夕方の公園。ドッジボールに興じる男女9名の小学生に声が掛かった。

「楽しそうだね…。僕も混ぜてよ」

 突然の闖入者にある者は眉を寄せ、ある者は興味深そうに首を動かす。
彼らの視線の先には背の高い男が立っていた。年は若く、整った顔に柔和な微笑を浮かべている。指導員の中年男性はその伸びきったシャツや豊かな癖毛を見て、「浮浪者か?」と思った。
それにしては身ぎれいであり、向かい合っていても不潔さは感じない。


 勤め人とも学生ともつかない奇妙な風体の男は、ゆっくりとした口調で続けた。不審感を拭えなかった指導員は、申し出を断ろうと口を開く。
しかし彼が答えるより早く、赤いシャツの少年が応じてしまった。指導員は他の面々に視線を走らせたが、皆この男を怪しんでいないらしい。
期待や好奇の入り混じった18の視線が指導員に注がれる。彼は小さな溜息をつくと、謎めいた青年をコートに迎え入れた。


 まもなく、赤シャツのチームに男を加えてゲームが再開された。9人とは流石に体格差があったが、彼は子供達に合わせるようにゆったりと動いた。
しかしその動作は的確で、男は飛んでくるボールを悉く回避する。男にボールが回るやいなや、子供達は一人、また一人と討ち取られていく。
少年達は男を捉えようと次第に躍起になるが、踊るような足運びが崩れることはない。



 それから30分あまりで、男の加わったチームが勝ち星を挙げた。
子供達は次のゲームに移ろうとしたが、男が背を向けると動きを止め、指導員も歩き出そうとする彼に声を掛けた。
男は振り返ると気の無い謝辞を一つ置いて、来た時と同じように子供達のもとから去っていく。
しばらくのんびりとした背中を見守っていた彼らだったが、向き直ると思い思いの位置から敵チームを見据えた。


 歩道の上で立ち止まった男――ライダーは一度だけ振り返り、遠くでボールを投げ合う一団を見遣ると、公園の外を目指して再び歩き始めた。





 子供達が帰宅した後、指導員は先刻の謎めいた青年を思い起こす。
露出した鎖骨と卵のようにつるりとした肌、近場ではまず見ない整ったルックス、そして微笑。
イメージの彼は口の端を持ち上げ、眠そうに目を細めているが、瞳に全く喜色が浮かんでいない。テレビに出てくる俳優のような容姿と得体のしれない笑み。

 嫌な感じだ。指導員は背筋を寒くした。



341 :マッシモ・ヴォルペ&ライダー ◆0080sQ2ZQQ:2016/08/02(火) 18:04:42 ID:zyTul0G60
 ライダーはのんびりと歩いている時、公園の入口から見慣れた影が近づいてくるのを見て取った。

「ここにいたのか、ライダー」

「やぁ、マッシモ…どうしたの?」

「別に。探索していて、ここに行き着いただけだ」

「あぁ、……じゃあ、誰にも会わなかったんだね」

 マッシモ――ライダーのマスターは頷く。

 マッシモは今日一日、市内を散策していた――サーヴァントをつけずに。
他のマスターが聞けば二の句を継げなくなる行動方針だが、マッシモはいち早く敵主従と交戦したかった為、より食い付きが良いだろうこのスタイルをとった。
ライダーもサーヴァントのルールを勘案したが、今日は遊びに行きたい気分だった。ひとりでもやれる自信がある、という一点において、両者は良く似ていた。

「どいつもこいつも大人しいな。さっさと潰し合ってくれないと、俺が帰れないんだが」

「うん、あんまり戦えないのは、つまらないよね……」

 マッシモに聖杯に託すような願いはない。夢だの希望だの信じる性格ではないし、今は信頼できる仲間もいる。
悪くない生活を送っていた彼だが、招かれる以前に状況が少し悪くなった。組織から追手を差し向けられたこの段階でチームから離されたのは痛い。
聖杯を狙ってもいいが、第一は早急な帰還だ。


 引き当てたサーヴァントは従順とは言い難いが、マッシモから見て解りやすい性格の持ち主と言えた。
それに殺し合いに乗り気なのは何よりだ。優勝後に聖杯を差し出す事を約束して、現在まで悪く無い付き合いを続けている。
戦う姿を見たことはないが本人曰く、僕は世界一強いらしい。ライダー自身は確信があるようなので、彼もその時を期待している。

「何組参加するのかは知らないが、長くなりそうだな…」

「不安?」

「いや、面倒くさいだけだ。そっちは機嫌良さそうじゃないか」

「そうかな?……そうかもね」

 確かに北崎は機嫌が良かった。サーヴァント化したことで灰化の力が大きく制限されているからだ。
今日はドッジボールで遊ぶことができたし、今ならダーツだって楽しめるだろう。全てのサーヴァントを倒して、冬木市を灰に変えるまでの暇は十分潰せる。

 徐々に明かりが灯っていく街を眺めながら、ライダーはさらに機嫌を良くした。

342 :マッシモ・ヴォルペ&ライダー ◆0080sQ2ZQQ:2016/08/02(火) 18:05:04 ID:zyTul0G60
【クラス】ライダー

【真名】北崎

【出典作品】仮面ライダー555(TV版準拠)

【性別】男

【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷D 魔力C 幸運C 宝具B

魔人態 筋力A 耐久A+ 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具B

龍人態 筋力B 耐久C 敏捷EX 魔力B 幸運C 宝具B

デルタ 筋力A 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具B


【属性】
混沌・悪


【クラススキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。


騎乗:B
 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。


【保有スキル】
精神異常:C
 精神を病んでいる。通常のバーサーカーに付加された狂化ではない。
 高すぎる能力ゆえに、誰かと心を通わせることが無い。
 精神的なスーパーアーマー能力。


怪力:C
 一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。
 使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。


灰を握るもの:A(-)
 触れるもの全てを灰に変える力。
 対魔力スキル含む魔術防御の影響を受けるが、スキルランクを下回っている場合は貫通。ランク以上の場合のみ無効化される。
 オルフェノクやライダーズギア変身者の場合、ランク問わず効力を減衰させることができる。

 ただし、ライダーはこのスキルを完全制御できていない。
 30ターン経過する度に幸運判定を一回行い、失敗すると手で触れていた物体が灰に変わる。
 灰化はライダー自身および着衣物、デルタギアには作用しない。

 デルタ変身中はカッコ内のランクに修正。
 一時的にその効力が喪われる。

343 :マッシモ・ヴォルペ&ライダー ◆0080sQ2ZQQ:2016/08/02(火) 18:05:24 ID:zyTul0G60
【宝具】
『天使は紅を引連れて(デルタギア)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
 新人類たちがいずれ姿を現す「王」の護衛用に開発した三本のベルト。ライダーズギアのうちの一つ。
 デルタドライバーとデルタフォンを操作することで、専用の強化装甲服をライダーは身に纏う。

 スーツ胸部に装備された装置「デモンズスレート」により、装着中はBランク相当の勇猛スキルを一時的に獲得。
 前述の装置と高出力によって恐るべきパワーを誇るが武装に乏しく、そのスペックを活かしきるなら装着者にもある程度の戦闘能力が必要。

 なお、この宝具はライダー以外のサーヴァント、マスターでも扱う事が出来る。
 ただしオルフェノクとの縁を示す宝具やスキルの持ち主でない場合、不適合者とみなされて使用後にEランクの精神汚染スキルが自動付与される。
 スキルランクはベルトを使用し続けることで最大Aランクまで上昇。ここまでいくと人格が本来のそれから大きく変わり、デルタギアの力を求めて誰彼かまわず襲い掛かる様になる。

 必殺技はデルタムーバ―から射出したポイントマーカーで敵の動きを封じて放つ跳び蹴り「ルシファーズハンマー」。
 スーツを循環している流体エネルギー「フォトンブラッド」を撃ちこむ事で標的の命を奪う。


『災厄の竜は暴君の如く(ドラゴンオルフェノク)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
 人類の進化種オルフェノクとしての姿。
 ドラゴンをモチーフとしており、パワー型の魔人態とスピード型の龍人態を使い分けて戦う事が出来る。

 魔人態は両腕の籠手と頑強な肉体による肉弾戦を得意とする。
 光弾を射出可能なほか、ライダーズギア装着者2体のマーカーをまとめて吹き飛ばす程のパワーを持つ。

 装甲を脱ぎ捨てる事で龍人態に移行。
 魔人態の1000倍の速度で行動することができる。
 高速化しているライダーは凄まじい殲滅力を発揮するが、龍人態への移行・維持に消費される魔力量も桁が外れている。


『強襲鉄騎(ジェットスライガー)』
ランク:D 種別:対城宝具 レンジ:1~70 最大捕捉:50人
 「3821」のコードで呼び出す最高時速1300kmの超高速アタッキングビークル。
 360℃回転可能なホイールを持ち、ブースターやエンジンによって水平移動、旋回を行う。短時間なら飛行すら可能。

 小型乗用車並みの巨大さと機動力を活かした突進のほか、搭載した追尾式ミサイルポッドや光弾によって対象を粉砕する。



【weapon】
宝具、スキルに依存。

【人物背景】
オルフェノクの精鋭集団「ラッキークローバー」の一人。
一見あどけない少年のようだが、本性はプライドが高く残忍。

気まぐれで行動に一貫性が無く、気分次第でオルフェノク相手でも凶暴さを発揮して襲い掛かる。
楽しい事や面白い事を常に求めているが、ひどく飽きっぽい。


【聖杯にかける願い】
受肉する。

344 :マッシモ・ヴォルペ&ライダー ◆0080sQ2ZQQ:2016/08/02(火) 18:05:42 ID:zyTul0G60
【マスター名】マッシモ・ヴォルペ

【出典】恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-

【性別】男

【Weapon】
なし。

【能力・技能】
「マニック・デプレッション」
小さなミイラを思わせるスタンド。全身からトゲを出し、トゲを刺した対象の生命力を過剰促進させる。
肉体を活性化させる事で死徒に匹敵する身体能力を発揮させたり、負傷や痛覚を和らげることが可能。

また別の物体に能力を付加する事もでき、マッシモはスタンドで塩や海水を麻薬に変化させて組織に貢献した。
これは既存の違法薬物と同等以上の効果を発揮する。
麻薬は半月ほどで塩に戻ってしまうが、これが横流しや溜め込みを防ぐ事にうってつけだった。


【人物背景】
小説における麻薬チームの一員であり、製造を担うチームの中核。
ヴォルペ家は貴族の家系だが、彼が生まれる頃には既に没落していた。
兄が家を出て間もなく、当家は借金のかたに「パッショーネ」に売り払われ、彼自身もギャングに加わった。


コカキが死亡する前から参戦。


【聖杯にかける願い】
なし。メンバーの元に帰還する。


【把握媒体】
ライダー(北崎):
 テレビシリーズ。登場は28話~49話。


マッシモ・ヴォルペ:
 小説。読破を推奨しますが、序盤「塔を建てよう」まででも一応の把握は可能。

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最終更新:2016年08月05日 22:22