授業が終わった時間帯なのか下校中の生徒に部活動に汗を流す生徒の姿もある。
そこに巨大な異形の怪物が舞い降りた。
怪物は、校門から入り込み、周囲にいる女生徒を眺め、
すぐさま手近な女生徒を鷲掴みに抱え挙げた。
怪物は長い爪で彼女の服を引き剥がす。
彼女の制服は下着とともに無残に引き裂かれて宙を舞う。
衆人環視の中で彼女の裸身が露になってゆく。
時折深く食い込んだ爪が彼女の白い肌を引き裂き、赤い肉が見える。
裸身となった女生徒を怪物は足から大きくかぶりつく。
ガブリ
ひと噛みで彼女の両足は切断されて、怪物の口の中へ収まった。
しかし、裸身を晒されて食べられる女生徒が悲鳴を上げて苦痛や羞恥心に喘ぐこともなければ周囲の生徒達が逃げ惑うこともない。
彼女も周囲も何一つ動くことなく平常と同じまま、その場にとどまっている。
怪物は、時間を止める能力を持っているのだ。
止まった時の中を移ろいながらその中に閉じ込められた女性を食べる。
誰一人としてその存在を知覚出来ない怪物なのだ。
太腿中間で切断された切断面からは流れの止まった血がジェルのように固まり、
両足を失った女生徒は怪物につかまれながらも笑顔を浮かべていた。
怪物の口の中で、女生徒の両足は、年頃の女性らしい芳香を放ちながら骨とともに噛み砕かれる。
程よい弾力の足の筋肉とうっすらついた脂肪が怪物の口の中で交じり合う。
女生徒の足の食感を味わった怪物は、そのまま腰へかぶりつき、尻の肉と腰骨、膣と腸を口の中に収める。
甘い尻肉のやわらかな食感と膣のコリコリした歯ごたえを楽しみながら、怪物は濃厚な味わいの腹部、
女性の香りを濃縮した乳房と食べてゆく。
そして、最後に自分が食べられている自覚のないままの笑顔を浮かべた肩から上の部分を投げ捨てて、怪物は校庭へと歩いていった。
怪物が立ち去った校門には食べ残した両腕や彼女の肩と首、そして引き裂かれた服と下着が散乱したままになっていた。
その怪物に続き、同じような体躯の怪物が次々と舞い降り、校門周辺にいた下校中の女生徒を捕食しはじめた。
ある胸の大きな生徒は、即座に上着をたくし上げられてブラジャーを引き裂かれ、乳房を噛み千切られる。
豊満な乳房の味を味わいながら満足げな顔をする怪物の目の前で自慢の乳房を失った女生徒は
平素どおりの表情で大きな切断面となった胸を露出する。
別の怪物により帰宅中の女生徒が持ち上げられて、太腿を食べられる。
肉感たっぷりの太腿が怪物の口の中で女性の肉ならではの香りを放ちながら噛み砕かれてゆく。
残るのは足を失って転がる女生徒と食べ残された足だけだった。
校門は瞬く間に女生徒の体の破片と引きちぎられた服と下着が撒き散らされる空間となった。
校門を見下ろす校舎の窓には止まったままの女生徒の影が見える。
その窓のひとつに写る影の一つが動いたが、怪物たちはそれに構うことなく校内へと歩を進めた。
部活動の練習なのか校庭で走っていた女性の姿が怪物の目に止まる。
その怪物は、彼女の体操服を下着ごと引き裂き、裸身となった体を掲げあげる。
運動で鍛えられたまったく無駄のない肢体が光に照らされる。
その次の瞬間、彼女の裸体は怪物の口の中へ落下した。
何の抵抗もなく落下した裸体は怪物の口の中へ収まり、怪物はそれを咀嚼した。
運動で鍛えた体独特の弾力のある引き締まった肉が怪物の牙にかかる。
健康な内臓が一緒に噛み砕かれて、濃厚な味わいを放つ。
彼女の肉は、怪物の口の中でプリプリの食感を放ちながら踊っていた。
ある怪物が、食堂にある大きな鉄板が加熱したままでいることに気づいた。
さっそく怪物は、帰りにたむろする女生徒の一人の服を剥ぎ取り、
大きな包丁で手足を切っては加熱した鉄板の上で焼き上げる。
女性の二の腕が焼かれて、切断面から肉汁を垂れ流す。
焼かれた太腿の肉汁が溢れんばかりに鉄板に溢れる。
怪物は、それをおいしそうに頬張る。
それを見た他の怪物もどこかから持ち込んだ裸の女生徒を解体しては焼いて食べていった。
ローストされた女生徒の女の芳香が学校中に広がっていった。
その匂いは物陰にも、そこで息を潜める女生徒にも広がっていった。
(やだ…何?この匂い…まさか…)
目の前でうずくまっている美香とともに、階段の影で息を潜める女生徒の名は香織という。
異変の始まりは下校する前に入ってたトイレの中で、話し声が急に聞こえなくなった時からだった。
トイレから出ると、廊下を歩いているクラスメート達が人形のように動かなくなっていて、
叩いても呼んでも反応を示さなくなっていた。
そしてそれに驚く間もなく、空から見たこともない異形の怪物が舞い降りて、
校門にいる動かないままの生徒達を食べていたのだ。
「な…何がおきたの?」
トイレから出てきた美香が驚愕の声を上げたのはそのときだった。
そして、校内に入った怪物の目をかすめて階段の影に逃げ延びるまでの間に見た光景で、
この学校の中で動いているのはトイレにいた香織と美香だけだったことを理解したのだ。
そして、校内のクラスメート達が動くことも出来ないまま怪物たちに食べられてしまっていることも。
「あの怪物たちに見つかったらあたし達も食べられちゃう。何とか逃げないと」
そう話すも、怪物たちは廊下をうろうろしていて、見つからずに逃げる手立てもなかった。
こうなったら、怪物たちが立ち去るまで待つしかないかと思っていると、美香がささやくような声で言った。
「なんか足が痺れてきてるの。触っても感覚ないし、足の指を動かそうとしても動かない」
まさか…
この事態に気づいてから、意識して考えないようにしていた可能性が頭をよぎった。
この学校の生徒達が動かなくなった何らかの作用。
その効果が自分たちにも及んできたのかもしれない。
香織もつま先にわずかな痺れを感じ始めた。
形容しがたい嫌な痺れ。
「逃げよう」
二人がほぼ同時にいった。
このままいたら動くことも出来なくなる。なら、逃げるしかない。そう思ったのだ。
幸いにも怪物たちの通りが途絶えている。
香織は美香の手を引いて廊下に出た。
美香は足が動かなくなったのか足を引きずるようにしていた。
「大丈夫?」
香織が心配して尋ねる
廊下を必死で逃げ、非常口の目の前まで来た
「ちょっと…待って…」
美香が立ち止まったまま動かなくなっていた。
「まさか、足が固まっちゃったの?」
香織の問いかけにうなずく美香
「もう、腰の辺りまで感覚ないの。まるで、下半身が人形にでもなったみたい」
怪物が姿を見せたのはそのときだった。
!!!
悲鳴を上げようとした香織の体がその瞬間宙に舞う。
美香が香織を突き飛ばしたのだった。
「逃げて!」香織を突き飛ばした勢いでバランスを崩して転倒した美香が叫んだ。
倒れこんだ美香が怪物にさらわれていくのに後ろ髪引かれながら、外から校門に向かって走る。
美香の運命を気遣いながらも、校門へ走る。足が重くなっているのに気づいていたが、気にせず走る。
校門が見えたところで、そこに怪物がいるのに気づいた。
もう、足に感覚がなくなった香織には時間がないことは十分理解していた。
一気に逃げるしかない!
そう思って一歩目を踏み出したところで、その体が後ろに引っ張られる。
!!!
校門に注意を引かれている間に後ろに怪物が迫っていたのだ。
怪物は香織を抱えて食堂へ歩く。
香織は泣き喚くが、そこにいるのは動かない女生徒か、怪物に食べられた残骸だけだった。
食堂につくと、そこは信じられない風景が広がっていた。
たむろする怪物たちがてんでに捕らえてきた女生徒を厨房でバラバラに解体しては
焼いてテーブルで食べている。
食堂中に広がる匂いは、彼女達の体が焼ける匂いだったのだ。
香織は厨房に放り出される。
逃げようともがくが、既に腰まで感覚がなくなった体はいざることしか出来ず、
程なく動きを見咎められた怪物によって後ろ手に縛られてまったく動けなくなった。
鉄板で何人かの女の子の手足、胴体が焼かれるのが見える。
厨房では手足を失った裸身が転がっていた。
「絵梨…それに葉子まで…」
切り刻まれたまま無心の笑みを浮かべる女性の顔の中に
親しいクラスメートの顔がいるのに気づく。
彼女達もめいめいに焼かれては怪物たちに食べられてゆく。
焼きあがるときの独特の匂いがむわっと広がる。
時折聞こえるゴリゴリと骨を噛み砕く音が不気味に響く。
そして…
「美香ぁ」
恐怖の表情を浮かべたままの美香の体が解体されて鉄板で焼かれる。
眼をそらしたくてもそらすことが出来ず、さっきまで隣にいたクラスメートが
料理となり食べられてゆくのを瞬きせずに見ていた。
美香が食べられた後、香織の体はさっきまで美香が解体されていたテーブルの上に移された。
テーブルの周囲には美香の服や下着、そして、食べ残しの体の破片と
焼きあがった後の美香の体から流れていた肉汁が…そこまで考えて首を振る。
怪物が、大きな刃物を香織の太腿に当てる。
ゴクリ…
もう、逃げても無駄なことを悟ってしまうと体は不思議なほど従順に運命を受け入れていた。
スカートを捲り上げられて露出する太腿が刃物によって切断される。
太腿に冷たい刃物が入っていく感覚。骨に直接刃物が当たる感覚。
それらすべてを香織は呆然とした目で受け入れていた。
ゴトリと音を立てて太腿が転がる。もう片方も同じように切断される。
靴と靴下を脱がされた香織の両足は、鉄板で焼きあがって香織の目の前で食われる。
今まで自分のものだった太腿がこんがり焼きあがったキツネ色のまま肉汁を垂れ流す。
怪物がそれを噛み砕くと搾り取るように肉汁が怪物の口の中からこぼれる。
香織は自分の両足が食べられてゆくのを見ているしかできなかった。
香織の体の麻痺は既に胸に及んでいて、呼吸も苦しくなっていた。
両足を食べ終わった怪物は香織の胴体を横たえ、香織のスカートと下着を脱がせて腹部に刃物を入れる。
覚悟はしていたが…あれを見ることになるのか…香織は感覚を失った腹部にうっすらと
刃物の冷たい感触が伝わるのを感じた。
香織は、美香や他のクラスメートが解体されたときと同じように、腹部を切り裂かれては
中に入っている内臓を引きずり出された。
血の気の引いた表情で香織は目の前に自分の胃や腸、そして子宮や膣が引きずり出されているのを見た。
吐きそうになるが、今の香織の体には嘔吐するための内臓すらなかった。
香織の体の麻痺は頭部にまで及んでいて、考えることもままならなくなっていた。
視界と思考が少しずつぼやけていく。
焼きあがった膣や内臓が怪物の口の中へ入る。
コリコリと口の中で咀嚼されていくのが見えた。
あれ…美味しそうだな…
香織の思考は目の前の現実を受け入れるのを拒否し始めていた。
内臓を失ったあと、がらんどうになった香織の体は、腹部、胸、腕、乳房と解体されては焼かれてゆく。
ああ…これは夢なんだ…
目の前でこんがりと焼きあがった香織の乳房が食べられていくのが見えるとともに、視界が白い靄に包まれた。
香織の目にはすでに光が失われていた。
満腹となった怪物たちは女子高を後にして、別の時空へと転移し始める。
女子校は流れる時間の中の一瞬を切り取られたことに気づくことなく、
静かに下校時のひと時が流れていった。
美香と香織が放課後にトイレに行ったまま行方不明となったニュースが流れたのはそのしばらく後のことである。
最終更新:2012年11月28日 22:08