真っ白な部屋の中にいた
何もない部屋には、俺だけがいた。
壁はあるが、天井はなく、見上げたら空があった
その空に昇っていく男女の姿があった。
男の方がこっちを振り返る
「お前が跡継ぎか。少し驚くかもしれないが、悪いもんじゃないぜ。ま、後はよろしくな」
そう言い残すとふたたび空へ向き直し、見えなくなるまで昇って行った。
何の跡継ぎだ?ここで何を継ぐんだ?
そして…
目を覚ます
不思議な夢だった。
見回すといつも通りの俺の部屋だった。
昨夜の騒乱の後を残す放り出されたクッションや飲みかけのグラスが目に留まる
ああ、そうだ。昨日は…
「あたしのこと、本当に好きなの?」
恵美にそう言われて、俺は驚いた。
たしかに最近仕事が忙しくてあまり構ってやれていない。
しかし、そういうことを言ってるわけではないようだ
昨日はいつもより妙に積極的だった恵美は初めて俺の部屋へあがりこんだ。
そして、グラスを傾けた後、ふと目にとまった時計を見て
「終電、大丈夫か?送ってやろうか?」
それから一転、真っ赤になった恵美は取りつく島もないほどに怒り、あの一言を残して帰ってしまった。
何に怒っているのか?
これから彼女に何か言うべきなのか?
謝るべきなのか?だとしたら何に?
起き抜けの頭が昨日の騒乱の収拾に動き出した頃、頭の中で、不思議な声が聞こえた
「何をしている。早くあそこへ行くんだ。時間はないぞ」
どこかで聞いたような声とともに、激しい頭痛が響く。
なぜか、それを皮切りに俺の意識に叫びかけるものがいた
ココハオレノイルベキバショジャナイ
そこからは、急だった。
何かにせかされるように俺は身一つで部屋を出て、駅へ向かった
そこから向かったのは、行ったこともない町
そこで降りた俺は、フラフラと港へでて、船に乗った
船の行き先を見ることもなく。
船は島へつき、そのまま俺は山へ歩いて行った
途中、買ってあったドリンクを飲む
部屋を出てからずっと、妙にのどが渇くのだ
そして、腹が減って仕方なかった
店の人が驚くほど買った弁当や菓子類が気が付いたらほとんどなくなっていた
そして、焦点の定まらない目でたどりついたのは山頂の大きな建物
そこに入ると、誰もが俺を見咎めることなく建物へ招き入れた
嫌に丁寧に。
いや、崇めるような目線で。
俺は、招かれるまま部屋へ引き入れられた。
疲れた…
豪華な飾り付けがされた広い部屋に俺は倒れこんだ。
服はいつの間にか脱いでいたようだが、いつ服を脱いだかすら記憶になかった
俺の意識はそのまま眠りの海へ沈んでいった。
また、あの部屋にいた
俺はただ一人だった
ここで、何をするのか?
腹が減っていた。
無性に腹が減って仕方なかった。
目が覚めた
まず覚えたのが体の違和感だった。
手足の感覚がない
腹ばいをしている感覚
起き上がろうとしても起きられない
体をよじるようにして動いてみる
ドシン!
大きな音が響く
まるで重量物を壁にたたき付けたような
そして、体の一部に衝撃が伝わる
俺の体が出した音なのか?
わからないことだらけな中で、視界に入ったのは変な服を着た男だった
「お待ちしておりました。崇神様」
なんだ?崇神様って?
何かを尋ねようと口を動かすが、声にならない
「こちらへお越しになってから3日間お眠りになっておりました。
その間に先代様にも劣らぬ見事な崇神様になられたようでお喜び申し上げます。
さ、どうぞ。神々しいお姿をご確認ください」
差し出された鏡に映った姿を見た俺は気を失い、その場に倒れた。
そこに映っていたのは金色に輝く巨大な蛇そのものだった。
再び意識を取り戻す。
あの男はもういない。
俺は崇神様と称する巨大な蛇になってしまった。
この姿では外に出ることはできない。
出てしまっても人間扱いされるはずがない。
どうすればいいのだ?
混乱する俺の意識を支配するもう一つの感情
腹が減った
体が変化したせいか、それともこの体がもともと燃費が悪いせいなのかとにかく腹が減って仕方なかった
しかし、頭に浮かぶのは今まで俺が食べてきたいろんな食べ物ではなかった
その代わりに、もやもやした不思議な想念が浮かんでいた。
しかし、その想念を俺ののこっていた人間の理性が必死に阻んでいた
不思議な想念が浮かんでは消え、浮かんでは消える
どれくらいそれを繰り返したろうか…
あの男がやってきた
「これより、崇神様お就きの儀式がございます。申し訳ありませんがご足労願います」
そういってドアを開けて俺を導く。
特に何をするでもないし、何をすべきかすらわからない俺は、慣れない蛇の体を引きずりながら部屋を出た
長い廊下を通って、ドアの向こうには
大きな祭壇があった
そして、眼下には多くの人の姿
彼らは不思議な祈りを俺に捧げている
なんとなく、俺の位置が分かった
彼らの信仰する宗教の崇めるご神体というのが崇神様、つまり俺だということだ。
なぜ俺がそんなものになったのかはわからない。
もちろん、この後俺が何をするのかも
ただ、ひたすら腹が減っていた。
わけのわからない儀式が俺を無視して祭壇の前で行われている。
儀式が進むたびに群集の興奮も上がっているようだ
そして…
「これより崇神様に初めての生贄を召し上がっていただきます」
生贄?
そういわれて、祭壇に運ばれたのは全裸の娘だった
娘は祭壇に乗せられる。
その姿を見た俺の意識に、あの想念が浮かんだ
「ウマソウ…食ベタイ」
娘を目にしてから、その想念は防ぎようもなく拡大していた
その想念の拡大に混乱している俺の目の前で、さらに信じられない景色が進行していた
娘を数人の信者の男が輪姦していったのだ
恐怖に怯えつつも、娘は動くことも逃げることもなく男たちに犯されるままになっていた。
娘の股間から破瓜のそれと思しき出血が見える
娘は少しずつ恐怖の中に女性の快感を擦り込まれていく
そして、全員に犯された後、残ったのは放心状態で股間から精液を垂れ流し、全身精液まみれにされた無残な姿だった。
信者たちは娘を祭壇から俺の目の前に移す
娘は、弱弱しい視線を俺に向ける
ナントウマソウナ ムスメダ
そう思った一瞬後のことだった
俺の口の中から大きな舌が伸び、娘を口の中へ飲み込んだ
そして、娘の体は抵抗なく喉を通っていく。
俺は、あの娘を飲み込んだ?
のど越しに、娘の弾力のある肉感、すべすべの肌の感覚、
そして、たれ流れた愛液からにじみ出る女性の臭い
あの娘のすべてがのど越しに感じられた
小さな顔と頭はするすると喉を通っていき、その下にある二つの膨らみがのどを刺激する
その刺激はいったん腹のくびれで弱まって、腰の尻の肉や太腿で再び強くなる
肉質の良い尻や太腿を俺の喉は感じていた
娘の体は、腹の中で留まった。
娘はもぞもぞと俺の腹の中で動く
動くたびに娘の柔らない体を感じていた。
その娘の動きが突然急なものになった。
それとともに、腹の奥に今まで味わったことのない味が広がった
濃縮した女性の味とでもいうような甘美な味だった
そして、腹の中の娘の感触が、舌の上で溶ける砂糖菓子のように崩れていった
俺の腹の中で消化されている
そう感じたころには、娘は動きを止めていた。
溶けていく娘の体が奥へ奥へと流し込まれる
俺の感覚は、それが顔の肉なのか太腿の肉なのか膣のなれの果てなのかがはっきりと識別していた
あの娘を俺は食べてしまった。
最終更新:2013年04月29日 10:36