「あんっ、んんっ……」
下半身を呑み込まれ、触手で秘部を弄られる快感に悶えながら、少女は叫ぶ。その間にも、少女の身体は触手の口へと吸い込まれていく。
「おいおい、落ち着けって。そんなに暴れるな」
「あ、あんっ、だって……気持ちいいんだもん……」
いや、少女は自ら裸身を触手の口に沈めていた。触手は少女の身体を嬲り、少女は口の中に下半身を沈めていく。自らが食べられているという状況に、
少女は恐怖するどころか、歓喜と恍惚の表情を浮かべていた。なぜこんな状況になっているのか。
事の始まりは一時間ほど前に遡る。少女はこの近辺では有名な落ちこぼれ魔法使いだった。そんな少女の前に、たまたま成功した召還魔法により、
ミミズとも芋虫とも取れない触手の塊のような不気味なモンスターが現れた。その不気味な姿に最初は戸惑っていた少女だったが、その触手は
見た目に似合わず優しい心の持ち主で、今まで独りぼっちだった少女に初めての味方になってくれた。そんな触手に対して、少女が心も身体も
開くのに、そう時間は掛からなかった。少女はその身を触手に捧げ、その日から、少女と触手の肉欲の生活が始まった。今までの寂しさを
埋めるように、少女は触手と様々なプレイを楽しんだ。
しかし悲しいかな、人とは飽きる生き物である。最初は刺激があったものの、今やマンネリ化してしまったプレイでは、少女を満足させることは
できなかった。そんな毎日が退屈になりかけていたある日、少女は触手の口を見てあることを思いつく。
(触手くんの口の中って、気持ちいいのかな)
触手の口の中には、歯や牙といったものは一切なく、代わりに表皮を覆っている以上の大量の触手が生え揃っていた。もしも自分が触手に
食べられ、口の中の触手に犯されたら、今以上の快楽を得られるのではないか。そこで少女は、触手に自分を食べてくれるようお願いした。
もちろん、本当に食べられたいわけではなく、口の中で犯してもらいたいだけだ。それに、まさか触手が本当に自分を食べるとは思っても
いなかった。そして少女は触手に食べられ、口の中で快楽を貪っているところであった。
「あっ、ああんっ、んんっ、ふわぁ……」
少女は今自分がどういう状況なのかも忘れ、快楽に浸ることに夢中になっている。と、突然少女を弄んでいた触手の動きが止まる。
「ねえ、止めないでよー。もっとわたしで遊んでよー」
「いいけどよ。最期に聞くぜ。お前、俺に食べられたいんだよな」
「うんー。食べて食べてー」
「……そうか、分かった。」
そういうと、再び触手が動き始めた。ただし、さっきまでの少女の身体を陵辱する動きと違い、まるで食べ物を呑み込むかのような動きで少女の身体を
引きずり込んでいく。
「あ、あれ……触手くん、わたし、食べられてるよ。ちょっとまずいんじゃないかな、これって」
「何いってんだよ。さっき食べてっていってただろ。だから食べるんだよ。お前をな。」
「え…? 何いってるの、あんなの冗談だよ。本気にしないでよ、ねえ。」
もちろん少女は本気であんなことをいったわけではなく、あまりの快楽に頭の中が麻痺していただけに過ぎない。しかし、少女の言葉を無視し、
触手は少女の身体を呑み込んでいく。もはや少女の身体は全て飲み込まれ、頭だけが口から出ているだけとなっていた。
「ね、ねえ、何でこんなことするの? わたし、あなたのこと大好きなのに」
「ああ、俺も好きだぜ。だから食べるんだよ」
「わからないよ。それってどういうことなの?」
「俺はどうやら他の触手と違って変わり者でね。人間を妊娠させられない変わりに、性欲と食欲が同じものとして感じるようにできてるらしい。
ま、簡単にいえば、犯したい相手=食べたい相手なのさ。それに、あれだけ犯りまくってたのに子供ができないなんておかしいと思わなかったのか?
どんなに低能な触手でも人間の雌一匹孕ませることくらいはできるはずなのによ」
「そんな……ずっとわたしを騙してたの、わたしのこと好きじゃなかったの!?」
「騙してなんかいないさ。お前のことは、今でも大好きだぜ。でもな、お前への愛は俺の食欲でもあるんだよ。お前は久しぶりに出会った上玉だ。
本当はもっと成長してからいただくつもりだったが、お前がどうしても食べられたいっていうからな。望み通り今お前を食べてやるよ。俺自身ももう
我慢の限界だしな。今だから言うぜ、俺はずっと前からお前のことを食べたくて仕方がなかったんだよ!」
「そんな、嫌だよ、食べられるのなんて! いい加減にしないと、怒るよ!」
「ああ、存分に怒ってくれ。俺に食べられてお前が死んだら、もうお前の声を聞くこともなくなるからな」
「え、死ぬって……」
「おいおい、わかってなかったのか? 食べられるってのはそういうことだろが。お前はこれから俺に呑み込まれて、胃の中でドロドロに溶かされて俺の
栄養になるんだよ。溶かされて生きてる人間なんて普通いないからな。ああ、逃げたかったら逃げてもいいぜ。ま、逃げられたらの話だけどな」
「……っ!?」
今更ながら、少女は自分が陥っている状況が危機的なものであるということを理解した。見る見るうちに顔が恐怖でひきつっていく。
「や、やだ、死にたくない、死にたくないよぉ!」
顔からボロボロと涙を流し助けを呼ぶが、誰も来るわけがない。と、狙ったかのように下半身への陵辱、及び呑み込み行為が再開される。
「や、やだぁ、あっ、んんっ、こんなときに、んぁぅ……」
呑み込まれた身体は、口の中の触手で全身を弄ばれている。その経験したことのない快感に耐えながら、少女は必死に叫ぶ。
「やだ、死にたくない、死にたくないよ……」
「何で死にたくないんだ?」
「え?」
「お前みたいな落ちこぼれの味方なんて、俺以外にいないぜ。どこにいっても役立たずで邪魔者扱い。生きてたって仕方ないと思うけどな」
「で、でも……」
「それに、お前は食べられることに恐怖してるようだが、ひとついいことを教えてやろう。俺の胃の中には口以上にたくさんの触手が詰まってる。俺の
体の中に入れば、今以上の快楽が得られるぜ」
「今、以上の……でも……」
「それに、遅かれ早かれ人間いつかは死ぬんだ。だったら最高に気持ちいい思いしながら死んだほうがましじゃないのか?」
「そう、なのかな……」
「そうそう。それにここでやめて逃げ出しても、俺様の触手を忘れられずに結局ここに戻ってくると思うしな」
「……」
触手の言うとおりだった。いくら心で否定しても、身体は求めていた。呑み込まれるたびに、身体は快感に忠実に反応する。涙よりも、少女の
秘部から漏れ出る汁こそが、少女の本音であることは一目瞭然だった。
「で、でも……」
「ああもうしつこいな。食われてみれば分かるって」
「ちょっと、まっ……」
そういうと触手は、少女に触手を絡め、一気に体内へと引き擦り込んだ。
それから数分後。
「どうだ、俺の中は?」
「ふわぁ……うん、すっごく、気持ちいいよ……」
少女は、触手の体内で弄ばれていた。その顔から恐怖は消え去り、ただ夢中で快感を貪るだけとなっている。
「な、いった通りだろ。最高の快楽が味わえるって」
「うん、そうだね。なんだか食べられたくないって言ってたのがバカみたい。ありがとう、触手くん。わたしのこと食べてくれて」
「な、なんだよいきなり」
「だって、こんなに気持ちいいんだもん。触手君に食べられなかったら、わたし、一生満足できずに死んでたかも。大好きだよ、触手君」
「ああ、そうだ、俺の消化液には催淫効果が含まれてる。他にも、獲物の痛覚神経を快感神経にして全身を性感帯に変える効果がある。
消化液に浸かれば、今以上に気持ちよくなれるぜ。」
「ほんとに? 出して出してー」
「もっとも、それに浸かればお前の身体は溶けてなくなってしまうけどな。どうする、やめとくか?」
「どうせわたしがやめてっていってもやめないくせに。それに、わたしはもう助からないんでしょ。わたしのことが好きで食べるんなら、
一口も残さず綺麗に食べてほしいな」
「そうか。じゃ、さっさと消化液出して、お前を溶かすとするか」
そういうと、触手は体内の肉壁からドロドロの液体を放出しはじめた。少女は顔にかかった液体を舐めてみる。
「ふわぁ、甘い……それに、何だか不思議な感じ……」
「ほら、足の方見てみろよ」
「え……うわぁ……」
少女が足を見ると、消化液に浸された足は既に溶けてなくなり、さらに量を増す消化液によって、脛の辺りも溶け始めていた。
「ふわっ、何……溶けてるのに……気持ちいい……? ううん、溶けてるから、気持ちいいんだ……」
消化液の効果で、自分の身体が溶けていくという異常な光景に、少女は目を潤ませて喜んでいた。もっと自分の身体を溶かしてもらおうと、
必死に消化液の中に浸かろうとする。
「おいおい暴れるなって。ま、こうやって、獲物を快楽で縛り付けて、その間に食べてやるってわけだ。それにしても随分気に入ったみたいだな。
消化液の効果とはいえ、自分から溶かされたがるやつなんて、お前が始めてだぞ。わかってんのか、全部溶けたら、お前死ぬんだぞ」
「だって、気持ちいいんだもん。死ぬのがこんなに気持ちいいなら、わたし、死んでもいい。ううん、わたし、死にたい」
とても、涙を流しながら死に恐怖していた少女の言葉とは思えなかった。少女は今、心から自分の死を望んでいた。
それほどまでに触手が少女に与えた快楽は強烈だったのだ。
数時間後、少女が自ら消化液に浸ったことにより消化作業は一気に進み、今や少女は首だけとなっていた。その首は触手の一本と繋がり、
そこから養分を得ることでなんとか生きている状態である。こんな状態になっても、少女の顔から幸せの微笑みが消えることはなかった。
「ねえ、触手君、わたしの身体、おいしかった?」
「ああ、うまかったぜ。こんなことなら、もっと味わいながら食べるんだったぜ」
「ふふ、ありがとう。ねえ、考えたんだけど、わたしきっと、触手君に食べられるために生まれてきたんだよ」
「ほんとにおかしなやつだな。もうすぐ死ぬってのに」
「ううん、わたしは死なないよ。溶かされたわたしは、これから吸収されて触手くんの体の一部になるの。好きな人とひとつになれるなんて、
最高に幸せなことだよね。だって、わたし今、すっごく幸せだよ」
「ま、お前がそれで満足ならいいけどよ」
「でも、これでお別れってのも何だか寂しいね……。あ、そうだ。いいこと思いついた」
そういうと、少女はひとつの呪文を唱える。一瞬、何かが光ったが、それだけで、他に何かが起こる気配はなかった。
「……? 何をしたんだ」
「これはね、絆の魔法っていって、愛し合うふたりが死んでしまっても、来世で必ずめぐり会えるようになるの。簡単にいえば、ふたりが永遠に
恋人でいられる魔法だよ。ねえ、生まれ変わったわたしに出会ったら、またわたしを食べてくれる?」
「俺は構わないけどな、いいのかお前は?」
「うん。だってわたしの身体、食べられる快感を覚えちゃった。きっと生まれ変わっても、その快感を求め続けると思う。でも、あなた以外には
食べられたくない。わたしの身体は、あなただけの食べ物。わたしを味わっていいのは、あなた一人だけ。
だからわたしは、あなたに食べられるためだけに存在するの、永遠にね。」
「……さっきの魔法、呪いの間違いじゃないのか?」
「あはは、そうかもね。でも、こんな幸せな呪いなら、わたしは喜んで受け入れるよ。」
「でも、どうやってお前だってわかればいいんだ?」
「それなら大丈夫だよ。わたしははあなたに食べられるために生まれてくるんだもの。美味しそうなわたしの身体を見れば、一目でわかるはずよ」
「そっか。さてそれじゃ、デザートの頭でもいただきますか。」
「はい、召し上がれ」
触手は、少女の頭を消化液に浸した。幸せな顔のまま少女の頭は崩れ、消化液の中へと消えていく。そして少女の命は、触手の体内へと消えていった。
それから数百年後、暗い森の中を一人の人間が歩いていた。その森は最近謎の怪物が現れ、迷い込んだ多くの旅人が犠牲になっていると
噂の森だった。そんな不気味な森の中を、その人間は何の装備も持たずに進んでいく。
「おい、待ちな」
突然、声を掛けられた。しかし、何処を向いても、声の主は見つからない。
「何処見てんだよ。上だよ。上。」
上を見上げると、そこには見たこともない巨大な怪物がいた。余りにも巨大すぎて、前にいることがわからなかった。
「町中俺の噂で持ちきりだってのにのこのこやってくるなんて、馬鹿なやつもいたもんだな。お、でもお前、なかなかうまそうじゃねえか。
久しぶりのご馳走だ。じっくり味あわないとな」
「ほんとに? わたし、美味しそう?」
「は、何いってんだ、お前?」
以外な反応に、怪物は驚く。さらにその人間は、自らが着ていた服を脱ぎ始めた。触手の見ている前で、その人間は全裸になる。
「あのね、わたし、頑張ったんだよ。どうすれば美味しくなれるか、どうすればあなたを喜ばせられるか、いっぱい勉強して、
いっぱい努力したんだ。だから、だからね、」
「……」
怪物は、その人間が誰なのか思い出していた。そして、その人間――少女は両腕を広げ、怪物――触手に呼びかける。
「お願い、触手くん。わたしを食べて!」
少女が言い終わると同時に、触手は巨大な口で少女を
丸呑みにした。そして少女の命は尽きる。だが、これで終わりではない。
これからも少女は生まれ変わる度、触手に食べられ続けるのだ。未来永劫、永遠に。何故ならそれは、少女が望んだことだから。