ファーレードには『魔人』と呼ばれる存在が何体か噂されている。
魔獣の力と人の知恵を併せ持つ最強クラスの存在。
だがその強さと反比例して彼等は『ルール』を持っていた。
曰、6人以上のパーティーしか襲わない、曰、特定の部屋に入った物しか襲わない
そのおかげで『魔人』と戦う事など、ファーレードでもそうあることではない。

彼女は運が良かった。迷宮奥深くで笑いながら商売をしている男を後ろから切りつけると、
そのバッグの中身を取り出した。その中には思ったとおり金銀財宝、魔法の武器があったのだ。
「これで私は大金持ちね」
そう言って彼女はそのバッグを背負うと、帰還の書物を使った
彼女が離れた後、むくりと商人が立ち上がった
「やれやれ、帳簿が赤字だよ」

道具店、女は袋から次々と宝を出した。
「お前さん……その袋どっから持ってきたんだ??」
道具屋の主人がそう言って、青ざめた顔をする。
「何処からだって良いじゃない。それよりも幾らで買うの??」
そういって幾つか目の道具を出そうとした瞬間だった。
その袋の中から複数の触手が出てきたのは。
「何??何これ???」
触手はたちまちのうちに女に絡みつき、その体に刺さり始める
「痛い痛い痛い痛い………」
のた打ち回りながら、女は触手に引きずられて袋の中に足を入れられ始めた。
「助けて……助けて……」
道具屋の主人は手が出せなかった。手を出せば自分もやられる事を知ってるから。
メキメキと嫌な音を立てながら女の体が袋に入っていく。
「なんて馬鹿な事を……」
主人はそう言って最後まで出ていた指にそっと祈りを捧げた。
やがて、その道具屋にファーレードから現れた商人が来た。
商人は道具屋の主人に大量の金貨を渡すと袋を買いたいと言い出した。
道具屋の主人は金を少しだけ貰うと、ファーレードの商人にその袋を渡した。
「毎度ありがとうございます」
商人はそう言って、洞窟へと向かっていった。
「いえ、こちらこそ何時もお世話になっております……『魔人スマイルマン』さん」
『魔人スマイルマン』…ファーレードの中で商売をする魔人
彼は商売で儲ける事が好きな魔人だ。戦う事は嫌いと言っても過言ではない。
だが、一度戦えば、その豊富な資金力や魔法の武器、更には数万の魔獣さえも動員して
迷宮の外まで追ってくる。
もし彼と出合った時、お金に余裕があって何か買いたければ買うといいだろう。
だが決して忘れてはいけない。彼と戦ってはいけない彼から奪ってはいけない。
その時は彼は財の全てを投げ打って貴方を追ってくるのだ。
もう一度書こう彼から奪ってはいけないと!!

「いらっしゃーい、色々と売ってますけど如何ですか?」
「へー、この武器強そう幾ら??」
「~~~~~」
「高いわ~~貴方の命でどうかしら??」
「お客さん、冗談きついですよ」
「冗談かどうかは行動でわかるでしょう??」
「だったらこっちも手を打たせて頂きますか」
「エッ………」
シュルシュルシュルシュル………

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最終更新:2008年05月18日 15:35