***
●●州・ケントバーグ郡は歴史のある古い街だ。遥か北には広陵とした峰を有するアーモンド山脈が聳えており、
南には荒涼たる大平原が広がっている。一年を通して温暖な気候のケントバーグ郡は、ちょうどこの二つの自然建造物のあいだに挟まれるようにしてある。
人口はおよそ20万人。そのうち六割を白人、ほかの三割を黒人、残りはアジア系とヒスパニックが占めている。
このどこにでもあるような地方都市で今、背筋の凍るような、実に奇々怪々たる事件がおこっていた。
最初の事件は五月の初めにおこった。
郡の北西、ダウンタウンの貧困街に住む七歳の少女が教会学校からの下校途中で行方不明になったのだ。
少女の母親から通報を受けた郡の警察署――署員百数十名を有するこの小規模の組織――はさっそく、捜査を開始し、はたして翌朝少女は見つかった。
発見したのは郡の郵便局員――五十三歳の黒人男性で、名前はミハイル・キャンベル。ダウンタウンのアパートメントに家族と暮らしている敬虔なカトリック信者である彼は、
またそれと同等に健康を崇拝しており、少女を発見したのは日課である早朝ランニングの最中だった。聴取の際記録されたテープのなかで、彼はこういっている。
「いつものランニングコースを走っているとき――あぁ、いつものコースってぇのは、ダウンタウンの東にある、最近できたばかりの公園のことでね、これがなかなかいい公園でね――時間?
そうさなぁ、午前六時半くらいだな、そうそう、俺は早起きなんだ。群の誰よりも早い自信はあるぜ。それでさ、ちょうど公園の北側にある東屋で休憩してるときでさ、
なんだか妙な臭いがするもんでそばの潅木を分け入っていくとそこに――」
行方不明の少女は遺体となって発見された。少女の遺体は公園の北側――東屋からほんの10フィートほど入った潅木のそばに棄てられていた。
彼の言葉に更に慄然とさせられるのはここからである。
「でさ、最初はそれがなんなのかわかんなかったのさ。んで俺は鼻をつまみながら、恐る恐る近寄ったんだ。なんでそんなことしたのかって?
そりゃお前、人間誰だって、ある程度のスリルは必要なのさ」
郵便局に三十五年従事した男の言葉である。キャンベルは颯爽と続けた。「それを間近で見たとき、そりゃあ、びっくりしたよ。
とにかく人間だなんて思わなかったね。でもちゃんと頭髪はあったし、よくよくみると、容貌もわからんことはなかった。でも不思議なもんでね、
それが人間の死体だとわかったときにゃ、足が震えたよ。俺は前に一度死体を見たことがあるが、そんなもん比じゃなかった。あれは”中身”があったからさ。
そうさ、今回のには無かったんだよ。まるで掃除機でケツから全部吸い取られたみたいだった。ええっと、なんだっけ、そんな漫画が昔あったよな・・・・・・
とにかく、それ以来俺はあの公園を走らなくなったね。なんせ今でも夢に見るんだ。ベランベランの皮だけのあいつが、目ん玉の無いあいつが、俺に――」
1
六月下旬
深夜・一時五分。ケントバーグ郡・オレンジ・シティ。
オレンジ・シティ北西の一角は高級住宅街地として有名だ。たっぷりとした庭地をもつ家々が、ストリートを挟み向かい合って数キロにわたって続いている。
様々な様式を取り入れた住宅郡は今、死んだように静まり返っている。カラフルなインター・ロッキング敷きの歩行者専用道路には人影はない。
ケントバーグ署の新人警官フロイトは、ストリートに沿って車を走らせながら左右に油断なく目を配していた。
「まったく、どうかしてるわ」
時折、新人然とした、しかし職業に対する熱意を宿したフロイトの表情に陰がさす。彼女の視線の先――ガラスの向こうには、
まるで滝のように後方に流れていく豪奢な家並み。彼女は貧困外出身だった。
フロイトは今年で二十三になる。警官になったのはほんの数ヶ月前だ。随所に幼さの抜け切らない彼女だが、
それでもカレッジを首席で卒業して、諸々の厳しい訓練を潜り抜けてきた、いわゆるエリートである。それゆえに、
彼女の野心は人一倍だった。また女である事もその炎をよりいっそう燃え上がらせていた。
界隈をゆっくり走行しているとき、無線機からクッキーの厳然たる低声がフロイトの耳に届いた。彼は通信室のボスだ。
しかし彼が他の警官から馬鹿にされているのをフロイトは知っている。彼が同性愛者で、わざと低く威厳あるふうに発声しているその声はカモフラージュだと言う事も。
「こちら、ユニット500」
フロイトは応答した。
「オレンジ・シティ郊外、アップル・ストリート45番地のクリスマス邸から911だ。近所の公園から奇妙な音が聞こえてくるらしい。様子を見てくるだけでいいんだ。至急むかってくれ」
「テン・フォア」
フロイトはUターンして現場へ急いだ。
****
同時刻。
ハイスクールに通うエリナ・ロブヒップは公共公園のベンチにひとり座って泣いていた。公園には彼女の他に誰もおらず、
だからエリナは心置きなく声をあげることができた。そろそろ固いベンチがお尻に痛くなってきたところだった。
家のリビングにある柔らかなレザー製のカウチを思い出すとさらに悲しくなった。
そこは小さな公園だった。母と喧嘩し、家を飛び出したあと偶然見つけたのだ。市街からいくぶん離れているので、
人に見られず思い切り泣くのには好都合な場所だった。
入り口のアーチ門をくぐるとき、上から銅製の看板がぶら下がっているのが目に付いた。そしてそこには何やら字が彫ってあったが、
酷くさび付いていて読めなかった。彼女は座ることのできる場所を求めて常夜灯の照らす公園のなかを歩いた。
公園は周囲を人工の広葉樹に囲まれている探せばどこにでもあるような公園だった。そのなかに色褪せたアスレチックが寂しげに点在している。
まるでいまの私みたい、とエリナは思い、近くのベンチに腰をおろすとさっそく泣き出したのだった。
「ママ、心配してるかな」
ひとしきり泣いたあと、エリナは何かを吹っ切るように、シャツの袖口で目元をぬぐった。後悔の念がむくむくと胸のなかで膨らんでいくのがわかる。
やっぱり、家へ帰ってママに謝らなければ。そして玄関を開けたらまず、たくさん言ってしまった酷い言葉を全部打ち消すように抱擁をしよう。
そう心に決めてエリナは出口へ向かって歩き出した。
生暖かい風が吹いた。木々が息を吹き返したように軋んでいる。アスレチックたちはその無機質な双眸をもって公園の出口へと向かう少女の背中を見つめていた。
少女は気づかない。遊具たちの視線にまぎれて自身に向けられる有機質の瞳を。
****
件の公園がフロントガラス越しに闇のなかに浮かびあがってきた。
フロイトは公園の脇に車を止めると、ダッシュボードから愛用のシグ・ザウエルP220を取り出して腰のホルスターに入れた。
車のドアを閉める音が森閑とした公園に響いた。小型ライトを手に持ち、いつでも銃を取り出せるように腰に手を添えながらアーチ門をくぐった。そのときである。
公園の奥から鋭い悲鳴があがった。フロイトは思わずびくりと背すじを震わせたが、次の瞬間には雌鹿のように力強く走り出していた。
2
ベンチから立ち上がり数歩歩いたところで、エリナは不審な物音に気づいた。恐る恐る振り返って、きょろきょろと辺りを見渡す。
常夜灯に照らされた遊具がひどく不気味に見えてきて、思わず身震いしたが、人の気配は認められなかった。
それにしてもあんなところに一人でいたなんて、信じられない。早く帰ろう。エリナは踵を返した。そして彼女がふたたび歩き出そうとしたとき、
公園の奥の茂みから一本の触手が伸びてきて、彼女の細い足首に巻きついた。
「え?」
素っ頓狂な声をあげてエリナがもう一度振り向いたときには、触手は急激に収縮し、少女の身体をずるずると引きずり始めた。
「な、なによっ、これっ!」
胸から地面に倒れこんだエリナは砂をかみながら叫び声をあげた。フロイト巡査の耳に入った声はこの時の声である。
エリナがちらっと後ろを見たとき、闇の中に浮かぶ赤い二つの光と生物的な息遣いを感じた。彼女はぞっとして、地面に爪を立て、必死に抵抗した。
土に爪が食い込み付け爪が剥がれ、そこからじんわりと血が流れた。
エリナは気が動転して何がなんだかわからなかった。ただ一つわかることがあるとすれば、それは死ぬ気で逃げろと言う事だった。
「もう、やだぁ」
エリナは運動が得意ではなかった。そもそも身体を動かすこと自体嫌いなのだ。必死の抵抗もむなしく、めったに使われる事のないエリナの筋肉は早くも悲鳴をあげ始めた。
額からいやな汗が流れている。引っ張られているほうの足が吊りそうになる。泣きたかった。
ポケットの中に折りたたみナイフを入れていた事をエリナは思い出した。慌ててパーカのポケットの中をまさぐり、ナイフを取り出すと、
彼女は身をかがめて足首に巻きついた触手を切り離した。
「やった!」
触の切り口からは濃い緑色の粘液が噴出した。粘液は真夏のダンプスターのようなすえた臭いがした。
エリナはナイフを握ったままよろよろと立ち上がった。引っ張られたほうの足が痛むのでまっすぐ立てなかった。
エリナは暗闇に浮かぶ二つの赤い光をじっと見据えた。ナイフを得たいま、どんな事でも成せる気分だった。あるいはそれはあっけないほど簡単に切れた触手のせいかもしれない。
少女の全身を攻撃的な血が脈打っていた。ただしつぎの瞬間彼女は後悔することになる。闇のなかから陸上選手の太股ほどもある触手が伸びてきて、少女の細い首に蛇のように巻きついたのだ。
「えっ、がっ・・・・・・ひゅ?」
さながら分厚いマフラーを巻いたような格好だった。間断なく、きりきりと自身の首を絞める触手にエリナはナイフを突き刺した。ナイフは半分ほど埋まったところで動かなくなった。
やがて柄を握る彼女の手が腰に落ちた。指が死ぬ間際の蜘蛛のように痙攣している。
「あっ、がっ・・・・・・はっ」
苦痛に歪むエリナの顔面が朱色に染まっていく。口角からは泡となった唾液が垂れ落ちている。死は近しかった。
エリナは処女だった。すなわち未だかつて他者によってもたらされるオルガズムを経験した事がないのだ。そして奇しくもこの時が、
彼女の初めての絶頂であるなどと誰が想像だにしようか。
「あっ、あっ・・・・・・」
骨の折れる鈍い音がした。苦悶の表情にかすかに桃がさしたのと同時、排泄器官から漏れた糞尿が彼女の太股をつたって地面に落ちた。
少女は最初で最後の甘く痺れるような死を迎えた。支柱を失った首ががくんと背中に垂れた。触手はその場でまだ温かいエリナの衣服を剥ぎ取った。
そしてどこからかもう三本の触手が現れて、少女を空中で架刑にした。糞便の臭いがあたりに充満していたが、触手は気にする事もなく淡々と目的の作業を続けた。
そのとき森閑とした公園に二発の銃声が轟いた。地面におちた薬莢がそれに金属音を添える。銃を撃ったフロイトの手は細かく震えていた。実戦で発砲したのは今回が初めてだった。
あれからフロイトは叫び声を追って公園の中を走った。まもなくひらけた場所に出るとあたりをライトで照らしながら歩んだ。
広場の真ん中には洋風の小さな噴水があった。水は出ていなかった。するとフロイトの鼻が異臭を感知した。
フロイトが制服の袖を鼻に押し当てながらライトを周囲にめぐらせたそのときだった。彼女の背中に戦慄が走った。噴水の向こう、
潅木の手前に裸の少女が逆さまの宙吊りになって浮いていた。その奇妙な光景をフロイトは呆然と、たっぷり十秒は見つめて、はたと我に返った。
少女の首があらぬ方向へがくがくと揺れているのだ。死んでいると気づくのに時間はかからなかった。フロイトは威嚇射撃をおこなった。
「その子を放しなさいっ」
フロイトは応援の連絡を後回しにして、まだ見ぬ殺人者に呼びかけた。しかしその驕りこそが命取りになったことを彼女は知らない。
すぐそばの常夜灯の周りに蛾が集まっている。彼女はシグの銃口を予断なく中空に定めている。突然、右側の茂みから枝の軋む音がした。
不意をつかれ、フロイトが慌てて上体を差し向けるのと同時に、触手が鞭のようにフロイトめがけて飛び出してきた。
鞭は空気を切り裂きながら突進してきて彼女の柔らかい腹部にめり込んだ。
「げぇっ・・・・・・あっ」
フロイトは膝から崩れ落ちた。自身の意思に従わない胃袋が、不快な音とともに内容物を地面に撒き散らす。まつげに涙が滲みそうだったが、奥歯を噛んで堪えた。
フロイトを打ちのめした触手は波打ちながら宙をただよっていた。彼女は銃口を向けようとしたが、腕が持ちあがらなかった。貧血のときのように、
頭から血が抜けていく感じがする。自身の吐き散らかした汚物のなかに頬を落とした彼女は、まもなく白目をむいて気絶した。
3
彼は満足していた。今夜は二匹も獲物を捕まえる事ができたのだ。潅木の奥で光る彼の双眸が嬉々として跳ねていた。
今しがた仕留めた女は気絶しているようだったが、彼女の登場はまったくの想定外だった。狩りの興奮は彼に注意力を忘れさせる。
彼は今度は抜け目なくあたりの気配をうかがったあと、茂みの奥から姿をあらわした。
彼の容はまるで毛の生えた卵のようだった。全長は二メートル程度で、全身を緑色の繊毛でびっしりと覆われている。
腹の部分だけが透明色を帯びておりなかが透けて見えているのが、ちょうど動物プランクトンの腹によく似ていた。人間のように手足はなかった。
その代わりに腹部の両側から緑色の触手が伸びていた。卵形の頂点付近では唯一の個性ともいえる赤い目が光を放っている。
彼はナメクジのように潅木から這い出た。
月と星の光を全身に浴びたとき彼の興奮は最高潮に達そうとしていた。彼は獲得し空中磔にした少女をしげしげと眺めたあと、
象の鼻のように吸い込み口のある触手を使っていましも股から垂れ落ちている糞便を啜り食べた。最高の辱めを受けながら、
少女はまるで行為を否定するかのように首を揺らしていた。
彼はうめき声を上げた。勃起にも似た緊張と興奮が醜い体を駆け巡る。彼は二本の触手を器用に扱って少女の性器を割り広げると、
まだ男を知らない小さな穴に細い触手をもぐりこませた。
窮屈な膣穴の壁に吸い付きながら奥にたどり着くと、触手は更に奥に進んだ。弛緩しきった筋肉は拒むことなくその部屋に触手を迎え入れた。
そこは少女の最も神聖な場所だった。
彼の行為は一貫して手馴れた様相だった。はじめのうちはすぐに獲物を食べてしまっていたが、
精神的余裕のできた今ではこうやって楽しんでいる。彼は知っていたのだ。人間の男と女がこうやって楽しむ事を。彼の棲家は公園の茂みなのだ。
ある種の性欲を満たしきると彼は食事に移ることにした。さっそく、もそもそとピストン運動を繰り返していた触手は動きを止め、
その小さく神聖な部屋のなかを食い荒らし始めた。
触手の口から入った少女の一部が中の管を通って彼の腹部に溜まっていく。
透明色のそれは咀嚼され消化されようとしている少女の一部をありありと映し出している。
彼は生殖器が一番の好物だった。そのなかでもとくにアレが最高に好物だった。アレは食感も良いし味も良いのだ。
けれども彼はそれが卵巣である事を知らない。彼にとってはアレで十分なのだ。
噛み千切られ咀嚼され、すでに原形を留めていない生殖器が彼の透明な腹部の中に浮いている。そしてそれは瞬く間に消えてなくなった。
彼の食欲はとどまることなく続いた。
4
フロイトの意識が暗闇の底から浮かび上がってくる。井戸の底から天光を覘くときように、外の世界をある種の客観的な眼をもって彼女は見た。
フロイトの目に映りこんだのは、まもなく完食されようとしている少女の姿だった。
「これは、夢?」
フロイトは呟いた。彼女に夢と現実とを混同させるほどの凄まじさがそこにはあった。
地面が真っ赤に染まっていた。皮だけになった少女が浮いていた。フロイトが呆然と眺めていると、
眼孔から触手が飛び出してきて目玉がフロイトの傍に落ちた。淡いブルーの瞳は彼女を捉えて何かを訴えているかのようだった。
次はあなたの番よ。
フロイトは心のなかで悲鳴をあげた。そして、まるで鉛玉を付けられたみたいに鈍重な腕を懸命に持ち上げて、腰の携帯無線機に指を伸ばした。
フロイトが無線機の電源を入れようとした瞬間、触手が彼女の手を抜け目なく払った。地面に落ちた無線機は乾いた音を立てたあと、
触手の新たな衝撃によって砕け散った。
「そんな――」
払われたほうの手がひどく痛んだ。フロイトは中身が剥き出しになった無線機を呆然と見つめた。
少女の遺骸を棄てた触手がフロイトに近づいてきた。
ある種の無気力感がどっと押し寄せてきて、彼女はその場に仰向けに寝転んだ。
フロイトの眼前には夜空が広がっている。視界の隅から触手の気配を感じて、彼女は目を閉じた。
少女の遺骸を思い出して、自分がこれから受けるであろう災難を呪った。
触手が膣のなかに侵入してきた。フロイトは舌を噛もうとしたが、口内に入ってきた触手に拒まれた。
彼女は最後の望みを失ったときのように、絶望に飲みこまれていった。
***
彼はいままでになく最高に興奮していた。生きたままの獲物を捕らえる事に成功したのは今回がはじめてだったのだ。ちょうど彼は冷たい肉に嫌気がさしてきたところだった。
そこで後学に備え、どうすれば獲物をより苦しませ、且つ長く生かす事ができるのかを考えた。彼は苦痛に歪んだ人間の顔がなにより好きだった。
彼はこれまでと嗜好を変えて、足の先から獲物の肉をすりつぶすことにした。その先を想像するだけで、
彼のオルガズムは頂点に達しようとしていた。
我慢した。
しかしいざ実行してみると獲物はすぐに死んでしまった。太股の半分まで食べたときだった。出血が多すぎたのだ。彼は仕方なく、
獲物の膣穴に触手をもぐりこませて、従来の手法で食事をおこなった。
彼は思った。でもこれで終わりなわけじゃない。また次の獲物で試せばいいのだ。そうだ、今度は耳の穴からゆっくりと――。
彼が甘い妄想に身をゆだねていると、
「ねぇ、ジョーン。どこに行ったの? 出てきなさーい。ジョンったらー」
公園の入り口から幼い少女の声が近づいてきた。彼はフロイトのすべてを急ぎ足で飲みこむと、ふたたび茂みの中に姿を隠した。
どうしたんだ、今夜は最高にツイているじゃないか。
owari
最終更新:2025年03月07日 12:59