「何ですか?私にご用って。」
「いやぁ、おいちゃん、ちょっと困っててね。お嬢ちゃんにお願い聞いてほしいんだ。」
 小学校の帰り道、佳味は見ず知らずの男(?)に呼び止められた。
「う~ん。そうね、先生も困っている人がいたら助けてあげなさいって言ってたし、私にできることだったら。」
「お嬢ちゃん優しいねぇ。じゃあ、ちょっとおいちゃんに付いて来てくれるかい?」
 そう言うと男は佳味の手を取り、歩き出した。
 男はコート姿に帽子を深くかぶり顔を隠しているような格好。隙間からのぞく肌の色はやけに血色が悪いように思える。
 大またで歩く男に佳味は早足でトテトテと付いて行くのがやっとだった。
 歩く途中、佳味は「どこに行くの?」「お願いってなあに?」訊ねるが男は沈黙を通していた。
 心なしか人気の少ないほうへ向かっている感じがした。
(あ、今日みたいテレビがあったんだった。でもしょうがないかぁ。)
「フフフフ、そろそろ良いだろう。ここで貴様の息の根を止めるとしよう。」
「あなた・・いったい何者!?」
「わしの正体は、若い女子を襲うのが趣味の、『怪人ロリコング』じゃあー!」バーーン!!
「フフフフ。」
「・・何が可笑しい!」
「とうとう姿を現したわねロリコング!貴様をおびき出すために徒の若い女子を装っていたけど・・
 私の方こそ、愛と正義の使者、『魔法幼女ぷりりん☆もんろー』その人よ!!」ジャジャーーーン!!!
「そんな馬鹿なー@逃っげろー」
「まてーい!」
「あーじゃね、こーじゃね・・・云々」
 ジャー。キュッ!
「ふう。あら?もうこんな時間。佳味ったら遅いわねぇ。」
 佳味の家では母が夕食の支度を終えたところだった。
「今日は、あの子の好きな『マグロの竜田揚げ』なのに・・」
「ポーーーン。」
「5時のニュースです。昨今○○市内におきまして、相継いで小学生以下の女児失踪が確認されております。警察庁では事件性を考え・・・」
「怖いわねぇ・・早く帰って来ないかしら、佳味」
 母の心配を他所に、事態は刻々と進んで行く。
 周りの景色から人の姿が消えたとき、男の足が止まった。
「じゃあ、そろそろおいちゃんのお願い聞いてもらおうかな?」
「あ、はい。何ですか?」
「実はおいちゃん昨日から誰も食べてなくってねえ。」
「ぷぷ。おじさん、『誰も』じゃなくて、『何も』の間違いよ?」
「ハハ。そういうわけで、食べさせてくれないかなぁ?」
「うーん。そう言われても私食べるもの持ってないし、いったんお家に・・」
「いいんだよ、食べさせてくれるのは『それ』で・・」
 男は佳味の胸元あたりを指して言う。
「『それ』って?」
「お嬢ちゃんの身体さ。」
「・・・。」
 佳味は言葉を失った。
 そして一呼吸の後、「ダメだよそんなの。私は食べ物じゃないもの。」
「んん~。さっき、出来る事ならしてくれるって言ったよねぇ?」
「私を食べさせるなんてできないもん。ねえおじさん、私のお家に行こう。私のお母さん、お料理得意でね・・」
「おいちゃん、嘘って嫌いなんだよねぇー。それに・・・」
 男は着ていたコートの襟と帽子に手をかけた。
「お嬢ちゃんみたいな可愛い女の子じゃないと、満足できないのよ・・・この体はさっ。」
 ばさっ。
「きゃあぁ!」
 男は異形だった。腹には数十本の触手が根付き・・頭にもいくらか生えていた細いのが。
「悪いけど、頂くよ?・・お嬢ちゃん。キミが食べさせてくれないと、おいちゃん腹減って死んじまうからねえ」
 異形は佳味に歩み寄る「や、やっ、嫌っ!」
「さーて、どこから食べようかな?頭かな?お尻かな?」
 異形は佳味の服を脱がそうと細いほうの触手を伸ばす。
「そうだ。優しいお嬢ちゃんのために、選ばせてあげるよ。ドコから食べられたい?ひっひっひ。」
 シュルルッ。触手が佳味に絡みつく・・。
「イヤァーーー!!」ブツッブツッブツン!
「ウンギャアアーー!!!」
 佳味は自分に巻き付いてきた細いやつを力の限り引っこ抜いた。
「はあ、はあ・・食べちゃダメって言ってるでしょ!おあずけっ、めっ!!」
「グゥウヴ・・・おんどれぇよくもわしの数少ない毛ぇ、抜きしくさったな ボケェ しばくで ほんまぁ」
「ええ?・・どこの人・・?っていうか毛だったのアレ。」
「もおボクチャン切れちゃったもんねぇ~。お前は死ぬまでの時間が一番かかる食べ方で食べてあげちゃうもんね~。
 この板の住人も大好きな、『吸収』でなあああ!」
「またキャラ変わったー!それに『この板』ってなんのことー!もう突っ込みどこ多すぎー!」
「喰らえっ!秘技・腹毛ボンバー!!」バシューン!!
「それやっぱり腹毛だったのー!?嫌ー!来ないでー!!」
 ズドドドドドドド、ドスッ!!「ヴッ!!」
 異形の放った触手は佳味の服を突き破り、彼女の6つの『穴』に刺さっていった。口、両耳、臍、肛門、そして膣。
 少女の初めてはこの時一気に奪われた。残りの触手も佳味に取巻き味わい始める。
「美味しいぃ!いやぁ、おいちゃんの腹毛は味覚、嗅覚、触覚が備わってるんだけどね、君の身体は実にすばらしい。
 味は絶品、香りも芳しく、触れれば天にも昇る気持ちよさ!もう文句無しの一級品だよ。」
(やだ、嫌だよ。食べられちゃったら、もうお友達とも遊べないし、やりたいこともまだまだあるのに・・・)
 柔肌の表面に這った触手が、その感触を味わっている。しなやかに生えた白魚の様な肢体。
 小振りだが、弾力もあり口に含めば中身がレアチーズケーキのようにとろけそうな胸。
 丸みをおび、中にたっぷりと甘い果汁を含む、腰に実った桃。
 佳味のカラダは、漏れ無く隅々まで極上のスイーツだった。
「あふぅ、うううぅ。」(カラダが・・熱い。溶けちゃうぅ)
 佳味の中に侵入した触手は先端から消化液を流していた。彼女の中身は序々にピンク色のゼリーになり異形に食べられていく。
「う・・・あああん。」(助けてぇ、お父さん、お母さん、・・・ぷりりん、うぅぅ)
 内側、外側から味わわれ、佳味はだんだん快楽を感じ始めていた。
 じゅ、じゅぷぷぷ。「おおう!秘所から蜜が溢れてきたよ。これもまた、最高のドレッシングだ。」
「ああぅ、ああー!!」
(あれ、なんかおかしい。何この感じ・・私、今食べられてるのよね?食べられるのって、こんなに気持ち良いものだったの?
 もっと、痛いのかと思った。)
「美味しい、美味しいよぉ!おいちゃんどうかしちまいそうだ。美味しすぎて目ぇ回ってきた。」
 消化の速度が上がり、佳味の果肉はもうほとんど食べられ、皮を残すところとなった。
「ひ、一口だって残すもんかぁ!」
 異形は本体の口からムシャムシャと佳味の残りを貪っていく。
(ああ、私の身体、もうすぐ全部食べられちゃうな・・。最後にお母さんの作った、マグロ料理、食べたか・・・)
 ゴックン!
「あー美味しかったぁ、・・・もっと長い時間かけて食べようと思ったのに、ついがっついちまった。」
 ゴロリ。異形は寝転がり、もしゃもしゃの腹をさする。
 こつん。「いて。」
 頭に鞄があたった。「・・・佳味ちゃんっていうのか。名前のとおり、すっごく『佳味』だったよ。お嬢ちゃん。」
 ―完―

名前:
コメント:

すべてのコメントを見る

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年05月19日 11:43