「なんで……なんで、こないなことにやってもうたんや……なんで……なんで……」

 壊れたおもちゃのように言うけど、誰も答えてくれない。


 うちは池谷二鳥。
 本当の名前は『宮美二鳥』って言うけど、生みの親からは施設に捨てられた。
 でも、四歳のときに池谷家の養子になって、宮美二鳥から池谷二鳥になる。
 お母ちゃんとお父ちゃんのほんまの子どもじゃなかったけど、うちは幸せだった。
 だって、お母ちゃんとお父ちゃんはうちのことを大事にしてくれたし、血のつながりがなくてもかわいがってもらった。
 学校でもそう。授業参観には絶対にきてくれて、運動会でも思いっきりほめてくれた。たまに、うちがはずかしゅうなることもあったけど、嬉しかった。
 もちろん、いろんな所にも連れてってもらった。お母ちゃんもお父ちゃんも、たくさんの思い出をくれたんや。
 それに、小学一年生だったある日に、うちはお母ちゃんとお父ちゃんに聞いたことがあるんや。

「うちを産んだお母さんが、『二鳥は私の子よ。二鳥を返して!』って、家にやってきたらどうする?」

 すると、『絶対だれにもわたさへん』って、言うてくれたんよ。
 お母ちゃんとお父ちゃんが、うちのお母ちゃんとお父ちゃんになってくれてよかったって、心の底から思ったんや。
 おもしろいけど、ちょっと考え方が極端なお父ちゃん。
 優しいけど、心配性で子どもっぽいお母ちゃん。
 うちは、そんな二人のことが大好きやった。


 そして、うちが小学3年生になったころ。
 お母ちゃんのおなかの中に、赤ちゃんがやってきたんや。
 体が弱いお母ちゃんやけど、元気な男の子が……あゆむが生まれた。
 うちはお姉ちゃんになることができてうれしかったけど、お母ちゃんは今まで以上に不安になることが多くなったんや。
 だって、赤ちゃんは小さくて、少しの不注意で死んでしまうこともありえるんや。
 夜泣きも多くて、そのせいでお母ちゃんは心配になることが多かった。
 お父ちゃんも仕事がいそがしくなって、帰りも遅くなったせいで、前みたいに笑ってくれなくなったんや。
 それでも、うちは二人のお手伝いをしようとしたけど、母方のおばあちゃんとおじいちゃんに遠ざけられた。
 家の中は、だんだんとイヤな空気になっていくのを……うちは感じたんや。

 でも、あゆむはどんどん大きくなって、あっという間に歩けるようになった。
 お話もできるようになって、うちのことを「にとちゃん」って呼んでくれるんや。二鳥ちゃんやから、にとちゃんやろうな。
 そんなあゆむがとってもかわいくて、うちは守ってあげたかったんや。
 あゆむは成長するんやけど……お母ちゃんとお父ちゃんも、おじいちゃんもおばあちゃんは変わらず、家の中はどんよりしたままやった。


 そして、事件は起こるんや。
 冬に入ろうとしたあの日のことを、うちはこれから一生忘れへん。
 お母ちゃんがあゆむの子育てや家事で疲れていたから、お手伝いをしようと思った。

「今日はうちがあゆむの面倒みるわ! お母ちゃんは休んどって!」

 お母ちゃんのため、うちもちょっとでも頑張ろうと思って、あゆむと一緒に近くの公園で遊んであげたん。
 でも、うちがちゃんと見てあげなかったせいで、あゆむは転んでもうた。
 しかも、大きな石にぶつかって、おでこから血が出て……もう、思い出すのもイヤや。

 うちはすぐにお母ちゃんに知らせて、すぐにあゆむを病院に連れていった。
 あゆむはおでこに二針をぬっただけで、他はなんともなかったってお医者さんは言ったけど、うちはずっと泣いたまま。
 お母ちゃんとお父ちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんにずっとあやまった。

「うちのせいでっ……うちがちゃんと見てなかったせいでっ……ごめんなさい……!」

 だけど、みんなはうちに何も言わなかった。
 そして、うちはあゆむと話すことすらもみんなから禁止されて、家の空気がもっと悪くなったんや。
 みんな、うちにがっかりしたんやろ。
 もう、この家からうちの居場所が消えてしまったことは、自然とわかったんや。


 何の相談もなく、次の春休みから塾に通うことが決められて、うちは中学受験をさせられた。
 仲のよかった友達と遊ぶ時間もどんどん減って、塾で勉強していたせいで家に帰る時間が夜おそくなる。
 もちろん、食事だって一人でとる時が多くなった。


 だけど、うちは何も言えへんかったんや。
 お母ちゃんとお父ちゃんからきらわれてる。もう、お母ちゃんとお父ちゃんはうちのことがすきじゃない。
 でも、そんなはずはないと心のどこかで思ってた。いや、思い込もうとしていたんや。
 だって、うちは二人の子どもなんやって言ってくれたのは、お母ちゃんとお父ちゃんやから。
 だから、うちは中学受験も頑張ることができた。二人がうちの将来を考えてくれているし、ちゃんと合格すればすべてがうまくいって、またみんなで笑えるようになるんや。
 もちろん、あゆむとだっていっぱい遊べる。そう信じて、うちは勉強をがんばれたんや。


 ほんとうにきらわれていたらどうしよう。
 そんな不安はあったけど、スワロウテイルの歌をいっぱい聞いて吹き飛ばした。
 それと、ほんまのお母さんからもらった赤いハートのペンダントをお守りにして、勉強をがんばった。
 そのおかげで、うちは第一志望の中学受験に、見事合格したんや!


 すぐに帰宅して、お母ちゃんとお父ちゃんに受験に合格したことを教えてあげた。
 でも、家の中はつめたい空気がただよっていた。お母ちゃんとお父ちゃん、それにおじいちゃんとおばあちゃんは、重苦しい表情を浮かべていたんや。
 なんか変や、とうちが思うと……


 ……お父ちゃんはうちに言ったんや。
 お父ちゃんは春から関東に転勤するから、二鳥は一人だけで中学の寮に入り、って。

 何を言われたのか、うちは理解できなかった。
 体じゅうが一気にひえて、息ができなくなりそうやった。
 うちが合格した中学と寮は大阪にあって、お父ちゃんたちはあゆむと一緒に関東に引っ越すんや。
 うちは、ひとりになって、家族と一緒にいられないってこと?

「そんなん……い、イヤや……!」

 必死になって、ふるえながら言う。
 でも、誰もうちの味方なんてしてくれへん。おじいちゃんはうちのことを怒るし、おばあちゃんは優しい声で言うことを聞けと言い、お母ちゃんとお父ちゃんは黙ったままや。


 そうして、ようやくうちは気付いたんや。最初から、みんながグルになってうちのことを捨てるつもりやったって。
 中学受験だって、うちを都合よく追い出すことが目的だったんや。
 お母ちゃんとお父ちゃんはなんでそんなことをするのかわからなくて、うちは絶望した。
 確かに、あゆむをケガさせたのはうちの責任や。うちがちゃんと見ていなかったから、お母ちゃんは泣いちゃった。
 お父ちゃんだって忙しかったから、うちのことまで気が回らなかったのはわかってた。お仕事とあゆむのことが大変で、うちのことを考える余裕がなかったのはしょうがない。
 でも、どうしてモノみたいに捨てられなきゃあかんの? 何があっても、誰にも渡さないって言うてくれたのは、ウソだったの?

 なにも考えられなくなって、目の前が真っ暗になった頃やった。
 うちが、この聖杯戦争に呼ばれて、マスターになったのは。
 最初はなにがなんだかわからなかった。夢でも見たのかと、うちは思ったんや。
 でも、これはまぎれもない現実や。マスターになったうちが、サーヴァントと一緒に聖杯戦争に勝ち残れば、どんな願いでも叶えられる聖杯がゲットできる。
 それを聞いて、うちの心に希望が芽生えた。
 聖杯戦争に優勝すれば、お母ちゃんやお父ちゃんとまた家族になれる。
 聖杯の力さえあれば、またみんなで一緒に暮らせるようになるんや!


 ーー君が私のマスターか? 君の願いはなんだ?


 そして、サーヴァントがうちの前に現れて、訪ねてくる。


「うちの願いは……お母ちゃんやお父ちゃん、それに弟のあゆむと一緒に……また家族みんなで仲良く暮らすことや!」

 ーーいいだろう。その願い、私が叶えてあげようじゃないか。


 サーヴァントの言葉に、うちの心が軽くなった。
 うちは一人じゃないことが、こんなにも嬉しくて。
 うちに味方をしてくれる人がいて、とても心が暖かくなって。
 また、うちを池谷家の一員にしようと頑張ってくれる人がいて、こんなにも幸せで。

 ーー私はトレギア。ウルトラマントレギア。

 ーー君と共に戦い、願いを叶える為……サーヴァントとして召喚された。

 そうして、うちの聖杯戦争が始まったんや。
 でも、この世界でうちはひとりぼっちになってもうた。マスターとサーヴァント以外、みんなNPCって呼ばれていて、人間やない。
 しかも、うちは寮でひとりぐらしをすることになったんや。当たり前のように、友だちや家族は誰もいない。

「な、なんでや……なんで、うちだけが一人で暮らさなきゃ……あかんの?」

 その問いかけには、誰も返事をしてくれへん。
 TVにエアコンに冷蔵庫、机やベッドのような生活に必要なものは揃ってる。でも、うち以外に誰もいない。
 あのまま、お母ちゃんとお父ちゃんたちの狙い通り、本当にうちだけが寮で暮らすことになった。
 お金自体は、大阪で暮らしていたころのおこずかいがあるから、今のところはどうにかなりそうやった。けど、それもいつまで続くかわからへん。
 もしも、聖杯戦争で寮が壊されたりしたら、うちはどこに行けばいいんや。
 うちのために、安心できる居場所をくれる人なんて、ほんまにいるんか。温かいご飯を作ってくれる人が、どこかにいるんか。
 何があっても、うちのことを支えてくれたり、守ってくれる人と出会えるんか。
 いい未来が、一つも想像できへんかった。まるで、暗闇の中に閉じ込められたみたいで、心が苦しくなる。


 うちが病気になっても、助けてくれる人なんて誰もいない。
 うちがいじめられることになっても、相談できる人なんて一人もいない。
 うちが周りから差別されることになっても、話を聞いてくれる人なんてどこにもいない。
 仮に、うちが不良になって悪い遊びを覚えたとしても、ほんとうはいい子だって言ってくれる人なんてここにはいない。
 もちろん、サーヴァントに相談できるんやけど……やっぱり、頼れる家族に相談したいんや。


 仮にうちがこの聖杯戦争に負けて、死ぬことになっても……悲しむ人なんて元の世界に誰もおらへん。
 お母ちゃんとお父ちゃん、それにおばあちゃんとおじいちゃんは……うちのことなんて、忘れるんやろうか。
 あゆむは、どうなんやろ。
 また、あゆむに会いたいと思う。あゆむの成長を見られないのは、やっぱりイヤやから。
 だから、うちはこの聖杯戦争で勝ち残るしかないと、言い聞かせることにしたんや。


 でも、不安もあるんや。
 聖杯戦争に勝ち残ってことは、他の誰かを……こ、殺すことになる。
 あゆむが転んでから、血を見るのが苦手になったのに、うちの両手を真っ赤にそめることも、どうしてもイヤやった。
 また池谷家に戻りたいって気持ちと、誰かを殺したくないって気持ちが、うちの中で半分ずつ分かれていたんや。

「不安だよね、マスター?」
「えっ!?」

 いきなり、後ろから声をかけられる。
 びっくりしながら振り向くと、大人の男の人がほほえみながら立っていたんや。
 白と黒の半分にわかれたブラウスを着て、なんだかミステリアスなイケメンさん。
 この人は、うちのサーヴァントになってくれたウルトラマントレギアの仮の姿。名前は、霧崎さんって呼ぶみたいや。

「お母ちゃんやお父ちゃんと仲直りがしたくて、この聖杯戦争に可能性を賭けた……でも、誰かを殺すのもイヤだ。フフッ……」
「な、何がおかしいんや!? うちは、家族の元に帰りたいだけや!」
「いいや、何もおかしくないとも! 君たち人間は、家族の絆を大事にしてきたことを、私はよく知っているからねぇ?」

 霧崎さんはうちの顔をまじまじと見つめながら、ニヤニヤと笑う。
 その笑みが、うちにはとても不気味に見えて、息苦しくなりそうやった。
 まるで、うちのことを品定めしているようで……

「ただ、私は興味があるのさ! 私……トレギアという名前には、ある名前が込められている。マスターは、それが何かわかるかな?」
「わ、わかるわけあらへんやろ!?」
「『好奇心』さ! 『狂おしい好奇心』……私の国の言葉で、トレギアとはそのような意味が込められている!
 つまり、私は君にとても興味を持っている! 君たち家族がどれだけの絆で結ばれていて、またどうして引き裂かれなければいけなかったのかっ!? それを知るために、私は君を守りたいのだよ」

 大げさなリアクションと共に、霧崎さんは叫ぶ。
 その態度が、まるでうちのことをバカにしているように見えて、イライラする。

「そんなの、うちが聞きたいくらいや! なんで、うちが捨てられたのか、うちがわかるわけないやろ!?」
「だろうねぇ? だからこそ、マスターは生きる必要がある! 君たちは愛し合っていたのだから、それを断ち切られたのにはよほどの理由があったはずさ! 聖杯を手に入れて、元の世界に帰還し、ちゃんとお母ちゃんとお父ちゃんに話を聞かなきゃいけないよ?」
「……でも、ほんまに、聖杯があれば二人はうちの話を聞いてくれるんやろうか?」
「それは、君次第さ。どれだけ強大な力があろうとも、使うものが決意しなければガラクタも同然! だけど、君が信じて、前を進みさえすれば……お母ちゃんとお父ちゃんは褒めてくれるかもしれないよ?」
「……お母ちゃんと、お父ちゃん……!」

 霧崎さんの言葉が、うちの心にどんどん広がっていく。

「大丈夫。マスター……君はもう一人じゃないんだから。私は、絶対にマスターを捨てたりなんかしない。だから、安心していいんだよ」

 ーー今だけは、私が君の家族の代わりになろう。

 霧崎さんはそう言い残すと、煙のようにどこかに消えてしまう。
 そうして、うちは部屋の中でまた一人になった。でも、さっきまでの不安は、ちょっとはマシになったみたいや。
 霧崎さんのことはよくわからないけど、うちのことを守ってくれるのは……確かかもしれないんや。


 家族。
 今のうちにはいないけど、世界のどこかにはうちの家族になってくれる人がいるんやろうか。
 それに、姉妹にもあこがれがある。うちの姉妹になってくれる女の子がいたら、いったいどんな子なんやろうか。あと、一緒に暮らしていたら、どんな話をしたんやろうか。
 一緒におでかけや買い物をしたり、お勉強をしたり、何かトラブルが起きても助け合ったりしたんかな。
 ケンカをしても、仲直りをできるかな。ちゃんと、お互いにあやまれるやろうか。
 ……きっと、ムリやろうな。だって、お母ちゃんとお父ちゃんだって、話をしてくれなかったんや。
 やから、うちに姉妹ができても、仲良くなれるとは思えへん。
 いつか、また捨てられるに決まってるんや。

 うちにとって、頼れるのはもう霧崎さんだけなんや。
 だから、霧崎さんを信じて、聖杯戦争を生き残る以外にない。
 そう。わかっていたはずやのに、うちの心はいまも痛いんや……





 私は何も得ることができないまま、ウルトラマンたちとの戦いに敗れ去った。
 邪神魔獣グリムドの力を開放し、地球を混沌の闇に飲み込んでも、ウルトラマンたちは絆の力を束ねて私を打ち破った。
 だが、私はサーヴァントとなって再び蘇った。何の力も持たない少女の下僕に成り下がるものの、決して悲観しない。
 むしろ、あの少女に興味を抱いた。池谷二鳥……いや、宮美二鳥だったかな? まぁ、どっちでもいいけどね。


 私のマスター・二鳥は両親と仲直りがしたくて、聖杯が欲しいそうだ。
 血の繋がりはなく、正確には里親夫婦のようだが、それは置いておこう。光の国のウルトラ6兄弟だって、厳密にいえば血の繋がりは全くない。
 唯一の例外が、ウルトラの父とウルトラの母の実子である、ウルトラマンタロウ……ウルトラマンタイガの父親でもあり、私の親友となった彼だけだ。
 おっと、話が脱線したかな。
 でも、まさか自分の娘を捨てる親がいるなんて信じられないねぇ。私もこれまで、宇宙を巡ってたくさんの家族を見てきたけど、そんな親はなかなかいなかったかな?
 もっとも、毒親という言葉も地球では広まっているから、彼女の里親もそれだったかもしれないね。いやはや、この度はご愁傷さまです。


 家族の絆なんて、しょせんは薄っぺらいのさ。
 二鳥も愛されていたと思いきや、実際はお人形遊びと何も変わらなかったかもしれない。
 子どもが新しいおもちゃを手に入れたら、古いおもちゃはすぐに捨ててしまうように……二鳥だって、飽きたら捨てられてしまう程度の愛着しか持たれなかったのだろう。
 当然、二鳥は納得できるわけがなく、自分のことを捨てた親にしがみつく。そんなことをしたって、里親の心が戻ってくるわけがないのにねぇ。
 もっとも、彼女にはもう他に居場所が残されていなければ、仕方ないかもしれないけど。
 その先には、悲劇……いや、喜劇しか待っていないことを、二鳥は目を背けている。


 それほどにどうしようもない大人なんて、ウルトラマンでも救うことができないだろう。
 私が戦ってきた数多のウルトラマンと人間達は……地球人を守り続けた。当然、タロウも例外ではない。
 でも、彼らが二鳥の里親を説得したところで、里親は果たして改心するだろうか? もちろん、里親は身勝手な理屈を振りかざして、二鳥のことを捨てるだろうね。
 何となくだけど、そんな予感がするのさ。
 仮に聖杯で仲直りをしても、長続きしないだろうね。

 だから、私はサーヴァントとして、マスターの二鳥を守ることに決めた。
 この年頃の少女だから、理不尽なパワハラ上司の如く癇癪を起こすだろう。だが、私が甘い希望を示せば、すぐに機嫌を取り戻す。
 今はまだ、無理に力を発揮することは得策ではない。無論、自己防衛はするつもりだよ。
 だが、力を望む二鳥にプレゼントを与えることは充分にできる。どこかの宇宙で怪獣になった引きこもりのように、彼女自身に戦わせることも可能だ。
 今はまだ、彼女自身に戦わせたりなどしない。だが、彼女は私を信用……いや、依存しつつある。
 だから、いくらでも闇に飲み込めるだろう。
 私は残業はしない主義なのだが、たまにはサービス残業も悪くない。
 私だって、気まぐれでボランティアをしたいと思うのさ。



 そうだ。
 もしも聖杯を手に入れて、再び宇宙に君臨するのであれば……この二鳥をウルトラマンたちに見せつけてやるのも面白いだろう。あるいは、並行宇宙に存在する『宮美家』の人間に、絆に裏切られた二鳥を差し出してやるのも一興か。
 宮美二鳥が捨てられた宇宙もあるように、宮美二鳥が本当の家族と幸せに過ごす宇宙もある。もしもこの池谷二鳥が、幸せに浸っている宮美二鳥を知ったら何を思うか?
 そして、タロウよ。君のことだから、きっと二鳥のことを闇から救うだろう。
 でも、闇から抜け出したとしても、彼女が家族に捨てられたことは変わらない。君が家族になってあげたところで、彼女の傷を癒すことはできないだろうね。
 タロウだけではない。家族の絆を掲げる湊家の奴らと、己が運命に抗って絆を諦めなかった朝倉リク。そして絆の力を信じ切って、私の計画をすべてぶち壊した工藤ヒロユキ。
 彼らは皆、今も絆を信じるだろう。だが、絆に裏切られた二鳥に対して、家族の絆のすばらしさを語ることができるのか?
 果たして、彼らはどんな言葉をぶつけてくれるのだろうね。


【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
ウルトラマントレギア@ウルトラマンタイガ&劇場版ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル

【属性】
混沌・悪

【パラメーター】
筋力:B 耐久:B 敏捷:A 魔力:A 幸運:C 宝具:EX

【クラススキル】
対魔力:B
魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

戦闘続行:A
往生際が悪い。
一度肉体が滅びようとも、時間が経てば邪神の力で別次元のトレギアが復活して現れる。

【保有スキル】
トレギアアイ:A
仮の姿である地球人としての霧崎から、ウルトラマントレギアとしての姿を開放する。
身長50メートルもの巨体を誇るが、自らの意思で身長を自由自在に変えることができ、人間の前に現れることもできる。
グリムドを体内に宿らせたことで、従来のウルトラマンとは異なり地球でもエネルギー消耗をせず、カラータイマーが点滅することもない。
ただし、巨大化した上で戦闘を行えば、マスターにも影響を及ぼすために長時間の活動は難しい。

陣地作成:A
ウルトラマントレギアが闇を生成し、自らに有利な陣地を作り上げる。
”魔法空間”とも呼ばれ、自らのステータスを向上させる。

トレラ・スラー:B
邪神降臨の際に用いる魔法陣を使ったワープ能力。
距離に比例して魔力を消耗する。また、現時点では世界の外から脱出することはできない。

イスキュロス・ダイナミス:B
邪神の力によって、あらゆる生命体を狂暴化させる。
マスターやサーヴァントの理性を奪い、暴走させることが可能。

【weapon】
トレギアアイ。
ウルトラマンと邪神の力。

【宝具】
『邪神魔獣グリムド』
ランク:EX 種別:対星宝具 レンジ:‐ 最大補足:-
太古の混沌が宿る宇宙遺跡ボルヘスに封印された邪神。
青い風船の如く封印の中には、数百体を超える数の邪神が眠っており、それらが実体化したのが邪神魔獣グリムドとなる。
トレギアは自らの体と心を生贄に捧げて、カラータイマーの奥底に邪神たちを宿らせることで圧倒的なパワーを手に入れた。
トレギア自身が解放することで、グリムドは君臨する。咆哮と雷、そして混沌の闇で辺りを破壊するその姿は邪神魔獣と呼ぶにふさわしい。

【人物背景】
光の国で生まれたブルー族のウルトラマン。
元々はウルトラマンタロウの親友で、宇宙科学技術局の一員として研究を重ねていた。
しかし、激化する戦いの中で光の国に対する疑問が生じ、自分たちウルトラマンは本当に正しいのかと葛藤するようになる。
そして尊敬するウルトラマンヒカリが、憎悪に捕らわれてボガールとの戦いに執着し、周囲の犠牲を顧みなくなったことで、トレギアは絶望する。
ウルトラマンは地球人たちと何も変わらず、正義の名を語りながら力を振りかざし、終わらない戦いを繰り返していく。発狂したトレギアは光の国から抜け出し、光と闇の両方に価値を抱けなくなったまま、孤独な旅を行った。


その果てに、宇宙遺跡ボルヘスを暴いたトレギアは、邪神魔獣グリムドを自らの身に宿らせる。
光と闇を超越し、ウルトラマンであることをやめたトレギアは、多次元宇宙にて混乱を招く。彼の中に宿る邪神たちが、力あるものたちを導いていた。
すべては、ウルトラマンの光と絆を否定するために。他者の心を惑わし、強大な力を与えては暴走させて、数えきれないほどの悲劇を生み出した。


ベリアルの血を引くウルトラマンジードと、兄妹の絆で戦うウルトラマングルーブには敗れ去ったが、彼は蘇った。
たとえ、肉体が何度滅びようとも、邪神の力によって別次元のトレギアが蘇る。そうして、また宇宙の脅威となる。
タロウの息子・ウルトラマンタイガたちトライスクワッドと戦い、工藤ヒロユキが生きる地球にてトレギアは混沌を招く。だが、真の絆に芽生えたヒロユキたちトライスクワッドによって、計画を全て潰された。
その果てに、トレギアはタロウを闇に堕として人形のように操るも、トライスクワッドによってタロウは正気を取り戻す。
そして、トレギアは自らの体に封じ込めた邪神を解放して、地球全体を闇に染める。
邪神魔獣グリムドそのものになったトレギアだが、ニュージェネレーションヒーローズの力を一つにした神秘の巨人・ウルトラマンレイガの力に敗北した。


【サーヴァントとしての願い】
二鳥を守りながら、確実に闇へと導いていく。
最終的には光の国のウルトラマンたちや、多次元宇宙の宮美家に二鳥を見せつける。


【マスター】
池谷二鳥@四つ子ぐらし

【マスターとしての願い】
聖杯を手に入れて、またお母ちゃんやお父ちゃんたちと家族になる。

【ロール】
普通の中学生。
寮でひとりぐらしをしており、家族がいない。

【能力・技能】
人並みの運動能力があり、流行には敏感でコミュニケーション力にも長けている。
また、必死に受験勉強に励んでいた時期もあったため、有名私立中学の入試に合格する程の学力もある。
基本は関西弁だけど、標準語でも話すことができる。

【人物背景】
池谷家の養子として育てられた少女。
里親から愛情を注がれて育てられたが、弟の池谷あゆむが生まれてからは家の空気が一変し、次第に家族から疎まれてしまう。
中学受験に合格した日、一人だけで中学の寮で生活することを押し付けられてしまった。

【方針】
霧崎さん/トレギアに頼るしかない。

【備考】
原作第4巻の回想シーン、里親夫婦から寮生活を押し付けられた直後からの参戦です。
その為、四ツ橋李央とは面識がなく、また自分に姉妹がいることを全く知りません。
なお、池谷二鳥と他の姉妹が同時参戦していた場合、宮美家には『宮美二鳥』がNPCとして存在します。
通う中学校も別々です。

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最終更新:2021年07月13日 20:34