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 夕刻。公園で鬼ごっこをしていた子供たちのひとりが、ふと、気づいた。
ここは自分のいた場所、いた時代ではない。帰らねばならない、と。

「あいつ、見つからねーじゃん」「ガチ勢だよ。ほっといて帰ろうぜ」

 同級生たちが呆れた声で去っていく。
少年は顔を紅潮させ、目を輝かせ、息を切らして公園の奥、
滅多に人も来ない竹林の中へと駆け込んだ。彼の秘密の場所だ。

「聖杯戦争。何でも願いが叶う。それを、私が?」

 胸が高鳴る。これは仏や神の御導きか。
あの時、仏の前に座り、目を閉じた瞬間までは覚えている。
とすると、夢か、幻か。ぎゅうっと頬をつねると痛い。たぶん、夢ではない。

 不意に、目の前の空中に黄金の光の粒がきらめき、
群がり集まって、人のかたちを取る。自分に仕える英霊、「さあばんと」が現れるのだ。

 現れたのは、筋骨隆々の大男だ。
釣り上がった目、への字に結んだ口、二本の口髭。
冠、首飾り、黒い胴鎧の上に羽織った衣服。背中に二本の羽根飾り。
異国の武将の英霊であろうか。そして、見るからに偏屈で危険な男だ。
彼は胡乱なものを見るような目でこちらを睨むや、口を開いた。

「ニイハオ」

 少年はちょっと考えて、この言葉の意味を記憶から探り、笑顔で答えた。

「えーと、ニイハオ! 知っています。あなたの国の挨拶だ」

 男は鼻を鳴らし、言葉を継いだ。

「……俺は『暗殺者(アサシン)』だ。お前が俺の主君か、小僧」
「いかにも」
「名は」

「北条時行。高時の子」


 アサシンは、しばらく時行を観察した。
10歳にも満たぬ幼さだが、顔立ちは優れ、立ち居振る舞いに品がある。名家の御曹司であろう。
瞳には恐怖と悦び、知性と理性、僅かな狂気、そして王の器が見える。

「アサシン殿。真の名をお教え願いたい」

 時行は胸の前で拳を手のひらで包み、丁重に頭を下げた。
名乗られたからには、自分も名乗らねばなるまい。

「…………甘寧だ」

 故郷の巴郡では、俺が恐れる者などいなかった。
州牧に反乱を起こして失敗し、長江を下って荊州に亡命したが、肩身の狭い思いばかりだった。
孫権に身を投じたのは、そこより他に生きる場がなかったからだ。
曹操にも、劉備にも、仕える気はしなかった。
しょせん俺は田舎の侠客崩れ、賊徒あがりで裏切り者だ。
降れば用いてはくれただろうが、余計に惨めな思いをするだけだ。食客たちも愛想をつかすだろう。

 孫権を特別に好んでいたわけではない。何年も戦ってから降った相手。
子飼いの武将の父も戦場で殺しており、恨みは幾らでも買っている。
逆鱗に触れて死を命じられても、仇討ちを黙認されても、おかしくない。
孫権は、それを踏まえて、俺を獣の、猟犬の一匹として飼っていただけだ。
常に最前線に立って活躍せねば、役立たずとして始末されただろう。
若造どもと同列以下に扱われ、嫌な思いも随分した。鬱屈も晴らしきれず、寝床で死んだ。

 挙句、死んだ後は英霊とやらにされ、こんな小僧の走狗か。
悪業の報いとはいえ、気に食わぬことばかりだ。

「貴様の願いを言え」

 時行は顔をあげ、真剣な眼差しで、正面からアサシンの顔を見る。

「天下を取り戻すことだ」
「天下?」

 時行は頷く。

「私の父は、天下の、日本国中の武家を治めていた。先祖から引き継いだものだ。
だが謀反に遭って奪われ、死んだ。兄も、許嫁も、一族郎党が皆殺された。
私はその跡継ぎだ。だから、取り戻す」

 アサシンは無表情を変えぬまま、首を傾け、鳴らす。

「ふん。聖杯とやらでか。ならば、どのような天下を作るつもりだ」
「……人々が平和に、笑顔で暮らせる天下を。あなたもだ、甘寧殿」
「つまらぬ世だ。俺は御免こうむる」

 アサシンはあくびをした。時行はふっと息をつき、問い返す。

「では、あなたの願いをお聞かせ願いたい。国か、人か、銭か」
「俺か。今さら願いなどない。貴様がつまらぬ奴なら斬り捨ててやる」
「では、私は合格だな」

 アサシンは舌打ちした。

「俺の行動原理は単純だ。
受けた恩に必ず報い、奪われたものに必ず報いる。
報恩と報復。それだけだ。何か寄越せば報いてやろう」

 時行は、花がほころぶように笑う。美少年である。

「あなたに恩義を与えれば、奉公して下さるのだな。わかりやすい。
我が家はそのようにして天下を治めて来たのだ!」


【クラス】
アサシン

【真名】
甘寧@蒼天航路

【パラメーター】
筋力B 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運B 宝具C

【属性】
混沌・中庸

【クラス別スキル】
気配遮断:C
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は難しい。
派手な衣装を纏い鈴を鳴らすこともある。

【保有スキル】
先制攻撃:C
 戦闘において先手を取る能力。
戦闘開始ターン(1ターン目)のみ優先的に行動を開始し、奇襲できる。
甘寧一番乗り(升城督)。

仕切り直し:B
 戦闘から離脱する能力。
完全に捕捉された状況であろうとも、ほぼ確実に離脱することができる。
乱世において各地を転々とし、戦場から幾度も無事帰還した。
恨みを買いつつ殺されず、戦死することもなかったという。

嵐の航海者:C
 船と認識されるものを駆る才能。
集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル。
海よりも川での戦に長け、大軍を率いるよりも少ない手勢を率いての奇襲作戦が得意。

応報者:B
 人の恨みと怨念を一身に集めつつ、仇には必ず報い、恩義にも必ず報いる在り方がスキルとなったもの。
周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情は直ちに力へと変化する。
その分、恩義に報いるために一身を賭さねばならない。

【宝具】
『無欠百人』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:100
 濡須口の戦いでアサシンに従い、曹操の陣営に夜襲をかけた決死部隊。
アサシンは彼らに酒と肉を振る舞って士気を鼓舞し、敵陣を大混乱に陥れ、
帰って数えてみると一人も欠けていなかったという。
姿は黒装束の盗賊たち。各々の戦闘力は鍛えた常人並みだが、逸話上「欠けることがない」ため、
殺されても補充されて常時百人。破壊活動や窃盗などの妨害工作を行う。
サーヴァントには通じなくとも、マスターを殺すには十分。

【Weapon】
三尖刀:左右に鈎の突き出した異形の剣。長柄はなく、片手で振るう。
手背剣:両手の手甲に大剣を固定し、腕を振るうと同時に攻撃する。

【人物背景】
 中国後漢末の武将。字は興覇。益州巴郡臨江県(重慶市忠県)の出身。
家は豪族であったらしく、官吏に推挙されたが、ほどなく官を棄てた。
若くして遊侠を好み、不良の若者を集めて頭目となり、派手な装いをして水陸を横行、傍若無人に振る舞った。
やがて乱暴をやめ書物を読むようになったが、州牧の代替わりの際に反乱を起こして荊州へ亡命、
劉表・黄祖に身を寄せた後、出奔して孫権に降った。
以後、烏林・夷陵・皖城・益陽・合肥・濡須などで戦功を挙げ、官位は折衝将軍に及んだ。

 漫画『蒼天航路』では、冠をつけ雉の羽の背飾りが付いた衣装を纏う、寡黙で偏屈な大男の侠者として描かれる。
暗殺・奇襲を得手とし、戦略の一端として一度ならず曹操の目前にまで迫っているが、未遂に終わる。
鉤のある剣を用いたが、合肥で張遼と戦った後は両手の甲に固定した剣を使う。
その武には斑気があり、疲れると武装のまま眠る。
セイバーの適性もありそうだが、ライダーだと乗騎が「駄馬め」されそう。
個人的な報復(リヴェンジ)しかしないのでアヴェンジャーにはなれない気がする。

【サーヴァントとしての願い】
 なし。思いのまま、報恩と報復のために武を振るうのみ。

【方針】
 受けたものにかならず報い、奪われたものにかならず報いる。

【把握手段】
 原作漫画。全36巻中、甘寧の出番は22-24巻、30-31巻、36巻のみ。


【マスター】
北条時行@逃げ上手の若君

【Weapon・能力・技能】
 異能じみた天性の逃げ上手。
逃げ足が凄まじく速く、相当の達人による攻撃でも、かなりの確率で回避可能。
物陰に隠れて気配を遮断すれば滅多に発見されない。
弓の腕、騎射の業前はなかなかのもの。
自分から攻撃するのは向いていないが、相手の隙を突くことには長けている。
凛とした黒髪の美少年で、立ち居振る舞いには品がある。交渉の時は有利である。
太刀や弓矢、馬などはない。武器は調達する必要がある。

【人物背景】
 漫画『逃げ上手の若君』の主人公。
鎌倉幕府最後の総帥・北条高時の次男。CVは公式ボイスコミックでは大塚琴美。
8歳の時、西暦1333年に鎌倉幕府が滅んだ際、諏訪頼重に匿われて信濃国の諏訪大社に落ち延びる。
争いや政や稽古は嫌いで、逃げ隠れだけは得意。
性格は心優しく平和を好むが、生死の瀬戸際で逃げ回ることに興奮と歓喜を覚える怪物的な一側面を持つ。
乱世の武家の棟梁の子ゆえ、外道な敵を殺すことに躊躇はない。

【ロール】
 小学生(8歳)。富豪の父(病気療養中)がおり、金銭面で不自由はない。

【マスターとしての願い】
 鎌倉幕府の再興。

【方針】
 聖杯狙い。無理そうかヤバそうなら帰還の道を探る。
協力できそうな者とは協力し、悪党や外道は始末する。

【把握手段】
 原作漫画。そろそろ第1巻が発売。

【参戦時期】
 諏訪にいる頃。18話で吹雪に稽古をつけて貰った後なら「鬼心仏刀」が使える。

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最終更新:2021年06月23日 21:13