これはとある世界でのお話。
そこには人と、歩毛門と呼ばれる生き物たちが共存していた。
巷では歩毛門どおしに戦わせて雌雄を決する、歩毛門バトルなる協議が流行っていた。
少女・遥と、少年・勇気の二人は、歩毛門バトラーの頂点を目指し、『歩毛門リーグ』挑戦に向けて、日々精進していた。
「…今後の戦いに備えて、水属性の歩毛門が仲間に欲しいな。」
「そうなんだ。えっと、この近くなら『鮫肌亜』が釣れるみたいよ。」
「そうは言っても、俺たち釣竿なんて持ってないよな。」
困り顔で辺りを見回していると、勇気は工事中の看板の先にクレーン車を見つけた。
「あれを…借りるか。やっぱ『鮫肌亜』なんて大物釣上げるんなら、アレくらいのもん使ったほうがよさそうだしな。」
鮫肌亜は、全長約2m・重さ約90kgの、なんか鮫っぽいヤツである。
「え、クレーン車つかうの?じゃあ、あと餌はどうしましょうか。」
「『桃っぽい木の実(桃とは異なる)』を持ってたろ?鮫肌亜はアレが好物らしいぜ。」
―この世界では水中の生き物であろうと、木の実を好んで食らうなんてのは常識なのである。―
「あっ、ごめん。それお菓子作るのに使っちゃった。」
そう言い、遥はウエストポーチから桃っぽい木の実で作ったクリームを取り出した。
「……仕方ないな、それじゃ、そのクリームをほかの実に塗って代わりにしよう。」
「うーん、でも私たちほかに木の実なんて持ってないわよ?」
「いや。あるさ、そこに…。」
勇気は遥の腰を指差した。
「え?私のポーチには入ってないよ。」
「違うよ。遥のお尻のことだよ。」
「えっ、わ、私のお尻ぃ!?」
「そう、お前のお尻にクリームを塗って餌にするのさ。形もちょうど、桃っぽい木の実に似ているし……名案だろ?」
「え~、そしたら言いだしっぺの勇気が餌役やったら?」
「いやいや、遥がやった方が、絶っっ対美味しそうな、桃っぽい木の実になるからっ。」
遥のお尻は、適度な弾力とやわらかさに加え、キュっと実の締まった瑞々しいそれの形をしていた。
「そんなこと言って、食べられちゃったらどうするのよっ!」
「ルアーみたいに使うだけだから。本当に食べさせたりしないからっ。頼む、このとおり!」
手を合わせ頭を下げる勇気。
「…もお、しょうがないわねぇ。今回だけよ。」
しぶしぶ迷案を受け入れる遥。
「サンキュー、遥っ!」
斯して、鮫肌亜 捕獲計画は始まった。
ぐつぐつ、ぐつぐつ。
「ふええ~。勇気ぃ熱いよぉ。」
「我慢してくれ遥。茹でて桃色にしなくちゃいけないんだ。」
遥は腰回りを裸にし、シチュー鍋にお尻を漬けて煮込んでいる。
「今、他の材料を入れるから。」
勇気は桃っぽい木の実で作ったクリームを鍋に投じると、お玉でかき混ぜ溶かしていく。
「これで香りと味が染み込むまで煮込もう。」
ぐつぐつ…
―30分後―
「やあぁん…私、気を失いそうかもぉ。」
「そろそろいいかな…じゃあ遥、これを股間にあてがって。」
勇気はローターを遥に手渡す。
「何これ?」
「いいんだよ。遥は知らなくて。いいから言ったとおりにして。」
「う、うん。」
遥は見慣れないそれを手にし、調理器具かな?などと虚ろな思考を巡らせながら、勇気の指示に従う。
「いいって言うまであてがったままにしておくんだぞ。じゃ、スイッチ・オン!」
カチリ。
「うぅ!!」
ローターの振動にびくりとする遥。しかし健気に勇気の指示を守り、ローターを握った手に力を込め堪える。
ヴゥゥン…。
―xx分経過―
「ううぅ、まだ?勇気…私なんだかっ、お、お腹から…くっ、込み上げて来る…んっ…だけど…あっ」
「いいよ遥、それを鍋に投入するんだ!」
「う、くっ!あ、ああああっ!!」
(じゅっ、じゅぷぷ。)
「…はあ、はあ、勇気ぃ、何か出ちゃったよぉ。」
「お疲れ、遥。あと一煮立ちして出来上がりだ。」
ぐつぐつ。
「よし、いいよ遥。出て。」
「う、うん」
パシャア。
遥はふらふらと立ち上がった。
「ねえ、勇気…最後に私から出たのって何かな?おしっことは違う感じがしたけど…。」
「うん?隠し味だよ。今、遥のお尻はすごく旨い実になってるはずさ。」
「そうなの?……確かに、ちょっと美味しそうかも…。」
遥は自分の腰に目を落とし涎など垂らしている。
「はは…じゃ、ちょっと待ってろ。今釣竿拝借してくるぜ。」
工事現場が無人のことを確認し立ち入ると、勇気はいつ覚えたのか、クレーン車に乗り込み操縦し始めた。
「それじゃ、下ろすぞ、心の準備はいいか遥?」
シュノーケルを付け、遥はクレーンにロープで吊るされている。
「う、うん。いいわよ。」
パシャン!
遥は水中へ潜った。
しばらくすると、遥の香りに誘われて、一つの大きな影が寄ってきた。
「!」(あれって鮫肌亜?餌の私に気がついたのね!)
鮫肌亜の目には、遥の腰に実った果実が、それは大層なご馳走に映っていた。
鮫肌亜は遥との距離をぐんぐん縮めついに目前までやってきた。
そして餌に食いつこうと口を開く。
「!!」
そのとき遥は驚愕した、鮫肌亜の口内に並ぶギザギザに。
(え、なに?鮫肌亜って…)
ガ・ブ・リ・!
(こんな牙が…あったの…?)
鮫肌亜は、遥のその柔らかく、とろけそうな臀部に、齧り付いた。
そして、果肉を食い千切ろうと顎を引く。
ブチブチブチッ!!
「きゃあああああああああああ!!」
ブツンッ!
「あああ、わ、私の、お尻…があ…」
先ほどまで、遥の女の子の象徴として慈しまれていたそれは、今、海のギャングの口内に招き入れられた。
勇気によって施された渾身の味付けもあり、遥の果肉は、鮫肌亜の舌の上で、とても甘美な味わいを醸し出していた。
その後、租借によるより深い美味の堪能は続く…。
ぐぐぐ…。
そのとき、遥の上半身は上昇を始めた。
バシャアン!
「遥!だいじょヴ……」
クレーンのレバーを握る少年の表情は凍りつく。
「く…食い逃げ…された…。」
「…『食べさせたりしない』って、言ったくせに、…う…そつ………」(き。)
―GAME OVER―
最終更新:2010年05月06日 04:22