「私は……悲しい」

 歌うような痛みで。
 奏でるような嘆きの色で、彼は言った。

「聖杯戦争……おのが願いを叶える為、血で血を洗う戦場に……あなたのような少女が巻き込まれているこの現状が……。
 これだけでも嘆きを禁じ得ませんが……そのような身に余るおぞましき呪いを受けながら、それを解く事を願わないあなたの決意を変えられないのが、何よりも悲しい。
 我がマスター。チセ・ハトリ。夜に愛されし少女よ。本当にあなたに望みはないと?」

 鳥籠のように狭苦しい室内を明るく照らすきらびやかな赤髪。
 閉じられた瞳からでも感じる視線はこちらの心内を見透かすほどに細く。
 騎士甲冑。脇に抱えた竪琴を構える姿。戦場に身を置いた者にしか纏えない雰囲気。
 物語の挿絵がそのままに飛び出てきたような、本物の『騎士』。

 トリスタン。
 ブリテンの王アーサーに仕えし円卓の騎士。無駄なしの弓の名手。
 そう伝わる人物が、目の前で傅く姿勢を取っている。

 神秘に触れない出自なら誰であれ目を疑う光景に、マスターの羽鳥智世/チセ・ハトリは騎士と同じ赤い髪色を僅かに揺らした。

「別に、何とかしたくないってわけじゃないですよ。死にたくはないですし、これが解けるものならすぐにでも解きたいです」

 見れ事も触れる事も、珍しくはない。
 物心つく頃からチセには『彼ら』が見えていた。
 魔法と魔術が真に実在し、教えを受ける立場になってよりそれらは人生で密接になった。
 魔法使い。魔術師。妖精。竜。死者の念にも触れる事があった。
 なのでサーヴァントと呼ばれる彼が、過去に生きた英雄の魂の復元と知っても、チセは驚きはしても戸惑ったりはしない。
 戸惑いがあるのは、聖杯戦争という戦場の場に、殺し合いが起きる場所にプレイヤーとして招かれてる事態だけだ。

 願いを叶える。その言葉に抗いがたい誘惑を感じる理由は分かってる。分かりすぎている。
 視線を落とした先に映すのは自分の体。そして腕。
 異常に肥大化し。今にもはち切れんばかりに膨れ上がった、呪いを孕んだ左腕。
 夜の愛し仔(スレイ・ベガ)という、莫大な魔力の循環器と引き換えの寿命の短さに覆い被さった、竜の呪い。
 とある竜の仔を助けた結果に後悔はない。けれど明らかに目減りした命と日増しになる血の味を実感すれば、微かに揺れる欠片もある。
 理由にするには、きっと十分な欠片だろう。

(聖杯……。エリアスの授業でも出てきた気がする。神の子の杯を探す騎士物語って……アーサー王? 私達が住んでたイギリスの土地の伝説……) 

 色々な呼び方がある魔法使いの過去の講義を反芻する。
 思い出す度に軋む痛みがするが、過去には離れがたく常に彼との記憶がある。
 聖杯を巡る冒険。戦いと流血。
 自分は今、過去の物語の再現をしていることになる。


「ただ……それで他人の命を犠牲にするっていうのは、やっぱり」 
「他のマスターを蹴落とす結果にあなたは耐えきれないと」
「違うよ。……ううん、傷つけたくないのも本当だけど、私がしたくないのは、もっと単純で、身勝手な理由で……」

 エリアス・エインズワース。骨のひと。異形の魔法使い。
 奴隷として売られたチセの買い取り主で、魔法の先生。
 チセを生かす為に友達(ステラ)を呪いの身代わりにしようとした事で、チセとエリアスの関係は亀裂を刻んだ。
 種族間、人生感として始めから了承の上にあった溝が、決定的な揺れにズレた瞬間だった。

「今まで色んな人に言われてきました。無茶をするな、すぐに自分を傷つけるな、傍で見ている他人の事も考えろ……って」
「ええ。そこに居合わせれば私もそう答えたでしょう」
「でももしまた同じ状況が起きたら、やっぱり私は私を使って助けようとすると思うんです。それが悪いことだって、どうしても思えないから。
 それで私が削れていくから、あの人は私以外を削ろうとする。私はそんなの、絶対にして欲しくないのに」

 自己承認欲求からくる自己犠牲だと指摘もされた。
 けれど理屈じゃないんだ。自分がそうしたいのも、他人が自分の為にそうして欲しくないのも。

「あのひとがしようとした事を否定しておいて私がやったら、それこそもう一生傍にいられなくなっちゃうよ」

 馬鹿な我儘で、なんてことのない自己満足なのだ。
 そうする事を選べる自分になったのだけは、少なく誇れると思っている。


 チセは、生きたくはなかった。
 『見える』がゆえに周囲に疎まれ、寄って来て時に害する魔に抵抗する術を何も持たなかった。
 両親もわけも分からないまま離れてしまい、呪いを遺言(ことば)を残して墜ちてしまった。
 そんな暗闇からはじめに掬い上げてくれたのがエリアスだった。
 住み家をくれた。温かい食べ物をくれた。生きる術を、美しい世界を、たくさん見せてくれた。
 打算ありきの介護だったかもしれない。彼が全てを変えたわけじゃない。でもはじまったのは彼からだった。

(殴った方の拳、まだ少し痛む)

 崩れてない方の拳を確かめるように握る。
 振るってぶつけた骨の感触は、今も残ってる。

(固かったな……エリアスの頭)

 長い年月を生きてる割にエリアスはあまりものを知らない。
 意見が違って話し合う事は多々あった。
 だけど、あれほど激しく拒絶したのは初めてだった。
 人じゃない姿を見ても、力を見ても、恐れはなかったのに。
 人間の骨より頑丈だし、痛めてはないとは思うが。今はどうしてるだろう。

 使い魔(ルツ)の声も聞こえない。トリスタン曰く、自分の契約と混線してしまっているらしい。
 普通の使い魔との契約ならそんな事は起きないらしいが、ルツとはより深い『結び』をしている。それが関係してるのかもしれない。
 でもやっぱり一番の原因は、こちらから伝達を拒否していたからなのだろう。

(自分から離れておいて、都合のいいこといってるなぁ) 

 あのまま一緒にいるだけでは、自分もエリアスも考えを譲れない。
 捨てたわけじゃない。時間も手段も、妥協を引ける余地がなかっただけ。
 ステラがヨセフ……また別の怪物に人質にされていたのもひとつだけれど。 
 ヨセフの誘いに乗りエリアスと別れたところで記憶は途切れ、気づけばこの土地に飛ばされていた。
 心配なのはステラの安否だ。
 取り逃がしたヨセフが腹いせに危害を加えないとも限らない。そういう意味でも焦りはある。

(それにしたって、なんで此処なんだろう。場所が日本だから?)

 界聖杯がチセに与えた役割(ロール)は、意思がないとは思えない意地の悪い配置だった。
 無頓着というより物を揃える余裕がない、殺風景なアパート。
 夜の愛し仔(スレイ・ベガ)の魔法使いチセ・ハトリでなく、ただの羽鳥智世だった頃に生きていた場所。
 ただ生きているだけで、何も持たずに傷だけが残り、それすら放棄しようとしていた時期。
 そう。この部屋はあそこに似ている。
 記憶に薄い、自発的に希薄させようとしていた悪夢(げんじつ)。
 特にそこのベランダなんかが、明瞭に思い起こさせる。
 空がきれいに映る日に、母はチセを残して自由に飛び────

 弦の音色が、深みに嵌った精神を引っかけるようにチセを呼び起こす。

「失礼。傍にいるだけでも感じ取れる哀しみに、自然と指が琴に向いてしまいました……。
 ああ、無視されていた事が哀しくて、どうにか気づいて欲しかったわけではありませんよ?」

 トリスタンの腕の中で、竪琴が音階を鳴らしていた。

 旋律が部屋に響いて耳を彩る。
 その動作は滑らかに淀みなく、熟練の手付きといっていい。
 素人のチセにも才気と修練の跡を思わせるものであり、聞く者の耳と心を掴んで離さない。
 それは魔を介さない、ひとつの魔術だった。

「音楽は哀しみと共にあります。癒やす為、伝える為……見えぬ心に音を与え慰撫としてきました。
 私も己の胸から湧き出た傷の痛みに押し潰されそうな時、哀しみを琴に乗せて爪弾くと、不思議と心が安らぐのです。
 そしていつの間にか私の周りには民が集まり、音色を讃え、あるいは私の哀しみに寄り添ってくれ、いつの間にか私の孤独感を拭い去ってくれました。
 そう私こそ夜鳴きのトリスタン……帰りの遅い夫を探しに来た貴婦人を感涙させ枕を濡らす、ブリテンいちの不眠症の原因……」
「……良い曲でした。おかげでスッキリした」

 語りの後半はともかく、演奏は見事なものだった。 
 哀しげなメロディだったが、今のチセの心境をぴったりと表した共感(シンクロ)が心地よい。

 もらった余裕で、息を少し大きく吸う。
 肺はまだ侵されてなくて、きちんと酸素を溜め込んでくれた。


「アーチャー」
「はい」
「願いについてですけど。やっぱり、迷ってます。
 戦って、誰かを犠牲にするのが駄目なのは変わらないけど。
 それでも何もしないで、起きたら何もかもよくなってる……そんな魔法みたいなコトは一度だってありませんでした」

 茨の道。
 自分を労るように、刺々しく包んでくれた彼の在り方にはもうだいぶ慣れた。

「だから、私はちゃんと確かめたい。私の願いを。
 あげられるものはあげます。私がやらなくちゃならないと───その為に生きたい決めた時、力を貸してもらえますか?」

 必要なら持っていっても構わないと。
 崩れてない手を前に出す。
 怖い道も、痛い思いも、こうしたいと決意があったから足を進めてきた。
 彼じゃなくても、教えてくれるヒトがいる。

「それにやっぱり、放っておけませんし。
 しっかりしてるようでかなり困ったヒトで……ほんと帰ったらどうしようかなってなるけど……」

 頭を抱えて、気恥ずかしそうに濁しつつ。
 未来を見据えて、彼女は言える望みを口にした。

 ああ。結局、私は彼のことを考えている。 
 許せないのに、どうすればいいのか悩んでるのに。
 憎い気持ちは湧いてこない。あるのはただどうして、という疑問。
 その疑問が解消されないままでいるのは、とても辛い。
 解決するにはどうしたって、生きて帰らなくちゃいけない。

 チセの願いを聞き終えたトリスタンは、静かに口を開いた。

「先程も言いましたが……あなたは自らを犠牲とする事に躊躇がない。
 この舞台でも、あなたは同じく誰かの為に身を差し出すのでしょう。それは讃えるべき優しさであり、素晴らしき慈悲です。
 しかしその度にあなたはまた自分を削る。ましてあなたは爆弾を抱えた身。献身が止めの自壊にならない保証もない」
「……はい」

 ぐさぐさとくる。改めて言われると中々に酷い状況だ。
 エリアスでなくても呆れるだろう。 

「ええ。ですので、その時が来たなら私を存分にお使い下さい。
 そんな悲しい最期(はなし)で終わるのは、私ぐらいで十分でしょう」
「え?」

 あっけからんと。
 騎士は全てを請け負うと宣誓してのけた。

「でも、いいんですか? あなたの願いとか……それにそれじゃ私は返せるものが」
「魔力は既に供給されています。それさえあれば契約は十分。我らは死する寸前まで戦える。
 サーヴァントとはマスターの意を受け戦う兵器。死者の影法師です。
 あなたの優しい気持ちはどうあれ、それは変わらぬ事実です。
 所詮私はあなたの呪いを解くことも叶わない一介の騎士。
 ですが───」

 チセの躊躇も通さず、涼しげな口調には仄かに熱がこもる。 

「円卓の席を預かる者として、この敗北は許されない。
 呪いに苛まされる少女を、伴侶と引き裂かれた貴婦人を守り通すこそは騎士の本懐。
 私は嬉しい……この身にこれに勝る喜びはないでしょう」


(似てるって思うのは……やっぱり失礼かな)

 トリスタン。
 その名の意味は哀しみの子。
 生誕に親を失い、道ならぬ恋の毒に討たれた悲運の騎士。

 サーヴァントとマスターは契約で繋がり、その過去を夢見る例がある。
 夢への適正が高いチセはトリスタンの生前の過去を垣間見ている。逆も然りに。
 トリスタンもまた、チセの過去を知った。親に去られ、呪いに満ちて死に行かんとしている道程を。

 道を通ろうとする者と既に道を終えた者。 
 縁が引き合わせた生者と死者は知らぬ間に互いを理解していた。


「ああ……どうしても思い悩むようでしたら、どうでしょう。その可憐な喉を一曲お借りてしも?
 一曲弾いてみたら興が乗ってきましたので」
「え"」

 予想もしなかった方向に話が流れた。

「歌う……の? 私が?」
「なに、音は私が合わせます。あなたはあなたが思うままに、胸の歌を口ずさめばいいのです。
 記憶に根付いた流行歌、子守唄……たとえジャズやヘヴィメタであろうと、この竪琴は完璧にかき鳴らしてみせましょう……」

 ポロロンポロロンと電子的な音階がかき鳴らされる謎の弦楽器。
 正直、かなり、相当遠慮したい。
 だが形式上とはいえ契約した手前、このまま何もしないというのは……。

「……えーと、それでは、お聞き苦しいかもですが」
「待ってました。いよっ千両役者」
「そういうのはいいですから……」

 頭を捻って唸って、十数秒後に観念した。 
 毒を食らわば皿までだ。もうここまできたら最期まで突っ切るのがダメージが少ない。

「────────」

 口ずさむだけの拙い声に、音律が加わる。
 歌うのは子守唄だ。 
 小さい頃に母が唄ってくれた。最近になって思い出した、優しい母の思い出。
 目を閉じて羞恥を感じなくなったか、音に乗せられ気分が昂揚したのか、詰まりなく歌い終えた。

「ど……どうでしょうか」

 おずおずと評価を尋ねる。
 トリスタンは厳粛な審査員の面持ちで瞳を閉じて黙考して。

「……」
「……」
「……」
「……あの……?」
「………………………………。
 スヤァ」
「寝てる……!? あっまさか今の歌……!」

 適正のおかげで自分の眠り薬が聴き過ぎてしまうのを失念していた。
 自力で寝落ちから復帰した後、子守唄で寝入った恥ずかしさで平謝りするトリスタンが見られるのは、その五分後のことである。


 これは、少女が運命に還るまでの物語。



【クラス】
アーチャー

【真名】
トリスタン

【属性】
秩序・善

【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力B 幸運E 宝具A

【クラス別スキル】
単独行動:B
 マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
 マスターを失っても二日は現界可能。

対魔力:B
 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

【固有スキル】
治療の竪琴:C
 宝具である弦を使っての演奏。
 味方の精神的動揺を鎮め、敵の闘争心を失わせる。

弱体化(毒):D
 伝説において幾度と無く毒に弱らされ、瀕死に追い込まれたため、毒への耐性が若干低くなっている。

祝福されぬ生誕:B
 生まれついての悲運。哀しみの子トリスタンと呼ばれるほど、彼の生誕には嘆きがついてまわる。
 哀しみに満ちた歌声により、楽器演奏に追加ボーナス。

騎士王への諫言:B
 「王は人の心がわからない――」かの騎士王に刻んだ決定的なトラウマ。
 伝説においては心を抉るような悲しい恐らく諫言であるが、サーヴァントとして召喚された円卓の騎士たちは口々にこう告げる。
 「いや、我々は貴殿が何をやらかすかが一番わからん」と。
 本人としても、最後に残した一言としてはあまりに心無い発言であるため、いたく反省している模様。

【宝具】
『痛哭の幻奏(フェイルノート)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:5~100 最大捕捉:10人
 「無駄なしの弓」「必中の弓」ともいわれるトリスタンの弓。ではあるがその宝具としての形は単なる『糸』。愛用していた竪琴の弦である。
 つま弾くことで敵を切断する真空の刃を飛ばせる。
 その特性から片腕、ひいては指さえ動けば発射でき、一歩も動かず、弓を構える動作を必要としないという利点を持つ。
 また角度調整、弾速、装填速度が尋常ではないため全弾回避はほぼ不可能。
 レンジ外まで転移するか次元を跳躍するなどでしか対抗できない。
 異なる手段としては糸を使って、相手を縛る、斬り裂くなどの戦術を取る。
 更に、森林などの障害物がある場所であれば「足絡み(スネア)」などのトラップとして仕込む事もできる。

【人物背景】
 アーサー王に仕える円卓の騎士、嘆きのトリスタン。
 慈悲深く友愛を尊び、友を引き裂く事態が避けられないのなら自傷行為にすら及ぶ人情家。
 それがゆえ正し過ぎ時に苛烈な策を平然と行うアーサー王と袂を分かった過去を持ち、それを深く悔いている。
 自覚はないがかなりの天然枠。空気が読めず、会話中立ったまま熟睡し、弦楽器でデスメタルをかき鳴らし、音で空を滑空する。居眠り豚。
 美女と見れば一席設けようとする軟派だがその実本気で落ちることは生前のしがらみから(基本)ない。
 姿は再臨第三段階のもの。常時魔力MAX状態。

【サーヴァントとしての願い】
 マスターを守り抜き、元の世界に帰還させる。裏切りを重ねた自分とは違い彼女には救いがあるべきだと考える。
 年若くも悲運な生涯を辿るマスターを慮り、関係を踏み込んだ発言は自重する。たとえ人妻であろうとも。私は、絶対に負けない!


【マスター】
羽鳥智世/チセ・ハトリ@魔法使いの嫁

【マスターとしての願い】
 元の世界の帰還、呪いの除去、寿命の解決。
 多くが混じり合い、答えは未だ出ていないが、生きて帰りたいのは確かな願い。

【能力・技能】
『夜の愛し仔(スレイ・ベガ)』
 無尽蔵に魔力を吸収し生産する性質。魔や妖を引きつけやすく、あちら側の住人からは「愛し仔(ロビン)」とも呼ばれる。
 しかし耐久力は並の術師と同じかそれ以下に虚弱で、生きているだけで際限なく魔力の生産と吸収を繰り返し、肉体が負荷に耐えられなくなり数年のうちに殆どが死亡する。
 この体質と、あちら側のモノを対抗策も持たないまま引き寄せてしまい心身を傷つけることから生存率は非常に低い。
 上級のサーヴァントでも長時間問題なく行使できるが、魔力より先に生命が尽きる方が早いだろう。

 作中では魔法(魔法使い)と魔術(魔術師)は区別されており、人ならざる存在の力を借りて世界の理に干渉し奇跡を起こすのが魔法で、魔法と酷似した結果を独力で生み出すのを魔術と分ける。
 魔法使いがコンピュータの管理者なら、魔術師はハッカー。
 チセ個人の技能としては、眠り薬や子守唄、他者の記憶や夢を垣間見る事に関して適正があるのがちらほら見られる。

 原作8巻時点では、攫われた竜を助ける為に魔力を吸収した結果、左腕が肥大化。竜の呪いを受け寿命が加速度的に減ってしまっている。

【人物背景】
 赤髪と若葉色の瞳を持った少女。
 物心ついた頃から人ならざるものが見え、その時は両親に守られて過ごしてきたが、ある時父親が息子を連れて急に失踪、残された母は負担に耐えきれず呪いの言葉を吐いた後悔に身を投げた。
 人の社会に居場所がなくなったところを魔法世界のオークションにかけられ、500万ポンドで魔法使いエリアス・エインズワースに買われ、彼の弟子兼『花嫁』になる。
 人外の姿と力を持つが情緒が子供並なエリアスに互いに教え合い、魔法使いに妖精といったあちら側の住人と交流を通して新しい人生を送っていく。

 受動的で口数は少なめだが、根は頑固。交流のうちに前者の部分は解消されていってるが後者はむしろ強くなってる節がある。
 周囲に疎まれた過去から、自分に接してくれた人物には(それが効果的とはいえ)自分を差し出すことに躊躇がなくしょっちゅう傷つく。誰かに必要とされたい承認欲求とも。
 自己犠牲という自覚はなく、それをして悲しむ人がいると知り、当初はなかった「生きたい」という欲を見せるようになっても、つい反射的に無茶をやってしまう悪癖になっている。

 エリアスが他者に自分の竜の呪いを移させようとした事を知り彼の場を離れたの直後。
 使い魔(ルツ)との契約は途切れていないが、トリスタンとの契約が混線した影響でこちらに出る事はできない。直前に拒絶したのも一因かもしれない。

【方針】
 体の都合上、夜は楽に外を出歩けないのがネック。昼の間はトリスタンに行動してもらう。
 余談だが、オークションで買い取られた際の取り分として 250万ポンド(ざっくり4億2500万円)が通帳にぶち込まれてる。無茶苦茶である。

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最終更新:2021年06月19日 20:56