お久しぶりに書かせて貰います。
「私もずいぶん馬鹿にされたものね」リングの上の女は手にはめた格闘技用のグローブを直しながら呟いた。
飾り気の全く無い白いレオタードに身を包み、長い金髪を後ろで束ねている。
「まあ、まあ、まあ、怒らないでくださいミス、エミリア ‘ライトニング, ヒーリング」
リングの下にいた黒いタキシードを着た男はおどけた調子で声をかけた。
「いや困っていたんですよ、ほんと、この条件を受けてくれる方がいなくて」そういうと男は肩をすくめた。
そんな男には一瞥もくれず、エミリアは吐き気のする思いで周囲を見回した。
幼い妹を人質に取り無理やりこんなところに呼びつけたものが、何処かにいる筈だった。
「・・・・もう一度聞くけど、本当に妹を返してくれるんでしょうね」「もちろん!!組織はいつもあなたにうそをついたことは無いでしょう?」
ニコヤカに告げる男の顔をジロリト睨むと、男は大げさに驚いた顔をする
「おお、怖い、そんなに怒ると美しい顔が台無しですぞ?」そう言いながらそそくさとリングから離れると
上からゆっくりと何かが降りてきた、それは
「金網!?」エミリアの驚いた声にあわせ外から先ほどの男が声をかけた。
「はい、ミス、エミリア‘ライトニング,ヒーリング貴女の対戦相手が貴女に恐れて逃げ出さないように用意しました」
「ちっ」舌打ちをし男を先ほどより激しく睨みつけた後金網をじっと見つめた。
(どうあっても逃がさないつもりね)だが負けるわけにはいかない、エミリアは自分にそう言い聞かせ、ゆっくりと息を整えた
ガシャン 大きな音を立てて、金網が完全に降りる。金網の向こう側には開閉扉が見える、あすこから対戦相手が入ってくるのだろう。
だが組織の中には、自分を打ち倒せる者などいないはず、「やつら、何を考えて・・・・・」
そうエミリアが思ったその時扉がゆっくりと開くと、入ってきたものを見て、エミリアは息を呑んだ。
「ば、化け物・・・・」身長は約3メートルぐらいだろうか、何か動物のような頭部と全身毛むくじゃらの体をした生き物が入ってきた。
「ミス、エミリア、紹介しましょう!!われらが生んだファイター、ミノタウロです!!」
そう、それはギリシャ神話の化け物ミノタウロスをイメージさせるような化け物であった。
「ギュごごオオオオオ!!!」何かわからない言葉を発しながら今にも襲い掛からんとしているモンスターを見て恐怖を覚えるエミリアだったが、
すぐにわずかに残る勇気を振り絞り目の前の怪物をを睨みつける。
「卑怯者!!この化け物を倒したら、次は貴様たちを皆殺しにしてやる!!」エミリアはその場に聞こえるように大きな声を張り上げると
その勢いに押されたタキシードが悲鳴を上げながら、その場を離れる。
「グオオオオオ!!!!」その声に触発されミノタウロが雄たけびを上げながらエミリアにまっすぐ突っ込んできた。
「フッ!」それを横によけながら突進してくる勢いにあわせカウンターで化け物のすねを蹴り上げる。
「ぐああああ!!!!」痛みなのか興奮のためか、ミノタウロはさらに大きな咆哮をあげる。
腕をめちゃくちゃに振り回すとエミリアめがけて振り落とす、だが冷静にそれを避けると先ほどと同じところにローキックを
叩き込む。バシン!肉を鞭で打った時の様な音があたりに響き渡りエミリアは手ごたえに満足していた。
「こいつ・・力任せなだけだ・・・当たらないように戦えば勝てる!」エミリアはそう確信すると足を使い、ミノタウロの周りを回り始める
‘ライトニング,の二つ名が示す通り、化け物は全く動きについてこれずにいた。「まずは足を封じる」
次々と的確にローキックを繰り出すエミリアそしてついにミノタウロはリングに方膝をついた。
「いまだ!!」勝機を見て取ったエミリアはミノタウロの後頭部に懇親のハイキックを叩き込んだ。
バシーン!!今までとは比較にならないほど大きな音があたりに響き渡る。「仕留めた!!」
エミリアが思った瞬間、ドゴン!!!すさまじい音を立ててリングが揺れ、ハイキックを打った直後のエミリアは
たまらずその場に尻餅をついた。「な、なに・・・?」何が起こったのかと思ったら目の前の怪物がリングを両腕でたたいていたのだった。
その振動はすさまじく、エミリアが立っていられないほどの振動だった。
「あれを食らって平気なんて・・・・」目の前の対戦相手に恐怖したとき、ガシッ、突然足をつかまれる。
「しまっ・」しまったと思ったときにはもう遅かった。ふわりと体が持ち上げられると
バシン!!!!!ものすごい勢いでエミリアはリングに叩き付けられる。「アアアアアア!!!」
今までの強気な態度からは思いも付かない様な、扇情的な悲鳴が辺りにに響きわたる。
「う、受身を・・・」とっさに受身を取るが、それは人間同士の闘いの技であり、人対化け物を想定したものではなかった。
二回、三回まではともかく、足をつかまれたまま振り回され何度も何度もリングに叩き付けられエミリアの意識は
混濁してくる。「あああ・・・・ぅぅぅ」口からは弱弱しい悲鳴が漏れぐったりとしたまま全身の力は
抜け切っていた。そんなエミリアを乱暴にリングに放り投げると勝ち誇るように
ミノタウロは咆哮する、美しい女戦士はリングの上に無様に倒れこみ、きれいな金髪もボロボロと成り果て、
純白のコスチュームは汗や体液によりグシャグシャになっていた。
長く美しい手足を投げ出したままエミリアは全く動けずにその無防備な肢体をさらけ出していた。
「ぐおおおお」怪物はそんなエミリアに近づくとゆっくりと着ているコスチュームに手をかける
「や・・・やめ・・・」エミリアの力ない抗議に耳を貸さず、怪物は一気にコスチュームを剥ぎ取った。
「あああ・・・・」リングの上でエミリアの豊かな胸が曝け出される、おそらくはこの戦いをどこかで見ているであろう
にくい組織の連中にも見られている、そう思うと悔しさでいっぱいになりエミリアの目から涙がこぼれる。
だが、そんな甘い干渉は、それまでだった。敗者に与えられる恐ろしい罰が待っていた。
ミノタウロは力なく横たわるエミリアを持ち上げると、其のままむき出しとなった乳房にかじりついた。
「あああああああ!!!!!!」「ぐおおおおお!!!」悲鳴と歓声が同時に上がる。
「いやああああ!!!!」エミリアは何とか逃れようとかすかに残った力を使いミノタウロの手を払いのけようとする。
だが、奇跡は女戦士の前には現れるわけも無く。其のままミノタウロは五月蝿く動く手にかじりつき其のまま食いちぎる。
「あああ!!!いやああああ!!!!!」泣き叫ぶエミリアの悲鳴を満足そうに聞きながら、特上のえさにかぶりつくミノタウロ
やがて悲鳴も弱弱しいものに変わり、美しかった女闘士は見るも無残に、化け物の餌へと姿を変えてゆく。
わずかに残った意識を巡らして、妹の安否を気遣い、一粒の涙がこぼれたが、それも化け物の
歓喜の味付けに成っただけであった。目の前の餌を食い尽くすと勝利と、その最高の味を喜び化け物は大きく咆哮し、
組織の者たちは、自分たちの作り上げたモノの結果に満足し、拍手をした。
最終更新:2008年08月07日 20:11