浴室からでてきた彼女はその裸身を惜しげもなく晒しながら隣の台所へ向かった。
彼女はそこにあった大きな鍋を中身ごと隣の部屋へ運び、そこにあった大きな皿の横へ置いた。
皿の上には野菜が敷き詰められ、鍋の中はワインレッドのソースで満たされていた。
彼女は部屋の奥に目をやってひとりつぶやいた。
「ごめんね。こんなことになっちゃって。」
部屋の中央には魔方陣が描かれ、周囲には蝋燭や得体の知れない動植物が散乱していた。
ひょんなことで入手した魔法書を興味本位で試した跡だった。
そこには魔物の召還法が書かれていた。
まさか本当には起こるまい。そう思って彼氏と二人で協力し合ってその書物にあった方法を試みた。
その結果が、今部屋の奥にいる。
魔物は召還された。彼氏の身体を媒介に。
閃光、悲鳴。その後に彼の代わりに現れたのが、今目の前にいる怪物。
かくしてかつての恋人は二目と見られないような粘液質に満ちた触手を張り巡らせた魔物になってしまったのだ。
変わり果てた彼を救う方法はひとつだけ魔法書に書かれていた。
人を贄にささげること。すなわち生きたままの人間を食べさせることだった。
彼を救うための犠牲。到底人に頼めることではなかった。
かくして彼女は自らを食べ物にする決意を固めたのだ。
湯上りの彼女の清浄そのものの姿。その髪は短く切りそろえられていた。
「やっぱり、髪の毛が引っかかると嫌でしょ。食べやすいほうがいいよね。」
もはや理性など消えうせた怪物だったが、どうしたわけか食べ物の好みにはうるさく、
きちんと料理をしたものしか食べようとしなかった。
彼女がわざわざここまでの準備をしたのはそういう理由からだったが、
それ以上に彼に喜んで欲しい、自分を美味しく食べて欲しいという気持ちが何より強かったのだ。
皿の上に裸身を横たえた彼女は鍋のソースを自らの身体にくまなくかけていった。
「このソース、とっても好きだったから、きっと喜んでくれるよね。でも、これが最後だから。あたしの最後の料理だから」
ソースをかけ終わった彼女は側においてあった野菜を胸の狭間やお腹にのせて、皿の上に横たわった。
ソースの香りと皿に横たわる彼女。それを知覚した怪物は「料理」に向かって突進した。
巨大な口から伸びる無数の触手が皿の上の彼女を捕らえ、皿の上の野菜とともに舐める様に絡めとった。
「野菜も食べないとダメだよ。さあ、あたしを・・・」
真っ暗な口の中へ引き込まれる彼女。虚空に引き込まれる直前、愛しい怪物に向かって囁いた。
「・・・食べて」
頭からちゅるんと口腔内へ飲み込まれた彼女は食べ物になった。
口腔内は真っ暗で、中を見ることは出来なかったが、涎のような臭いが充満する中で、
彼女は無数の触手に味わわれることになった。
捕食器と舌をかねる触手は独特のにおいを放つ粘液を出しながら彼女の身体を舐め回した。
「あぁ…」
思わず声が漏れる。顔に、両手両足、胸に、性器と全身をくまなく舐め回しながら
怪物はソースの味と、彼女の味の入り混じった美味を味わっていた。
「んっ……あっ……あああぁぁっ」
先端をソースで汚した触手は彼女の秘裂をほぐし、秘裂からにじみ出る彼女の旨味を味わっていた
その度に彼女は形容しがたい快感に身をよじらせつつ喘ぎ声を上げていた。
やがて触手はその旨味をより味わおうと彼女の秘裂にその触手を割り込ませた。
快感に溺れて感覚の定かでない彼女は気づかなかったが、触手の分泌する唾液により
彼女の身体は徐々に溶かされ、肉汁とともに流れ出しつつあった。
触手の割り込んだ彼女の女の部分も、砂糖菓子のようにいくつかの欠片とともに溶け崩れてゆく。
彼女の膣は愛液と肉汁を撒き散らしながらソースや野菜の欠片とともに
ぐちゃぐちゃと彼女の下腹部でかき回される。
彼女は、それを知覚することなく容赦ない快感の中で絶頂に達した。
それとともに彼女の中に入りこんだ触手からどっと熱い液体が分泌された。
彼女のくびれた腹部が液体により溶かされ、彼女の身体は2つに分断された。
激しい痛みに絶頂から我に返った彼女の顔面に小さな欠片が当たった。
暗い中で何も見えない彼女には気づかなかったが、それは切断された腰からこぼれおちた彼女の卵巣だった。
「はぁ……はぁ……痛い…痛いよう」
上半身だけになっても必死に酸素を取り入れようと大きく開けた口の中に彼女の卵巣が入り込んだ。
一本の触手が彼女の口の中へ入り込み、卵巣を取り出し、ぐちゃぐちゃと揉みつぶす。。
「げほっ…あううう…」
唾液とソースと彼女の旨味で満たされた怪物の口の中で
彼女は徐々にちぎれ、溶けてゆき、血液と肉汁を口内にまきちらす。
艶かしい足、すらりとした腕がいつのまにか歯をむき出しにした触手に噛み砕かれ、その柔らかな肉質を怪物に伝える。
分断して、あらわになった切断面から引きずり出されるプリプリの臓器が触手にからめとられ、
濃厚な風味とともに唾液によって溶かされる。
残った上半身は触手によって胸を揉みしだかれ、彼女の命はその快感とともに尽きようとしていた。
「……これで…あなたと……ひとつに…なれる…ね…」
そう思ったまま彼女は力尽きた。
触手は彼女「だった」残骸から臓器を残らず引きずり出し、胴体と頭の間に巻きついて頭を引き離した。
バラバラになった彼女に消化液が降り注ぐ。
徐々に解けて行く彼女の顔。ソースと肉汁にまみれたその顔にひとすじの涙が残っていた。


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最終更新:2008年05月19日 10:10