四散する人体。飛び散る臓物。アスファルトの路面を赤く染める血。
不運な男女を見下ろして薄ら笑いを浮かべる剣士と、その横に立つ女。
女はは昭和五十五年の冬木に招かれたマスターであり、剣士はそのサーヴァントだった。
路地裏とはいえ真昼に魂喰いを行わせるのは愚行としか言いようがないが、周囲に人の気配が無い辺り、この二人は運に恵まれていると言えた。
だがそれも此処まで、二人に絶対の死が訪れる。

最初に気付いたのは、サーヴァントである剣士だった。薄ら笑いが瞬時に消え、血濡れた剣を構えて後ろを振り向く。
自身のサーヴァントの様子にマスターの女も振り向いた先にいた者は、何の変哲もない娘だった。
だが、平然と二人を見つめる様は、明らかに異常だった。惨殺死体と抜き身の剣を持った男を確かに視界に収めているのにも関わらず。

─────敵。

二人がそう認識した時、既に戦端は開かれていた。

「あなた達に夜が来る」

そう、娘が呟いた瞬間。周囲が闇に覆われ、空に妖々と輝く赤い月。
瞬時に異界と化した路地裏に、キィ…と、蝶番の軋む音が響く。
娘の後ろに何時の間にか忽然と現れた棺の蓋が開き、中のものが外に出ようとしているのだ。
女は見た。棺の蓋を飾る、天空を舞う黄金の龍を。

「セイバー!!さっさと殺して!!出しちゃダメ!!!!」

龍の紋章と棺、そしてこの夜。出てこようとしている者の正体を悟った女が、半狂乱で絶叫する。
声に応じてセイバーが駿速で棺に馳せより長剣を振り下ろしたのと、棺から繰り出された拳がセイバーの胸を打つのとは同時。
大きく放物線を描いたセイバーが、電柱に激突し、そのまま折れた電柱の下敷きになるのと、柩の中から、王侯貴族を思わせる絢爛豪華な服を着た偉丈夫が出てきたのも、また同時。
セイバーの剣に依るものだろう、頭から血を流す偉丈夫は、流れる血を拭おうともせずに、血の色をした瞳で女を見た、無限の飢えと狂気に満ちた瞳は女の正気を奪うには充分だった。

「イイイイイイィィィィィィイイイイイ!!!!」

奇声を発して逃げ出す女を、何時の間にか距離を詰めた偉丈夫が拳を脳天目掛けて振り下ろし叩き潰す。
女は頭蓋が砕け、胴と足が縦に潰れ、骨格レベルで原型を留めぬ肉塊となった。

「貴様ぁぁぁああ!!」

漸く起き上がったセイバーが、己のマスターの最後を見て逆上し、バーサーカーのマスターに襲いかかる。己のマスターと同じ目に合わせようという腹積もりらしかった。

「オオオオオオオオオオ!!!」

セイバーが娘に襲いかかるのを見たバーサーカーが、天地を震わす程の咆哮を放つと同時、地面と周囲の壁から無数の杭が伸び、セイバーを貫き、宙に縫い止めた。

「があああああ!!」

獣じみた絶叫を上げて苦悶するセイバーを放置したまま、偉丈夫は棺に戻る。
柩の蓋が閉まると同時に、奇怪な夜は始まった時と同じく唐突に終わった。


徐々に力付き、命尽きて消えていくセイバーを見ようともせず、娘は蹲り、荒い息をつきながら恐怖に震えた。
戦いを真近に見た─────どころか殺しすら体験した身だが、このバーサーカーの戦い方は酷すぎる。
そして異常な消耗。昼間にバーサーカーを戦わせるのは自殺行為に他ならないと、娘は強く認識した。

娘には聖杯に掛ける願いがある。自分が愛した男と結ばれる為に障害を除くのだ。
愛する男の兄の死を願うことを浅ましいとは思うが、最早自分でもこの想いは止められない。
だが、それでもバーサーカーの凄惨な戦いを見ていると心が鈍る。
だが、それでも娘は止まれない。己の想いを叶える為に。


黄金の竜の紋章が飾られた棺の中、バーサーカーは夢を見る。
トルコ軍に包囲された城塞から身投げした妻を。
恐るべき妖姫に弄ばれ、美しき魔人に攫われた妻と瓜二つの女を。
黄金の竜の紋章が飾られた棺の中、バーサーカーは夢を見る。
トルコ軍に包囲された城塞から身投げした妻を。
恐るべき妖姫に弄ばれ、美しき魔人に攫われた妻と瓜二つの女を。
我が妻よ。
想いは言葉にならず、胸の内で響くのみ。
─────我が妻よ。
想いは言葉にならず、胸の内で響くのみ。


【クラス】
バーサーカー

【真名】
カズィクル・ベイ@魔界都市シリーズ 夜叉姫伝

【ステータス】
筋力:A+ 耐久:B++ 敏捷:A+ 幸運:E 魔力:B 宝具:EX

【属性】
混沌・狂

【クラススキル】
狂化:C
筋力と幸運とを除くステータスをアップさせるが
言語能力を失い、複雑な思考が出来なくなる。


【保有スキル】

不死:A+++
吸血鬼としての不死性。スキルとなるだけあって他の吸血鬼と比べても破格のもので、心臓を貫くか首を落とさない限り、全身が灰になっても短期間で再生する。
再生阻害効果のある攻撃を受けても時間を掛ければ再生する。
高ランクの戦闘続行と再生の二つのスキルの効果を併せ持つ。
しかし、聖性や神性に対しては非常に脆弱であり、これらの属性を持つ攻撃を受けた時には、ランクに応じてダメージが増加し、傷の治りが遅くなる。


獰猛:A
威圧・魅了・混乱といった精神干渉を無効化する能力。
しかし、幻惑には掛かりやすくなる。
また、格闘ダメージを向上させる効果もあり、時間が経つ程に攻撃性にプラス補正がかかるが、冷静な思考を欠き、罠や陽動に掛かりやすくなる。

軍略:C
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
現在は狂化の為発揮出来ない。

気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
他の事に気を取られていたとはいえ、魔人と称される二人の男の背後に気づかれずに立った。
現在は狂化の為発揮出来ない。

無窮の武練:E〜A+
宝具の効果により、相手の技量に応じた武練を発揮出来る。

魔力放出:A+
宝具により獲得したスキル。常時身体の周囲に鬼気を纏わせ、触れたものを衰弱させる。常人なら即死。サーヴァントでも抵抗力が弱いものなら時間経過により死ぬ。
濃度を高めることで防壁とすることも可能。
夜間にのみ発動するスキル。


【宝具】
人非の騎士の不敗の四肢(イヴィルナイト・ディスオーナー)
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ :1 最大補足:1人


かつて森深き東欧の森の果ての地に伝えられていたとされる古の魔道の技。人の心を捨てた騎士に不敗の四肢を与えたとされる。
習得の為の修練は筆舌に尽くし難く、業の完成の暁には、人の心を捨てた証として、九十九日荒野を旅し、出逢った者悉くを虐殺しなければならなかったという。

その効果は“対峙した敵の戦う術を奪い、使いこなす”。
剣であれば剣を、槍であれば槍を容易く奪い取り、持ち主と同じ技量を発揮して使ったという。本来はランク相応の見切りを発揮するが、狂化の為に使用できなくなっている。
徒手空拳の技にしても、その腕に手で触れれば技量を完全に習得。氣功の類も手で触れてしまえば習得した。
如何なる武器、技術でさえも己のものとする。宝具であっても掴まれればバーサーカーに筋力で勝らぬ限り奪われる。
武器・武術系スキル・武具系宝具をランクをそのまま、自身のものとする。
奪い取り使いこなすという性質上、判ってさえいれば奪った宝具の真名開放すら可能とするが、狂化の為行うことが出来ない。


龍公柩(ドルグレイヤ・コフィン)
ランク: C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:2人

黄金の天空を舞う竜の紋章が飾られている柩。成人が二人入れる程度の大きさ。
表面に塗られた塗料によりAランク相当の対城宝具の直撃にすら耐える。
1000/1ミクロンの糸でも侵入する隙間を見出せない。
バーサーカーは昼間はここで眠る。


刑殺の杭(カズィクル・ベイ)
ランク: C 種別:対人宝具 レンジ:1~30 最大補足:50人

生前多用した処刑法であり、バーサーカーの代名詞でもある“串刺し刑”が宝具化したもの。
バーサーカーが“賊”と認識した対象を地面から生えた杭が貫く。地面や床と繋がっていれば杭は生えてくる為に、壁や天井、果ては樹木からも杭が生え、レンジ内にいる限り襲い続ける。
杭は生えた場所と同じ素材で構成される。木から生えれば気の杭が、石から生えれば石の杭となる。
バーサーカーとして現界した為にまともに使用することは出来なくなっている。サーヴァントとしての性質からマスターに害を及ぼそうとした者に対してのみ使用することが出来る。

鮮血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア』)
ランク:EX 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人

後の伝承によるドラキュラ像を具現化させ、吸血鬼へ変貌する。
通常のスキル・宝具を封印される代わりに、 身体能力の大幅増幅、動物や霧への形態変化、治癒能力、魅了の魔眼といった特殊能力と、陽光や聖印に弱いという弱点を獲得する。
が、元より吸血鬼であるバーサーカーには、夜間に限り全ステータスを1ランク自動的に向上させ、強大な鬼気を纏わせる。という効果を齎す。
要は吸血鬼としての特性の強化。
代わりに魔力消費は絶大であり、並の魔術師では僅かに動かすのがやっとという程の魔力消費量となる。更に聖性や神性に対する脆弱さも増している。
この宝具の効果は真正の夜のみに発揮される。




【weapon】
無し。

【人物背景】
歴史上におけるヴラド三世その人。古の魔道の技により、武器を帯ずに戦場に赴き、無双の武技を発揮した。
その統治は苛烈を極め、決して彼が許さなかった為に、水飲み場に放置した黄金の杯を持ち去る者も居なくなるほどだった。
トルコ軍に捕まり斬首された後、四千年生きた中国産吸血鬼である“美姫”に拾われ吸血鬼にされる。
そして何故か船底に500年幽閉される。
〈新宿〉にて秋せつらを倒す為に開放されるも美姫に反逆。美姫やせつらと数度の死闘を経て、せつらに倒される。
現世に解き放たれた後、ディスコ(古い…)を気に入ったりと、感性は割と若い様子。


【方針】
???????

【聖杯にかける願い】
妻と共に生きる



【マスター】
鈴木深央@仮面ライダーキバ

【能力・技能】
吸血鬼伝承の元となった魔族であるファンガイアの頂点である四人“チェックメイトフォー”の“クィーン”
ファンガイアの掟を破った者を粛清する役割と、ファンガイアの頂点である“キング”との間に次代の“キング”を産む役割を持つ。その役職に相応しい強大な魔皇力を持っている。
真珠型の弾丸“パールバレット”を大量に射出したり、周囲一体を夜に変える能力を持つ。

【weapon】
無し

【ロール】
焼肉屋の従業員

【人物背景】
二十年以上の時を人間として過ごしてきたファンガイア。感性そのものは人と変わらない。
クィーンの資質を持っていた為、チェックメイトフォーの1人ビショップに力を引き出され、ファンガイアとして生きることになる。
この事が深央と渡と大牙の運命を大きく変えることになる。
大牙と渡のとの三角関係の果てに大牙を刺すも、大牙がそれでも自分を庇った事で大きく揺らぎ、最後は渡から大牙を庇い、重傷を負ったところをビショップに殺された。



【令呪の形・位置】
竜の頭部を模したものが胸部に有る。

【聖杯にかける願い】
登大牙を亡き者にして紅渡と結ばれる。

【方針】
優勝狙いではあるが、バーサーカーの戦い方が惨すぎるので余り気が進まない。

【参戦時期】
40話終了後

【運用】
マスターからの供給は質量ともに潤沢で、バーサーカーというクラス上逆らう可能性も少なく、昼間でも未央の能力で戦わせられるが、
魔力消費が激しい上に、戦闘時は宝具使用がデフォなのが悩みどころ。連戦や長期戦は不利どころか自滅の可能性が有る。
引き際と戦うタイミングを見極めるのが肝心だろう。

【把握媒体】

鈴木深央:
仮面ライダーキバ21話~43話まで視聴。

バーサーカー(カズィクル・ベイ):
魔界都市シリーズ 夜叉姫伝新書版3~6巻 文庫版2~3巻
原作が古い為把握が困難なので、戦闘描写だけなら武器強奪&ラーニングと思っといてください

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最終更新:2016年09月04日 00:00