高尾山。東京都内で登山が楽しめる場所として人気のスポットであり、古くから修験道が根付く土地である。
その一部がとあるサーヴァントの宝具により異様な環境になっていることなど、近隣で生活する
NPCたちには知るよしもなかった。
◆ ◆ ◆
「オオオオオ!!」
緑色の肌を持つ一つ目の巨人・ギガンテスが、咆哮と共に拳を振り下ろす。
しかしその一撃は、標的を捉えることなく地面を叩いた。
「チッチッチッ、そんな大振りでは、この私を捉えることはできないな」
ギガンテスの攻撃をかわした男は、余裕綽々の態度で言い放つ。
その男は、奇妙な見た目をしていた。
簡潔に言うなら、2頭身のロボットである。
だが、彼はロボットではない。彼のいた世界では、これがごく普通の「人間」なのだ。
軽やかに地を駆ける彼の名は、アルセーヌガンダムX。
お宝をこよなく愛する、自称トレジャーハンターである。
「それっ!」
アルセーヌが舞うようにギガンテスの周りを移動すると、ワイヤーがギガンテスの足に絡みつく。
アルセーヌはすかさずワイヤーを引っ張り、ギガンテスを転倒させた。
「後は頼むぞ、ミスター!」
アルセーヌの指示でギガンテスに突っ込むのは、彼のサーヴァント。
蓄えた口ひげに、「ぽっちゃり」という言葉では足りないほど脂肪を蓄えた体。
顔つきもとぼけたおじさんという印象であり、まるで強そうには見えない。
だが、見た目にだまされてはいけない。彼こそ、数々の「不思議のダンジョン」を制覇してきた英雄。
エキストラクラス・スペランカー(洞窟探検家)である。
「とう!」
スペランカーが、手にした鈍色の剣をギガンテスの目に突き立てる。
ギガンテスはおぞましい断末魔を挙げ、絶命した。
◆ ◆ ◆
「さて、今日のところはこの辺にしておこうか」
「わかりました」
スペランカーが手をかざすと、周囲の景色が一変する。
一定の区域を迷宮に変え、モンスターとアイテムを出現させるスペランカーの宝具「不思議のダンジョン」。
それが今、解除されたのだ。
「しかしいいのですか、マスター。毎日毎日、他の参加者を探すでもなくダンジョンを攻略してばかりで……」
「いいんだよ」
スペランカーの疑問に、アルセーヌは即答する。
「殺し合ってお宝(ハニー)を手に入れるなど、無粋の極み。
聖杯戦争にまともに参加する気など、私はない。
かといって聖杯戦争が終われば消滅するこの世界のお宝を手に入れたところで、意味はない。
ならば聖杯が現れるその時まで、適度に冒険を楽しむさ。
聖杯をこの手に収めることに興味はないが、その姿を拝むくらいはしたいからね」
「そうですか。まあ私も似たようなものですから、文句は付けませんが……。
環境がそれを許す時間も、そう長くはないと思いますよ」
今はまだ、聖杯戦争は序盤。大規模な動きを見せている参加者は少ない。
だが戦いが激化していけば、自分たちもずっと蚊帳の外にはいられない。
スペランカーはそう言いたいのだ。
「まあ、それも仕方あるまい。
いかに無粋であっても、それが聖杯の定めた世界の
ルールだ。
だが、まだ起きてもいないことを心配してもどうしようもない。
案外、話し合いですべて解決できるかもしれないしな」
「それなら楽でいいですな!」
二人は、朗らかに笑う。
「さて、帰ったらすぐに夕食ですね」
「しかし、なぜダンジョンで手に入る食べ物はパンだけなのかね。
さすがに食べ飽きたよ」
「他のスペランカーのダンジョンだと、おにぎりが手に入るそうですが」
「いや、そうじゃなくて。副菜をだね……」
「盗んでくればいいじゃないですか。泥棒なんだから」
「私はトレジャーハンターだと言っているだろう!」
戦争中という緊迫感を感じさせない牧歌的な会話と共に、アジトへ引き上げていく二人であった。
【クラス】スペランカー
【真名】トルネコ
【出典】トルネコの大冒険シリーズ
【性別】男
【属性】混沌・善
【パラメーター】筋力:C 耐久:C 敏捷:D 魔力:D 幸運:B 宝具:A
【クラススキル】
自己回復(不思議):A
時間経過により、受けたダメージが徐々に回復していく。
ただし、空腹時にはこのスキルは機能しない。
ゆえにスペランカーはサーヴァントでありながら、定期的な食事が必要となる。
【保有スキル】
黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命を指す。
大商人としても歴史に名を残すスペランカーは、Aランク。
とはいえ世俗から離れて活動している現状では、活かせているとは言いがたい。
投擲(万能):A
片手で持てるサイズのものであれば、たいていのものを投擲武器として使うことができる。
【宝具】
『不思議のダンジョン』
ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:50人
自分のいる地を、「不思議のダンジョン」と呼ばれる迷宮に変化させてしまう宝具。
「不思議のダンジョン」となった場所は構造が複雑に変化し、モンスターやアイテムがランダムで出現するようになる。
またその内部で致命傷を受けた場合、全ての持ち物を失う代わりに完全回復した状態でダンジョンの外に放り出される。
すなわちダンジョン内では死ぬことはないが、宝具であろうと容赦なく失われるためサーヴァントによっては立て直しが絶望的になるであろう。
なお特に仕切りのない場所で使用した場合は周辺一帯がダンジョン化するが、
屋内や特定の施設内で使用した場合は規模に関係なくその場所のみがダンジョン化する。
スペランカーに本来ダンジョンを生み出す能力などないが、あまりに多くのダンジョンを攻略してきたために宝具となってしまった。
【weapon】
召喚当初は何も持っていないが、ダンジョンで調達が可能。
現在ははぐれメタルの剣とはぐれメタルの盾を装備している。
【人物背景】
田舎の雇われ商人から始まり、大商人に成り上がり、さらには勇者の仲間として魔王討伐にも参加した男。
しかしスペランカーとしての彼には、魔王討伐すら前日談。
その後「不思議のダンジョン」と呼ばれる謎に満ちた迷宮を攻略したときの彼がベースとなっている。
数々の迷宮を攻略した彼は、「不思議のダンジョンマスター」として後世に語り継がれているとかいないとか。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯を自分の目で見てみたい
【マスター】アルセーヌガンダムX
【出典】SDガンダムワールドヒーローズ
【性別】男
【マスターとしての願い】
トレジャーハンターとして、聖杯を確認する
【weapon】
「Gコントローラー」
ワイヤーを射出する器具。
作中では仲間を捕まらせて引っ張り上げたり、ブービートラップを作成するのに使用。
【能力・技能】
怪盗……もといトレジャーハンターとして、俊敏な動きや潜入能力は一流。
頭の回転も速い。
【人物背景】
近未来風の都市「ネオワールド」において、怪盗としてその名をとどろかせる人物。
ただし本人は、かたくなに「トレジャーハンター」を自称している。
常に芝居がかった言動を取り、波長が合う相手からは心酔されるが、そうでない相手からは白い目で見られがち。
ロールは指名手配中の怪盗(異様な外見はそういう衣装と認識されている)だが、本人はまったく気にしていない。
【方針】
聖杯が出現するまでは傍観。
ただし、善良な参加者が困っていれば協力してもいい。
最終更新:2021年07月11日 20:29