最大出力のスタンガンのスパークの前では、レイカの衣類はまるで導電体のようだった。
 今までに感じた事のない衝撃。絶頂で得る快楽とは全く異なる種類の本物の電撃が心臓の付近を通過すると、
レイカは声を漏らす事もなくその場に崩れ落ちた。下手をすれば死に至るまでの衝撃に、それでも意識がはっき
りとしているのは、彼女の身体もまた異質だからだろうか。
 電撃が脳から発せられる電気信号を麻痺させているのだろう、レイカの身体はビクビクと痙攣するだけだった
。呼吸が極端にし辛くなり、彼女の口から「ひぃ、ひぃ」という風を切るような音が漏れる。例えるなら金縛り
に似た状態なのかもしれない。
 ドスッ、と何かが落ちる音がした。ユリが手に持っていたスタンガンを地面に落としたのだ。地面で僅かなが
ら悶えるレイカを目の前にして、彼女は理性を取り戻してしまった。本当はこんな事をするつもりなどなかった
。暗い不気味な密林の中という状況とミナに対する嫉妬が彼女の心を破壊し、不安定な感情が動かしていただけ
なのだ。ハッと我に返った瞬間、込み上げてくる感情は後悔。そして混乱するユリ。

「ぁ、ぁあ……っ!? わ、私……私、何て事を――……っ!?」

 レイカの介護をしなければならない。だが、原因を作った自分にそれをする資格などない。
 レイカはユリに対してどんな気持ちだろう。謝って許してもらえる事柄でない事は確かだ。
 一歩足を踏み出してはその足を引っ込める。そんな葛藤がユリの心の中で幾度となく繰り返された後、彼女は
やがて全身を震わせ、目から大粒の涙を流しながら文字通りその場から逃げ出した。バクバクと心臓が激しく脈
打つ。まだ思考能力があり、勇気さえあるのであれば、逃げ出すのではなく自らの胸にもスタンガンを押し当て
、レイカを傷付けてしまった自分に罰を与えたかった。例えそれが死に至ったとしても。
 ゴメンナサイ、ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ――ユリの心を叫びは、まるで涙が代弁するかのように
幾度となく零れ落ちていった。彼女の足跡のように地面を濡らすそれは、一分も経たない内に乾いて見えなくな
っていった。

 ユリの足音が聞こえなくなった頃、一人その場に取り残されたレイカは徐に上半身を持ち上げた。まだ全身が
ビリビリと痺れているものの、動けない事はない。彼女は長い、長い溜息を吐きながら地面に落ちているスタン
ガンを眺めていた。
 私の身体にも通用する威力なんだ……護身用どころじゃないね。大丈夫だと思うけど、もう誰かに使われない
ように後でちゃんと壊しとかないと――とレイカは電撃の余韻を愉しんでいるかのように口元に妖しげな笑みを浮かべた。
 だが、その笑みを浮かべたのは刹那の間だけだった。レイカの表情が突如として変わり、鋭い目付きとなる。
片方の眼光の奥には何処かで見覚えのある淡い青色の輝きが見えた。そっと耳を澄ませると、頭上から聞こえて
くる音がある。風が草木を揺らす音ではなく、何かが蠢いているような、そんな音だ。
 この密林にはテリトリーなど存在しない。獲物を見付けたら早いもの勝ちだ。そのためどんな腹を空かせた異
形のモノが現れてもおかしくはない。この場合、獲物は人間の姿をしているレイカ以外に存在しない。
 レイカの身体はまだ満足に動ける状態ではない。だから彼女はすぐに上を見上げて、“ナニカ”に対して動き
を止めるよう命じようとした。だが、既に遅かった。上を見上げた彼女の視界に飛び込んできたのは、重力に引
かれるがままに落下するピンク色の“ナニカ”――固体でも液体でもないスライム状の化け物だ。上半身を持ち上
げた状態のレイカの身体を包み込むには十分な大きさのそれは、彼女に言葉を発する隙も与えなかった。

「――むぐぅっ!!?」

 レイカの身体が一瞬にしてスライムに包み込まれる。ピンク色とは言え半透明のそれは、外からでも彼女の様
子がはっきりと見る事ができた。

「ごぼっ、がっ、ぶぐぅ……っ!!」

 レイカの口から放たれる吐息が気泡となってスライムの体内に生じ、それはゆっくりと上昇してスライムから
飛び出し、外の空気に混じって消える。彼女が口を開けば口内にネバネバとしたスライムが入り込んでくる。
いや、口だけではない。スライムは身体を器用に変化させながら、レイカの口、胸、恥部を中心に執拗に攻め立
て始めた。
 こっ、このぉ……っ、私が誰だか分かって……んんっ!? ちょっ、そこはダメぇ――。
 外から見る限り、スライムがレイカに何をしているのか理解する事は適わない。半透明の軟体に包まれているだ
けだが、唯一分かるのは彼女の乳房が不自然に変形を繰り返している事だろうか。実際にはそれだけではない。ス
ライムはどうやら自由に身体の一部の硬度を変化させる事ができるらしく、事実レイカの股間にはまるで勃起した
ペニスのような硬い何かが触れていた。それはやはり外から見る事ができない。
 一分が経過する頃、レイカの表情は息苦しさに青ざめ、同時に全身に与えられる刺激により赤らめ、何とも言え
ないものへとなっていた。スライムの体内に消化されたのか、いつの間にやらレイカの衣服は全て消滅し、彼女は
生まれたままの姿になっていた。この状態では彼女の乳房を貪る様子が分かりやすい。乳房はまるで人間の手によ
って揉まれているかのように、五本の溝を作りながら上下左右に揺れている。口は相変わらず間抜けに開いたまま
で、どうやらスライムが激しく出入りを繰り返しているようだ。そして股間には奇妙なモノが存在していた。
 レイカの股間――割れ目から湧き出る白い愛液がスライムの中を遊泳するかのように漂っている。割れ目からずっ
と白い糸を引いているため明確だった。だが、股間に存在する立派な逸物は、とても同じ少女の身体から生えてい
るモノとは信じ難かった。
 ――ペニスだ。女性に存在する筈のないモノ。レイカにはそれがあった。丁度クリトリスのある個所から真っ直ぐ
にいきり立っている。胸にも股間にも女性特有のモノが存在する以上、女性に間違いはないのだが、彼女はそれと
同時に男性特有のモノも有していたのだ。両性具有者――俗に言う“ふたなり”だ。時折ビクビクと痙攣しているそ
れは今にも怒号を放ちそうだ。
 くぅ……っ、こんなヤツにいいようにされるなんて! 息がもう限界……で、でも、結構気持ちいいかも――とレ
イカが頬を紅潮させながらも苦しそうに肺に残っていた空気を吐き出した頃には既に三分経過しており、普段から
水泳などで鍛えている者でもない限り意識を失ってもおかしくはない時間だ。彼女は別にそういった趣味も特技も
ない事から、股間の逸物も含めてやはり異質な身体である事が伺える。
 レイカの意識も限界に近付くと、スライムはそれを悟ったのか彼女の身体を勢い良く体内から吐き出した。水の
中に重い物を落としたような水音がした直後、彼女の身体が冷たい地面に倒れる音がした。彼女は全身ずぶ濡れ
で、至る所にピンク色の液体が付着している。
 数分振りに新鮮な空気の元へと飛び出したレイカが空気を震わせるような激しい呼吸を繰り返している間、スラ
イムはその場でブヨブヨと身体を動かしながらじっとその様子を伺っていた。体内に残った彼女の愛液を時間を掛
けて消化している。衣服を消化するのはあっという間だったのに対し、愛液の扱いはまるで違う事から、恐らくス
ライムは女性の愛液を搾取してじっくりと味わうのが目的なのだろう。無論、それだけで終わるとは到底思えない事だ。

「はぁっ、はぁっ、はぁ――……あっ!?」

 ビュン、と風を切る音と共に勢い良くスライムから伸びたいくつもの触手。まるで磯巾着のような姿に変形した
スライムは、その触手をレイカの身体に巻き付けて軽々と身体を持ち上げた。レイカの濡れた素肌にはべったりと
土が付着しており、ぶらぶらと空中で身体が揺れる度にボタボタと地面に落ちていく。
 彼女の身体は大の字に広げられ、逃れようともがくもののスライムの力は強く、全身に巻き付いた触手はビクとも
しない。彼女がそうしている間にもスライムは身体から新たな触手を伸ばし始める。向かう先は当然と言うべきか、
体内に捕えていた時と同様に口、胸、股間だ。
 窒息死寸前まで追いやられていたレイカの身体は脳に酸素を送る事に精一杯だ。全身に力が入らない。
 本気を出せれば、こんなヤツ――とレイカは歯をギリリと鳴らす。両の目は怒りに満ちているものの、これから何をさ
れるのかに薄らと妙な期待をしている気持ちも否めなかった。彼女も異質な身体を持っているとは言え、人間と同じ女
性だ。得られる性的快楽や性感帯もまた、同じなのだ。いや違う、彼女の股間に逸物があるため、それ以上のものと言
えるだろう。
 殆どの生物は己の欲望に忠実だ。しかし生物の中で最も高い知能指数を持つ人間と同じそれを持つレイカは、スライ
ムをはじめとする他の異形の者のようになれず、もしかしたら今までに味わった事のない快楽を得られる機会だと言う
のに抗おうとする。異形の者からすれば滑稽な姿に見えるかもしれない。理性――否、感情とは厄介なものだ。尤も、全
ての生物が己の欲望に忠実だったなら、少なくとも世の中に秩序が保たれる事はないのだが。
 ミシ、とレイカの腕の骨が悲鳴を上げる。無様にも抗おうとするレイカをスライムが煩わしくなったのだろう、巻き
付けている触手に力を込めたのだ。激痛に声が漏れそうになるのをぐっと堪え、彼女は反撃の機会を伺う。だがやはり
弱った今の身体では無理な話だ。そうしている内にスライムから伸ばされた触手が一斉に彼女を襲い始める。振るわれ
た鞭のように敏捷性の高いそれは、瞬きを一つする間にレイカの口と恥部へと侵入を果たした。

「ぶふっ、んご、もごぁ……っ!? んぐっ、んっ、むぐ……っ!!」

 口内に入った一本の触手が咽喉まで伸びて中を掻き回す。膣内に入った一本の触手が子宮口まで伸びて入口を押し広
げる。いずれの“穴”も触手自体が半液体状のため出し入れを繰り返すのはスムーズだ。触手自体が潤滑油の役割を果
たしているのだ。ヌルヌルと身体の中で蠢く感覚は、レイカにとって意外にも嫌悪感の小さいものだった。激痛や苦痛
に苛まれる事などなかった。それによって生じるのは快楽のみ。その証拠と言うべきか、特に恥部を貪っている触手に
は大量の愛液が伝っている。
 触手によって口を塞がれた今、鼻を使って呼吸をするしかない。何とかして身体を落ち着かせ、五体満足の状態に戻
したいレイカだったが、その荒々しい鼻息に混じって嬌声が漏れ始めていた。快楽に正直な身体が膣内に愛液を大量に
分泌するだけでは飽き足らず、艶めかしい嬌声を上げようとしているのだ。

「んっ、ふぅん……っ、ん~~っ! んんっ、ふっ、ふぅ、んふぅ……っ!」

 恥ずかしい声の混じった吐息が静かな密林に響く。灯りが完全に見失われてから何分も経過しているせいか、目が暗
闇に慣れてきている。見えなかった道も木も薄らと見える。レイカはその暗がりの視界の中にユリの姿を探した。この
状況を作り上げたユリを咎めるためでも、助けを乞うためでもない。もし負い目を感じてこの場に戻ってくれば、彼女
もまたスライムの餌食となってしまう――……それを心配していた。ユリを咎めるのはスライムでも他の異形の者でもな
く、自分しかいないとレイカは既に心に決めていたのだ。
 レイカは耳を澄ましてみた。聞こえるのはスライムが蠢く音と、自らの口と恥部に生じている液体がいやらしく立て
ている音のみ。近くにユリがいる気配もない事に相変わらず嬌声を混じらせた小さな溜息を鼻から吐き出す。

 まさか私が晒し者にされるなんてね……こんな筈じゃなかったのに。今頃会場は私が辱められてる様を見て盛り上
がってるのかしら? クルミちゃんなんか今頃目を丸くして見てるのかも。とにかく、ユリちゃんには後でお仕置き
しなきゃ。そう、たっぷりとね――。
 スライムに責め続けられているというのに別の事を考えられるのは、レイカの身体に力が戻り始めた証拠だろう。だ
がそれでも鼻から漏れる嬌声は艶めかしく、頬は紅潮している。彼女は自らの力を確かめるように拘束されている手足
を動かしてみた。案の定、軽々とスライムの触手を引き千切れそうだ。
 レイカが考えている通り、自らが辱められる事は想定外であり、その光景を会場で放映されているのを思うと羞恥心
が激しく揺さぶられる。だが、ここで本性を曝け出してしまえば会場が白けてしまう事は目に見えている。いくら彼女
にとって想定外とは言え、余興は必要だ。
 目を閉じながら鼻から吐き出される長い、長い溜息はレイカの心情を露呈する。即ち、このまま晒され者になる事に
諦めたのだ。そう決めてしまえば話は早い。彼女は身体中を駆け巡り、頭を蕩けさせる刺激を正直に受け入れ始めた。
それと同時にもっと会場が盛り上がるように努め始める。

「ふぅ、ん……んっ、んっ、ぅぅんっ! んぶっ、んん、じゅっ、じゅるるる……っ!!」

 できるだけわざとらしくに聞こえないように、レイカは一際大きな嬌声を漏らし始める。口を塞がれながらも漏れる
嬌声とはこれほどまでに艶めかしいものだろうか。加えて激しく口内の触手を吸う音が響き始める。声と音だけであれ
ばまるで裸の男女が“シックスナイン”の体勢で互いに慰め合っているように聞こえてくる。化け物に少女が辱められ
ているなど、誰が想像できるだろう。
 嬌声に気を良くしたのか、スライムは口内と膣内の触手を激しく動かし始める。更に後者の触手に動きがあった。膣
を貪っている触手から新たに触手が形成される。赤ん坊の指のように細いそれは、真っ直ぐに上に伸びていく。伸びた
先――膣口の上部に位置する、女性にとって存在する筈のない立派なモノ――ペニスだ。彼女のペニスはスライムの体内に
取り込まれて以降、ずっと勃起した状態だ。膣内を触手に暴れ回られる刺激に呼応するかのように、ビクビクと震えて
いる。先端部からは白い液体が垂れていた。

「んーっ、んんんーっ!! ずじゅっ、ぢゅるるぅっ、ふぅんっ、んっ、んむぅっ!!」

 細い触手が蛇のようにペニスに巻き付き、触手の先がペニスの先端部を刺激するとレイカは一際大きな嬌声を漏ら
す。意図して漏らした訳ではない、男性として得られる快楽と女性として得られる快楽が同時に押し寄せたためだ。自
然とそんな声を漏らしてしまった事を恥ずかしがるのは今更だ。
 レイカは恍惚とした表情を浮かべる。
 んっふふ、意外と上手なのね……あっ、そう、そうよ、もっと激しくしなさい……私に気付けないおバカさんだけ
ど……んっ、はぁっ、私を満足させる事ができたら、お仕置きはしないであげるわ――。
 磯巾着のような姿をしていたスライムが再び姿を変える。レイカに巻き付けた触手をそのままに、身体全体を大きく
膨張させ始めた。最初の大きさでは人一人を体内に取り込むのが精一杯の大きさだったが、今ではその二倍、否、三倍
は大きくなっている。膨張したスライムに触れた草木が一瞬で吸収され、跡形もなく消える。それを幾度か繰り返す内
に、スライムを中心とした一定範囲内にレイカ以外の動植物の姿は消え失せた。
 触手によって高々と持ち上げられるレイカの身体。十メートルは悠に上がっただろうか、その高さから真っ逆さまに
落とされれば一溜りもないだろう。空中に持ち上げられて犯されるという今までにない感覚が、レイカの心をより昂ぶ
らせていた。
 そんな恐怖など微塵も感じていない。口や恥部から垂れるいくつもの滴が遥か下の地面に落ち、小さな波紋
を作る。
 不意に、レイカの身体を貪る触手の動きが止まった。口、恥部に伸ばしていた触手が徐に本体へと戻ってい
く。彼女はまだ絶頂を迎えていない。まるでお預けを命じられた犬のような目線で彼女はスライムの方へと首
を向けた。彼女が見たモノ、それは巨大な口。巨大化したスライムが人の、否、化け物のような口の形に姿を
変えていたのだ。
 あぁ、私を食べるつもりなのね……ほら、早くぅ……あんまり焦らさないでよぉ。もっともっと私を弄ん
で、私をイかせてぇ――とレイカは両手両足を縛られたまま、空中でキュッと引き締まった小振りなお尻を振る。
 スライムもまた、焦らそうというつもりなどなかった。巨大な口を大きく開き、レイカごと触手を口へと引
き寄せていく。彼女はふと、嫌がって抵抗してた方が萌えるのかな、と思ったのだが、身体が快楽と絶頂を求
めている以上、その思考は泡沫のように跡形もなく消えていった。
 ゆっくり、ゆっくりとスライムはレイカの身体を引き寄せる。そしてある程度近付いたところで、大きく口
を動かした。

 ――バクンッ。

 レイカの視界が一瞬にしてピンク色に染まる。それと同時に最初にスライムに取り込まれた時と同様に全身
が生暖かい感触に包まれた。四肢を縛っていた触手の感覚はいつの間にか消えており、代わりに全身を揉み解
されているような感覚が生じ始めた。それは瞬時に快楽へと変換される。彼女は大の字の格好でスライムの体
内に取り込まれている状態だが、彼女自身は動いていないのにも関わらず、乳房と尻肉を中心に激しく柔肌が
脈打っている。スライムがそうさせているのだ。
 全身が性感帯になったかのように、レイカに与えられる快楽が一気に上り詰める。スライムの体内にいるだ
けで、スライムが動いて彼女の身体に触れる度に快楽が生まれる。それは主な性感帯である乳房、膣、ペニス
だけに飽き足らず、背中や腋、指、耳、鼻――つまり全身に衝撃が走っていた。それらが一斉に脳に快楽として
伝わると、プシュッと膣口から大量の愛液がスライムの体内に飛び散った。ちなみに膣口はスライムによって
大きく押し広げられ、膣内の様子がはっきりと見る事ができた。
 んぁあっ、はぁっ、あんっ! う、嘘ぉっ、こんな気持ちイイの初めてぇっ!! ダメっ、ダメぇぇぇ
っ!! こんなにされたらすぐにイっちゃうよぉぉぉ――とレイカは迫り来る快楽の大波に、歯を噛み締めなが
ら首をぶんぶんと左右へ振って堪えようとするが、それはあまりにも意味のない事だ。相変わらず一切呼吸が
できないスライムの体内にいるというのに、そこに危機感を感じられなかった。苦しさよりも遥かに強大な快
楽がそうさせているようだ。

「ぐぼぉっ!!? ごぷぅっ、んぐっ!! ぐぶぅ……っんんんーーーっ!!!」

 気泡と化す声はくぐもり、それでもそれが艶めかしい嬌声だと分かる。押し広げられた穴という穴、そこか
ら体内へと侵入していくスライム。口から、耳から、鼻から、膣から、肛門から。だがそれは決して苦痛に至
る事はなく、レイカの脳内で快楽へと変換されていく。全てが気持ち良かった。子宮内や腸、胃の中さえスラ
イムに満たされてもそれは変わりはしない。

「……っ、~~~~~~っ!!!」

 言葉にならない声を上げながら、やがてビクン、ビクンとレイカが大きく背筋を仰け反らせた。ほぼ同時に
勃起したペニスの先端から白濁色が尿のように勢い良く噴出し、尿道口からは本物の黄色い尿が噴出する。
 ――スライムの体内に取り込まれ、ものの一分足らずで早くも絶頂を迎えたのだ。
 スライムの半液体状の体内で、まるで波に揺られているかのように動くレイカの体液が、ゆっくりと時間を
掛けて消化されていく。彼女には絶頂の余韻に浸っている暇など与えられなかった。スライムの動きは止まる
事はなく、彼女の全てを貪っていく。
 一体何回絶頂を迎えたのだろうか。窒息に近い状態も相俟って、レイカの視界は真っ白に染まっていた。脳
が蕩けるような錯覚の中、彼女は徐々に身体が熱くなっている事に気が付いた。全身が熱い。身体の内側まで
もだ。不思議と痛みはなかったが、身体に何が起きているのか、考えるまでもなかった。
 スライムがレイカを消化しようとしているのだ。彼女の体液と同様に、ゆっくりと、時間を掛けて。
 強く一度瞬きをして自我を少しばかり取り戻した時、スライムの身体は既に最初と同じ大きさに戻ってい
た。巣へと戻ろうとしているのだろう、レイカを体内に取り込んだままのそのそと動いている。真っ白に近い
視界の中で動いていく景色を見る事ができた。火傷のように爛れて醜くなっていると思っていた、熱いと感じ
ている手足にはまだ何も異変は見られなかった。
 このまま犯され、快楽に溺れながら消化されるのも悪くない死に方だ。いや、激痛に苛まれながら死ぬより
遥かにマシだろう。だがレイカはスライムの肥やしになるつもりなどこれっぽっちもなかった。心の奥底で
「このまま気持ち良く溶かされたい」という気持ちを噛み潰した時、彼女の片目に再び蒼い炎が灯る。
 ――そして、レイカはチカラを解放した。
 体内に異変に気付き、動きを止め身体を強張らせるスライム。体内で見る見る内に姿形が変わっていくレイ
カの姿を確認し、彼女の正体に気付いた時にはもう遅かった。彼女に対し謝罪も何もする暇さえ与えられな
い。慌てて彼女を体外へと排出しようと試みるも、彼女が自ら外へと飛び出す方が早かった。
 辺り一面に飛び散るピンク色の肉片。地面に降り立つ人間に近い姿をした“それ”。だが“それ”は決して
人間の姿ではない。
 背後で赤ん坊の泣き声のような声を上げながら、スライムが飛び散った自らの肉片を集め始めた頃、“そ
れ”――レイカは一歩足を大きく踏み出す。そして地面に落ちていたスタンガンを持ち上げ、スイッチを入れ
る。そのスパークに照らされた彼女の口元は妖しく微笑んでいた。

「あ~気持ち良かった、なかなか満足したわ。でもまだ……ウフフフッ。さてと、まずはユリちゃんにお仕置
きしなきゃね……」

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最終更新:2012年11月28日 22:36