戦闘機の操縦に非常に長けている。
またかつては陸軍特殊部隊に所属していた事もあり、暗殺についての知識や技術も卓越している。
破壊や潜入工作も得意で、過去にレニングラードの核兵器工場や、ヨーロッパの東部戦線にあったとされる生物兵器工場を単独で破壊する程破壊工作や潜入に長けている。
殺人鬼のスイッチ:
警戒心や殺意を抱くと、冷血・狂気じみた殺人機械としての人格が表に出る。時には喜々とした表情で殺害を行う。人を殺すと達成感まで感じるとの事。
これは戦時の過酷な経験と、暗殺を主な仕事としていた時に精神を著しく病んでいた時期があった事に起因する。
一度この状態になると明らかに目つきが変わり、相手を殺すまで収まらなくなってしまう。本人は自身の二重人格じみた性質を酷く悩んでおり、自分を『人間』として繋ぎとめてくれるユリカに安らぎを見出す一方で、彼女にだけは殺人鬼としての自分の顔を知られたくないと思っている。
【人物背景】
第三次世界大戦を終え、国民の殆ど全員がオアシス農場と言う名のアウシュビッツで強制労働を行わされ、一握りの特権階級が飽食と贅沢の限りを尽くしている、
2030年の日本。先の第三次世界大戦で数多くの戦場にて従軍し、その後日本国内に残っているとされる『敗残兵狩り』を主に警官として働いていた。
しかし後の相棒であるバベンスキーとの出会いや志乃の正体を知った事、そしてパトロール中に出会った人物達のやり取りを経て国が狂った方向に進んでることに気付き、
志乃の正体である小松ユリカに会いに行く為、時代と国に逆らう修羅の道を選んだ。
性格は普段は温和で陽気。ただ、お人好しで割と他人の影響を受け易い部分もある。 が、一度戦闘になると戦時の記憶が揺り動かされ、殺人マシーンとかしてしまう。
『S』と呼ばれるデザインヒューマンとの戦闘が終わってから一週間後の時間軸から参戦。
【方針】
聖杯の獲得。但し、なるべくならばサーヴァントのみを殺して行きたい。無論、状況が状況ならマスターも殺す。
【把握媒体】
アヴェンジャー:
原作小説であるモンテ・クリスト伯か、Fate/GOの監獄塔イベントで把握が可能
廻狂四郎:
原作を91話まで読めば把握可能。本作はコミックスで把握するよりも、古本屋で売っているコンビニの分厚い増量コミックスで把握した方が金銭的に手間がかからないかと思われる。
最終更新:2016年07月13日 18:04