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 重い溜息が宙に溶けて消える。最近の琢磨は自宅にいる間、だいたいこんな調子だった。

 タイムスリップさせられた事を自覚した当初は、苛立ちや驚愕、狼狽もあったが、今では慣れた。
力なくテーブルの前に座りながら、リビング内を眺める。聖杯が与えたのは、まだスマートブレインが存在したころ住んでいた部屋を思わせる、なかなか良い家だった。貯蓄もたっぷりある。
ラッキークローバー時代を反映したのか、現在―冬木に招かれる以前―よりも、生活レベルを高く設定されたらしい。

(しかし…)

 代償もある。左手に宿った刺青がそう。

 聖杯戦争。蘇った過去の英雄と手を組み、聖杯を巡り殺し合う儀式。
これに勝利しない限り、琢磨は生きて帰る事が出来ない。サーヴァントと協力できれば脱出への道もひらけようが、あいにく宛がわれたのはバーサーカーだった。
サーヴァント替えも考えているが、当てはまだない。

 黄金色のガラス瓶を掴み、中身をグラスに注ぐ。一息に飲み干して、また溜息をついた。

 怖い。戦うのが怖い。まだ自分を超人と信じ切っていた頃なら聖杯を狙いもしただろうが、今は違う。
他のラッキークローバーの面々に比べれば、在り方が比較的人間の側に立っていた彼は、残りの生涯を人間として過ごす事に決めたのだ。その矢先、この戦いに巻き込まれてしまった。

 かくなるうえは勝ち残るしかないのだが、あのバーサーカーを制御できるとは思えない。
かつて自分をさんざん苛めてきたオルフェノクを3倍したような恐ろしいサーヴァント。
今現在、バーサーカーは自宅地下で眠りについているが、それでも肌着が汗で湿っていくのを止めることが出来ない。
戦力として不満はないが、ひとたび暴れ出せば、自分の生死など全く勘案しないのだろう。

 ラム酒の注ぎ口をグラスに持っていく。涼しげな音が小刻みに響く。瓶を持った腕が震えているのだ。
頼りない自分の手を見つめながら思い出すのは、オルフェノクとして生きた日々のトラウマ。

――迫りくるデルタの無機質なオレンジの瞳。

――王にちぎられ、かじられていく北崎さん。

――王の力を受け、狂ったように笑う冴子さん。
 琢磨の両眼からはらはらと涙がこぼれていく。琢磨は怪人だが、凡人だった。
以前の戦いでは幾度となく醜態をさらしながらも、最後まで生き残ることができた。だが……今回は駄目かもしれない。

 項垂れたままの琢磨は震える手でグラスを取ると、ゆっくり口まで運んだ。
味は全くしなかった。


 琢磨が記憶を取り戻した日。割り当てられた自宅の寝室、その片隅にトンネルが静かに口を開けた。
長い迷路を抜けると、目の前には石造りの神殿が地下深く、その威容を現す。一切の生き物の気配がしない内部を延々と歩き続け、長い階段を昇りきってやっと、その神殿で最も立派な部屋に入る事が許される。
琢磨から見て不思議なのは、自宅地下にこれほど広大な空間を受け容れるスペースがあったことだ。ひょっとしたら空間が歪んでいるのかもしれない。
推察にはどのみち意味が無い。オルフェノクを超えるサーヴァントの事情など彼には計りようがないし、それに唯一答えられる者は、知性と言葉を聖杯に奪われていた。

 神殿の主のために用意された部屋の奥、巨大な玉座にそれは座っている。
見上げるほどの体躯を銅色の鎧に包み、両手には煌く軍刀を固く握りしめている。
天を突きあげる双角を擁した厳つい頭部。三つの瞳はそっと閉じられている。
僅かな音も立てることはなく、何万年もそうしていた様に玉座でじっとしている。

 もし、それに触れてみる命知らずがいたならわかるはず。
極めて微細だがゆっくりと脈動していることを。指一本動かすことはないが、力強い熱を持つことを。
それは死んでなどいない。それは年月の経過によって死ぬことはなく、ただ目覚めの時を待っているだけに過ぎないのだ。




 戦火がそこまで迫る事があれば、それ――地獄の帝王は再び目覚め、地上に破壊と殺戮を撒き散らすのだろう。
【クラス】バーサーカー

【真名】エスターク

【出典作品】DRAGON QUESTシリーズ

【性別】不明

【ステータス】筋力A+ 耐久A+ 敏捷B 魔力A+ 幸運E 宝具A++

【属性】
混沌・狂


【クラススキル】
狂化:C
 筋力と幸運を除いたパラメーターをランクアップさせるが、言語能力と複雑な思考力を失う。


【保有スキル】
陣地作成:EX
 本来は魔術師として、自らの有利な陣地を作り上げるスキル。
 バーサーカーは召喚されると同時に、神殿を超える「エスターク神殿」を形成する。


帝王の息吹:A+
 極低温の冷気や灼熱火炎を吐きつけて、敵陣を攻撃する。
 その威力は同ランクの魔力放出(炎)、魔力放出(冷)に匹敵する。


怪光防御:A
 眠っている間、怪しい光を発して外敵全員に一定範囲内のダメージを与える。
 同ランクの心眼(偽)の効果を内包する特殊スキル。

 怪しい光は魔術や物理によるものではないため、耐久値か対粛清ACなどでしか防御できない。
 バーサーカーが起床した時点で光による攻撃は封印される。


魔術:-
 強力な攻撃魔術が使用できる。
 狂化スキルによって喪失している。


二回行動:-
 敵の敏捷値の平均に応じて、自身の敏捷値を変化させるスキル。
 狂化スキルによって喪失している。


【宝具】
『我は死者にあらず(ストレンジ・アイオーン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人(自身)
 不完全な秘法を行使した代償に、長い眠りにつく事になった逸話から。
 バーサーカーは最初、下記宝具内に眠っている状態で現界する。

 この状態では一切の自発的行動を取ることはないが、眠っている間は現界に必要な魔力量が覚醒時の1/4にまで減少。
 近づいてきた外敵に対しては、怪しい光によってのみ対応する。
 一定値以上のショックを与えられると覚醒。目を覚ました時点で、この宝具は再度眠りにつくまでの間、機能を停止する。


『永遠を越える地獄の揺り籠(エスターク神殿)』
ランク:A++ 種別:対人、結界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1人(自身)
 あまりにも長い年月を過ごした居城が宝具となったもの。
 バーサーカーが召喚された時点で会場地下の一画に出現。特別な事情が無ければ、マスターの拠点の真下が座標となる。

 クラス補正により陣地に魔物を配する事は出来ないが、神殿内は迷路のように入り組んでおり、侵入者がバーサーカーのもとに辿り着く事を阻む。
 その最奥の玉座でバーサーカーは眠りについている。バーサーカーは内部にいる間、魔力消費の減少や再生能力の大幅な向上などの恩恵を受ける事が出来る。


【weapon】
両手の曲刀。


【人物背景】
古代、究極の生物になるべく「進化の秘法」を編み出した魔族の王。
その力を危惧したマスタードラゴンと天空人の手によって、地下深くに封印されたが長い月日の後、アッテムト鉱山にて復活を遂げた。



【聖杯にかける願い】

【マスター名】琢磨逸郎

【出典】仮面ライダー555(TV版準拠)

【性別】男

【Weapon】
なし。

【能力・技能】
「オルフェノク」
人間が一旦死亡する事で生まれる次世代の霊長。
自然死によって発生するほか(オリジナル)、オルフェノクの使徒再生によって誕生することもある。

琢磨はムカデの特性を持つオルフェノク。棘付きの長い鞭と俊敏な身のこなしを武器にする。


【人物背景】
上の上たるオルフェノクであった男。
確かな実力の持ち主だが、超越種としてのプライドと人間の弱さを併せ持つ表情豊かな人物。

三本のベルトを巡る戦いを経て自身の弱さを自覚した彼は、残された時間を人間として過ごす事に決めた。


最終話登場後から参戦。


【備考】
琢磨宅の地下にエスターク神殿が出現しました。マスター、サーヴァント替えを行ったとしても、位置は変わりません。

【聖杯にかける願い】
生還する。

【把握媒体】
バーサーカー(エスターク):
 原作ゲームもしくはプレイ動画。


琢磨逸郎:
 TVシリーズ。第11話から登場。

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最終更新:2016年08月05日 22:36