警察官の兄を持つ、ごく普通の学生。
それが、この世界で三島栄次に与えられた立場だった。
「つまり……シールダーさんは俺の時代より100年近く未来の人間で、この世界もおそらくそれくらいの時代がモデルになってる……と」
「そういうことになるな」
深夜、栄次は自室で自らのパートナーとして召喚されたサーヴァントと知識のすりあわせを行っていた。
栄次の前に立っているのは、紺を基調とした制服に身を包んだやや強面の男。
クラスはエクストラクラス・シールダー。真名を、朝加圭一郎という。
「すごいなあ、100年後。別の世界から悪党が攻めてくるなんて。
俺の時代じゃ、自分たちの世界のこともよくわかってないのに」
「まあ、時代による感覚のズレはどうしようもないからな。
ゆっくりとならしていくしかないさ」
自らの常識をはるかに超える知識に打ちのめされる栄次に対し、圭一郎は穏やかな口調でフォローを行う。
「ところで、マスターは聖杯に叶えてほしい願いはあるのか?」
「え? そうだなあ……。
もっと強くなりたいとは思うけど……。そのために他の人を殺すのは違うだろうしな。
俺自身は、願いを叶えるつもりはないよ」
「そうか。ならば俺も、マスターの意思を尊重しよう」
「ただ……」
「ただ?」
「悪人が願いを叶えるのだけは避けたい。それを阻止するためだったら、俺は戦う。
たとえ、命を捨てることになっても……!」
そう口にした栄次の瞳に宿る、暗い炎。圭一郎は、それを見逃さなかった。
「その志は立派だ。
だが、そう生き急ぐことはない。死人の俺と違って、マスターにはまだ未来がある。
自己犠牲なんてものは、もっと大人の人間が考えるものだ」
「でも……」
「さあ、そろそろ寝た方がいい! 強い体を作るには、十分な睡眠も大切だ!」
話を強引に打ち切り、圭一郎は栄次をベッドに叩き込んだ。
◆ ◆ ◆
窓の外を見ながら、圭一郎は物思いにふける。
(善良な少年であることには間違いない……。
だが、悪への憎悪と力への執着が強すぎる……。
どちらも加減を誤れば、破滅に繋がってしまう)
一つため息を漏らす圭一郎。
(しかし会ったばかりの俺がいくら説教したところで、心の奥底までは響かないだろう。
少しずつ彼の意識を変えていくしかない。
そして、生きて元の時代に帰す。それが俺の使命だ)
圭一郎に、叶えたい願いはない。
生前同じような戦いに参加させられたときは「世界平和」を願うつもりでいたが、
ヒーローとしての先輩から「それはみんなで作っていくもので、一人の願いで実現させていいものじゃない」と説教されてしまった。
ゆえに彼は、自分がこの聖杯戦争に呼ばれた理由がわからなかった。
だが、今ならわかる。
自分はあの危うい少年を守るために、この戦場に赴いたのだと。
(全力で彼を守る。死のうがサーヴァントになろうが、俺は警察官だ……!)
星空に、圭一郎は誓う。
『本当に変わらないねえ。まあがんばりなよ、圭ちゃん』
親友であり好敵手だった男の声が、どこからか聞こえた気がした。
【クラス】シールダー
【真名】朝加圭一郎
【出典】快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
【性別】男
【属性】秩序・善
【パラメーター】筋力:C 耐久:B 敏捷:E 魔力:E 幸運:C 宝具:A
【クラススキル】
対魔力:D
魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。
Dランクでは、一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:B
乗り物を乗りこなす能力。騎乗の才能。
「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。
Bランクでは大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、幻想種あるいは魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなすことが出来ない。
【保有スキル】
スーパー戦隊:A
色とりどりの戦闘服に身を包み、地球を悪の手から守ってきた戦士たちの総称。
チームで戦うのを基本戦法とするがゆえに、他のサーヴァントと共闘する際、能力がわずかに上昇する。
また共闘する相手も同じスキルを持っていた場合、その効果は大幅に強化される。
戦闘続行:A
名称通り戦闘を続行する為の能力。
決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。「往生際の悪さ」あるいは「生還能力」と表現される。
猛毒を受け生死の境をさまよいながらも、戦線に復帰した逸話に由来する。
【宝具】
『我らは善良なる市民の盾(ケイサツチェンジ)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:なし 最大捕捉:1人(自身)
後述のVSチェンジャーを用い、「パトレン1号」へと変身する。
変身後は、宝具以外のステータス全てが1ランク上昇する。
『気分屋の切り札(グッドストライカー)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:なし 最大捕捉:1人(自身)
おのれの意志を持つルパンコレクション、グッドストライカーを召喚。
さらにパトレン2号とパトレン3号を召喚し、「パトレンU号」へと合体変身する。
英霊を二人追加で召喚するため、魔力の消費は膨大。
さらにグッドストライカーが気まぐれであるため、「グッとくる場面」でなければ召喚を拒否されてしまうというデメリットが存在する。
【weapon】
「VSチェンジャー」
同一のものが複数存在するルパンコレクションであり、パトレンジャーとルパンレンジャーの共通装備。
変身に用いるアイテムであり、銃としての機能も持つ。
「パトメガボー」
変身時に装備される、警棒に変形するメガホン。
メガホンとして使うと催眠音波を発することができ、使い魔程度ならコントロールできる。
【人物背景】
国際特殊警察機構日本支部の戦力部隊「パトレンジャー」の隊員で、実質的なリーダー。
一見すると融通の利かない堅物に思えるが、実際には自分に厳しく他人に優しい柔軟な思考の持ち主である。
誰よりも平和を望み、市民を守るために悪と戦い続けた警察官の鑑。
盾を装備しない彼がシールダーとして召喚されたのは、彼の生き様そのものが弱き者の「盾」だったからである。
【サーヴァントとしての願い】
マスターを生還させる
【マスター】三島栄次
【出典】るろうに剣心 北海道編
【性別】男
【マスターとしての願い】
悪人に願いを叶えさせない
【weapon】
銃の扱いを習得しているが、この世界には持ち込めていない
【能力・技能】
上述の銃の扱いを始め、軍人に必要な技能は一通り習得している
【人物背景】
志々雄真実に支配された新月村で育った少年。
兄が警視庁の密偵だったために家族を皆殺しにされ、復讐を誓うものの剣心の説得で思いとどまる。
その後は斎藤一によって彼の妻の実家に預けられ、数年後に軍へ入隊。
北海道で剣客兵器が起こした事件に派遣され、斎藤や剣心と再会を果たすことになる。
一度は復讐を捨てたものの内心には弱者を虐げる「悪」への憎悪が渦巻いており、
たどる道によっては修羅に堕ちかねない危うい状態となっている。
参戦時期は斎藤と凍座の戦いに立ち会ってから、剣心が北海道に到着するまでの間。
【方針】
積極的に戦うつもりはないが、悪人には容赦しない
最終更新:2021年06月04日 20:49