明日はバレンタインデー
由香は妹の美香と一緒にチョコレートを買って夜道を帰っていた
人家が途絶えて街頭の明かりだけが頼りの夜道
街頭の密度が徐々にまばらになっていく
「あれ?こんなにこのあたり街頭少なかったっけ?」
美香に問いかけた瞬間周りの風景から明かりが消えた。
それとともに地面の感覚が消え、浮いているような感覚になる
「美香?」
「お姉ちゃん?」
お互いに呼びかける声が聞こえるが、それも徐々に遠くなる…
目を閉じていたらしいことに気づいた由香はまぶたを開けた。
すると、明かりが目に飛び込んできた
「!!」
面食らったまま周りを見回そうとする
周りには得体の知れない薬品やよくわからない生物が多数揃っていた。
由香は自分が裸で何かに吊るされていることに気づいた。
「こ、ここはどこ?
それに、何、これ?
あたし、裸?」
半ば混乱したままあちこちに目をやると、そこに全裸で吊るされている美香がいた。
「お、お姉ちゃん?」
美香はすっかり脅えきった顔だった。
そんな由香たちの前にタキシードドレスを着た美しい女性が現れた
「あら、お目覚め?」
「ここはどこなのですか?」
「あたし達をかえしてください」
目の前の女性に得体の知れないものを感じながらめいめいに懇願した。
「残念ながらあなた方を帰すわけには行かないのよ。
あたしは魔女でここはあたしのおうち。
ここに来た人間をそのまま帰したことはないのよ。
だからあなたたちはあたしの存在を知らずにすんでるというわけ」
言われてあらためて目の前の女性の服装を見ると黒の三角帽に黒のマントにステッキ。
巷でいわれる魔女そのもののスタイルだった。
「で、あなたたちをここに連れてきた理由はね…」
それに触れた途端、彼女の表情が変わった
「私も魔女並みに好きな人が現れたのよ。
でも、肝心なときに照れちゃって、うまく告白が出来ないのよ」
話の方向が予想しない方向に行ったせいで返答が出来ないまま
二人は話を聞く
「でさ、人間界では明日バレンタインデーってあるじゃない。
それに便乗してチョコを渡しながらならうまく告白できるかもって思ったの」
そういうと彼女は奥から巨大な甕を引き出す。
「ま、好きな人といっても人じゃなくて魔物。
そして、あの人が好きな食べ物は若い人間の女の子。
わかったでしょ。これからあなたたちをチョコにしようということ」
結論を聞いて青ざめる二人
「そういうわけだから抵抗しても無駄よ。
それにこれ以上時間もないし説明するのも面倒くさい。
さっそくそこの娘からチョコにするわね」
そういうと巨大な甕を美香の頭上にセットした
美香は必死で身を捩じらせるが宙に吊るされたままではどうにもならなかった。
甕が倒れてその中から茶色いものが美香の裸身に注がれる。
「いやぁぁぁ!助けて…おね…ぇ…」
最後の方は聞き取れなくなった。
またたくまに茶色い奔流にからめとられた美香の裸体は
徐々に動きを鈍らせる。
大きく開いた口もチョコにからめとられてそのままで動かなくなる
腕がだらりと下がったままになる。
甕の中の茶色のものが流れきった後に残ったのは
美香の形をした茶色いチョコレートだった。
もう喋ることも動くこともなかった。
驚きの表情のままで固まった茶色い裸身がそこにあった。
「う~ん、いい出来だわ。これなら彼も満足してくれるに違いない」
「美香を元に戻してよ!鬼!悪魔!」
由香は目の前の女性にあらゆる言葉を投げつけた
「悪魔って…さっきも言ったけど私は魔女。悪魔そのものだから」
そういうと新たな甕を引き出してきた
「じゃ、今度はあなたね。」
そういって一瞥を投げかけたときの彼女の目に射止められるような冷たい光を感じた。
それにひるんだ瞬間、頭上から生暖かい液体が降り注いだ
「ぶわっ…うげえっ…」
顔といわず口といわず注がれる甘い液体
たまらず飲み込んでしまうが、それが喉に到達するや喉の感覚がなくなっていく。
窒息感の中で手足を動かせなくなるとともに感覚がなくなってくる。
注がれる温かい液体と一体化してゆく感覚とともに、どこか気持ちよいものを感じ出す。
感覚の麻痺は上半身や乳房、そして腰にまで及ぶ。
ドクン…ドク…ン…
心臓の鼓動が妙に大きく感じる
そして、その鼓動が徐々に弱まってゆく。
呼吸も少しずつ弱まる。
ト…ク……
感覚がなくなるとともに心臓の鼓動がなくなった。
徐々に体が冷えてゆく。
チョコにさえぎられた視界がぼんやりと広がってゆく
由香の視界には箱に詰められる、美香の姿が映った。
そして、箱に詰められた美香に続いて動けない由香を
魔女が軽々と持ち上げて箱の中に詰める。
再び真っ暗になった視界。
揺れる箱の中で由香はどうしようもない不安感に襲われていた
「あたし…このまま食べられちゃうの?」
宙に浮いた感覚
そして、乱暴に押し込められて運ばれる感覚。
どれくらいたったろうか
視界が急に広がる
目の前にあったのは、毛むくじゃらの巨大な怪物と
茶色い残滓を撒き散らしながらあちこちに転がる美香の残骸だった。
(美香!嘘…)
出ない声で美香の名を叫ぶ。
何があったかは明らかだった。
目の前の怪物に美香はもう食べられてしまったのだ。
そして、それは自分の運命でもあった。
ペロ…ペロ…
生暖かい舌が由香の体を舐めあげる
(うう…気持ち悪い…)
わずかに伝わる感覚。動くことの出来ない由香は耐えることしかできなかった。
ベロリ…ボトッ…
(!!)
わずかに残る片足の感覚が腰まで消えた
(食べられたんだ…)
腰を熱い舌で舐められながら溶けてゆく感覚。
ベロベロ…ベロ…
大事にしてきた乙女の部分もチョコになっては
あえなく尻や太腿と一緒に溶けてゆくだけだった。
両足からお腹まで溶けていく。
途端に残った上半身が持ち上げられた。
視界には吸い込まれそうな怪物の口があった。
そこへ一息に残った上半身は投げ込まれた。
(うう…やだ…気持ち悪い…)
口の中の熱を帯びて由香の体は急速に溶け始める
(イヤだ…溶けたくない…消えたくない…)
そう思いながら由香の体は怪物の舌の上で甘みをもたらしながら溶けていった。
最終更新:2010年05月06日 02:38