毎日が楽しかった。
毎日学校に行って、ダンスとか学んじゃって、事務所にスカウトされちゃったりして。歌手なのかモデルなのかアイドルなのか、将来の自分が何をしているかはわからないけれど、芸能界で輝いている自分を想像すると楽しかった。
夢が。できた、気がした。
学校帰りに食べるスイーツ。汗水垂らして身体を動かして、キレのいい動きと誰しもが見惚れる動きを想像する。練習終わりのお風呂。何もかもが、楽しかった。
そんな毎日、とある日の夜道。街頭に照らされた道を歩く。夜空の星の輝きと、コツコツと鳴るコンクリートが少し小気味いい。あえて踵を地面に叩きつけると、まるでタップダンサーにでもなった気分だ
いつものダンスレッスンを終えた、帰り道だった。なのにいつもと違う、頭痛。
なんだか痛いな、でも病院行くほどでもないな、そんな頭痛。こめかみの辺りを拳でぐりぐりとマッサージすると気持ちが良くて、少し表情が緩む。
緩んで。緩んで。痛みが少し収まって。緩んで。緩んで。ほほーっ、と気持ち良さに頭を委ねて。
いつの間にか閉じていた瞼を。ゆっくりと開く。
───その瞬間。
わたしの目の前を、チェーンソーの刃が通り過ぎていった。
「…へ?」
反応するよりも先に目の前を通り越し、大地を削るチェーンソー。チェーンソーがコンクリートの地面を削り、土煙を巻き上げる。
固まった私の目の前に現れたのは、黒の男だった。チェーンソーを持ち、幽霊のようにユラユラと揺れている。
純粋な恐怖。純粋な絶命の危機。ぽすん、とわたしは尻餅をつく。
死にたかった訳ではない。ただただ、死にたくなかった。けれど、恐怖が身体を縛りつけて動かない。
怖い。
いつもの帰り道に現れた、殺人鬼。
怖い。怖い。
いつもの帰り道に起きた、頭痛。
怖い。怖い。怖い。
あたまがいたくて、われそうで。
───それでも、死にたくないと思ったから。
神様が、願いを叶えてくれた。
ギィン、と甲高い音が鳴る。まるで、鉄に鉄をぶつけたような、とても硬い音。わたしは、この音を知らない。
チェーンソーを持った男が後退する。『する』というより『させられた』が正しいだろうか。
私の目の前には、白銀の鎧。軽く二メートルは超えるであろう身長。三叉の槍。時代錯誤のその男は、どうにも笑ってしまうほどおかしいのに。
これ以上無く。頼もしい、味方に見えた。
「───サーヴァント、ランサー。召喚に応じ参上した。
貴女をマスターとして認証します。どうか、避難を」
淡白だった。挨拶も、それだけで。
サーヴァント。ランサー。何一つわからない単語が並んでいるはずなのに、不思議と理解できる。脳の中に直接情報が流し込まれているのに、適切に区別されていくような奇妙な感覚。情報を理解する度に、一度に多くのことを理解できるようになったためか、頭痛が奔る。
「ランサー、さん…は…?」
「後で追いつきましょう。何、そう時間はかけません」
「えっと、その…ありがとうございます!」
何故かはわからないけれど。
無条件で、この人は信頼していいのだと脳が告げている。
背を向けて走り出す。ぎゃりぎゃりと、チェーンソーと槍を巻き込む騒音が背後で鳴り響く。
信頼しろ。決して無駄にするなと走り続ける。
そして。少女が消えた、戦場にて。
「…奇妙な武器。おそらく現代の英雄か。セイバーかバーサーカーかわからんが、名乗りをあげることも知らんか?」
白銀の鎧の男の問い掛けに、チェーンソーの男はピクリと反応し。
チェーンソーの男はただユラユラと揺らめいて。
ユラユラと。揺らめいて。
「焼肉とか、興味あります?」
饒舌に。
突飛な言葉を、繰り出した。
「直火焼きになりますけど…良かったら差し入れしますねぇ」
片目が隠れるほどの、長い髪から覗く。
赫い、瞳。
「男の手料理になっちゃいますけど、そこは我慢して貰おうかと」
◯ ◯ ◯
息が切れる。既にどれだけ走っただろう。自転車とか用意しておけばよかった、なんて考える。
立ち止まった時には、戦場は既に遠く。背後を振り返っても敵は見えず、激しい音も聞こえない。
限界だと軋む肺を無視して、もう嫌だと震える足を鼓舞して、真夜中でも人通りの多い場所へとひた走る。泣きそうになりながら夢中で走ると、ようやく開けた人通りの大通りが見えた。
おそらく、飲食店が立ち並ぶ街中なら安心だ。そこでタクシーでも拾って、家に帰ればいい。何なら警察にでも電話して。
(…ああ、でもランサーさんとか聖杯戦争とか、どうやって説明すれば)
何もかもが頭の中で混乱したまま。知らない言葉のはずなのに『知っている言葉』に混乱しながら、大通りに出た彼女は、運良く停車していたタクシーに駆け込むようにして乗車する。
突然乗り込んできた彼女に、タクシーの運転手は振り返らない。
「あの、とりあえず、警察署に…いやその、交番でもいいんですけど!」
「……」
運転手は、振り返らない。
「ええと、怪しい者じゃないですし危険な人でもないんですっ! こっちの鞄に学生証があったはずで…」
「…」
運転手は。喋らない。
まるで。『既に死んでいるかのように』。
「あの…?」
わたしの不運は、ここで立ち止まってしまったことだと思う。
人生は選択の連続だ、なんて言葉があるけれど。全くのその通りで、わたしは常に選んで動き続けるべきだった。
チェーンソーの男に襲われて。サーヴァントを召喚して。走って逃げて。人通りの多い街に逃げて。運良く停車していたタクシーに乗り込んで。
ただ流されるがままに、行動したことが悪かったのだろうか。
『あー、あー。聞こえる? マイクテスト中なんだけど』
今まで黙り込んでいた車のスピーカーから、音声が流れ出す。女性の声。
ラジオかな、なんて。
場違いなことを思っていたのが、わたしの最期の思考になった。
『まあいいわ。聞こえてなくても関係ないし。とりあえず───大当たり、おめでと』
「…へ?」
車も多く通る大通り。飲食店が立ち並ぶ、夜も賑わうこの場にて。
停車していたタクシーが───ぼんっ、と。
これまた派手に、花火のように。綺麗な綺麗な、花を咲かせた。
◯ ◯ ◯
槍とチェーンソーが交差する。
火花が闇夜を照らし、蛍のように舞い踊る。激しい薙ぎ払いが計二回。当たらず。チェーンソーの男は巧みに身体を逸らし、直前で躱す。
返す刃のチェーンソーが空を斬る。避けられぬと悟った白銀の男は、槍で受け止める。神秘の籠った槍、こう簡単には折れることはない、と。
それからは、一方的だった。一撃は重くない。ならば、一撃から連撃に切り替える。薙ぎ払いではなく刺突。速度で腱を切り、機動力と力を削ぐ。
白銀の男が、一閃。光と変わる。都合五度。連続して放たれたソレは、一撃目でチェーンソーを弾き。右足、左足、左手首、腹を正確に貫く。
チェーンソーの男は噴水のように血を吐き、膝から崩れ落ちる。不恰好な噴水だった。
白銀の男は勝利に酔いしれることもなく。ゆっくりと槍の穂先をチェーンソーの男の首に当て。
「名前も名乗らぬサーヴァントよ。その首、貰っていく」
槍を振り上げたところで。
白銀の男が、膝をついた。
「…?」
理解の外だった。白銀の男は傷一つ無く。敵は目の前で不恰好に倒れているというのに、何故自分が膝を地に突いているのか。
身体が重い。何故か、など問うまでもなく。
「…マスター…?」
「気ィ…づきましたァ?」
白銀の男が目を見開く。槍で四度貫いたはずの男が、ゆらりと立ち上がるではないか。少なくとも、加減をしたつもりはない。的確に動きを止め、武器を使おうにも腹と足・手首の損傷で力が入らぬように深く貫いた。
サーヴァントとはいえ、専用の治療スキルがない限り即座に傷が治ることはない。だというのに、貼り付けたような笑顔を浮かべ、チェーンソーの男は立ち上がる。
「ほらはら見て見て南のお空。煙、上がってません?」
「…?」
「アレね、バーベキュー会場なんですけど。多分あなたのマスターも参加してると思うんですよねー。
肉役で」
全身の血管が、ブチりと切れる感覚がした。怒髪天を突く、とはこのことか。
全身から抜けていく力を右腕一点に集めて。全ての魔力を一点集中させ。
白銀の男は、察していた。魔力を繋ぐパスを通じて理解できた。出会って間もないマスターは、殺されてしまったのだと。この外道に、死者を愚弄する軽薄な男とそのマスターに。
最早、この身に価値はなく。ならば。
この男だけでも、共に消えてやろうと。
「貴様ァ!」
全身の魔力と気力を込めた刺突。これまでの一撃とは比べ物にならないほどの速度。威力。余波は周囲の建物を揺らし、巻き起こる風は大地を削る。
その一撃は、比類無き確殺。発動すれば、対処を霊核ごと抉り取るほどの力を秘めている。
これが宝具。英雄を英雄たらしめる、己を象徴する半身。願いとその生涯をかけて作り上げた究極の刺突を。
「あー、ごめんなさい。そういうのもういいんで」
チェーンソーの男は。
ひょいと身体を逸らすだけで、躱してしまった。
「こう見えて僕ねぇ…意外と、強いんですよ」
白銀の男が、最後に見たのは。
振り上げたチェーンソーが、己に落とされる瞬間と。
右目の下に黒子をつけた、男の笑みだった。
◯ ◯ ◯
「レディース・アーンドゥ・ジェントルメェーン…」
動きを止めたチェーンソーを地面に刺し。男は、足をクロスさせ、頭の上でパンパン、と二回ほど拍手しながら。
「WINNER───ン僕! なーのですっ!」
何処までも人を侮辱したその行動。軍服のような堅苦しい黒いスーツに銀の肩当て。片目が隠れるほどの長い髪に、優しい印象を与える右目の下の黒子。
見た目と行動が合致していない男。パンパン、と手を叩きながら踊る姿は、道化のようで。
「ご機嫌ね、ライダー。勝ったのがそんなに嬉しい?」
「いや特に。ちょこぉーっと弱め~にしてザクザク刺されてあげたら『この一撃で共に消えてやる…!』みたいな顔してたんで。避けられたらどんな顔するかなーみたいな?」
「…あの柄でもない無言ユラユラは何だったの? 傑作だったけど」
「『ジェイソン』って知ってます? ああ、『いけにえ』の方じゃなくてみんな知ってそうなホッケーマスクの方」
「知らないけど」
「ンじゃあ話しても無駄ですねェ~時間の無駄無駄。やめときましょ。あ、マスター。『ジェイソン』って最初チェーンソー使ってなかったって本当なんです?」
「知らないっつってんでしょ」
ライダーと呼ばれた、チェーンソー…黒髪の男は、興味なさげに残った槍を蹴飛ばす。魔力が切れたのか、それも光の粒子となって消えていく。
「マスター…えっとぉ、『W』さんで合ってましたっけ? あのいたいけな少女は焼肉状態で?」
「だといいわね。今頃もう炭でしょうけど」
「あらグロ可哀想。男ライダー、一人暮らし自炊の腕の見せ所だったんですけど…」
白髪に赤の混じった髪。赤と黒を基調とした服。革製だろうか、ワイルドな雰囲気を見せる上着に奇妙にマッチしたスカートが翻る。
『W』。そう呼ばれた彼女は、何事にも興味が無いとでも言うように、ライダーを無視し、会話を続ける。
「で、一組片付けたわけだけど。あと何組いるの?」
「それはちょっと…僕じゃわかりませんねえ。殺す前にランサーさん(故)にでも聞いておけばよかった」
「へえ。ま、いいけど。いつか終わるんなら」
背を向けて去っていくWの背後を、気ままなライダーが追いかける。特に珍しい会話は無く。戦果を得たからと言って、喜ぶこともない。
ただ挑発し、ただ嘲笑し、やりたい事をやりたいだけ。
ほら、目の前にもたくさん玩具があることですし。
飽きたらポイで捨てましょう。それまで、楽しまないと嘘でしょう?
◯ ◯ ◯
女は思う。
やり直せるのなら。
『あの人』を失う前にまで、戻れるのだろうか。
男は思う。
やり直せるのなら。
『普通』に生まれて、普通に生きる事だってできるのだろうか。
やり直せるのなら。やり直せるのなら。やり直せるのなら。
───やり直せますとも。
目の前にぶら下げられますは聖杯。勝ち取るはただ一組。戦争、殺し、謀略に悲劇となんでもござれ。
最後に勝ち取ったものが勝利なのです。最後に得たものが勝利なのです。
ならば、最後の一組になるまで、楽しみ抜くのはいかがでしょう?
女は受け継いだ武器を手にコードネームを名乗る。
男は悲劇を纏いながら、今日も道化として嗤い踊り弄び。
悲劇と欺瞞、煤と肉、炎と竜に塗れた血濡れのレッドカーペットが二人の道の先へと続く。
女は多くを語らない。武器と爆炎で隠した心には何があるのか。
男は自分を語らない。短く死んだこの身は道化として、仮面を被り続けている。
仮面を被り、己を隠す二人組。
いつか信頼が二人を繋ぎ、影響し合う未来は訪れるのでしょうか。互いの心を知る日は訪れるのでしょうか。
互いのことすら話し合わず、相手のことすらよく知らぬ主従は、今日も今日とて悲劇を振り撒く。
それでは今回の幕はここまでといたしましょう。
『道化と爆破の回帰物語』。
もしご縁がありましたら、次の機会に。
ああ、言い忘れておりました。
───上映中はくれぐれも、お静かに。
"……以上、データ『聖杯戦争記録・爆破回帰』より抜粋。データの出所不明。"
【マスター】
W@アークナイツ
【マスターとしての願い】
一人だけ生き残れば願い叶えてくれるんですって?
あは、笑っちゃう。そんなものがあれば誰も苦労しないでしょって。
…まあ、でも。本当に、あるのなら。
もう一度、戻れないだろうか。『テレジア』の頃に。
【能力・技能】
傭兵であり、現在『ロドス・アイランド』に所属。肩にはアサルトライフルを掛け、基本的に使うのは改造を施した爆破物ランチャー、地雷に手榴弾、爆発物を扱うスペシャリスト。
地雷の設置も目を見張るものがあり、戦闘中でも気がづいたら仕掛けられていたなどザラである。
また傭兵であるため爆発物だけでなくナイフやサバイバル技術にも長けている模様。
【人物背景】
製薬会社「ロドス・アイランド」における傭兵。かつては敵対し殺し殺されの関係故か、ロドス内に止まっていることは珍しい。
Wとは、称号である。その名は、武器と共に引き継がれ、継承されていくものである。
少女は、Wとなった。傭兵となった。
鉱石病。サルカズ人であるWにとって、痛みとは日常であり差別とは挨拶のようなものだった。特段、今更受けたからと言って過剰に反応することもない。慣れている。
それでも。そんなWを、傭兵を、受け入れてくれる人がいた。受けて入れてくれる『彼女』がいた。『彼女』が乗った、ロドス・アイランドという船。希望の船。Wは、所属していた傭兵団が希望の船との契約が切れようとも、単身『彼女』のために戦った。
その理想のために生きた。
その『彼女』が、暗殺されるまでは。
Wは殺した。暗殺に関わった人物を、部隊を、全て。殺して破裂させばら撒いた。
その後は、簡単な話。世界を眺め、ただ望まれたように戦った。
…再び出会った希望の船───ロドス・アイランドの敵として。
『彼女』のいない船など、価値はあるのか。記憶を失った『ドクター』に価値はあるのか。
そんなことを考えつつ。『彼女』に、その在り方に近づこうとしているうさぎの少女だけは、評価しても、良いけど。
「傭兵なんて、使いやすい戦争道具。この世界にある───インスタントラーメンっていうの? あれと一緒よ。簡単に買えて、事が終わればさようなら。結局は私と世界の関係なんて、そんなものよ」
界聖杯において、役割は変わらず傭兵。裏社会に生きる者、大きな会社とも手を組んだことがある模様。この世界においては、爆発物の素材が手に入りやすく喜んでいる様子。
性格が悪く、挑発的で悪魔的。殺すことも厭わない、むしろ楽しんでいる節すらある。
…元の世界では医療担当であるケルシー、ドクターと呼ばれる指揮を取る男、そしてロドス公表リーダーのアーミヤ以外には興味を示さない。
ロドスに訪れる場合は大抵面倒事を起こす彼女だが、アーミヤの命令や仕事はきちんとこなすという。ただぼーっと、虚空を見るようにアーミヤを眺めている時もある。
ただ、無言で。無表情で。何かを期待しているのか、いないのか。
ドクターとケルシーには過去───Wにとっては忘れられない時間において、重要人物をとされている。
記憶喪失であるドクターがもし記憶を取り戻した時。Wは、ドクターに対しなんと発言するのか。どのような行動を取るのか。それはまた、まだ未来のことである。
参戦時期はロドス加入後。
【方針】
向かってくる奴がいるなら殺すわ。
殺しやすい奴も殺しときましょうか?
まあ、面倒だしどっちでもいいわ。
【クラス】ライダー
【真名】旧多二福@東京喰種:re
【属性】混沌・悪
【パラメーター】
筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:E 幸運:E 宝具:C
【クラススキル】
対魔力:E
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
騎乗:E-(C)
乗り物を乗りこなす能力。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
乗り物程度なら乗り回し、本来なら獣の類も乗り回せるが、本人の意向によりランクが低下している。
道化は手綱を握らない。放った暴れ回る獣を見て、笑うだけ。
【保有スキル】
道化の精神:A +
道化は既に全てを捨てており、己の人生を錯乱のためだけに消費する。戦況を混乱・混沌に堕とす、人身掌握に特化したスキル。
カリスマスキルと精神汚染スキルとの複合ともなっており、彼の真意を引き出すには、彼と同程度の『立場』に立つ必要がある。
仮面:B
ライダーの人生から生じたスキル。自らの本性を偽る、真名秘匿の効果がある。仮面を被り正体を隠す。人の姿をした化け物は、いくつもの『顔』を使いこなし。
気づいた頃には、彼の掌の上。
半人間:C
喰種と人間の間に生まれた、人間でも喰種でもなくなってしまった失敗作。ステータス上昇の効果を持つ。
人間を目指した和修の一族の中で生まれた彼は、人間より遥かに高い身体能力を持つ。その代償に短い寿命、五感の不調が現れる。
本来ならAランク相当なのだが、『赫包』を移植した彼は本来の半人間から遠ざかっている。
和修の王:A
道化の精神・後述の常時発動宝具と組み合わさることで真価を発揮するスキル。
一種のカリスマスキルであり、人々を扇動する。
世の流れを裏から作る和修。その王は、創り上げた世の流れに乗るのだ。
【宝具】
『踊り踊れ、我ら全て盤上の駒(リ・ピエロサーカス)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
常時発動型の宝具。いくつもの仮面を操り、時には悲劇、時には信頼で人の心と世界を操る宝具。
人の心・感情───願いや恐怖、心の根底にあるそういったものに敏感であり、彼はそれらを利用し人を追い詰め利用し手駒と化す。
己すら盤上の駒としてしか感じておらず、実力者でも彼の人身掌握に逆らえるものは少ない。
世界の流れを作り、乗り回す。嘘と悲劇と快楽で塗り固められた騎乗兵。
『産まれ堕ちよ、可愛い愛しい竜(ドラゴン・マイ・ラブ)』
ランク:C 種別:対国宝具 レンジ:- 最大補足:-
突如現れる、液体のようにうねり鉄より硬い肉の塔。赫子と呼ばれる捕食器官でできたソレは、かつて『竜』と呼ばれたもの。
『神代利世』と呼ばれる核を中心に形成されたそれは、一瞬で巨体を形成し、鎮座する。発動すれば自動で人を喰うことにより魔力補給を始めるため、維持のための魔力供給は必要としない。
その存在・歴史から幻想種に匹敵すると推測されるが、本物の『竜種』ではないため神秘としては劣る。
体内・体外に人を捕食するための巨大な顎が存在し、『落とし児』と呼ばれる大量の人型の化け物を産む。
体内には特性の『毒』が存在しており、吸い込むと体内の『RC細胞』が過剰に分泌され───人を喰う存在、『喰種』と化す。
『落とし児』も同種の毒を保持しており、破裂することで撒き散らし接触感染させることも可能。
この宝具を発動中は、宝具『踊り踊れ、我ら全て盤上の駒(リ・ピエロサーカス)』 は発動不可となる。
また、大量の魔力が必要となり使用するには令呪による瞬間的な魔力補給か───他のサーヴァントを一人、生贄に捧げる必要がある。
『狂い狂え、遠く過ぎ去りし我が過去(リゼ・グール)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
喰種における、『赫子』と呼ばれる捕食器官。『神代利世』の赫包を移植した半人間。ライダーの基本武装。
鱗赫と呼ばれるタイプのソレは、腰部分から触手のように現れ液状のようにうねり鉄よりも遥かに硬い。
一撃の破壊力、そして再生力に長けたタイプであり、また応用し形を変えることで分離させ刀等の武器を作ることも可能。
また、人肉を食すことで魔力に変換・再生力と基礎性能を上げることも可能。
最大開放することで『赫者』という形態に移行。
狂化スキルを自身に付与し、基礎ステータスの筋力・耐久・俊敏を一段階上昇させる。
しかし反面、デメリットとして暴走───バーサーカーと化す危険性も多く孕んでいる。
【weapon】
チェーンソー型の武器。普段はアタッシュケースに仕舞われており、ライダーの意思で呼び出し・戻し可能。
【人物背景】
いつか人間へと至るため。世界の裏側に潜みながら国を操っていた一部の喰種組織が抱いた、そんな理想から産まれた失敗作の一人。
喰種でもなく人間でもない、半人間として産まれた彼は人間や喰種を遥かに超えた肉体を手に入れた代わりに、遥かに短い寿命と和修一族のために命を使うという義務を与えられた。
聡明な子であった彼は、寿命の短さ・短い己の命を自由に使うことさえ許されない現実を理解し、『やりたいことをやらなければ』と笑ったという。
彼は、そこで狂った。人間の三倍生きられない短命ならば、三倍愛されるか憎まれるかしてくれと。
やりたいことを、やりたいようにやってしまえと。
そうして彼は人の世を渡り歩く『好青年』を演じ、ある時は『ピエロ』を演じ、ある時は『権力者』を演じた。
人を騙し殺し、一族すら皆殺し。一大組織を得た彼は、世界の流れを作り、波風に揺れる船のように気まぐれに笑う。手に入れたのなら手放すのも一興、と。
終幕が近づいた世界、彼は自分が人生を捻じ曲げた青年と勝負し、敗北。悲しいピエロは、劇が終われば退場する運命なのです。
最後の最後に、やっとピエロの仮面を外し。彼は、言った。『普通に生きたかった、なんて言ったら嗤いますよね』。
人間どころか、一人の命として普通に生きることすら許されなかったピエロは、この時やっと『悲劇』から開放された。
誰しもが『悲劇』の中で生きる中。この世から消え去ることが、悲劇を終わらせる唯一の手段だと。
『———わたし、おばあちゃんになんて、なりたくないよ。ニムラ。』
『———そう?たのしいよ、きっと 』
「…うん。きっと、そうさ」
一族と寿命に縛られた自分には届かない、遠い昔に思いを馳せながら。
【サーヴァントとしての願い】
やりたいことをやりましょ。
どーせ引っ掻き回す程度が関の山、恨まれて憎まれて、笑うだけ笑いましょ。
今日も楽しい一日、始まります。
しかし、もし聖杯が手に入ったとしたら。
───今度は人間に産まれたい、なんて。分不相応ですよねえ。
【備考】
心に仮面を被る二人、互いのことは「戦闘方法」「マスターとサーヴァント」程度のことしか知りません。信頼度0というか興味0からのスタート。
最終更新:2021年06月21日 20:56