透き通るような白い肌に水色の長髪。
たわわに実った胸や臀部、そしてそのスタイルや美貌は見る者の目を釘着けにするだろう。
(ふむ。興味深いことだ)
そんな美女―――エスデスは、己の置かれている状況をそう判断した。
自分は最後の決戦に臨もうとしていたはずだ。
敵を全て蹂躙し、最愛のタツミと全力で剣を交え気持ちを伝えたい。
その想いに胸を膨らませていた時だった。
気が付けば、見知らぬ都市の警官の暗部の長に配属されていた。
この暗部とは、お役所が世間に公表できない仕事の請負人である。
例えば危険人物の暗殺であったり。例えば裏社会の人間で度が過ぎたものを秘密裏に処分したり。
そういった非人道的な行いを生業とする職業であった。
エスデスはその中でも拷問部隊を好み、犯罪者たちに対しての生かさず殺さずの拷問を総括・実践していた。
罪人たちから絞り出す苦悶と嗚咽の叫びは彼女の心の渇きを埋めてはいたが、やはりそれでも満足することはなかった。
なにか己の力を存分に振るえる大事件でも起きないか―――そんなことを思っていた記憶が植え付けられていた。
それも、聖杯戦争とそれに類する記憶を加えて。
その結果が冒頭の感想。彼女は特に怒りや焦りといった感情は抱かず、ただ面白そうなことが起きそうだと期待していた。
この不可思議な事象だけではない。
彼女の長年の将軍としての、数多の戦の経験が彼女の身に伝えているのだ。
これから始まるのはお前の望む血と血を洗う闘争だと。
それに応えるかのように、エスデスの眼前に魔法陣が現れ発光する。
あまりの眩さに、思わず「おぉ」と声を漏らし目を背けてしまう。
やがて光は治まり、立ち昇る土煙も次第に晴れていく。
その中心には、ひとつの影が蹲っていた。
「うー☆」
響く声。どうやら声色からして男のようだ。
「ぼ く ひ で」
そう名乗った男は、それなりの体格であり、半そで半ズボンの体操服に身を包んでいた。
被った黄色の帽子とランドセルも加わり、どうやら成人済みの男が小学生のコスプレをしていることが窺える。
「おねえさんがぼくのますたあ?」
小首を傾げ、甘ったれた声色で問いかけるひでに若干苛立ちつつも、エスデスはその問いに肯定した。
「知識はあるのだが、齟齬が無いか確認がしたい。この聖杯戦争について貴様の観点から教えてもらおうか」
「むー☆」
そんな調子で説明するひでに苛立ちを募らせつつも、エスデスは彼の説明を己の脳内に刻まれた単語と照らし合わせ咀嚼し改めて理解していく。
聖杯戦争―――要は、選ばれた者達が互いに願いを叶えるために戦う小規模な戦争である。
なるほど。悪くない催しだ。これなら自然に戦にまみえることができるし、英霊という並みならぬであろう猛者との戦いも楽しめる。
なによりも戦を好む彼女からしてみれば非常に興味深い催しだろう。
サーヴァントがこれでなければだが。
「ひでよ。貴様はこの聖杯戦争になにを望む?」
「んー☆んー☆」
人差し指を己の唇に当ててニヤつきながらこちらを覗き込んでくるひでに対し、エスデスのこめかみにピキリと一筋の管が浮かぶ。
―――こいつは自分が可愛いとでも思っているのか?
エスデスは自分が楽しむためなら如何な労力も惜しまない。
故に、この聖杯戦争にサーヴァントが必須であるというならきちんと部下の一人として扱う度量もある。
そのエスデスが、我慢の限界に達そうとしていた。
彼女のいた世界でも感じたことのない怒りが着々と溜まっていた。
「内緒なのら」
プツン、とエスデスの中の何かがキレた。
瞬時にエスデスの拳に氷が纏われ、間髪入れずにひでの頭頂部に拳骨をお見舞いする。
「ヴォエッ!」
その威力にひではくぐもった悲鳴を上げるが、エスデスは構わず喉輪をキめる。
「何度も言わせるな。貴様の願いはなんだと聞いている」
「おばさんやめちくり~」
苦しみに悶えながら繰り出された言葉に、またもエスデスの中でなにかがキレた。
首から手を離し、生み出した氷の棍棒をひでの腹部に叩きつける。
「あー痛い痛い痛い!!」
「立て」
「ううううぅ」
「立て。でなければ殺す」
悶絶し蹲るひでを冷めた視線で見下ろしながら宣告する。
「わかったよもぅ...」
舌打ちすら聞こえてきそうな言い草をエスデスは聞き逃さない。
「そうか貴様はそんなに調教されたいのか。ならば望みを叶えてやる。来い」
エスデスはひでの髪を掴み拷問専用部屋へと連れて行こうとする。
「ねえほんとむりむりむり無理!」
ひでの抵抗が想像以上に強いことにも更に苛立ちつつ、エスデスは負けじとひでを引きずっていく。
彼女は気づいていない。
これまで己の意志で数多の人間を拷問、虐待し愉しんでいた彼女が、ことここに至り享楽は一切無しに怒りに任せて行動していることに。
彼女は知らされていない。
この英霊の目的が、生前を含めて虐待してくる数多の存在の駆逐であることに。
彼女は知らない。
この英霊を拷問虐待することそれ自体が、爆弾の導火線に火を点けるようなものであることに。
そして、ひでが引きずられ専用拷問部屋の扉が閉じられ、薄汚い絶叫が木霊した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
【クラス】ライダー
【真名】ひで
【出典作品】真夏の夜の淫夢派生シリーズ
【ステータス】
筋力A 魔力E 耐久EX 幸運E 敏捷D 宝具:EX
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
騎乗:E
小学生が乗り物を運転できるはずもない。
ひでがライダーの素質があるのは挑発により他者を自分のペースにのせることができるため
対魔力:A
だいたいの魔力攻撃を耐えれるはず。
【保有スキル】
挑発:EX
相手を煽る・イラつかせる技術。ひでの挑発を受けた者はかなり苛立ちやすくなる。
ひでは無意識的に発しているためこのスキルの矛先が誰に向くかはわからない。
頑健:EX
体力の豊富さ、疲れにくさ、丈夫な身体を持っている事などを表すスキル。
通常より少ない魔力での行動を可能とし、Aランクであれば魔力消費を通常の4割近くにまで抑えられる。
再生:A
己の魔力を消費し再生する能力。
自分の魔力が尽きればマスター及び自分を虐待した者の魔力と体力を勝手に消費し再生する。拒否権はない。
また、魔力及び体力の切れたマスターは例外なく死亡する。
【宝具】
『ヤメチクリウム合金』
ランク:EX 種別:対人宝具(自分) レンジ:1 最大補足:己のみ。
己の身体を金属の如く硬化する。マスターの魔力を消費することで硬度は増し、令呪を使えば更に硬くなる。
なお、この能力は任意でなくとも発動する。発動条件はひでへの虐待が一定の量を超えること。
自動で発動した場合はひでが自身への虐待が終わったと認識するまで解除されない。魔力が尽きれば令呪も勝手に消費する。
『ああ、逃れられない(カルマ)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大補足:ひでを虐待した者全員。
ひでの怒りが最高潮に達し且つ限界まで追いつめられた時に限り偶発的に発動する能力。
これまでにひでを虐待した者は全てひでがこれまで受けた苦痛をそのまま返される。
【weapon】
小学生の必須アイテム。中には文房具や教科書が入ってるよ。
【人物背景】
「ぼくひで」
【方針】
聖杯を手に入れたら手始めにこのおばさんと虐待おじさんを悶絶させる。
【聖杯にかける願い】
自分を含めたよい子のために子供を虐待するおじさんやおばさんを根絶する。
【マスター名】エスデス
【出典作品】アカメが斬る!
【性別】女
【weapon】
将軍という立場もあってか、非情に高い身体能力と剣術を有している。
【ロール】
警察組織の暗部、尋問・拷問部隊隊長
【人物背景】
帝国の将軍兼、特殊警察部隊「イェーガーズ」の隊長。
帝国の切り札的存在であり、実際にその戦闘力は軍内部のみならず彼女の住む世界でも頂点に立つ実力者。
極度の戦闘狂であり、戦を好きなだけ行えるという点から帝国に属しているほど。
また、その名の冠する通り拷問好きでもある。
反面、芸術や恋路には疎く、初めて恋をしたタツミという少年を狂的に追い求めている。
【能力・技能】
危険種の血を己の身体に取り入れることで強力な氷を操れるようになる帝具。常人ならこれを取り込んだ時点で発狂するが、エスデスは強靭な精神でこれを従えた。
単に氷を生み出しぶつける・物体を凍らせるだけではなく、扱いこなし訓練すれば、時間を一時的に止めたり空に浮いたりと幅広い応用ができる。
【方針】
闘争を繰り広げる
【聖杯にかける願い】
戦の絶えない世界で過ごしたい。
最終更新:2021年05月31日 20:52