後ろは壁。もう逃げ場はどこにもなかった。
姉妹は肩を寄せ合って震えていた。
もう立ち上がる気力もない。半ば腰が抜けた有様で二人して座り込んでいた。
2人の目の前には口と歯から鮮血を滴らせていた「それ」がいた。
「それ」は独特のおめきをあげながら宙をふよふよ浮きながら姉妹を見下ろしていた。
品定めするかのような数秒間がたった後、妹の胸元に噛み付いた。
「それ」が出現したのは数分前、なんということもなく部屋で姉妹とテレビを見ていたときだった。
丁度泊り込んでいた友人がシャワーを浴び、女同士の気軽さか全裸で姉妹の前に出てきたときだった。
突然ブラウン管が輝き、それまでブラウン管に映っていた「それ」が目の前に現れた。
そして、今のような動きを見せた後、ものすごい速さで友人にかじり付き…
…今、「それ」から滴っていた血は彼女のものだ。
背後を向いていた友人は一瞬で太腿に飛び込んだ「それ」に噛みつかれ、太腿を噛み千切られた。
悲鳴、飛び散る鮮血。
片足を失った彼女はそのまま倒れこみ、それを狙うかのように「それ」は彼女のむきだしの尻や腰をむさぼった。
やわらかい尻の肉とそれの絡まる骨。鮮血は「それ」の口内で入念に噛み砕かれ、混ぜ返される。
噛み切られた腰の切断面から女の子の器官を引き釣りだし、ぐちゃぐちゃと咀嚼する。
彼女は激痛に悶えながらもそれでも逃げようと両手で這おうとする。
姉妹はあまりのことに震え続けるしかなかった。二人とも失禁し、スカートとショーツを濡らしていた。
「それ」は彼女のその動きを見て、すばやく肩口に飛び移り、歯をつきたてた。
肩口を噛み切られた彼女の肩からボトリとちぎれた片腕が落ちる。
残った手で救いを求める彼女。「それ」は肩口から胸、そして、乳房にむしゃぶりつく。
震える姉妹の目の前に噛み散らされて飛び散る鮮血と肉片が飛び込んできた。
彼女の乳首だった。
彼女はもうピクリとも動かない。胸を半ば以上食べられた彼女は「それ」の侵食を食い止めることなく
ただ黙って解体されるにまかせるのみだった。
胸、そして臓器を撒き散らしている腹部、そして、バラバラになった両手両足、
それらをものすごい勢いでむさぼり食べる。
逃げたくても逃げることができない。
姉妹に出来るのは残ったわずかな力でじりじりと下がっていくことだけだった。
彼女を食べつくし、「それ」が姉妹に目を向ける。
二人はそのとき致命的な間違いを犯していたことに気づいた。
二人が下がっていたのはドアのある側ではなく、その反対側。そこには壁しかなく、もはや逃げ場はなかった。
そして、「それ」は独特の叫び声を上げながらついに妹にその牙を向けてきたのだ。
妹は反射的に身をそらす。「それ」の牙は宙を泳ぐ。
ふたたび飛び込んでくるが、そのまますれすれを掠めて去ってしまう。
姉はそれをみて、最初に全裸だった友人が食われたことを思い出した。
「も、もしかして…服の布地が苦手なの?あれは」
何度も妹を掠めては去っていくのをみて姉はそう思った。
おびえながらも、妹にいまだに噛み付けない「それ」の動きはその仮説を証明しているかのようだった。
「そ、それならあたしたちは大丈夫ってこと?い、今の内に逃げようよ。」
妹は目の前を飛び回る「それ」におびえながら手を引く。
姉もそのつもりだった。二人して何とか立ち上がり、壁伝いにじりじりと…
ビリビリビリ!
「!」
「それ」が妹のスカートの裾に噛み付いていた。
自分たちの仮説が間違っていたのか、逃がすまいと必死で噛み付いたのか、偶然に牙に引っかかったのか
妹のひらめくスカートはそれによって噛み千切られ、宙を舞う。
下半身がむき出しになった妹はそのままへたり込み、ブラウスで必死に足を隠そうとしていた。
「それ」はそれを見透かすように今度は積極的に妹のブラウスにしたい寄る。
このままじゃ、妹は逃げることが出来ない。ヘタをするとまたブラウスを噛み千切られて…
妹は震えながら泣きじゃくる。何度か妹を掠める「それ」は喚き声を大きくしてなんども近づく。
その姿を見て、姉の目に決意の色が浮かんだ。
姉はすっと立ち上がり、自らのスカートを脱ぎ、妹に渡した。
「え?え?」
あっけに取られる妹をよそに姉は上着、そして下着を脱ぎ捨て、全裸になった。
「あたしが…食べられているうちに、そのスカートをはいて逃げなさい」
決然と言う姉の意図がわかった。
「や、やだよ。お姉ちゃん、すぐ服着なよ。」
全裸になった姉をみつけた「それ」は妹から離れ、姉の顔に近づいた。
「それ」の両手が姉の頭部を掴みかかる
その両手を必死で自らの両手で止めながら姉は叫んだ
「はやく!あたしのことは気にしなくていいから!」
それを言い切るや否や、「それ」は姉の両手を振りほどき、姉の肩に噛み付いた。
グシャ…
鮮血とともに噛み千切られた姉の肩と、飛び散る鮮血。必死に苦痛に耐える姉の顔。
「…はやく…にげ…なさい…」
それをみた妹はあわてて姉のスカートを穿き、そのまま壁伝いに逃げ出した。
「ご、ごめんなさい!お姉ちゃん!」
姉の服を手に持ち、部屋のドアを閉めて逃げていく妹を見て満足した姉の頭部に「それ」は飛び移った。
「それ」は姉の頭を両手で抱え、そのままかぶりついた。
半分になった姉の秀麗な顔。脳を失った姉の体はそのままへたり込むように床に崩れ落ちた。
「それ」はその体の中でもっとも広大で、美味だった部分。腹部にかじりついた。
「それ」の両手によって裂かれる姉のお腹。
そこからズルズルと柔らかい内臓が引きずり出される。
美しい裸身が赤い血で彩られ、「それ」にむさぼられるままになる。
「それ」は姉の体を食べつくし始める。
豊かな乳房と胸部の内臓が一緒くたになって「それ」の口の中で噛み砕かれる。
肉質のよい両足が「それ」に噛みつかれ、ぐちゃぐちゃと噛み締められる。
真っ赤に染まった股間と秘所が「それ」の歯で犯し貫かれ、噛み千切られる。
「それ」はあの喚き声を上げながら姉の体を味わいつくしていた。
「……はぁ…はぁ……」
妹は肩で息をしながら座り込んだ。
あの部屋から遠く離れた森の中
妹は目を真っ赤に泣き腫らしていた。
手には姉の服を抱えていた。
その姉は…もう…
それを思って妹は再び泣いた。
しばらくして、妹の背後から聞き覚えのある喚き声が聞こえた。
恐怖を感じて振り向くと…そこに、姉の鮮血をしたたらせた「それ」がいた。
まるで自分の存在を獲物に知らしめすようにあの声を絶望の面持ちの妹に向けて放った。
「ス プ ー だ !」
最終更新:2008年05月19日 10:22