夢を見ていた─────遥かな夢を。

戦乱の絶えぬ島。

夢の中で男は長きに渡り島の歴史の影で暗躍し続けた。

正邪善悪を問わず島の統一を果たせる英雄が現れれば排除し。

島そのものを脅かす災厄には時の英雄達と共に戦った。

多くの血を流し、歴史の天秤を中立に保ち続けた。

嘗て栄華を極めた王国が、その繁栄の果てに国民諸共滅び、歴史から消え去ったその時から。

そして男が目を覚ますと、手にに額冠を持っていた。

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【先ず貴方の肉体を支配しようとした行為は謝罪しよう】

頭の中に響く言葉。手にした額冠からと気付き、念話で応じる

【どうして支配を解いた】

【貴方とは志を同じく出来る。同志になれると思ったからだ】

【僕の過去を見たのか】

【それが私の宝具の性質だ。それ故に支配を解いた。貴方の身体で戦い続けるより、勝利出来る可能性は大きいからだ】

【サーヴァントであることを隠蔽できる利点を捨てることになるが】

【其処を差し引いても貴方と共に戦う方が有利だと思えた】

【僕が望むものは恒久の平和だ。世界の統一が果たされるかもしれないが?】

【統一を妨げるのは安定の為だ。永劫に安定し続けるなら其れは恒久の平和と言えるだろう。私が謀略を行い、戦乱を絶やさなかったのは、安定の為の手段に過ぎん。永遠に天秤が平行で在り続けるなら、平和であるに越したことはない】

男は東西冷戦を連想した。もしこのサーヴァントと己の願いが同時に叶えば、それは地域紛争の無い冷戦構造が永遠に続くものとなるのではないか?


男は黙って俯いていたが、やがて顔を上げ─────

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「街の様子ははどうだ?ライダー」

「概ね此方の予測通り、既に幾つかの組が戦端を開いています。戦うところも確と見ることが出来た者も居ます」

「拠点はどうなっている?」

「幾つか見繕って改修しておきました。すぐに使えるのは三つです」

「それだけ有れば、拠点を複数回放棄しても、余裕が有るな」


ある一軒家の中、会話をする二人の男。
1人は、死んだ魚の様な目をした二十代の男。
1人は、仮面で顔を隠した鎧姿の剣士。

「令呪の解析は?」

「元より付与魔術(エンチャント)は私の得意とするところ、既に終わらせています。これで他マスターの令呪を奪うも使うも思いのまま」

男は無言で頷いた。やはりこのサーヴァントは『当たり』だ。いきなりこんな聖杯戦争に巻き込まれた時はどうしようかと思ったが、ここまで『合う』サーヴァントを引けるとは思わなかった。
本来のサーヴァントとして召喚しようとしていたセイバーだったらこうも上手く事を運べまい。
この聖杯戦争はおそらく妻を巻き込まずに済む、ここで勝って願いを叶えれば娘も救える。
男にとって、まさしく降って湧いた僥倖。此処で勝たずしてどこで勝てば良いのか。
それが無くとも全力で勝ちに行くことに変わりは無い。今まで積み上げた屍が、彼に逃避や怠惰を許さない。



“今”のライダーは正面戦闘には向かないが、元よりそんなことをするつもりは無い。
主従共に華々しく正面切って戦うなど、彼等の在り方として無く、思考の内にも在りはしない。
それに正々堂々と戦いたいなら、それに向いた身体を得れば良い。
ライダーはしみじみと思った。このマスターが『あの時』に居れば、あの自由騎士に敗れることは無かったろうに。
そう思える程に、このマスターは『当たり』だった。



「それではマスター、今後の方針を」

「ライダーが優れたマスターの身体を奪い、そのサーヴァントを使役して戦い、僕がマスターであることと、ライダーの正体をを隠匿したい。そして気を取られている他マスターを僕が暗殺する」

「狙い目はセイバーかランサーのマスターということで宜しいか?」

実に理想的な答えだと心中頷きつつ問う。

「正面戦闘に強いサーヴァントを従えていないと囮にならないからね」

「了解した。それでは適当な主従を見繕ってこよう」

「ああ、同盟相手を欲しがって居る奴が居るはずだ。巻き込まれた者は特にな」

主従のやる事は、過去に行ってきた事と全く変わらない。
主は闇に潜んでの暗殺。
従うサーヴァントは、英雄を操って破滅へと導く。
全てはより大きな悲劇を回避する為の小さな犠牲。
遠い過去に自らを呪縛した二人は、その在り方を変える事も出来ないまま奇跡を求める。


【クラス】
ライダー

【真名】
アルナカーラ@ロードス島戦記
無銘の英雄(ネームレス・ヒーロー)@ロードス島伝説

【ステータス】
筋力:D 耐久:D 敏捷:D 幸運:D 魔力:E(A++) 宝具:EX
()内のものはライダーの魔術発動時のもの

【属性】
中立・中庸

【クラススキル】
対魔力:A
A以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではライダーに傷をつけられない。
世界最高クラスの魔術師でもライダーを魔術で破壊することは出来なかった。
このスキルはライダーの本体の額冠のみに発揮される。

騎乗:-
基本的に騎乗スキルをライダーは有しない。宿主により変動する。

【保有スキル】

灰色の魔女
光でも闇でもなく、どちらにも属さず天秤の平衡を保ち続けたライダーの在り方。
その在り方はもはや如何なることがあっても変わることは無い。
極めて高い信仰の加護と計略と破壊工作と魔術スキルを併せ持つ複合スキル。

相手が国家の統一や征服といった功業や、国家レベルの秩序の破壊を為した英霊、強力な魔物であった場合、肉体があれば宝具を除く全てのステータスが1ランク上がる。
ランクを問わずカリスマを無効化する

付与魔術(エンチャント):A+++
物体や人体に魔力を帯びさせる魔術体系。ライダーの宝具はこの技術を用いて作られた。

蔵知の司書:A+
複数の宿主の記憶や、太守の秘宝の一つ“知識の額冠”に蓄えられた知識を引き出す。
LUC判定に成功すると、過去に知覚した知識、情報を、
たとえ認識していなかった場合でも明確に記憶に再現できる。

陣地作成:B
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
“工房”の形成が可能。

道具作成:B
魔力を帯びた器具を作成できる。

単独行動:A+
マスター不在でも活動できる。ライダーは自らの信念に殉じ、自らの時を止め、永劫を生きることを誓った。



【宝具】

均衡保つ灰色の魔女(カーラ))
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人

灰色の魔女カーラの意志と知識とと魔力が封じられた額冠(サークレット。
ロードスの歴史の裏で暗躍し続けた灰色の魔女の象徴にして本体。
身に付けた人間の精神を支配し、その知識と記憶を得ることが出来る、そして身に付けた人間はアルナカーラから始まる歴代のカーラの記憶を知識として獲得する。
カーラはこの機能を用い、身体を変え続け、歴史を影から動かして来た。
本来は人にしか通じなかったが、サーヴァント化したことでサーヴァントすら支配出来る様になった。
ライダーの肉体を殺す、若しくは額冠を身に付けると呪いが発動し、肉体を支配される。
支配を防ぐ為にはAランク以上の対魔力か精神耐性スキル、もしくは強固な精神力が必要。しかし、ロードスの歴史に残る英雄や勇者ですら支配を逃れる事は出来なかった為、精神力で跳ね除けるのは困難を極める。
条件を満たしていてもライダーの思想に共感すれば支配を受けてしまう。
サーヴァントを支配する際には、霊格と精神力と対魔力により消費される魔力量は増減するが、最低クラスのサーヴァントでも消費量は尋常では無く、数時間は実体化出来ない程。

ライダーは支配した肉体を問わずライダー本来の魔術をそのまま使用可能、支配されたサーヴァントは額冠から魔力を供給される為に、マスターの質を問わず最大の能力を発揮出来る。
また、支配されたサーヴァントはライダーを楔として現世にとどまる為、実質的に最高ランクの単独行動スキルを獲得できる。
ライダーの支配から脱した時、元のマスターが死亡していれば、楔を失い消滅する事になるが、生存していれば元のマスターを楔として現世にとどまることが出来る。
支配した者の技術を、当人の肉体によるものならば使用可能。
宝具は基本的に常時発現している能力しか使用出来ず、真名開放は不可能。

他マスターがステータスを認識した時、属性やスキルや真名はライダーの真名を知らぬ限り、肉体のものに準拠し、ライダーの属性やスキルや真名は認識されない。

肉体を持たぬ時やNPCを依り代としている時はサーヴァントとして感知されなくなる。
この宝具は魔力炉としての機能を有し、消費した魔力は自動的に回復する。

魂を封入しているわけではない為、本来この姿で招かれることは無いが、カーラの妄執と灰色の魔女としての在り方により、この姿で召喚される。


無銘の英雄(ネームレス・ヒーロー)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:自分自身 最大補足:1人

歴代の“カーラ”のなかでも最も人口に膾炙した身体。魔神戦争時の身体、六英雄と讃えられた仮面の魔法剣士の肉体を作り出す。
本来この身体はライダーのものでは無いが、灰色の魔女を知るロードスの英雄達に“カーラ”として認識されている為に、宝具として使用することができる。
宿主を持たぬ時に膨大な魔力を消費することで肉体を作りだし、サーヴァントとして活動する事を可能とする。
発動時は筋力:D 耐久:D 敏捷:D 幸運:D 魔力:E(A++) 宝具:EXのサーヴァントとなり、Dランクの騎乗スキルと対魔力を持つ。


【weapon】
ロングソード

【人物背景】
フォーセリアに存在した古代魔法王国の貴族。魔法王国が事故により魔法を失い、周辺の魔法を使えぬ者達“蛮族”に滅ぼされた「大破壊」時に、
「光でも闇でも、どちらかに天秤が傾けば、その揺り戻しで大破壊が起きる」と信じ、ロードスの統一を阻み、天秤が常に中立である様に動き続ける。
光と闇の双方の勢力に加担し、ロードス統一を果たせる人物を葬り去って来た。
ロードス全ての脅威となる魔神王との戦いでは、魔神王に唯一対抗できる英雄ナシェルの麾下に参じ、魔神達と戦い六英雄として名を残すもの、最終局面でナシェルを排除。
魔神達との戦いの後に起こった英雄戦争でも、六英雄であるファーンとベルドの勢力を均衡させ、両者を共に葬った。
しかし、この時に対立した新しい世代の英雄であるパーンに張り巡らせた謀略を悉く破られ、光の側に傾きすぎた天秤を均衡させるべく、破壊神を復活させようとするも、パーン達に敗れた。
そしてかつての宿主であったレイリアが再度額冠を身に付け、カーラの意思を自身の精神力で封じた。
それでもカーラは消えた訳では無く、レイリアはその生涯を終える際に、その身に神を降ろし、カーラの魂が宿った額冠を破壊したという。

【方針】
なるべく陣地に引き込んで戦う。クラスはおろかサーヴァントであることさえを完全に偽れるのが強み。
優秀な肉体があれば積極的に宿主とする。


【聖杯にかける願い】
世界に永遠の安定を

【備考】
現在は宝具、無銘の英雄(ネームレス・ヒーロー)を用いて肉体としています

【マスター】
衛宮切嗣@Fate/zero

【能力・技能】
固有時制御 :
固有時間を加速させたり減速させたりして、戦闘速度の向上や生体反応の消失を可能とする。
世界からの修正力を受けるため、2倍速以上は反動で身体に深刻なダメージを受ける。
固有結界の体内展開を応用することで二小節の詠唱で発動可能。

魔術師の思考や常識を熟知しながら囚われず、魔術師の裏を突いて殺害することを得意とする。
相手が真っ当な魔術師であるという先入観の所為で、ウェイバー相手に魔術師が相手という固定観念に囚われて、本拠地を突き止められなかったが、この聖杯戦争では戦術の発想においては固定観念も何も無い為あまり問題にはならないだろう。たぶん。

銃器全般や格闘術、爆薬の扱いに長けるが、銃器も爆薬も無いので使い用は無い。

魔術的な護りを突破することに長ける。

魔術刻印は背中に有る。

手先は器用だが、機械の修理は苦手で、やればやる程壊れて行く。

【weapon】
銃器の類を持込なかった為に持っていない。

【ロール】
ある資産家令嬢と結婚した男。子持ち。

【人物背景】
アインツベルンに第四次聖杯戦争にマスターとして参戦する為雇われたフリーランスの魔術師。
冬木の聖杯が妻の命を代償とする為に苦悩していたが、この仮想世界の聖杯戦争はその心配が無いと思われるので大分気が楽になっている。
ここで願いを叶えれば後は娘を連れて逃げるだけなので、何が何でも勝ちに行くつもり。
今の切嗣は父として夫として個人としての全てで勝ちを取りに行ける迷いの無い状態である。

【令呪の形・位置】
右手の甲に天秤の形をしたのがある。

【聖杯にかける願い】
世界に恒久の平和を齎し、元の世界に帰還する。

【方針】
目立たない事。自分の素性を知られない様にすること。素性を知った奴は確実に「消す」
ライダーには適当なマスターを宿主にして自分がマスターとバレない様に戦って欲しい。その影で自分は敵マスターを暗殺するというのが理想的。

【参戦時期】
セイバー召喚前。アインツベルンにいた頃。

【運用】
主従共に性格と戦闘スタイルが待ちに向いている為に、陣地を強化しつつ大人しくしているのが勝利への近道か。
基本的に逃げと暗殺。
戦闘能力が高く、有力なサーヴァントを持つマスターが居れば、ライダーの宿主としたい。
ライダーの戦闘能力は宿主に準拠する為あまりNPCを宿主にはしたくない。


【把握資料】
ライダー(アルナカーラ):原作小説のロードス島戦記1巻と七巻。ロードス島伝説4巻

衛宮切嗣:Fate/Zero全4巻。アニメも版も有ります

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最終更新:2016年09月10日 19:13