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     沈黙しつつ、不安を辞せず、おのれの負い目ある存在へむかって

     自己を投企することには、さまざまな逆境を覚悟した無力な超力がある

                                    ――マルティン・ハイデガー、存在と時間





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 『七草にちか』は、平凡が服を着て歩いているような人物だった。全てが、平均値。
顔立ちは悪くない、背丈も普通。身体つきも変じゃないし、運動能力もそこそこだ。
しかし――それで終りの人物だ。悪い所もないが、際立って良い所もない。全てが全て、平均値、中央の値。そんな人物だった。

 それが悪い事だと言うのではない。
寧ろ、全てが平均中の平均にまとまっていると言うのならば、それはある意味で恵まれている方だとすら言えるだろう。
下を見れば人の社会はキリがない。にちかよりもずっと恵まれない健康状態や身体つき、顔立ちのものなどこの世には大勢いる。
彼女であれば、普通に大学に行って出された課題をこなし、ありきたりな学生生活を謳歌し、誰もが歯を食いしばって耐えている就職活動も何とか通過し、
名前を出しても恥ずかしくない中堅どころの企業に入社し、何処かのタイミングで結婚もして……。
この国の多くの人物が連想するような、平々凡々の人生を送る事だって当然出来ただろう。下を見れば、キリがない。確かに人間の世界はその通りである。
だが、上を見てもキリがないのも、また当然の真理であった。

 にちかは上を目指してしまった。
それは、身の丈以上の大学に入ろうだとか、一流のアスリートを目指そうだとか、そんな次元の話ではない。
アイドル(偶像)を、彼女は目指してしまったのである。

 アイドルの世界において、にちかは全てが不利だった。
より可愛くて愛嬌が良くて、化粧だって一人でこなせて、魅力的にはにかんで見せるアイドルをたくさん見た。
よりキレがあってキビキビしていて、それでいて女性特有の柔らかさと魅力性を兼ね備えた踊りを披露するアイドルも大勢いた。
よりよく通る透明な歌声を無理なく発する事が出来て、にちかよりも1オクターブ高い音階を歌えて、しかも何曲歌っても音程を外す素振りすら見せないアイドルも少なくなかった。
その域に、にちかは到達してなかった。到達していないのなら、努力をすれば良い。その当然の帰結の故に、にちかは努力を積み重ねた。
プロデューサーが用意してくれた美容や化粧、表情筋の鍛え方を示した本を、練習合間の休憩時間は勿論、就寝前にも自習代わりに何度も見直した。
朝早くからレッスンルームに入り、夜の遅くまで、自分の足がつってステップを踏んでいる事すら覚束ない程に、ダンスの練習にも没頭した。
喉の奥まで乾いてしまい、声が掠れて蚊の羽音程も出なくなるまでボイストレーニングを行い、出した事のない程の高音をものにしようと頑張った。

 アイドルとして求められる、あらゆる才能が平凡か、それを下回る。そして、足りない分を、努力と心胆で補う。彼女は、そんなアイドルだった。
人ならば誰もが有する、目標の為に頑張る、其処に向かって歩むと言う事。それを、人の2倍出来るアイドル。それが、にちかと言うアイドルのプライスだった。
そして、その付加価値は、誰もが有しているし、誰でも切っ掛けがあれば出来る事でもあった。努力を重ねているのは、彼女だけではないのだ。

 にちか以上に才能を有しているアイドルに、彼女と同じだけの努力を積み重ねられれば、必然、最初の才能の分だけにちかは負ける。  
それならば、まだ納得がいく。誰が何を言おうと、才能の差は厳然として存在する。この世に産まれ落ちたその瞬間より定められ、振り分けられたパラメータの差は、間違いなくある。
凡庸そのものでありながらアイドルの道を目指したにちかだからこそ、その事実を骨身に実感している。
だからこそ、努力もしないでいきなり、にちかや他のアイドル達が、三日四日、一週間と掛けて習得した技術を、一日どころか数時間で学習出来てしまう天才の姿を認めた時、何を思えばよいのか解らなくなるのだ。

 そのようなアイドルを眺めながらも、にちかは、喰らいついた。WING、トップアイドルを決める狭き門、針の筵。その選抜に、彼女はしがみ付いた。
最初の内は、努力が実って勝てたんだと思った。次になると、努力も半々運勢半々、その次になると運が良かったと思うようになって、その次になる頃には、
絶対に勝てないと思っていた天才達の姿も大分見なくなっていた。此処まで残れたのは、ラッキーじゃない、必然だったのだと、プロデューサーは認めてくれた。
嬉しくなかった訳じゃない。本当に嬉しかった。尊敬するあのアイドルの座まで、指が掛かっていると言う実感が間違いなくあったのだ。
そして同時に、一抹の不安が残る。もう、此処から先はラッキーが通用しない世界なのだと。此処から先は、あの目の粗い篩を幾度と掛けられてなお、残り続けた天才児達。
彼女らを相手に、にちかは、本当の実力で勝負しなければならなかったのだ。

 そして、その夢は潰えた。
勝利の為に、重ねた鋭意。掛けて来た努力の時間も、流してきた汗と涙も、蓄積された身体の疲労も、学んできた化粧のやり方も美容の知識も。
一分にも満たない結果発表の短い時間で、全てを否定された。別段、珍しい話でもない。鷹や鷲の中に紛れ込んだシジュウカラが駆逐されただけ。宝石のダースの中の石ころが、取り除かれただけ。
努力と実力と奇跡とで此処まで残って来たが、及ばず敗れ去った。事実としてはそんな所だ。見ている者も……もしかしたら、今まで親身だったプロデューサーも。起こるべくして起こった事に、やっぱりか、と思っていたのかも知れない。

 及ばなかった。だから悔しかった。もっとプロデューサーの意見に素直な所もあったのなら? 故に後悔もあった。何よりも才能の差は超えられないのか? 哀しかった。
だがそれ以上に――安心した。プロデューサーは、にちかの事を慮って、寄り添ってくれたけど……負けた彼女の気持ちを汲んで、フォローも入れてくれたけど。もう、頑張らなくて良いんだと、胸を撫で下ろしたのだ。

 勝つ事って、あんなにも、こんなにも、そんなにも、キツくて辛くて、辞めたくなるんだと実感した。
何度、笑顔を止めて泣きだそうとしたか解らない。何度、ダンスの途中で蹲り、動くのを放棄しようとしたか解らない。何度、歌の練習を放り投げ、外で炭酸のジュースを飲もうとしたか解らない。
人間的な生活を放棄しなければ、凡人は頂点を掴みえない。今WINGの決勝で鎬を削る麒麟児達も、並ならぬ努力と研鑽と研究の成果を、きっとぶつけ合っているのだろう。
全ては、勝つ為に。自分が目指し、そしてなろうとしている理想の姿に今こそ転身しようとする為に。そんな天才児達ですら、これなのだ。にちかにとって厳しい道なのは、当たり前である。

 イカロスの羽、そんなエピソードがある。
囚われの身から自由を得る為、空を自由に飛べる蝋で出来た翼を用い、見事脱出するも、過信から太陽に近づき蝋が溶け、墜落して死んでしまった。その人物こそが、イカロスだ。
にちかはまさしく、そんな、イカロスだったのかも知れない。経済的な困窮から抜け出す為に、自らの乏しい才能を、人肌の温度で溶けそうな蝋で塗り固めて誤魔化して。
そんな、余りにも頼りない翼(WING)で天を目指し――そして、当然の様に、飛翔の為の翼は溶け落ち、墜落する。此処まで上手く準えられていると、最早笑えてきてしまう。

 もう、邁進する必要はないのだ。
アイドルを目指すと言う事は、にちかにとっては身体を燃やしながら太陽に向かって飛ぶようなものであった。優勝と言う名の太陽に。
服が燃える、身体が焼ける、骨が熱帯び臓腑が焦げ付く。魂を炉にくべ、意思を薪にし、己の身体を燃やす事で生じた灰までをも燃料とする。
そうして太陽との距離が近づくにつれて、必然、太陽の熱も強くなる。もう、燃やすものなんて何も残っていなかった。
新しい何かを習得する時間なんてもうなかった。何処を最早努力するべきなのか解らない位努力もした。これ以上、何に犠牲を払えば良いのか、にちかには解らなかった。
先に進めば進むだけ痛くて、苦しくて、解らなくて。だけど、自分の意思で戻れる限界の地点など既に通り過ぎていて、戻る為にはもう負けると言う手段しか残されていなくて。
そうして本当の自分を全霊でぶつけて、敗れ去った時、にちかは安堵した。ああ、終わった。もう燃えるだけのものも、エネルギーも、身体に残ってない。
時間も余裕も支払えない。これ以上何かを捻出する事は、にちかには出来なかった。良かった。これでもう、前へ進むだけの時間は終わる。才能のギャップに嘆く時間がなくなる。次に燃やせるものを探し、次に支払う犠牲を探す事もしなくていい。

 そう、これで、苦しい時間が――

 ――可愛いよ、にちか。大丈夫だ――

 ……ああ、でも。
思い起こせば苦しい事の方が多かったWINGの間で、しかも、自分が負けたあの戦いの直前に、プロデューサーに無理を言ってかけて貰った、あの言葉だけは。
例え嘘だったとしても、嬉しかったなと、にちかは思った。無理言って、酷い事して無理やりにアイドルにして貰ったあの人の為に、頑張りたかったんだけどな、と。
シューズを片付け、283プロダクションのオフィスを去る時に、にちかは思った。

 ――我此処に非ず。そんな意識の中で、帰路に着くその最中に。彼女の運命は、歪み始めたのだった。


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「見事だ……名も知らぬライダーよ。……お前達の健闘を祈る」

 眩い橙色の焔に包まれたそのセイバーは、微笑みを――しかし、残されたマスターに対する未練を残した顔で、この世界から消滅していった。
強かった。世辞でもなんでもなく、彼は強かった。俺はたまたま、相手が僅かながらに見せた隙に対して、最良のタイミングで最高の一撃を最速で叩き込み、一気呵成に攻め抜いただけだ。
そんな、相手の隙を見逃さなかったと言う事こそ即ち強さなんじゃないのか?と問われれば、確かにそれはそうだとも思う。
だが、戦いが長引いていて、相手に宝具を開帳されていれば、負けていたのは俺だったかもしれない。ステータスも、実際打ち合った時に感じられた技量の程も、相手の方が格上だ。運も、味方したと言うべきだな。

 肩で息をしながら、俺は、セイバーが気にかけていたマスターの方に目線を向ける。
女の子だ。身長はアヤと同じぐらいには小柄だけど、決して歳幼い子供じゃない。17歳とか16歳の娘みたいな、盛りの付いた色気のようなものが発散されている。
ビクッ、とそのマスターは身体を震わせた。信頼していたセイバーを失い、今度は自分が命を失う番だと思っているんだろう。こっちを見る目が、悪鬼とか悪魔でも見るようなそれだ。……こんな、額に汗を浮かべて荒い息を吐く情けない男を、そんな風に見られるのはちょっと心外なんだけどな。

「俺の思いは変わらない。互いの事を忘れて、日常に戻ると言うのなら、俺は君に対して何もしないと誓うよ。……後は、君が決めて欲しい」

 話し合い。其処だけは変わらない、俺のスタンスだ。制したセイバーと戦う前も、同じ事を彼に聞いた。……結局断られてしまったけれど。
唯一の寄る辺であるセイバーを倒した今じゃ、俺のこの言葉は提案を飛び越えて脅迫とか恫喝に近いものだろう。俺もそれは自覚している。
今後の出方次第では、本当にこの娘を殺すしかなくなる。そう言う覚悟は有してはいるが、なるべくならやりたくないと言うのも本音の部分だ。世間一般的には……甘いって言われる考え方、なんだろうな。

「……ありがとう」

 疲れたような笑みを浮かべて、セイバーのマスターは頭を下げ、その場から逃げ出した。
この東京の街で、彼女に出来る事は、もうないだろう。この世界での役割があるならば、それに徹するだけか。……それが本当に幸福な事なのかどうかは、解らない。

 ――迂闊だと思うか?――

 俺の中の比翼(たいよう)に、聞いてみる。

 ――この特異の世界では、俺達の培った経験などどれほどの意味もなかろう。その判断が迂闊だったのかどうかは、俺達が窮地に陥ったその時に初めて解る事だ――

 俺の胸の中で、俺の生きる活力そのものであり、対等の翼でもある男――ヘリオスと名付けられた雄々しき男がそう返した。
俺に対して譲るような発言の様にも聞こえるが、同時に、俺の立ち回り次第では俺を出し抜こうと言う強い意志もまた感じられる。安心した、この東京……昔の日本人(アマツ)の首都の世界に降り立ってもなお、コイツはコイツなんだと。

 ――お前はお前で安心した。この世界でも頼む――

 ヘリオスにそう告げた俺は、ライダーを屠るのに使った刀を鞘に戻し、自分のマスターと思しき女の子に身体を向けた。
……平凡なマスターだと思う。同族って言うのは、一目で、解るものなのかも知れない。十代のあどけなさを残す顔立ちと、成長途上の身体つき。年若い女の子だ。
魔力が全然ない。本当に市井に生きる一般人なのだろう。そして、荒事の経験だって全くない事も解る。人を殴った事も、殴られた事も。彼女は経験した事がないのだろう。
正真正銘、今回の事態に巻き込まれただけの、不幸な一般人。そんな所か。別に、それに対して不平不満を零すつもりもない。……巻き込まれる事の辛さは、解ってるからな。
魔力がないのは、俺自身の特質――スキルと言うらしいが……――で問題はない。それよりも、これから起こる事態に対する覚悟が定まってないと、少しキツいかな。

「ごめん、紹介が遅れたかな。どうやら、君が俺のマスターって言う事みたいなんだが……」

 ……呆然、としているように見える。
俺の方を見る目からは、感情が読み取れない。……いや、違う。読み取れているが、余り向けられた事のない類の目線だったから、理解が少し遅れてしまった。
『羨望』。彼女が向ける目線からは、そんな感情が内在されている。

「私には……勿体ない人ですね……」

「……うん?」

 絞り出すような小さい掠れ声。俺は、意味が解らずにいた。

「私……これから、戦わなくちゃいけないん……ですよね」

「そうだね」

「人を……殺さなくちゃ――」

「それは、俺が責任を受け持つ」

 俺が思う以上に、どうやら、彼女は事態を理解していたらしい。彼女に対して勝手に抱いていた先入観を恥じた。
俺が召喚された時には、彼女は、この海を望める公園の真ん中で、混乱した様子で立ち尽くしていた。俺が、彼女が聖杯戦争に巻き込まれて間もないと判断した理由でもある。
その状態で、俺は、セイバーを引き連れた例のマスターに出会った。戦闘に対する意欲が強い主従で、最初は交渉でやり過ごせないかと思ったが――それも出来ず、そうして、交戦。今に至ると言う訳だ。

 恐らく彼女は、人を殺したと言う事実についての呵責に、耐えられる性格ではない。抱いているその偏見だけは、事実だと俺は思っている。
それは別に恥じるべき事じゃない。人間であるのならば当たり前の反応であり、寧ろこの社会を辛うじて正常な形に押し留めている最終最後のリミッターなんだ。
そのリミッターを外してキャッキャと喜ぶような奴は、極めつけの阿呆かロクデナシ以外の何物でもない。普通の社会では、彼らの方が腫物、厄介払いされるべきなのだ。
だが、その阿呆やロクデナシ、馬鹿達の方が力を発揮出来るフィールドと言うのが、間違いなく存在する。戦場の事だ。そして、聖杯戦争の舞台もそれに包括されている。
彼女は、殺しの快楽に興じられないだろうし、戦いの愉悦に酔えもしないだろう。俺だって同じだ。殺戮の喜びに狂える程――俺は歪んでない。
ただ哀しい事に、浮世って言うのはどうしようもなく不和と諍いが絶えない。その末に戦いと殺し合いが生じてしまった事例など、人類史が始まって数える事すら馬鹿馬鹿しい程数多い。
だから、スタンスとして、俺は対話から始めたい。その結果がダメだったのなら……俺も腹を決めるしかないだろう。殺すのは俺だ、彼女ではない。

「あの……ライダーさん、って呼べば……良いんですか?」

「本当は真名で呼んでくれた方が嬉しいんだけど、名前を知られるとデメリットにもなり得る。そっちでもいいよ」

 ……沈黙。しまった。別のことを言えばよかった……のか、これ? 何か地雷でも踏んでしまったのだろうか。

「……ライダーさん。私……全部、なくしちゃったんですよ……」

 滔々と、彼女は語る。

「分不相応に……アイドルとか、目指してて……てっぺんも狙ってたんですけど……えへへ、負けちゃって……」

 最後の方の言葉は、余りにも、卑屈だった。
我が心を誤魔化し、悲観的な空気を避けようと、自虐でやり過ごそうとするも……その内容に堪えられなくて、傷つけられて泣き叫びたそうな心を、意志と力とで抑えつけているような。そんな、聞いていられない声だった。

「もう何て言うか、笑いたければ笑えーって感じですよね。何かになろうとして、結局夢破れて、何者にもなれなくて……。そんな中途半端な私の所に、ライダーさんみたいな強いサーヴァントが来るなんて……」

 ……そうか。この娘は、俺が強い風に見えてしまったのか。とても恥ずかしいな、あんな余裕さの欠片もない、地面を転がり回ったりする戦い方で強いと思われてたなんて……。

「ごめんね、マスターには悪いけど、俺もそんなに強いサーヴァントじゃないんだよ」

「はっ……?」

「ははっ、見てくれよこの白いジャケット。土で汚れてるし……自分じゃ見れないけど、顔や髪にも土埃が付いてるんじゃないか? そんな戦い方しか出来ないんだよ、俺。強いって言って貰えて嬉しいけど、君の期待に沿う事はちょっと難しい。だけど、俺は君を裏切りなんてしな――」

「……て下さい」

「え?」

「本当は強くて凄い人が、自分の事を凄くないだとか言わないで下さい!!」

 怒喝。曝け出された、生の感情と情動。そして、月の光を受けて煌めく雲母の様にこぼれた涙。多分、この部分こそが彼女の――。

「歌が上手くて、ダンスも上手で、見た目も可愛くて美人なら、それを誇って下さいよ……。誰にも持ってない凄い力があるんだったら、それを誇って下さいよ!! そんな、そんな宝に価値がないなんて言われたら……何も持ってない私なんて……とても、惨めで……」

 ……ああ、何となくだが、解った気がする。彼女が、俺を呼べた理由。

「小石が……、綺麗な宝石に憧れるのなんて、当然じゃないですか……。皆その輝きに憧れるのに……それを持ってる本人に、価値がないなんて言われたら……」

 蘇る記憶。
どれだけ頑張っても、それこそ己の命を擲って特攻しても、平均よりも上の戦果しか挙げられなかった時代。
敵に捕虜にされ、拷問と換言するべき非道な人体実験、血の涙を流しながら「才能なんて自分にはないから助けて」を繰り返した時代。
今の俺を形成した忌むべき時代でもあり、そして同時に……死すべき命だった俺の命を繋ぎ、大切な友人や仲間、尊敬する師と巡り会えた機会をくれた苦難と堅忍の刻。

 この娘は、俺の影法師だ。何処にでもいる人間の代表だ。
極端と極端のはざまにある境目(ボーダーライン)、その近辺を振り子のように移ろい、彷徨い歩く半端者。灰色にくすむ、優柔不断な人。
――そうなのか?、と言う答えを求めて、可能性の海を揺蕩い、苦難と困難の暗礁に乗り上げた一隻の、船。俺のマスターとはそんな人物なのだろう。
求めたアイドルの理想との乖離に嘆き苦しみ離れたいと思う一方で、キッパリとその夢を諦める事も出来ない。
それは……俺が寄り添おうと決めた人々と、全く同じで……だからこそ、俺は、彼女の言葉を、微笑みで受け止めて。

「石と砂に、境界線はないと思う」

「……何、言ってるんですか……?」

 当然の言葉だ。

「砂は、石が年月を経て砕かれて、小さくなっていって出来上がる。これを思えばさ、石と砂の境は、大きさでしかない事になる。元来は同じものだ」

「だから、何を――」

「昔こんな事を言った人がいた。俺達は、運命の車輪に紛れ込んだ小さな砂粒だ、とね。その人がまぁ、結構アレな人でさ、女の子は泣かせるわ働かないわで、多分皆が思う通りのダメ人間なんだよ」

 彼女は、俺の言う事を黙って聞いていた。

「でも彼は……。自分の事を砂粒だと卑下していた彼は、決して超える事も出来なかったろう難事を乗り越えて、決して勝つ事も出来なかったろう難敵を征したんだ」

「それは、その人が実は凄かったからなんじゃ……」

「勿論、それもある。間違ってもただの人間じゃなかった。だけど、人間でしかなかった。風の流れと潮の流れで、どうとでも流され飛ばされ行く、砂粒の一つだった。実際、彼の成した大事も、何か選択を一つでも違えてたら、絶対に達成は出来なかったんだと思う」

 そしてそれは、俺にしても同じだった。
だけど彼――ゼファー・コールレインよりも、俺は大局に対して何らの影響力もなくて、実力も才能なんて彼の持ってたそれの1/10にも満たなくて。
それでも俺は、此処にいる。俺が英霊として登録されている、その事自体が、最早奇跡の何段重ねの領域だろう。
独力な訳がない、全ては誰かの支えがあり、仲間達が俺の考えを認めてくれたからなんだ。

「……マスターには、応援してくれる人はいなかったのかい?」

 いない筈がない。確証はないが、この娘の根の善良さを考えれば、いる筈なのだ。

「み、美琴さん……。プロデューサーさん……」

「自分を石と言ったけど、良い事じゃないか。砂より大きい上に、そんな石でも見てくれて、磨いてくれる人がいる。君が、君である事に、価値を認める人が、確かにいる。それは、喜ぶべき事だよ」

 これもまた、本心。

「……マスター。君は、どうしたい? 俺は、君が良心を抱いている限り、君の為に本気を出すよ」

「わ、たしは……!!」


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 イカロスの羽、そんなエピソードがある。
囚われの身から自由を得る為、空を自由に飛べる蝋で出来た翼を用い、見事脱出するも、過信から太陽に近づき蝋が溶け、墜落して死んでしまった。その人物こそが、イカロスだ。
にちかはまさしく、そんな、イカロスだったのかも知れない。経済的な困窮から抜け出す為に、自らの乏しい才能を、人肌の温度で溶けそうな蝋で塗り固めて誤魔化して。
そんな、余りにも頼りない翼(WING)で天を目指し――そして、当然の様に、飛翔の為の翼は溶け落ち、墜落する。此処まで上手く準えられていると、最早笑えてきてしまう。

 イカロスの羽、そんなエピソードがある。
だがイカロスとにちかに、違いがあったとすれば――――――――――――――

「無様だって笑われても……いいから……、もう一度苦しい思いをしてもいいから……、また、燃やせるものを探すから……!!」

 イカロスは死んだが、にちかは死ななかった事。

「また、アイドルを目指したい……ビッグになりたい……!! 私の事を可愛いって言ってくれた人の為に、また、狂い哭きたい!! アイドル目掛けて、飛びたい!!」

 ――懲りずにまた、太陽を目指そうとした事。

「……蝋の翼しか操れない俺で良ければ、飛び方は教えてあげるよ」

 灰色の髪に、輝くような金髪が毛先に近い所で混ざり合っている、特徴的な髪の青年がほほ笑んだ。
その笑みは、プロデューサーに似ていた。姉が時折話していた、亡き父親が浮かべていた笑みにも、似ているような気がした。

「『アシュレイ・ホライゾン』は、『まだだ』と叫ぶ君を祝福する。君が満足する答えを探す為のコンパスになろう。そして――君の結末が、アイドルであろう事を常に祈るよ」


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 導かれた暁へ 蝋の翼広げ


 最果ての星は 君を守り抜くために


 狂い哭け運命よ 紅く燃える未来


 焼かれて墜ちてく 天翔の末路まで






【クラス】

ライダー

【真名】

アシュレイ・ホライゾン@シルヴァリオ トリニティ

【ステータス】

筋力C 耐久C+ 敏捷C 魔力EX 幸運E 宝具C

【属性】

中立・中庸

【クラススキル】

騎乗:EX
ライダー自身にさしたる騎乗スキルはない。事実上の彼の騎乗スキルランクは、D相当。
ライダーは騎乗するのではなく、規格外の『もの』を運んでいる存在、と言う意味で、EXランクに相当する。

【保有スキル】

話術:EX
言論によって人を動かせる才。裏表のない、誠意ある態度は、多くの人間の態度を軟化させ、ライダーを信用させるに至る。
ライダーの話術スキルは表記上はEXランクとあるが、実際上のそれはDランクのそれである。
ライダーは、相手との交渉の際、交渉にかける時間が長ければ長い程、行った回数が多ければ多い程、成功率が跳ね上がる性質を持つ。
そのため、どのような気難しい、それこそどうしようもない破滅願望の持ち主であっても、方針を転向させる事も理論上は不可能ではない。
人類史上最も対話が難しい……と言うより、心変わりは勿論最低限の譲歩すら引き出せぬような相手に対し、無限大に等しい時間を掛けて粘り強く交渉し、見事対話に成功したライダーの話術は、ある意味で規格外のスキルランクなのである。

心眼(真):C
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

戦闘続行:C
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。

溶け逝く蝋の翼:-
本来ライダーは、後述するスキルに関係する存在の力がなければ、生きているのも不思議な程、存在そのものが摩耗していた人物だった。
実際ライダーは英霊、サーヴァントとなった現在の身になってなお、その力関係は変わっていない。このスキルは現在は発動していない状態だが、このスキルが発動した瞬間、ライダーの霊基は急激に崩壊して行き、最終的には消滅する。

煌めく嚇怒の翼:EX
ライダーの中に眠る存在、即ち、『ヘリオス‐No.α』が宿っていると言う事を証明するスキル。
ヘリオスはライダーの精神の中に宿る意思を持った存在であり、状況に応じてライダー自身に対話を行ってくる。
ライダーが活動する上で最も重要となるスキルであり、サーヴァントとなった現在では竜の炉心に並ぶか上回るレベルの魔力を供給する炉心としての役割を果たしている。
魔力ステータスのEXに起因するスキルであり、このスキルが存在する限り事実状、ライダーに魔力切れの要素はない。
但し、このスキルによる魔力供給が断たれた場合、急速にライダーの霊基の崩壊は加速する。また、何らかのエラーが重なり、ヘリオスそのものが三次元世界に現れた場合も、ライダーは無条件に消滅する。

【宝具】

『白翼よ、縛鎖断ち切れ・騎乗之型(Mk Ride Perseus)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
ライダーの保有する星辰光。星辰光とは自身を最小単位の天体と定義することで異星法則を地上に具現する能力であり、すなわち等身大の超新星そのもの。
この能力の本質は、相手の能力の制御及び奪取。この宝具を発動中のライダーに対して放たれた魔術や異能、宝具による攻撃を吸収、無効化。
そして、その吸収した攻撃によるエネルギーを纏い、放出する事が可能となる。爆発を放つ魔術であれば、その爆発を無効化して相手にお見舞いする事が出来る
水を放つ能力なら、それを刃状に圧縮して放つ事も、雷を迸らせる宝具なら、その威力の雷をそのまま剣に纏わせたり放ち返す事も当然可能な芸当である。
また、能力による追加効果や、状態異常のみを与える攻撃であっても、この宝具による制御の範疇であり、当然これらもコントロール可能。
相手の能力を吸収・制御する過程で、相手の宝具やスキルの推測や看破もやろうと思えばできる為、初見での対応力も抜群に高い。
相手の力を我が物とし、己の力の如くに振るうその様子はまさに、メドゥーサの首を刈り取り盾に取り付け、石化の力を我が物とした英雄ペルセウスのようである。

このように防御に長けた能力だが弱点も存在し、解りやすいものとしては、『吸収出来る量には限界があり、その超過分は当然ダメージとしてライダーが受け持つ事』になる。
但し、その超過分にしても、宝具ランク分ダメージ量と追加効果の威力を削減出来る為、実際上の防御能力は想像以上にタフ。
だが最も大きな弱点は、魔術を初めとした超常の力に頼らぬ、単純に物理で殴ってきたり斬りかかる攻撃については、この宝具は全くの無力。
受け損ねれば、そのままダメージを負う事になる。例えば、超常の力を纏わせて殴って来る相手にしても、超常の力の方は吸収出来るが、殴った際の衝撃はそのまま100%伝わる。

『煌翼たれ、蒼穹を舞う天駆翔・紅焔之型(Mk braze Hyperion)』
ランク:C+++ 種別:対人~対軍宝具 レンジ:1~10 最大補足:1~50
ライダーの保有する星辰光。厳密に言えばこの宝具、もとい星辰光はライダーに由来する能力ではなく、ライダーの中に住まうヘリオスと言う存在を介して居なければ発動が不可能な為、
ライダーそのものが有する完璧自前の能力であるかと言われれば否と言うべきである。
能力の本質は火炎操作。物に対して能力を付与(エンチャント)する能力に極めて長けたライダーの力であり、この才能を用い、自らに炎を纏う事が出来る。
これを利用し、自らに焔を纏わせて生きた火球にする事で攻防一体を成立させたり、シンプルに刀に纏わせて攻撃能力を恒常させたりも出来るし、
炎を勢いよく噴出しその時の推進力を利用して高威力の吶喊攻撃を行う事も可能。またこの炎をエンチャントすると言う特質により、相手の炎による攻撃をレジストする。

この能力の最大の特質は、自らの意志力に呼応するように威力と出力が向上すると言う点。
この特質により、逆に言えば心を折られてしまえばこの宝具は機能する事がなくなると言う事をも意味する。が、それでも特筆するべきはその性能の向上振り。
ライダー自身の精神的な昂りによって、本来不得手とされる遠距離の攻撃も、超高密度に圧縮された炎熱の光線を放つ事でカバーしたり、
炎熱を爆発させ、その爆発を不規則に拡散させ広範囲に被害を及ばせたり、纏わせる炎熱の鎧の熱量を急上昇させて埒外の防御力を得たりなど、
ライダーが意気軒昂の状態になればなるほどその炎熱の威力、そしてその操作の玄妙さが増して行く。
ただ、意志力が一定を超えると、この炎はライダーの制御出来る限界を超え、ライダーそのものに熱によるスリップダメージを与えてしまうと言うデメリットを負わせてしまう事になる。

『天地宇宙の航界記、描かれるは灰と光の境界線(Calling Sphere Bringer)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:- 最大補足:-
ライダー自身が到達した、覇者の王冠。その人生の旅路で気付いた悟り。遥か高位次元に叫び、刻み付けた命の答え。
ライダーのいた世界において浸透していた、星辰光と呼ばれる能力の究極の到達点。
勝利とは、あらゆる想いを許すこと。誰かや何かの強さや弱さを、認めてやれる雄々しさ(優しさ)だということ。即ち、他者を許容できる寛容さ。
その事に気づいたライダーが手に入れた、異星の真理。世界の法則をもやがては塗りつぶし得る、侵食異星法則。

能力の本質は星辰光と呼ばれる能力の共存共有。聖杯戦争に際しては更に拡大解釈され、宝具の共存や共有すら可能となる。
ライダー自身が得意としていた、能力を付属させると言う才能が究極の領域にまで特化された宝具。
自他や空間を問わずあらゆる星(能力・宝具)を自在に付属させながら、それでいて打ち消し合わず共存・融合させると言う驚異的な特性を秘めた、究極の付属能力を持つ。
複数の能力や宝具を自在に操り、且つ打ち消し合わずに組み合わせながら、そこに反動は見られない。
この能力の真に脅威的な所は、ではそういった星や能力、宝具は何処から借り受けて共有させるのかと言う点。
この星辰光もとい宝具は、高位次元、今回の聖杯戦争に於いては英霊の座と言った高位次元、あるいは界聖杯内に溜め置かれたサーヴァントのデータベース、
またはそう言った星々の歴史を保存してあるアカシックレコード。そういった場所にアクセスし、嘗て存在した人物、それこそ故人が保有していた能力や宝具、星辰光をも、
現世に発現させ、自由にエンチャントさせてしまうのである。また、同盟相手や仲間と共に戦っている事で、その人物達に縁のある誰かが、高位次元ないし英霊の座、各種データベースから力を貸してもくれるのだ。そして、そのレンタル出来る数に、限界はない。力を貸そう、と言う者がいればいる程貸してくれる為である。

要約すれば、この宝具は『任意の人物の宝具をレンタルしあい一切の制約なく共有する』ことと、『高位次元に接続し聖杯戦争の舞台に存在しない人物の宝具や能力を行使出来る』、
と言う極めて反則的な汎用性を持ったもの、と言える。が、弱点が幾つか存在する。一つはこの宝具自体、魔法級の権能をこの世に成立させる代物の為、
スキル・『煌めく嚇怒の翼』で供給出来る魔力の限界を超えて常時魔力を消費し続けてしまうと言う点。
本来この宝具は『同じ想いを共有している他人がいる事』によって成立する宝具であり、この条件を無視して今回の聖杯戦争では発動させている為、
魔力消費など起こる筈もないのにそれが起きてしまうと言う事態が成立してしまっている。逆に言えば、今回の部隊に於いても思いを共有する誰かがいるのなら、魔力の消費は帳消しになる。
またこの宝具は完全に発動する為にはどうしても『他人の存在』が必要不可欠である為、ソロでの発動は無意味に近い。何故ならばこの宝具のキモである、能力のレンタルも何も出来ないからである。
そして最大の弱点は、この宝具は相手を互いに認め合うと言う事実を以て初めて発動が可能なのであり、能力の借主或いは貸主が要求を拒否すれば、レンタルは成立しないと言う点。
また借り受けられたとしても、能力を借り受けた相手との相性や同調に応じてステータス共有が発生する為、相性の良い相手であれば優れた性質ごと借り受けられるが、
相性の悪い相手であればライダー自身の能力値でしか借り受けた力を使用できなくなる欠点も有している。

『森羅超絶、赫奕と煌めけ怒りの救世主(Raging Sphere Savior)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:∞ 最大補足:∞
これは厳密にはライダーの有する星辰光ではない。ライダーの中で彼とともにある、ヘリオスと呼ばれるサーヴァントの星辰光である。
ライダーに登録されている宝具の内、この宝具だけはライダーの自由意志で発動する事は出来ず、ヘリオスと呼ばれる人格が、三次元世界上に顕現しない限り発動は不能。
三次元世界上に出現する条件は、ライダーがヘリオスに主人格を明け渡す事。その瞬間、ライダーと言う殻からヘリオスが飛び出してくる。

能力の本質は光速突破・因果律崩壊能力。
ヘリオスは一挙手一投足が物理学の大原則である、『光より速くものはない』を無視しており、早い話光より速く動いている状態となる。
極限まで爆熱と光熱を圧縮させたものを剣に纏わせ、それを振るって攻撃する。ただそれだけで空間を破壊し、万物万象を粉砕する超弩級の一撃になる。
ただ疾駆するだけで次元の位相に亀裂を生じさせ、光速突破という矛盾を以て攻撃する事で、凡ての道理や摂理を打ち砕く。
またこの宝具の真価は、『気合と根性“だけで”あらゆる不可能を破壊・突破するという事実』にあり、殺されたのに死んだと言う現実を気合と根性でぶち壊して再生する、
と言う意味不明な真似すら可能とする。正しく、万象の否定、因果の蹂躙そのもの。意志力だけで世の真理全てを征服する、不条理の体現。

……めっちゃ要約すると、発動してしまうと聖杯戦争が終わってしまうレベルで強い馬鹿が出てきてしまう宝具。
生前この星辰光の持ち主であるヘリオスが現れたせいで、マジで世界が終わる一歩手前の状態に陥ってしまった為、ライダーは絶対に自発的にこの宝具を発動する事はない。
と言うより、このヘリオスと言う存在自体が、顕現する為には膨大な、それこそ上述のライダーの第三宝具を維持するのに必要な魔力が水の一滴にしか思えない程埒外に必要となり、
事実上出してしまえばライダーも消滅するし何ならヘリオスも消滅してしまうと言う、途方もないアホ宝具と化す。勿論、その条件をクリア出来てしまうのなら……。

【weapon】

アダマンタイトの刀:
ライダーが振るう武器。アダマンタイトとは星辰光と呼ばれる能力を発動する為に必要な媒体の事を指し、本来ならこの媒体がなければ彼らは能力を発動出来ない。
サーヴァントに際しては、そもそも星辰光そのものが宝具として登録されている為、そのような制約はない。この為、ライダーが振るうこの刀は、非常に物理的な堅牢性に優れる刀にとどまっている。

【人物背景】

特筆するべくもない普通の人生を歩んでいた子供が、廻り続ける運命の車輪に蹂躙され、その果てに至った姿。
本人のあずかり知らぬ政治的な思惑で、家族を失い、幼馴染と散り散りになり、傭兵団の一員となりうだつの上がらない日々を過ごし、
戦いの最中に拉致され語るも無残の拷問を味合わされ、人格を塗りつぶされ、寿命の殆どを消費されてしまった、燃え上がる英雄を生み出すための舞台装置。蝋で出来た男。
その壮絶かつ、誰かの為に消費される為でしかなかった生涯の中で、友と出会い、愛するべき女達と再会し、敬愛する師匠から教えを授かり、『答え』を得た青年。

【サーヴァントとしての願い】

生前の時点で叶っている。今は、マスターの為に動く



【マスター】

七草にちか@アイドルマスターシャイニーカラーズ

【マスターとしての願い】

元の世界に帰る。そしてまた、恥知らずにもアイドルを目指して、狂い哭きたい

【能力・技能】

アイドル:
アイドルとしての才覚。実を言うと彼女が卑下する程才能がなかったわけではなく、上達自体は早いと光るものは間違いなくあったようである。
ただ、理想のアイドル像である八雲なみの動きを強くイメージ、トレースしており、それを意識した動きをした瞬間、見る者が見れば『くすんで見える』と言う。言うなれば劣化コピー。

【人物背景】

自身を厚くサポートしてくれた人物によって、最もよく磨かれた石ころ。カラットの概念を適用出来ない、丸い石。

WING準決勝敗退の時間軸から参戦。

【方針】

にちか「元の世界に戻る方法を探します」

アッシュ「マスターをサポートする。ヘリオスお前は頼むから出るな」

ヘリオス(外に顕現したいがなんでこんな制約がかけられてるんだ……?)

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最終更新:2021年06月29日 20:20