ここは会場内のとある町の路地裏、そこでは一人の男が逃げ続けていた。
(なぜだ、なぜ私がこんな目に…!あのサーヴァントは、一体何なのだ……!)
その男は、アサシンのマスターとしてこの聖杯戦争に呼ばれた魔術師だった。
彼は自分のサーヴァントを有効に使い、時には闇討ちをし、時には自身が集めた情報をばらまいて
別のマスターに襲わせるなど、ほかのマスター候補たちを順当に脱落させていた男だった。
そんな彼は今、必死に路地裏を走り続けていた。
彼は先ほど、奇妙な格好をした少女と出会っていた。
その少女は胸元を大きくはだけさせた制服をまとい、また所々に溶けたチョコレートが塗られていた姿をしていた。
彼は魔力の反応などから彼女がサーヴァントであると気づき、彼女をおびき出して始末しようとした。
しかし……
「どうやらかかったみたいだね、エルエ」
「そうだねエルエ、"また一人"見つかったね」
そういうと彼女の姿が先ほどのとは変化し、柱時計のような剣を持ったロリータ風の姿へと変わったのだ。
それとともに彼女が自らの持つ剣で男を切り裂こうとしたが、男は一切焦ってはいなかった。
何故ならば、すでにアサシンが彼女の後ろに回り込んでいて、すぐにでもその首筋を掻っ切ることができる状態だったからだ。
そうしてアサシンが彼女の首筋に刃を突き立てようとしたところ、またも姿が変化し始めたのだ。
「……すまないけれども、とっくの昔にキミがいることには気づいていたんだよね」
そういうと彼女はガラスの棺に閉じ込められた姿に変わっており、その棺によってアサシンの刃は受け止められてしまったのだ。
それに彼らが驚愕をしていると、突如としてその棺のフタが開き始めた。
それとともに彼女が飛び出してくると、今度は入れ替わるように、突如としてアサシンの方が棺に閉じ込められてしまったのだ。
「これで邪魔は入らないね、エルエ」
「そうだねエルエ、でもこのままだといつか抜け出しちゃうかもしれないよ?」
「じゃあこうしようか、エルエ」
彼女がまるで別の誰かと話し合うようにした後その目から光線が放たれ、それがアサシンの心臓部分を貫いたのだ。
そうしてアサシンが金色の粒子となりながら消滅したのを確認すると、その少女は再び男のほうへと向き直った。
「これで本当に、邪魔は入らなくなったね」
その言葉とともに彼女の姿が再び変化し、今度は青白いランスを持った、白いドレス姿へと変化していた。
「サーヴァントを失った今、自分は彼女に対抗するすべはない」、そう男が判断すると、全速力でその場から逃げたした。
しかし彼女は男を追いかけるそぶりもなく、誰かが来るのを待っているかのようにたたずんでいたのだが、男はそれを知る由もなく逃げ続けた。
そうやって彼がひたすら逃げていると、突如として彼の周りが暗くなっていた。
何事か、と男が上を見上げると、そこにはまたしても衝撃的な光景があった。
何と野球服を着た男が、自分の腕を鳥のようにはばたかせて飛んでいたのだ。
そしてその男が彼を発見したかと思うと、彼めがけて急降下したのだ。
「はい、ドゥーン!」
彼は必死に逃げようとしたが男のほうが早く、男は彼の顔面めがけてドロップキックを放ったのだった……。
若干時をさかのぼって、とある昔懐かしい感じのする家の前にて……
「…2998!…2999!……3000!ハイ!今日の素振り終わり!」
そこでは焦点の合っていない目をした男が、自分と同じような顔をした男が括り付けられたバットで素振りをしていた。
「十四松、今日はちょっと少なくないか?……いや、これ以上やられると吐くけど」
いきなり、バットに括り付けられた男『一松』が素振りしていた男『十四松』に対してツッコミを入れていた。
「うん、今日はちょっと用事があるから、早めに上がらないといけないんだ」
それに対して十四松が用事があるから早めに切り上げたことを彼に伝えたのだった。
「……用事って何だ?」
市松はその言葉についてさらに質問をしたが、それについて十四松は何も答えなかった。
「あ、ちょっと待って。電話来たから」
十四松がそう言うと、彼は突如として自分が履いていた靴を脱いで自分の耳元にあて始めたのだ。
<<マスター、他のマスターを見つけたよ。場所は、……だよ>>
「うん分かった、今行くね!コーッケコッコーゥ!!」
そういうと十四松は両手を大きく羽ばたかせながら空へと旅立っていったのだ。
「……十四松、ニワトリは空飛ばないから」
そしてその様子を見ながら、縛られたままの一松はズレたツッコミをしていた。
そして舞台は現在に戻り……
「カンカンカン!はい、これで十四松の勝ちー!」
そこでは、先ほど別のマスターにドロップキックをかました十四松が、自分でゴングの音を鳴らしながら勝利宣言をしていた。
「……相変わらず、めちゃくちゃなマスターだね。エルエ」
「そうだねエルエ、このマスターは人間離れしているよね」
それに対して彼のサーヴァントは、十四松の人間離れした動きや一切予測のつかない言動などについて呆れた様子だった。
実をいうとこのサーヴァントが先ほど念話で彼を呼んだ理由は、彼の要望によるものだった。
一部回想すると……
『つまり格闘技大会ってことだね、じゃあマスターについては僕が倒すからその時は呼んでね!』
『……どうする、エルエ?』
『一応は従ってみようよ、エルエ』
といった感じで、変な勘違いをした十四松が彼女たちに変な命令をしたことがきっかけだったのだ。
「よーし!この調子で、ドゥンドゥン他の参加者倒して、トロフィーいただくぞー!」
こうして十四松は変な勘違いをしながら、この聖杯戦争を突っ走っていくのであった……。
はてさて、こんな感じでメチャクチャなマスターとそのサーヴァントの戦いは、今後どのような形で着地するのであろうか……?
【クラス】アクター
【真名】エルエ
【出典】Alice Re:Code
【性別】女性
【属性】混沌・善
【パラメーター】
(通常時)
筋力:D 耐久:D 敏捷:C 魔力:B+ 幸運:B 宝具:A+
(『婀娜の魔性)』発動時)
筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:A++ 幸運:B 宝具:A+
(『隠匿の本心』発動時)
筋力:A+ 耐久:A++ 敏捷:B+ 魔力:B 幸運:A+ 宝具:A
(『開かれた双眸』発動時)
筋力:B 耐久:A++ 敏捷:D 魔力:A 幸運:A++ 宝具:B
(『スクテラリアの狂気』発動時)
筋力:A++ 耐久:D 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:B
【クラススキル】
変化:A+
”座”に存在する、自身とは別のサーヴァントの力を一時的にコピーし、
それに合わせて自らの肉体を作り変える事ができる。
また、肉体のみならず人格や記憶などの精神も“変化”が可能。
彼女の場合は召喚された時点でコピーした力が”宝具”という形で顕現している。
……完全に余談だが、彼女がコピーできる連中は彼女の狂気を反映してか、
一部例外はあるものの『兄弟姉妹がいる人物』が多かったりする。
【保有スキル】
単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
狂化:C
理性と引き換えに能力を向上させるスキル。
ただし彼女の場合は元々が狂っているため、その言動や行動などに変化は見られない。
【宝具】
『婀娜の魔性(雪の女王)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:100人
自身が愛で続けていた少年を、見知らぬ少女に奪われた女王を
自身に憑依させ、一種のデミサーヴァントのような状態となる宝具。
この宝具を使っているときは白いドレスをまとい、また右腕にはもみの木を思わせる形をした
青白い槍を携えた姿に変化する。
能力としては相手にキスをすることで宝具を発動できなくするなどのデバフを行うものと、
相手の攻撃を跳ね返す鏡を召喚するものなどがある。
『隠匿の本心(オオカミと七匹の子ヤギ)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:6人
暴力的な兄たちに復讐するため、恋人であるオオカミを家に招き入れた子ヤギを
自身に憑依させ、一種のデミサーヴァントのような状態となる宝具。
この宝具を使っているときは鮮やかな紫色をしたロリータ衣装をまとい、また
柱時計を思わせる巨大な両手剣を持った姿へと変化する。
能力としては柱時計を召喚して防御に使う、手に持った両手剣で相手を叩き潰すほか、
『腹を切り裂かれ、ゾンビ化したオオカミ』を召喚するなどがある。
『開かれた双眸(ガラスの棺)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0~30 最大捕捉:2人
悪い魔法使いによって兄を牡鹿に変えられ、また自分は永きに渡りガラスの棺に閉じ込められていた少女を
自身に憑依させ、一種のデミサーヴァントのような状態となる宝具。
この宝具を使っているときは名前の通りガラスの棺に閉じ込められた姿となり、また
レオタード風の衣装をまとった状態でガラスに胸を押し付けているなどかなり扇情的な姿となる。
能力としては目からビームを放つことと、自身が閉じ込められていた棺に相手を閉じ込めることで
一切身動きが取れない状態にするなどがある。
『スクテラリアの狂気(豚殺しごっこをした子供たち)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉: 2人
ごっこ遊びで弟を殺した兄と殺された弟を自身に憑依させ、
一種のデミサーヴァントのような状態となる宝具。
この宝具を使っているときは胸元を大きくはだけさせたギャル風の制服姿となり、また
胸や太ももなどに溶けたチョコレートが塗られているなどかなりニッチな姿となる。
能力としては狂喜と快感のままに暴れまわることと、相手の魔力耐性などといったものを無視して
ダメージを負わせるなど、ほかの宝具と比べて少し地味なものである。
【weapon】
柱時計を思わせる巨大な両手剣で、刀身の根元部分に時計盤が取り付けられている。
また常に『7時半』の時刻を指し示しているが、これが何を表しているのかは不明。
その名の通りガラスでできた棺で、中にはバラの花などが入っている。
【人物背景】
「ワタシたち二人は無敵だもん。だよね、エルエ」
「うん、そうだよエルエ、最強だよ。くすくすくす……」
右側が白く、左側が黒い特徴的な髪をした少女で、普段着も左右で色が反転しているなど
特徴的な格好をした少女。
『自分達は双子である』と自称し、1人で2人分の会話をすることが常であり、
またそのどちらともが「エルエ」という名前である。
そのため彼女とまともに会話をしようとすればほとんどの場合、混乱してしまうことになる。
……一応、「明るい女の子のような口調」か「物静かな少年のような口調」かで
どちらのエルエが喋っているのかはかろうじて見分けることができるのだが、
それ以外で見分けることは困難である。
【サーヴァントとしての願い】
「ずっと一緒にいようね、エルエ」
「そうだね、エルエ。ずっと離れないようにいようね」
【マスター】
松野十四松@おそ松さん
【マスターとしての願い】
優勝して、トロフィー(聖杯)をもらう!
【weapon】
なし。
【能力・技能】
全体的に身体能力が高く、服を着た状態でドブ川を全力でバタフライする、
人間を投げ飛ばした後飛び乗って、遠くまで移動するなど人間離れした身体能力をしている。
その他にも他の兄弟の風邪を治すために細菌レベルにまで小型化、分裂をしたこともあるなど
そもそも人間かどうかも怪しいレベル。
【人物背景】
松野家の一卵性六つ子の五男であり、明るい狂人。
またの名を六つ子の核弾頭的存在であり、その考えを理解できる人間が存在しない。
【方針】
聖杯戦争のことを正しく理解しておらず、「街全体がリングの格闘技大会」のようなものだと思っている。
まずは他の参加者たちを見つけるという目的の元、街中を散策している。
なおアクターに関しては相手を油断させる目的(と十四松の趣味)で基本的に『スクテラリアの狂気』が
発動した状態で行動をしている。
【備考】
会場内に他の六つ子たちが配置されていますが、
NPCかどうかは不明です。
(この点については、今後の書き手様に任せます)
最終更新:2021年06月19日 23:31