ピーチ姫はマリオ、ワリオ、ヨッシーとマリオパーティを楽しんでいた。
いつもクッパにさらわれるだけの姫だが、このシリーズではマリオたちと同じ土俵に立っている。
力もスピードもジャンプ力もみんな同じ、クッパと出会ってもさらわれることがなく、
誰が出会ってもコインをとられるだけで全てが平等だった。
……その分ミニゲームにおいても平等で、ワイワイみんなでコインを集めるゲームはいいが、
生き残りを決めるゲームでは皆女である姫にも容赦がない。しかもリタイアしたときがなかなかに恐ろしい。
大空から転落、海の藻屑、ゲッソーやテレサに連れ去られるなど普通なら死んでしまうような場面もある。
しかしそんなことではボードゲームが成り立たないので、そこはガイドのキノピオが連れ戻してくれている。
他にもヒップドロップで踏みつぶされる、ヤリで刺されるなどのケガは痛みを感じてしまうが、
それもキノピオが治してくれている。
そのためピーチは多少怖いミニゲームも安心して楽しんでいた。
しかしピーチには1つだけ気になることがあった。時々お尻をけがしてしまうことである。
尖ったクイにヒップドロップをしてしまう、ボブーやマグマで
お尻が燃えてしまう、そんなミニゲームも存在している。
お尻のケガも治療されるが、ピーチ姫にとってお尻をけがしてしまうことが1番嫌いだった。
時には攻撃に使うこともあるが、スカートの上からでもわかる艶やかな曲線を描くそのお尻は
姫にとって最も自慢でき、自分の中で1番好きな部位である。そのお尻を負傷し手を当てながら
飛び上がる様を男たちに見られ、その後お尻を治療されることはとても恥ずかしかった。
マグマに落とし合うようなゲームでもマリオたちは全力でピーチを攻撃し、そのお尻を焼こうとする。
そのため「なんで女の子のお尻をいじめるのよ。」としばしば愚痴をこぼしていた。
さて、とあるターンにピーチは赤マスを他の3人は青マスを踏み、1vs3のゲームが始まろうとしていた。
「赤マスでコインも少し減っちゃったし、私1人だけがコインを稼げるようなゲームが来るといいな。」
と姫は願っていた。そんな中決まったゲームが決まった。「ジュラシックパックン」
「……パックン?」ピーチはパックンと聞き、いい予感と嫌な予感がした。
パックンフラワーが絡むミニゲームで思い当たるものが2つあった。
1つは、土管から出てくるパックンフラワーを踏みつけ、踏んだ数だけコインが手に入るという1人用の
ボーナスゲームである。反撃で噛みつかれるような事もなく、一度でかなりの枚数のコインを一人占めできる最高のゲームである。
もう1つは、クッパきぐるみを着た1人と他3人で綱引きをし、落ちた方が崖下の巨大パックンフラワーに
丸呑みにされ、食べられたものはコインにされてしまうという残酷なゲームである。呑まれてしまっても
ゲーム後は何事も無かったかのようにキノピオに戻されるわけだが、パックンフラワーに食べられることは確かであるため、ピーチにとってはトラウマである。
後者の恐怖が頭をよぎるが、前者のようなボーナスミニゲームであることを願いながら
ピーチはキノピオにルールを尋ねた。「こ、これってどんなルールかしら?」するとキノピオが説明を始める。
「まず3人側は雨雲に乗り、ヒップドロップをして雨を降らせます。パックンフラワーは雨を浴びると巨大化し、足も早くなっていきます。
ピーチさんはそんなパックンフラワーから逃げて下さい。また、途中岩や丸太などが転がっているの
でご注意ください。負ければコイン15枚減り、勝てば15枚もらえます。」
この説明を聞いて1人側が不利なゲームであることが分かる。それからもう1つ気になることを恐る恐る聞く。
「つ、捕まっちゃったら、どうなるの?」
「噛まれてしまいます。お尻を。まあその後治療はしますけど。」
キノピオのその答えでピーチの顔は一気に青ざめてしまった。「今度は自慢のお尻を化け物に噛まれてしまうなんて…」
「あ、そういえばマリオさん、ワリオさんは以前1人側で負けてしまったようなので話してあげたらどうですか?
ヨッシーさんも3人側にはいましたね。」とキノピオが2人に話を振った。
まずマリオが語る。「あんまり思い出したくないけどな…。僕はまだ前半のうちに捕まっちゃった。その時パックンはまだ僕くらいの大きさだったけどすっごく痛かったよ。」
続いてワリオ。「俺様はあと少しの所で喰われちまった。その時奴は5メートルほどに巨大化していて噛む力も凄まじかった。もうケツが千切れるんじゃないか、ってくらい痛かったぜ。」
「あ、2人とも噛まれている長さは同じでしたよ。」とヨッシーも補足した。
以上を聞き終わって「聞くんじゃなかった。さらに恐怖が増したじゃないの。」と言いピーチはガタガタ震えていた。
コインが欲しいが、もし後半で捕まったらとても痛い目に遭う。始まってすぐにわざと噛まれるのも痛いし癪である。
ふと、今まで負けた時のことばかり考えていた事に気付く。勝てば、1vs3らしく1人側は多くのコインをもらえるのである。
パーティでは女だからといって不利なこともない。ピーチは己を奮い立たせ、
「ヒントももらったし、絶対逃げ切ってやるんだから。」と覚悟を決めた。
「さあ、始めるわよ。」その声で4人はミニゲームのステージに移動した。
最終更新:2016年01月24日 12:38