胸元に七つの傷。顔をすっぽりと隠すヘルメット状の面。筋骨隆々の肉体。
全く同じ姿の男ふたりが東京の街を練り歩いていた。
殺すべき敵を探して。
「おい「ジャギ」」
「なんだよ「ジャギ」」
このふたりはマスターとサーヴァントとされる存在のはずだが、互いにそんな呼び方などしない。
名を言い換えたり隠すことなど、このふたりにとってはなんの意味も無いからだ。
「俺の願いに文句はねえんだな?」
「しつけえな。別にどうなったって知らねえよ。見たこともねえ女なんざ、生きてようが死んでようがどうでもいい」
サーヴァントの「ジャギ」の念押しするような問いかけにマスターの「ジャギ」はそうやって冷淡に答えた。
暴力的な日頃の彼には珍しく、面倒くさそうに気だるげな反応だった。
ふたりは敵を探して、ぶらぶらと街を練り歩いていた。
やることもなく、ぶらぶらと。
ふと。
みじめな末路とやってきた所業は概ね同じはずなのに、どうしてここまで噛み合わないものを感じるのかと、ふたりの「ジャギ」は考える。
何度も何度も、考えてしまう。
才はあった。それは確かだ。北斗の兄弟としては最下位とはいえジャギには確かに非凡な才があった。100年に1人の天才と言えた。
……他の兄弟は皆、1000年に1人の才を持つ者ばかりだったのだが。
リュウケンはそのジャギだけが持つバランスを完璧に把握していた。
宗家どころか分家の北斗の血すら引かず。しかし兄弟をかき回す人材としては丁度良く、北斗神拳自体の使用には問題ない実力を有する。そして伝承者になる心配は絶対にない。そう言う戦略の元に彼は北斗の伝承者争いに入れられたのだ。
そこに愛などなかった。
そうだ。
この「ジャギ」が北斗の伝承者になることは絶対にないのだ。
例え今以上に研鑽を積んでも。
他の兄弟を超える才を持っていたとしても。
よしんば北斗の血の問題が解決されたとしても。
ジャギは愛を知らないから。
誰を愛したことも、愛されたこともないのだから。
そういう意味では、サーヴァントとして召喚された「ジャギ」よりマスターである彼は更に伝承者から遠い。
反英霊としてのジャギは才なき肉体を親に対する情愛で鍛え抜き、愛する者を持ちながらもすれ違いから破滅の道を歩み失意のまま死んだ男。
そんな過去など知らないしマスターであるジャギには縁がない。
確かに修行において努力はした。上の兄弟のことはまあ、認めてもいた。
だが愛を育む相手など知るものか。他の兄弟がうつつをあげていたユリアでさえ、ジャギ自身は直接の興味はこれっぽっちもなかったのだ。
無論アンナなどという女も彼の人生の内には存在すらしていなかった。
「ジャギ」にはマスターが、己と似つつも決定的に断絶して見えた。ひどく空虚で孤独な哀れな男に見えた。
「ジャギ」にはサーヴァントが、己と似つつも決定的に断絶して見えた。極限の悲哀と苦悩を背負うどこか遠い存在に見えた。
どちらも失意と屈辱を抱え「ケンシロウ」に負けて死ぬ存在であったことは違わないのに。
敵意もなく一定の共感をできる存在なのに、そこにはどこか距離感があった。同じ「ジャギ」として共闘はできる。文句もない。恨み言もない。
それでもこの組み合わせはどこか、虚しさがあった。
ふたりはただ、殺すべき相手を探して……黙って街をさまよっていた。
【クラス】
アサシン
【真名】
ジャギ@北斗の拳 ジャギ外伝極悪ノ華
【パラメータ】
筋力B 耐久B 敏捷C 魔力B 幸運E 宝具C
【クラス別スキル】
気配遮断:C
暗殺拳としての技能の応用で気配を消す。
【保有スキル】
北斗神拳:B++
一子相伝の暗殺拳。本来アサシンの才能と能力はBが限界だがこのアサシンは「極限の怒りと哀しみ」は知っているため非常に不安定かつ不完全だが++の補正がつく。
北斗羅漢撃:C
憎しみ、恨み、妬み、嫉みを捨てた者だけが極められる連撃。アサシンの精神状態から極めることは事実上不可能。
【宝具】
『極悪の華』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
愛を失った執念、怨念がもたらす宝具。なにかを失えば失うほど筋力と耐久が増加していく。また恨みを持つ相手のみ保有スキルの破壊力が増加する。
【人物背景】
北斗四兄弟の三男。父リュウケンに拾われ、アンナという愛すべき女性とも会い強くなろうとするが無駄に終わり全てを失い狂っていった。
【サーヴァントとしての願い】
北斗神拳伝承者になる。
アンナを蘇らせたい。
【マスター】
ジャギ@北斗の拳
【マスターとしての願い】
北斗神拳伝承者になる。
【能力・技能】
北斗神拳 1800年の歴史を持つ一子相伝の暗殺拳。経絡秘孔を突いて人体に自在な作用をもたらす。ジャギは手段を選ばず含み針やショットガンと言った武器も活用する。
南斗聖拳 北斗神拳と対となる拳法。108派あるがジャギが覚えた流派がどれなのかベースは謎。
バイクの運転。
【人物背景】
北斗四兄弟の三男。父リュウケンに当て馬として投入され伝承者候補として負け、外道へと堕ちた。愛を知らない存在。
【方針】
勝てばいい、どんな手を使っても。
最終更新:2021年05月31日 20:49