寝静まった夜の街、その一角にある廃ビルで一人の少女が佇んでいた。

その場所には似つかわしくない幼い子供。
背丈は小学生ほどで特徴的な靴を履いているが、一番目を引くのは一つの眼球に二つの瞳孔がある重瞳と抱き締めているぬいぐるみの人形であろう。
そしてその雰囲気は見た目とはまるで別の異質なものを纏っていた。

「聖杯戦争にサーヴァント、そして万能の願望器――界聖杯」

頭の中にある身に覚えのない情報について吟味しながら、ぽづぽつと見える主従を見渡す。
彼女の目には実体化したサーヴァントはもちろん、霊体化したサーヴァントも見ることができる。
現世と幽世、生者と死者、二つの存在を見る目を彼女は生まれながらにして持っていた。

そうして今度は自分に与えられた記憶について考える。
両親が事故死した後、親戚の家に引き取られて生活しているというこの世界での自分の記憶。
元の世界の自分とほとんど同じ境遇であり、その記憶に対して特に思うことはない。
ただいるべき人たちがいないことが彼女にとって重要だった。

「ここに螢多朗や詠子はいない、そうなるとこれは私一人で挑まないといけない戦い」

自身と共に戦うと誓ってくれた相棒、自分と同じ背筋が凍るほどの恐怖を求めて共に来てくれる従姉妹。
彼らと共に心霊スポットを巡る旅、それがここでは叶わないことを彼女は改めて認識した。

聖杯に願えば空亡とあの神を容易く倒すことはできるかもしれない、でも何かがそれは違うと彼女は思う。
結果だけではなく過程も一緒に歩んでいかなければならないと。

「だからこの聖杯で願うのはあくまで戦力の補充、私が召喚したセイバーと共に元の世界に戻ること」

そうして夜宵は自分のサーヴァントであるセイバーを入れた人形を見る。
自身への霊的ダメージを肩代わりさせる「形代」。
話の分かる英霊ならばそもそもやらず、悪い英霊であれば令呪などを用いて突っ込んでやろうと考えていたが、呼ばれたセイバーはそのどちらでもなかった。

薪の王と呼ばれた偉大な王たちのソウルが生み出した火を守る化身。
自我を持たないソレはただマスターの意思のまま、「形代」として人形へと入っていった。

これほどの存在が元の世界に戦力として入ることになれば失った分の悪霊たちと同等もしくはそれ以上の穴埋めをすることができる。

故にこの聖杯戦争における夜宵のモチベーションは高かった。
今の自分にある戦力はセイバーと神体の指、そして「卒業生」1体。
無論一人だけで全てを倒して勝ち抜けるとは思っていない。
必要であれば他の陣営と手を組むし、あるいは外道の類がいれば協力してそいつらを倒すこともあるだろう。
こんなところで死ぬつもりはない、必ず自分は元の世界に帰ると誓う。

「少しだけ待っててね、螢多朗に詠子。私はセイバーと一緒に必ず戻るから」

同時にこの死と恐怖が隣り合わせという聖杯戦争の舞台に胸を高鳴らせる。
今までの心霊スポット巡りとは異なる趣の地、それを駆け抜けて彼らの土産話にするのもいいと彼女は思った。

「それじゃ、れっつごー!すと!」

そうして彼女は聖杯戦争へと突き進む、ここでの体験を糧とするために。


【クラス】
セイバー

【真名】
王たちの化身@DARK SOULS Ⅲ

【パラメーター】
直剣装備
筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:B 幸運:B 宝具:EX

曲剣装備
筋力:C 耐久:C 敏捷:A 魔力:B 幸運:B 宝具:EX

長槍装備
筋力:A 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:B 宝具:EX

儀杖装備
筋力:B 耐久:C 敏捷:C 魔力:A 幸運:B 宝具:EX

『薪の王グウィン』
筋力:A 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:B 宝具:EX

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
対魔力:A
Aランク以下の魔術を完全に無効化する。
事実上、現代の魔術師では魔術でセイバーに傷をつけることは出来ない。

騎乗:?
騎乗の才能。
セイバーは騎乗スキルを所持していない。

【固有スキル】
薪の王:EX
はじまりの火を継ぐもの。
自身の魂を薪として燃やすことで、最初の火を絶やさない存在となった者たち。
彼らの魂に触れることはすなわち、その火に焼かれるということでもある。
魔力放出(炎)のスキル効果を含んでおり、セイバーの武器には常に炎が宿る。

気配感知:C++
高クラスの気配感知能力。
ある程度の距離までの気配を察知する事が可能であり、 近距離ならば【気配遮断】を無効化する事ができる。

心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

魔力放出(雷):A+
『王たちの化身・薪の王グウィン』発動で使用可能。
太陽の光の力である雷の力を用いて数多の古竜を滅ぼし、火の時代を築いた初代薪の王の力。
多くの古竜を葬ったことで竜属性を持つ存在と、雷とあるが同時に陽光としての属性もあることから、それらを弱点に持つ存在に対して特効となる。

【宝具】
『王たちの化身』
ランク:EX 種別:化身宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
はじまりの火を継いだ薪の王たち、その「彼ら」の化身。
様々な薪の王たちの戦闘スタイルに変化することができ、パラメーター、固有スキルもそれに準じて変化する。
なお自我の類は持っていないため、言葉は発さず意思疎通は不可能であり、精神攻撃は意味をなさない。

直剣装備
最もスタンダードの型。特殊なスキルはなく、純粋な剣技による戦闘スタイル。
連撃による攻撃で一気に仕留める。

曲剣装備
軽快な動きで撹乱しつつ攻撃し、呪術を使う型。
パリィで相手に致命の一撃を喰らわせてきたり、呪術による火の玉や火炎放射、毒の霧を出してくる。
また強化呪文で少しの間、筋力パラメーターをワンランクアップさせることが可能。

長槍装備
槍の突きと払いをメインとし、奇跡を使う型。
奇跡による回復術と自身を中心に球状の衝撃波を放つ。
回復術は回復と少しの間、持続する自動回復の同時発動である。

儀杖装備
ソウルの魔術主体の型。
杖から魔力の槍を生成して放つ術、杖から極太の魔力ビームを発射する術、
追尾機能をもつ魔力の塊を展開して発射する術、魔力の大剣を生成して振り回す術、大量の小さな魔力の塊を連射して放つ術がある。

『王たちの化身・薪の王グウィン』
ランク:EX 種別:化身宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
自身の霊核を砕かれたときに自動発動。
自身を中心に大爆発を起こして霊核を修復し、薪の王グウィンの戦闘スタイルに切り替える。
この宝具が発動した時点で『王たちの化身』の宝具は使用不可となるが、
令呪を一画用いることでこの宝具を封じて『王たちの化身』を発動させることが可能。
そして再び霊核を砕かれば再度この宝具は発動する。
また自我の類は『王たちの化身』と同様に持っていないため、意思疎通は不可能である。
大剣を振り回しつつ格闘を交えて雷の槍を飛ばす戦闘スタイルとなる。
雷の槍は一つ生成して投げるもの、近くの敵にそのまま突き刺すもの、上空に投げてそこから大量の槍に分かれて降り注ぐものがある。

『はじまりの火』
ランク:EX 種別:対魂宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
セイバーが守護するもの、そして継承されたもの。
世界で初めて発生した火で、様々な要素を世界に流し込んだ根源。
明かりと闇と、熱と冷たさと、生と死と、あらゆる差異をもたらし、そしてその中から闇から生まれた者たちが火に惹かれ、王のソウルを見出した。
そしてこの火が消えるというのは火の時代の終焉を意味し、一つの時代が終わることの象徴である。
セイバーが完全に撃破されるとその場にこの宝具を残して消滅する。
そしてセイバーを倒した者にはこの宝具を受け取るか、消滅させるかの選ぶ権利が与えられる。
受け取った場合はスキル:薪の王を取得するが、その魂は焼かれ、徐々に自我を喪失し始めることになる。
消滅させた場合は特にスキル取得はないが、会場全体に神性持ちまたは鬼や悪魔の属性を持つ者へのデバフ効果が付与される。

【weapon】
『火継ぎの大剣』
玉座無き彼らの前にずっとある篝火に刺さる螺旋の剣。
『王たちの化身』のみがその剣を使いこなすことができ、彼らの意思に反応し、武器は直剣、曲剣、槍、杖、大剣へと形を変える。

【人物背景】
篝火に刺さる螺旋の剣を持ち、炎を纏う焼け爛れ歪んだ騎士の姿をしている。

王たちの火の力を具現化した化身と言われ、
最古の薪の王グウィン以来はじまりの火を継いだ偉大な王たちのソウルがいつか火を守る化身を生んだのだろうと思われている。

【聖杯への願い】
自我を持たないため、願いはない
本能のまま、サーヴァントとしてマスターに従うのみ

【マスター】
寶月夜宵@ダークギャザリング

【マスターとしての願い】
セイバーと一緒に元の世界に戻る

【能力・技能】
「重瞳」
一つの眼球に二つの瞳孔がある体質。
夜宵の場合はそれにより人間がいる現世と幽霊がいる幽世を同時に見ることができる。
ただしあくまで見えるだけであり、幻覚などを見抜く力はない。

「形代」
霊を封じ込めた人形に自身の爪や血を入れることで、自身に対する霊からの攻撃または霊的攻撃を封じた霊に肩代わりさせる。
あくまで霊的攻撃のみであり、ただの銃や瓦礫などの物理攻撃には意味をなさない。
今回はセイバーを人形に封じることで夜宵に対する霊的攻撃はセイバーへの攻撃となる。
これによりセイバーは形代となった人形からあまり離れることが出来なくなっている。
サーヴァントであるため、あくまで人形と離れられない程度のもので、自由に人形から出すことはできる。

「御神体の人差し指」
鬼子母神の像から奪った指。
悪霊が伸ばしてきた手などを切断したり、霊に直接突き刺したりできる。
あまりに強い霊には効かない。

「卒業生」
夜宵の集めた悪霊蟲毒の影響下にあってなお、近隣5件ほどまでに影響を与えるエネルギーを持つ破格の悪霊。
その力は凄まじい反面、夜宵たちも巻き込まれる危険性があり、易々と解放できない存在。

『邪経文大僧正』
聞いたものを地獄へ強制成仏させ、地獄へと送る経文を唱える。
スマホなどを通して遠距離にも聞かせることができ、イヤホンつけて最大音量で流したり、
聞こえなくなる距離まで離れたりなど物理的に経文を聞かないようにするしか逃れる術はない。
また自身の口が壊されたりして唱えられなくなっても、
経文を聞いた死骸や悪霊そのものなど強制成仏させた相手に経文を唱えさせることができる広範囲型遅効性の呪いをもつ。
弱点として強力な存在ほど経文を聞かせなければならないため、効き目が出るまでに始末されると何も出来ずにやられてしまう。
目安としては小動物が2、3秒、普通の大人が30秒程度で、悪霊はここからさらに長く、
サーヴァント相手であればそこからさらに長くなるため、マスター相手に使うのが無難であろう。

その他に霊能力で霊を探知したり、小柄なことを生かした身のこなしや御神酒に塩、
バールや紐などを使って様々な状況に応じて物事を処理する判断力がある。

【人物背景】
小学生で主人公である螢多朗の最初の生徒。
交通事故で両親を亡くし、事故現場から「空亡(くうぼう)」という悪霊に連れ去られる母を目撃し、母の手がかりを探して心霊スポット巡りをする。
事故の影響からIQ160超えの天才児となり、現世と幽世がはっきりと見える体質となってからは
心霊スポット巡りで捕縛した悪霊を共食いさせ、破格の力を持つ悪霊を生み出している。
両親への愛情とそれを奪った悪霊への憎悪を持ち、清濁併せ飲む覚悟を持つ。
蠱毒に入れるのは基本危険な悪霊や同情の余地のない悪霊など倫理観に基づいており、生きた人間に対しても同様の価値観で動いている。

【方針】
基本は優勝狙いだが、倒すのはサーヴァントのみでマスターは狙わない。
ただし悪党や外道には容赦なく、直接殺すことはなくても見殺しにすることはある。

卒業生は相手のマスターを巻き込み、サーヴァント相手には分が悪いと考えているため、余程の相手でなければ解放することはない。

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最終更新:2021年07月11日 20:33