英霊の座にて、彼の王は人を見る。
天なる空から、雷雲の果てから、人を見る。
この世は色で満ちている。黒。白。灰色。それだけでなく。
王は、既に王ではない。偽りの冠を捨て、青年となり、世界を己の目で確かめ───そしてその生涯の終わりを以って座へと至った。
争いに手を貸すつもりはない。殺し合いに手を貸し、命をその手にかけるほど醜いものはない。
しかし。
殺さなければいけない残酷な真実と。
殺さないという高すぎる遠い理想と。
その二つの狭間で、揺れ動く少女を眼下に収めつつ、青年は宣言した。
「キミとサーヴァントが目指す道は───どんなものか」
蒼炎と雷が走る、天空にて。
青年は、再びこの彩られた世界に、降り立った。
○ ○ ○
コツン、と座り心地の良い椅子に座り、背もたれに身を預ける。身体に合わぬサイズのソファーチェア。私には、少し大き過ぎる。
身を預けたまま周囲を見渡すと、あまりに小綺麗───というより、清潔過ぎる世界が目に映る。白を基調とした部屋に、黒いデスク。デスクの上には様々な資料が並べられており、意識を乱さぬように配慮された昼光色の照明で照らされている。
並べられた資料には、会社としての方針・新製品・企画書などなど、目を通すだけで頭が痛くなるようなものが並んでいる。整列するかの如くきちんと並べられているが全く内容の異なる書類の中に、一つだけ共通点があった。
───製薬会社『ロドス』、と。
私はどうやら、そこの公表リーダー、CEOの立場らしい。
(そんなはずはない…そんなはずはない、のに)
クラシックなデザインのコートに身を包み、顔だけを動かし、私は鏡を見る。そこに映るのは、体の大きな男性が座るようなソファーチェアに身を預ける少女。頭から兎の耳がぴょんと生えた、少女。
───アーミヤ。名前は、きちんと思い出せた。
思い出せているというのに、違和感が拭えない。机の上に並べられたものには数々の病に向けた薬、治療器具、それから新技術の開発まで、多くの情報が書き記されている。
しかし。ロドスにとって一番大事な項目。『鉱石病』や『天災』といった目下対処すべき事項・考慮すべき事象について全く触れられていない。
まるで。
私だけが、全くの別世界に飛ばされてきてしまったような、そんな気さえ覚える。
しかし、違和感はそれだけではなかった。鉱石病、天災、それらの知識がこの世界に無い代わりというべきか。
聖杯戦争、マスター、サーヴァント、聖杯。それらの単語が、理解できる意味となって脳内に残っている。
超常の存在を従え、一組になるまで行われる殺し合い。最後の一組には、どんな願いも叶える権利が与えられる。
無論、私はそんな殺し合いに乗るつもりなどなかった。『ロドス』は───この世界に存在する『ロドス』とは別物だが───無意味な殺戮を行わない。仲間を見捨てない。
私たち『ロドス』は、人を救うために存在しているのだから。
「…でも、もし。どんな願いも叶うのだとしたら」
鏡に映った自分に手を伸ばす。もし、もし本当に願いが叶うのだとしたら。
私一人が血に塗れるだけで、願いが叶うのだとしたら。
───今も被害にあっている感染者、世界を壊す天災、人に宿る鉱石病。その全てを一瞬で消すことができるとしたら?
いつか、なんて理想を追う必要はない。残酷な真実を見る必要もない。
この一分一秒の間にも差別を受け、命を落としかねない鉱石病の感染者や失われていく命を救うことができるとしたら。
「…っ、だめ、だめ、だめです…!」
顔を振って、邪な思考を振り解く。今も元の私の世界では、ドクターやロドスの皆さんが戦っている。
救うべきものを見て、動いている。
だというのに、私が一人知らぬ地で折れてどうするのか。
そこで。ひらりと、草原のような緑の髪をした青年が、光と共に現れた。
白のシャツに黒のインナー、ベージュのズボン。首と両手首、腰には宇宙や数学を思わせるような絡み合った装飾品を身につけている。白黒の帽子に隠れた、その瞳には光はなく。どこまでも吸い込まれそうだった。
「…決まったかい? キミが追うべき『真実』、『理想』。どっちを取るべきか。キミが望む世界の数式は、どちらなのか」
彼が、私のサーヴァント。キャスター。
人より思考が速く、そのため人と会話のペースが合わないのか、早口気味な彼の言葉を少しずつ咀嚼する。
「聖杯戦争。願いを叶えるために、一組になるまで続く殺し合い。
…きっと、私が殺し合いを否定したとしても、戦場は変わらない。譲れない願いのために誰かが誰かを傷つけて、命を奪って、その抵抗と報復のためにまた争いが起きる」
私は、大きなソファーチェアに全体重を預け、膝を抱く。そこには、自分の温もりしか感じられない。
いつも側にいてくれた───記憶を無くそうとも側にいてくれた、背中を押してくれた『彼』はここにはいない。
心細くなどない、と言えば嘘になる。不安はある。今ロドスはどうなっているのか、レユニオンは、仲間たちは、そして私はどうなってしまうのか。
『彼』が側にいてくれるだけで、どんなに遠い平和への道も走り抜けられるような気がした。どんなに不安が走る私に追いついて、この背中を掴もうとも、『彼』がいてくれるだけで幸せだった。
今は、恐ろしくて恐ろしくてたまらない。両肩を抱いても、胸を押さえ深呼吸をしても、何も変わらない。
逃げてしまえと誰かが囁く。見知った人間などいないのだ、この場には仲間などいないのだと。ならば、逃げても誰も文句は言わない。争いが終結するまで隠れ、防戦に徹すればいい。終結を招く者が、戦争を望む誰かなのか、争いを止める誰かなのかはわからないけれど、そう長い間争いが続くこともないだろう。
無用な争いになど参加する義理もなく。固執する必要性もない。この身が最優先すべき事項は、ロドスの存在する『自分の世界』なのだから。
ならば。
ならば。
自分の身だけを、守っていれば。
「───それでも」
だと、しても。
「私は、誰にも傷ついてほしくありません。戦争である以上命を落とす人は存在します。奪う人も存在します。
私が命を奪わなければならない状況に陥ることも珍しくないでしょう」
戦争。その惨さは、この身がよく覚えている。
殺戮。暴力。差別。悲観。絶望。狂気と憎悪と諦めが混ざった、混沌とした世界。狂った戦場は悲劇を産み、人を容易に『正しい道』から突き落とす。
その恐怖を、知っているからこそ。
「私は争いを止めたい。私のように望まない戦争に駆り出された人も、戦うしかなかった人も同じです。
最後には殺し合う道しか残されなかったとしても───私は、助ける道を諦めたくありません」
「…それが、キミの理想。キミが望む世界なんだね」
「はい。私がここで諦めてしまったら…元の世界で私を信じてくれた皆さんを裏切ることになります。
そうなってしまったら、私は私を許せなくなる」
キャスターの瞳を見据えて、そう告げる。光を失ったような暗いその瞳は、私をじっと見つめ返す。
キャスターは、おそらく私よりも強い。私の使えるアーツを総動員しても、少しの間足止め出来るかどうか。不興を買えば、ここで消される可能性も有り得る。
しかし。この理想だけは、失ってはいけないものだと思ったから。
「うん。いいね、素晴らしい」
「…え?」
「夢を持つ、それは素晴らしいことだよ。争いとは、どちらかが正しいとは限らない。どちらも間違っていたり、どちらも正しいこともあるのだろう。
でもね。その夢を実現し、キミだけの真実とすることは決して間違っていない。
少なくとも、ボクはそう思うな」
意外なことに。帰ってきたのは、肯定だった。
キャスターは微笑みながら、私の言葉を受け止め、その上で肯定したのだ。
茨の道だと、想像しなくてもわかるだろうに。
「協力、してもらえるんですか…?」
「勿論だとも。ボクはキミのサーヴァントだから。キミの溢れんばかりの世界へのラブが、ボクには真実だと理解できる。それを否定することなんて、ボクにはできないよ」
サーヴァントは、既に死した身だという。あまりにも突飛な存在故、『聖杯戦争』というシステムを情報で理解はしていても、サーヴァントという存在の全てを理解しているわけではない。
既に死している英雄だろうと、負ければ消えることに変わりはないのだろう。それが戦争というものだ。
一度死んでいるからと言って、死への恐怖が薄れるはずはない。むしろ、己の命が消えていく瞬間を『知っているからこそ』、恐ろしいはずなのだ。
それでも、キャスターは。
私のために、協力してくれるというのだ。
…みっともない話だけれど。その優しさに、涙が溢れそうになった。一人ではない、その事実が私の心を締め付けていた何かを溶かす。
今日まで戦い生き残る。私の命を救うために、何人もの命が犠牲になった。
その全てに、自分は立派に戦っているのだと、叫ぶために。皆さんが繋いだ命は、無駄ではないと、叫ぶために。私はぎゅっと涙を堪えて、口を開く。
「…キャスターさんは、叶えたい願いはないんですか?」
「無いよ。ボクは…彷徨って、旅をして、十分な色を見た。彩られた世界を見て、答えを得た。次はキミの番だ」
「私…?」
「そう。ボクとボクのトモダチは、真実と理想を司る。トモダチの姿は、今は見えないけれど…確かに存在を感じる。だからボクは、トモダチの代わりに見定めよう」
キャスターは手を広げ、空を仰ぐように天井を見つめ。その先の、星空を見るように。
「ボクを喚んだキミが、『英雄』に相応しいかどうか。望む世界を作るに足る器か、どうか」
すう、と音を立てて消えていくキャスター。霊体化、というらしい。相変わらず、言いたいことだけ言って帰ってしまった。
「英雄、なんて…」
真実。理想。英雄。そんな器じゃない、と私は思う。
ただ、やるべきことを成してきただけで。
…事実、年頃の乙女の肩に乗るには、重すぎる問題。命と命の天秤など、少女が背負うべきものではない。
───しかし、この場にいる兎の少女は。ただ、歩みを止めることだけはしないのだ。
「私のやることは変わりません。人を助け手を取り、問題を解決し、ドクターやロドスの皆さんの元へと帰ります」
若くしてロドスを率いる、戦場を駆け抜けた過去。
道など決まっている。私の進むべき道は変わらない
…『彼』がいない隣は、少し寂しいけれど。
私は、胸を張って『彼』の隣に立つことができるアーミヤだと、歩いていく。
…しかし。
私一人が犠牲になれば、ロドスだけでなく世界が余すことなく救われる───それは、アーミヤが思い描いた『理想』の世界への、一番の近道なのではないだろうか。
ふと心の隅に沸いたその気持ちが、『真実』ではないとは言い切れるだろうか。
心の隅に隠れた感情の名を、私は未だ知らず。
○ ○ ○
「…うん。わかっているよ、レシラム。ゼクロム。ボクはアーミヤがどう言った決断を下すか…アーミヤの旅がどんなものになるか、見たいだけなんだ。
迷い旅をした先駆者として、なんて言うつもりはないけど」
製薬会社『ロドス』、本社ビル屋上。夜風が吹き遊び、眼下には光の灯った建物が並んでいる。
右を見ても。左を見ても。キャスターが慣れ親しんだトモダチ───ポケモンは、いない。
きっとそういう世界なのだろう、とキャスターは結論づける。多くの世界を見たのだ、これくらいあっても不思議ではない。
「大丈夫だよ。命のやり取りをしてきた彼女だけど、方針は善の者だ。キミの焔が彼女を焼くことはない」
キャスターの背後に、陽炎のように白龍の姿が浮かび上がる。実体はなく、確かに燃え盛るオーラは健在だがそこに肉体はない。
キャスターの背後に、嵐に見る幻覚のように黒龍の姿が浮かび上がる。同じく実体はなく、弾けるオーラのみが健在だ。
魔術師のサーヴァント、キャスター。彼は『ポケモントレーナーとして』ではなく、『真実または理想を司る、神話に描かれた存在に認められた英雄』としての側面を持ち召喚された。
おそらく、ライダークラスだったのなら、神獣クラスの白龍と黒龍を呼び出せたであろうが───今はこうした、力の一端を借り受けることしかできない。
「…鉱石病。感染者。ボクはかつて、世界は黒と白が混ざった灰色だけでなく、受け入れることで様々な彩りを得ることができると知った。
でも、どうしても混ざることができない『色』もあるらしい」
キャスターは、空を見上げながら呟く。
夜空はいつも美しい。整った間隔で拡げられる星々。
「だから、ボクも知りたいんだ。まだ見ぬ世界を彩る数式がどんなものか。ポケモンと人ではなく、人と人が美しいハーモニーを奏で、生きていける世界の真実を。
そして。アーミヤが願う『真実』も『理想』も、どちらも捨てずに抱き続けることができたなら。世界を知り、それでもと彼女が前を向くことができたのなら」
キャスターの右手に、真実の焔が宿る。
キャスターの左手に、理想の雷が宿る。
此れこそは神話の再現。真実と理想を司り、力に預けるに相応しき心の持ち主かどうかを見極める審判の龍の力。
「ボクは───どんなサーヴァントをも、超える」
キャスターのクラスのサーヴァント。
真名を、『N』。
ナチュラル・ハルモニア・グロピウス。
かつて世界のための王として育てられ、青年に戻った彼は、伝説と共に蘇る。
再び、知らぬ世界の数式を読み解くために。
【マスター】
アーミヤ@アークナイツ
【マスターとしての願い】
ロドスは悪趣味な人殺しに加担することはない。仲間を助け、命を助ける。
───しかし、もし、私一人が血に濡れることで鉱石病も天災も無くすことができるのなら…?
【能力・技能】
『ロドス・アイランド』。製薬会社かつ、武装部隊を持ち航空移動も可能とする組織の公表リーダー。
戦闘タイプは『術師』と呼ばれるもので『アーツ』と呼ばれる術を用いて中・遠距離攻撃が可能。強大な力を引き出せば引き出すほど、自らに帰るダメージも大きい。
また、相手の深層心理に呼びかけ対話をする能力や、己の感情をそのまま相手の心に叩きつけ混乱させる精神に関わる能力を持つ。
騎士や戦士とは違う彼女だが、幼いながらに公表リーダーを務め、仲間の命や継続戦闘をすることにより失われる命を考え、戦場で現実を見た判断を下せる優秀な人物。
【人物背景】
製薬会社「ロドス・アイランド」における公表リーダー。CEOのような立ち位置であり、組織の運営や医療部門、軍事、外交などなどは専門のスペシャリストが担当しているが、最終決定権を持つのは彼女である。
仲間を見捨てることを嫌い、最高責任者であるにも関わらず自ら敵地に乗り込むなど強気な一面もあるが、失われていく命に嘆き迷うなど少女の一面も強い。しかしこと戦場では、自らの思いのために命のやり取りをすることに躊躇いはない。
公私のはっきりした少女と呼ぶべきか。
鉱石病に感染した感染者、そして非感染者をも救うというとてつもない理想を掲げており、残酷な真実を目の前にしても日々争っている。
少なくとも、参戦時期はフロストノヴァ戦以降。
界聖杯において、役割は製薬会社『ロドス』の公表リーダー、責任者であるようだ。勿論、武器等は持たない一般的な会社である。
特徴的な兎の耳を持つが、どうやら『ロドスの社長はそういう方針』として受け入れられているよう。変わり者の社長、という扱いだろうか。
【方針】
ロドスのメンバーとして、そして自分の理想のため、無意味な殺し合いはさせたくない。
しかし…
【クラス】キャスター
【真名】N(ナチュラル・ハルモニア・グロピウス)@ポケットモンスターシリーズ
【属性】善・中庸
【パラメーター】
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:A 幸運:E 宝具:EX
【クラススキル】
陣地作成:D
魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる能力。一時ではあるが王であった彼は、工房として生前ほどの大きさではないが『Nの城』を形成する事が可能。
道具作成:E
魔力を帯びた器具を作成できる───が、魔術師ではないため多くの製作は不可能。
しかし、『回復の薬』と呼ばれる強い回復薬を持つ。
【保有スキル】
動物会話:A +
言葉を持たない動物との意思疎通が可能。彼の場合モンスターに特化した意思疎通能力であり、彼らの対話に言葉は必要ない。しかし動物・モンスター側の頭が良くなるわけではないので、あまり複雑なニュアンスは伝わらない。
しかしこのランクに達するとキャスターの意思を動物及びモンスターが汲み取り、力を貸してくれることも可能。
伝承の双子英雄:EX
『真実』、または『理想』を司る存在から認められた証。
後述による宝具の使用を可能にし、人間・動物・モンスター問わず一種のカリスマスキルとしても機能する。
高速思考(数学):B
思考力の速さを表すスキル。
彼の場合、近未来の予測すら可能とするが、数学が基盤となっている為、十分な情報が必要となる。
四季の心:C
森。山。海。空。晴れ。砂嵐。雨。あられ。
その場所、戦闘環境に適応し利用するスキル。
主に天候に強く発動する。春夏秋冬、彼は季節ごとに悪天候を利用する戦術を操ったという。
【宝具】
『双子英雄・白龍の真実(クロスブレイズ・レシラム)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:400
神話において、『真実を追い求め、善の世界を築く者』に力を貸したと言われる白龍・レシラムの焔。
大気を動かし、天候すら変動させるその青い焔は、相手の能力を無視し焼き尽くす───ターボブレイズという性質を宿していたと言われている。
今回の召喚においてNは『ポケモントレーナーのN』ではなく、『伝説の真実、または理想のポケモンに認められし英雄』『真実、理想を見極める者』としての召喚であるため、直接的なレシラムの召喚は不可能とされる。
よって、使用した際には日照りの日に見た陽炎のように揺らめく白龍と青い焔だけが出現する。
マスターが真実を追い求める限り、焔は勢いを増すが───進むことを辞めたとき、この焔は勢いを失くす。
『双子英雄・黒龍の理想(クロスボルト・ゼクロム)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:400
神話において、『強い理想を抱き、希望の世界を造る者』に力を貸したと言われる黒龍・ゼクロムの雷。
水分を分解し、あらゆる地を焦土と化すその青白い雷は、相手の能力を無視し貫く───テラボルテージという性質を宿していたと言われている。
今回の召喚においてNは『ポケモントレーナーのN』ではなく、『伝説の真実、または理想のポケモンに認められし英雄』『真実、理想を見極める者』としての召喚であるため、直接的なゼクロムの召喚は不可能とされる。
よって、使用した際には雷雨の日に見た幻影のように揺らめく黒龍と青白い雷だけが出現する。
マスターが理想を追い求める限り、雷は勢いを増すが───理想を捨てたとき、この雷は光を無くす。
『雷焔無双・世界を彩る数式(クロスブレイク・グロピウス)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:800
かつて『真実』と『理想』は一つの存在だったとされる。
この世の中は白黒はっきりとしておらず、言うならば混ざり合った灰色の世界───だけでなく、それらを受け入れ、多種多様な色が世界を彩っている。それが、キャスターの出した答え。
もしマスターが『真実』を追い求め、その残酷な『真実』に打ちのめされようとも。
もしマスターが『理想』を追い求め、その叶わぬ『理想』に行手を阻まれても。
それでも、『真実』と『理想』を手放さなかった時、赤い焔と青白い雷が交差し───『クロスフレイム』『クロスサンダー』が互いを増幅させ、困難の道を切り開くだろう。
【weapon】
青い焔、青白い雷。
【人物背景】
かつて『王』として育てられた、緑髪の男。
王は自らが望む世界のため、同胞のため思い描いた自由のために、『真実』または『理想』を司る存在に英雄と認められ、ある少年に勝負を挑んだという。
そして、自らが間違っていたと気付いた王は、世界を巡り自らの目で灰色の世界の色を見極める。
世の中は一色ではない。絡み合う数式のように、はっきりと答えが示されるものだけではない。
黒と白、人とポケモンの二色だけでなく。
多種多様な存在で彩られた世界があるのだと知り───王は、一人の青年となった。
Nは今回、『ポケモントレーナー』ではなく『真実または理想を司る伝説の存在に認められた者』としての召喚のため、神話に残るレシラム及びゼクロムの本体を召喚することは叶わず、その力の一端を借り受ける。
また、レシラム及びゼクロム、どちらに選ばれたかは諸説あるため、逸話が混濁し今回の召喚となった。
『真実・理想を司る者』と混同して召喚された彼は、かつて自分が世界の在り方に迷い答えを探したように、同じ問題に立ち塞がる者に力を貸す。
出典は「ポケットモンスターブラック・ホワイト」「ポケットモンスターブラック2・ホワイト2」「ポケモンマスターズ(イベント『世界を彩る数式』『黒白の親子が求めた解』など。)」
【サーヴァントとしての願い】
この少女の、真実と理想の行先を見届ける。
最終更新:2021年06月19日 20:59