「きゃあっ!!す…すみませんご主人さま…」
またやっちゃった。あたしはご主人様に何度も謝りながら
こぼしてしまった紅茶の後始末をはじめました。

何度も謝りながら後始末を済ませて、新たな紅茶を注いで
ご主人様のところへもって行く。


ご主人様はそんなあたしをじっと見ていました。
ご主人様が紅茶をすすって一息ついた後、口を開いた。
あああ、こんなドジなあたしを今からお叱りになるのだろうか…

しかし、その口から出た言葉は、あたしには信じられないものでした。


あたしはこのお屋敷につとめるメイド。

といってもいつもドジばっかりでメイド長から叱られてばっかり。
新しいメイドさんもみんなしっかりしていていつお役御免になるかとビクビクしています。

そんなあたしにご主人様が申し付けたお仕事。
それは今まで当家のメイドの中でもっとも綺麗なメイドさんだけがおおせつかっていたお仕事。

だから、あたしなんかはそんなお仕事に選ばれるはずがないと思っていたのに…

今、あたしは天に昇りそうな気持ち。
この家につとめるものの憧れのお仕事にあたしが選ばれるなんて。

「…と、いうわけだから次の満月は明後日。
その日のために今から準備をしておいてくれ。
部屋も特別の部屋にするんだぞ。」
ご主人様の言葉が染みとおる。

明後日、いよいよ明後日にはあたしはご主人様の…

さっそくあたしは駆け出しそうな足取りを抑えて
先輩メイドさんと一緒に部屋を出て廊下を歩いていきました。

着いたのは「調理場」
ここであたしはご主人さまの明後日の「夕食」に選ばれたことを伝えて、
調理の段取りをお願いするのだ。

ご主人様はいつもは素敵な振る舞いをされる紳士なのですが、
満月の日だけはお姿を変えられる。
その姿を戻すために満月の日の夜はあたし達の中から特に気に入った娘を
お召し上がりになるのだ。


みんなあたしが夕食にえらばれたことに驚きを隠さない。
「よかったわね。あたしも一所懸命お手伝いするわよ」
「うらやましい。あたしもいつかはご主人様の食卓に呼ばれてみたいわ」
「おめでとう。綺麗に食べてもらってね」
先輩メイドさんやメイド長さんも祝福の言葉をくれる。
昨日まではあたしが祝福する立場だったのに、
今日ばかりはみんなあたしを祝福してくれていた。


明後日の段取りを済ませて、調理長から説明を受けると、あたしは隣の部屋に入りました。
このお役目の人のための特別の部屋。
ものすごく広くて豪華だけど、この部屋に入ると最初にしなければいけないことがあります。
あたしはエプロンドレスと下着、ブラジャーを外して生まれたままの姿になりました。
この部屋はご主人の夕食の食材のための部屋。
メイドの服を脱いで全裸になったことであたしは「メイド」から「食材」になったのです。
とはいえ、あたしは思わず胸と股間を手で隠してしまった。
全裸のあたしに先輩後輩のメイドがかしづいて世話をされるのはどこか気恥ずかしい。
周りが服を着ているのにあたしだけ全裸と言うのもそれを手伝っていた。
でも、あたしは選ばれた食材なのだ。
これを乗り越えてはじめてご主人様の食卓に上がれるのだ。
そう思うと恥ずかしさがどこかに消えていきました。
あたしは思い切って両手を離して裸身を周囲に晒しました。

最初に用意されたのは豪華なフルコースでした。

「これが最後の食事なのね」
美味な食材になるためにメイドのうちからあたしたちは野菜しか食べることを許されていません。
その食事も内臓を綺麗にするためにこれ以降は水しか許されなくなります。
これが人間としてとる最後の食事なのです。
そう思うと感慨もひとしおでした。
「あたしも、こんなに綺麗な料理になれるかなぁ」
綺麗に盛り付けられたフルコースをみてついそんな感想を漏らしてしまいます。
目の前のフルコースを見て、明後日に同じようにお皿に盛られるあたしの姿を
つい思い浮かべてしまいました。

それから一日、あたしは肉質をよくするためのマッサージを受けるかたわら
内臓を綺麗にする処置も受けました。
つまり、丸一日浣腸を続けてあたしの内蔵を空にしたのです。
すっかり空になったのを確認したのは夕方。
あたしはお腹がすくのを水で誤魔化しながらお風呂に入りました。
「明日の今頃、あたしはご主人さまのお腹に入るのよね…」
ふと浴槽で感慨にふけると、涙がこぼれてしまいました。
いけない。あたしはこの日のためにこのお屋敷にきたんだから。

浴室をあがると、そこにはご主人様がいました。
ご主人様はその体になにも着けてはいませんでした。
あたしは、そのままご主人さまに抱きつきました。
今のあたしはメイドじゃない。
今夜が人間として最後の夜なんだ。
そういう思いがあたしを大胆にさせたのです。
ご主人様もそんなあたしを受け止めてくれました。
あたしはご主人様と最初で最後のセックスを行い、濃密にご主人さまをむさぼりました。


翌日

あたしは薬草で埋め尽くされたサウナに寝そべっていました。
「これはあなたの肉質をよくする薬草と、痛みを抑える薬草、
絶命した後も意識を保たせる魔法草が混じっているのよ。」
薬草を敷きながらメイド長が解説しています。
「痛みを抑える薬と意識を長引かせる薬の配合は任せられているわ。
あなたが痛みを感じたくないのなら、痛みをおさえる薬草を増やす代わりに
意識を長引かせる薬草を減らす。そうなると大抵は食卓に上がるか上がらないかの内に
絶命しちゃうわね。逆に意識を延ばす薬を増やせば食べられた後も意識はのこせる。
でも、痛みを抑える薬草を減らすことになっちゃうわ。どうする?」
あたしは決断を下しました。


それを終えると、あたしは最後の入浴を済ませました。
体中隅から隅まで入念に洗いました。

改めて自分の裸身を鏡に映す。
はじめて自分の体を綺麗だと思いました。
あたしはここに映る自分の肢体を目に焼き付けておこうと思いました。

あたしは裸身のまま隣の調理室へ入ります。
そこには調理人とメイドたちがいました。
あたしは大きな調理台へ導かれるまま寝かされました。
「いいのね?」
メイド長はあたしに聞く。
あたしの決断は一つでした。
「いいんです。あたし、自分が食べられてご主人様のお腹に入るまでを見ていたいんです。」
あたしが選んだのは痛みが大きくなる代わりに意識を最後まで持たせる調合です。
「後悔しないよね。食べられている途中で泣き出す子も逃げようと暴れまわる子もいたのよ。」
そう聞いても、あたしの心は揺らがない。
ご主人様を少しでも長く見ながらご主人様のお腹に入りたい。
あたしのようなドジなメイドにこんな素敵な舞台を用意してくれたんだもの。
それを思えばどんな痛みにでも耐えられる。
メイド長はうなずくと、調理長に指示を出しました。
調理長はあたしの喉に刃を入れます。
抵抗なく冷たい刃があたしの体に入る感覚が体を貫く。

調理長は抵抗なくあたしの喉から股間まで一直線に切り開きました。
白いあたしの裸身が赤い血に彩られる。
必死で手を握って痛みに耐える。
そのまま血が流れるのを見た調理長の指示の下、調理人たちがあたしの両手を押さえつけました
そして、一人の調理人が手に持っていたのは鉈のような大きな包丁。
それを両腕の付け根に当てると思い切り力をかけます。

ドンッ!

両腕は体から切り離されてしまいました。
あたしは減摩されたとはいえ体を走る苦痛に悶え苦しみました。
その後、あたしの足、くるぶしから先も同じように切断されました。
切り離されたあたしの手足は大きな鍋に投げ込まれました。
残った体で肩で息をするようになっていたあたし。
調理長はあたしのお腹と両手足から血を流しつくしたのを確認して
あたしの切り開かれたお腹に手を入れました。

それからあたしは自分の体が料理になる痛みに歯を食いしばって耐え続けました。


ディナー会場

中央に座るのは満月のときだけのお姿になったご主人さま。
巨大なテーブルが小さく見えるほどの大きさのお体は黒い毛が覆いつくし、
大きく開かれた口の上にはこんもり盛り上がった鼻が見え、その奥に巨大な角が見えました。
その周りでお世話をするのがメイドたち。
その前が大きく空いている。
いうまでもない、そこは今夜の主役であるあたしのための場所でした。
ディナーとして皿の上に乗ったあたしは、全裸ではありませんでした。
「綺麗よ。」
メイド長もそういってくれている。
一通りの下ごしらえを終えたあたしにメイド長はあたしのドレスを着せてくれました。
「ディナーの最初はみんな着飾って出て行くのよ」
そういわれてドレスを着せられたあたしの体は動くことが出来ない。
横たわったままエプロンドレスを着ているあたしの姿はいままでと変わらないように見えますが、
その両手の袖と手袋、革のパンプスには中身が入っていませんでした。
調理長の手で「料理」になっていたあたしの体は、時折自分の意思と関係なくピクピク動くだけでした。
それでもあたしの体は皿に盛られたまま感覚を伝え続けている。
最後のメイド服の感触と、その股間があたしの体から出てくるおつゆでだらしなく濡れているのも。

そのまま運ばれたあたしはご主人様の前に置かれました。
あたしの腰が一度ぴくっと跳ねたのは調理のせいだけではありませんでした。

ご主人様はあたしのドレスのお腹の部分をはだけさせると満足そうな笑みを浮かべました。

そこにあるのはお刺身のように切れ込みを入れられたあたしのお腹。
おへそがピクピクと動き続けている。
ご主人様はおへその辺りを大きな手で摘んで口に入れました。
あたしのは自分のお腹がご主人様の口に入る瞬間をあたしはじっと見ていた。
くにゅくにゅ…ごくり
ついにあたしがご主人様の食事になれた。
歓喜に胸が震えました。
「お…おいしいですか?」
あたしは調理されてから動きの鈍磨した体を必死に使ってご主人様にうかがう。
ご主人様は満足そうにうなづく。
ああ…
あたしは自分の体が美味しいと言われたことにこの上ない幸せを感じました。
それからあたしのお腹は少しずつご主人さまの口の中へ消えて行く。

食べられるたびに消えていくあたしのお腹と、そこから露出するあたしの内臓。
そして、その度においしそうな顔であたしの肉を食べるご主人さまの顔を交互に見ていました。

あたしが一所懸命スタイルよく引き締めてきたお腹は、
今日この日、ご主人様に食べてもらえるためにあったのだと幸福感で一杯になりました。

ご主人様に美味しく食べてもらったお腹の肉が綺麗になくなると、そこからピンク色の内臓が
むき出しになりました。
ご主人さまはそれをじっとみています。
そのままご主人さまはあたしの内臓にむしゃぶりつきました。
「ああっ!…ぐ…ひぎ…」
麻痺させられたとはいえ十分に伝わる内臓が食べられる痛みに歯を食いしばって耐えます。
ずるずるとあたしのお腹から引き出される腸は昨日の絶食と調理長の下ごしらえの甲斐あって
綺麗なピンク色の艶を保っていました。
あたしはお腹の中が蹂躙されて内臓をご主人様の口でかき回される痛みを必死でこらえていましたが、
こらえても涙がこぼれてしまうのは止められませんでした。

ご主人様が口いっぱいにあたしの内臓を収めたまま顔を上げました。
あたしのお腹はすっかり何もない空洞になっていました。
ご主人様があたしの内臓で口の中を一杯にさせながら必死でモゴモゴさせているのが
どこかおかしくなってあたしはさっきまでの苦痛を忘れそうになりました。
ご主人様はそれでもあたしの味への賛美を忘れません。
綺麗で、ピンク色で、艶があって、舌の上でとろけて、噛むと濃厚な味が楽しめる
あたしはこうした賛美を聞きながら、このお屋敷に働いてよかったと思いました。

あたしの内臓が口の中から消えるのを惜しむようにしていたご主人様は
続いてあたしのスカートをめくりあげて洪水のようになっている股間から
パンティーを引き剥がしました。
そこには綺麗に切り込みを入れられたあたしの秘部がとろとろと愛液のソースをまとっていました。
股間の毛は綺麗に剃られています。
ご主人様の口に触っては大変ですから。

ご主人さまはあたしの股間をじっくりと見ています。
昨日の人間の女性としてみたそれとは違う「料理」としてのあたしのあそこ。
それをご主人様はじっくり眺めた後、摘み上げて口に入れました。
一緒にあたしの膣と子宮もくっついていたのが見えました。
昨日、ご主人さまを受け入れた膣は、今、料理としてご主人様の口に入っていきました。
こりっこりっ…
あたしの女の部分のどこかが噛み切られる音が聞こえてきます。
クリトリスでしょうか、秘裂でしょうか、膣壁でしょうか、それとも子宮でしょうか…
歯ごたえを楽しんでくれているのがご主人様の表情でうかがえます。

もう少し、あたしの女性としての部分が食べられるところを見たかったのですが、
あたしは皿とともに下げられてしまいました。

これからあたしの体の残りは少しずつ料理されてゆくのです。

調理場には、大きな鍋に煮込まれたあたしの手足が煮られているのが見えました。
このために、半日以上煮込まれていたあたしの手足から立ち上る匂いで調理場が充満していました。
調理長はすっかり空っぽになったあたしのお腹に大きな包丁をあてました。

ドン!

あたしの上半身と下半身が切り離されます。
これであたしの体は半分になってしまいました。
半分になったあたしをメイド長は特製の台座に立たせてくれました。
おかげでだらしなく脱ぎ散らされたパンティーやめくられたスカートを外して
裸身になったあたしの下半身が調理されていくのを見ることが出来ました。

白い素肌を晒す太腿と両足はひっくり返されて、お尻の肉と一緒に塩胡椒を擦り付けられていきます。
下味がついたら大きなハケであたしの両足やお尻にソースを塗りつけていました。

自分の下半身が調理されていくのを見るのは複雑な気持ちでした。

すっかり下ごしらえを終えたあたしの下半身はそのまま折りたたまれて紐で縛られ、
香味野菜を下敷きにオーブンの中に入っていきました。

それを見送るとあたしはふたたび食堂へ運ばれました。

ご主人様の前にあたしと一緒に運ばれたのはあたしの両手足のシチューでした。
じっくり野菜と一緒に煮込まれてやわらかくなったあたしの手をご主人様は
舐めるように食べていきました。
よく煮られた手はぼろっと肉が骨からはがれていくのが見えます。
あたしの手はあっという間にご主人様の口の中に入っていきました。
やわらかく煮られたあたしの手をくちゃくちゃと味わってくれているご主人様。
そんなご主人様に自分の目の前で自分の手や足を食べられるところを見るのが
今のあたしのお役目でした。
腕や足も、よく煮込まれて茶色になっていましたが、とろりとした肉の柔らかさに
満足そうな笑みを浮かべるのを見ると、あたしも嬉しくなってきます。
最後にあたしの骨や肉から染み出たスープをすすります。
このシチューに使われたあたしの手足から出たもので残されたのは骨だけでした。
あたしの全てがご主人様のお腹に入ったことを実感した瞬間です。

残った骨は今まで食べられた先輩達の骨と一緒に煮込まれてストックになります。
このストックからシチューやソースが作られるのです。
あたしは今まで見送ってきた先輩達の顔を思い浮かべました。
これからみんなと同じところに行くよ。よろしくね。

そして、ほどなく銀の容器に覆われた大きな皿が現れました。
さっきオーブンに入れられたあたしの両足とお尻のローストでした。

こんがりと焼きあがって狐色の艶を放っているあたしのお尻や太腿からは
芳醇な肉汁が溢れていました。
それが色とりどりの野菜やソースに彩られている様は食材になったあたしですら
「綺麗…」
とつぶやいてしまいました。

他の部位に比べても肉の多い太腿やお尻。
ご主人様も楽しみにしているようです。
あたしのお肉の味を本当に楽しんでいただける。
そう思うと嬉しさと同時に緊張感が湧き上がりました。
はたして、あたしのお尻はご主人様に気に入ってもらえるでしょうか…

ご主人様はまずあたしのお尻を手に取り、食べ始めました。
ぷつりと噛み切られたお尻の肉からはじゅわっと透明の肉汁があふれ出しました。
あたしのお尻のお肉は肉汁を垂らしながらご主人様の口の中へ収まります。
ご主人様はあたしのお尻から肉を噛み千切ってはプリプリの食感を楽しんでいました。
やがて、残ったのはあたしの腰の骨だけでした。
人体標本で見たような腰の骨。
自分のそれをこうやって見ていると、自分が食べられている実感が増してきました。

続いて太腿を、まるでバーベキューのようにご主人様はワイルドにかぶりつきます。
弾力たっぷりの食感を楽しんでいるご主人様の口の中から聞こえる咀嚼音。
あたしの太腿の美味しさを語るような音でした。
その過程で、ご主人様からはなんどもあたしのお肉の肉質のよさを褒めてもらいました。
あたしのお肉がご主人様に美味しいといってもらえた。
生まれてきてこれほどの幸せはありませんでした。

これであたしの体で残るのは胸から上だけです。
いよいよこのディナーの佳境に入ってきました。
メイド長が調理長と一緒に運び込んできたのは熱く煮えたぎった油の鍋です。
あたしにとりついたメイドや調理人たちはあたしの乳房や肩、胸に衣をまぶしていきました。
ご主人様は準備が終わるのを見て、あたしの頭を摘んで持ち上げました。
あたしの残った胴体はご主人様の手で揚げられることになるのです。
胸や乳房が目の前で油ではぜながら揚げものにされていきます。

「ぐあぁぁぁ!!!」

あたしは胴体から伝わる痛みと熱さに貫かれて、つい絶叫を上げてしまいました。
目からは涙が止まりません。
本当の意味で「料理」になる痛み。
薬草の配分を変えていれば今頃すでに絶命している痛みでした。
でも、あたしは後悔していません。
最後まであたしが食べられるのを感じていたいと思ったからです。
「…あ…おご…」
肺が揚げられるとともに、声は小さくなり、
最後に肺が出す空気が出させる声だけが出るようになりました。
あたしの胸も肩も、すっかりキツネ色の衣をまとってきました。

からりと揚がったあたしの胴体は塩をつけられて、皿の上に置かれました。
今度は服をまとっていない代わりに胴体からは油と肉汁があふれ出しています。
その内側では、あたしの乳房や胸の肉の味が閉じ込められているのでしょう。

あたしの首を摘んだご主人様は、そのままから揚げになったあたしの胴体を口に運びました。
まるでサクランボの実のように、あたしの胴体はご主人様の口に入りました。
いよいよ、ご主人様に本当の意味で食べられる瞬間です。
ご主人様の歯がから揚げになったあたしの胸に食い込みます。
あたしは目を閉じてその瞬間を待ちます。

ぐにゅ…ぶつっ

もう、肺も揚げ物になったあたしには満足な声もだせませんでしたが
それでも伝わる痛みをぐっと耐えました。
あたしの乳房が噛み砕かれる感覚です。
衣を噛み破ったご主人様の歯を、途中まではやわらかく受け止めていたあたしの乳房が、
ある瞬間からぷつりと噛み切られ、果実のような肉汁を流した瞬間でした。
あたしは普段から特別にバストの大きいほうではありませんでしたが、
それでも小さいわけではなく、なにより形のよさには気を配っていたつもりでした。
その乳房が、この瞬間、無残に噛み潰されてご主人様の口の中でボロボロと崩れていく。
あたしはその被虐感の混じった快感に酔いしれました。

衣と一緒に肉汁をじゅるじゅる流しながら乳房がご主人様の歯によって噛み砕かれる感覚。
そして、一緒に咀嚼される胸の肉がご主人様の唾液と一緒に交じり合う感覚。
全てが「あたしはご主人様に食べられた」という事実をあたしの心に刻み込みました。
骨も一緒に噛み砕かれるゴリ…ゴリ…という音も、
あたしがご主人様の食事に慣れた悦びを裏付けるものだった。

胸の肉や乳房の食感をご主人様が楽しむのと同じ間、
あたしは首だけをご主人様の口の外に出して「食べられている」被虐的な快感をむさぼっていました。

そして、ごくり…と乳房も胸も肩も飲み込まれた後、あたしの首は、皿の上に置かれました。

首だけになったあたしは調理場へと運ばれました。
メイド長さんが首だけのあたしに覗き込みました
「いよいよこれで最後よ。なにか言い残すこと、ない?」
あたしはお父さんやお母さんへの別れの言葉を残した後
「あたしはこの家でご主人様の食材になれて幸せでした」
と言いました。

いよいよデザートです。
調理長はあたしの首を持ち上げて、髪との境目に刃を当てました。
あたしの顔と髪の皮が徐々に剥がされていきました。
喉から口、鼻と少しずつあたしの顔が剥がれて行く感覚。
剥がれた部分がひりひりと痛みますが、調理長は構わずあたしの首から顔と髪を剥ぎ取ります。

これでいよいよ最後だ。そう思うと、それだけで絶命しそうな痛みでも耐えられる気がしました。

あたしの首からはすべての皮が剥がされました。
まぶたも失って、剥き出しの眼球からは調理長が用意した大きな鍋と
そこから汲み取られる茶色い液体が見えました。

皮の剥がされたあたしの首に、熱いチョコレートがかけられます。
顔と言わず首と言わず覆われるチョコレートを調理人たちは見事な手際で
あたしの顔のように整えていきました。
その間、眼球もチョコレートで覆いつくされるので、しばしあたしの視界は茶色になりました。

最後にクリームがあしらわれて出来上がりです。

それとともに、メイド長たちは剥がされたあたしの顔の皮を、人形にかぶせていました。
かろうじて残った眼球がチョコレートの被膜から解放されたとき、
あたしの目の前にはもうひとりのあたしがいました。
そのもう一人のあたしが見守る前で、あたしの首はケーキの上に乗りました。

これが、最後のデザートの趣向でした。
ケーキの上に置かれた皮のない首だけのあたしと、あたしの首の皮をまとった人形が運ばれます。

ご主人さまは、デザートになったあたしを感慨深そうに見た後、
口の中へケーキとともに放り込みました。
ご主人様の口の中の暗闇へ消える寸前、それをじっとみているあたしの姿をした人形が見えました。
「あたし」に見送られたまま、あたしはご主人様のお腹の中へ入るのです。

チョコレートの固まりになったあたしの首をご主人様はあめ玉のように口の中で転がします。
口の中の熱で溶けるチョコとともに顔についた薄い肉が舌でこそげとられてはかみ砕かれました。
あたしの体で残ったわずかな肉の味を最後にじっくり味わおうとしてくれているようでした。

やがて、あたしの目から感覚が失われました。
眼球がこぼれ落ちた瞬間です。
ご主人様はあたしの眼球をぷつり、ぷつりとひと噛みで潰しては、
あふれでたジュースを味わっていました。

ご主人様の歯が、あたしの頭蓋骨に食い込み始めました。

あたしは最後に、あたしの体を綺麗に食べてくれたご主人様に感謝の念を捧げました。
「あたしを食べてくれてありがとうございました」
ご主人様の歯はあたしの頭蓋骨を割り、中の脳や神経を舌でかきだしていきます。
それとともに、あたしの意識は深い闇へと消えていきました。


この日ディナーになったメイドの最後を看取ったメイドの顔の皮を使った人形は、
そのままご主人様の寝室へ運ばれました。
そこは、今までご主人様に食べられたメイドたちの人形のコレクションでした。
人間の姿に戻ったご主人様は、新たに加わった人形をじっくりと眺め、
ここだけは生きていたときそのままの唇に口づけを交わしました。
ここで、彼女達はご主人さまと永遠に一緒のときをすごすのです。


そして、次の満月の日。
また誰かが主人のために自らの身を捧げる日がやってくるのでした。

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最終更新:2010年05月06日 04:09