深夜の倉庫街を、顔面蒼白の青年が走っている。
彼はこの聖杯戦争に参加する、マスターの一人だった。
そう、「だった」。つい数分前までは。
彼が従えていたサーヴァントは、他のサーヴァントとの戦いに敗北し消滅した。
相手のサーヴァントは、かなり好戦的だった。
その場に留まり続ければ、自分も殺されてしまう。
そう判断し、彼は一目散に逃げ出したのだ。

(こ、ここまで来れば……)

彼がそう考え、走るスピードを緩めた刹那。

「おげっ」

飛来した金属の円盤が、彼の頭部を粉砕した。


◆ ◆ ◆


「もう少し穏便な方法はなかったのかしら?」

エマ・ラッセルは無惨な姿になり果てた敵マスターを視界に入れないようにしながら、苦々しい表情で語りかける。
その相手は、自らのサーヴァントである異形の魔人だ。

「聖杯戦争は1組しか勝ち残れぬ戦い。敗者が死ぬのは当然のことだ」

淡々とした口調で反論しながら、魔人は見目麗しい女性へと姿を変える。
彼女の名は北島祐子。またの名をアナザーキバ。
王の座を簒奪するために生み出された英雄のまがい物、「アナザーライダー」の一人である。

「そもそも、おまえの願いは莫大な数の人間を犠牲にするものだろう。
 それなのに、一人殺すだけで文句を言うのか?」
「それは……」

祐子の指摘に、エマは言い返せなかった。
エマが聖杯にかける願いは、人類の文明を破壊して自然を再生すること。
それが叶えられれば、多くの人間が死ぬことになる。
必要な犠牲だと割り切ってはいても、やはりエマはわずかな罪悪感を消し切れてはいなかった。

「覚悟を決めろ、エマ。おまえの願い自体は、私も肯定する。
 腐った世界をただすために、犠牲はつきものだ。
 だからおまえは、自分の願いを叶えることだけを考えろ。
 そうすれば裁定者(ルーラー)たる私が、必ず聖杯まで導いてやる」
「ルーラー、ね……」

当初からエマは、祐子のクラスに疑問を抱いていた。
与えられた知識によればルーラーとは聖杯戦争のジャッジであり、自らは聖杯争奪に参加しない中立の立場であるはず。
しかし祐子は、一介の参加者として召喚されている。
本人は「聖杯が特殊なものであるが故のイレギュラーだろう」と語っていたが、果たして本当にそうだろうか。
とはいえ、エマに確認できるステータスにおいても祐子は「ルーラー」となっている。
理由はどうであれ、彼女がルーラーとして召喚されていることだけは疑いようがない。

「……そうね。私もいいかげん、覚悟を決めるわ。
 どれだけの犠牲を出してでも、聖杯を手に入れる。
 だから力を貸してちょうだい、クイーン・キバ」
「任せておけ。勝ち残るのは他の誰でもない。
 この私だ」

自信に満ちた声で、祐子は宣言した。



エマは知らない。北島祐子という女が、虚飾に満ちた存在であることを。
元の世界で偽りの王を目覚めさせてしまった女は、ここでも偽りの王に翻弄される。

【クラス】アヴェンジャー
【真名】北島祐子
【出典】仮面ライダージオウ
【性別】女
【属性】秩序・悪

【パラメーター】筋力:B 耐久:E 敏捷:D 魔力:E 幸運:E 宝具:B(通常時)
        筋力:A 耐久:C 敏捷:B 魔力:B 幸運:E 宝具:―(変身時)

【クラススキル】
復讐者:B
復讐者として、人の恨みと怨念を一身に集める在り方がスキルとなったもの。
周囲からの敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する。
彼女の憎悪は逆恨みに過ぎないが、本人は正当な怒りと思い込んでいるため「自己暗示」の効果によってBランクとなっている。

忘却補正:C
人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。
忘却の彼方より襲い来るアヴェンジャーの攻撃はクリティカル効果を強化させる。

自己回復(魔力):D
復讐が果たされるまでその魔力は延々と湧き続ける。微量ながらも魔力が毎ターン回復する。

【保有スキル】
自己暗示:EX
自らを対象にかける暗示。通常は精神に働きかける魔術・スキル・宝具の効果に大して高い防御効果を持つスキル。
彼女は自分のことを復讐者ではなく、裁きを下すもの=ルーラーだと思い込んでいる。
それ故マスターからもルーラーだと認識されるし、他者が何らかの方法でクラスを知った場合もルーラーと認識される。

【宝具】
『偽りの吸血王(アナザーキバ)』
ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
仮面ライダーキバの力を本来の持ち主ではない人間に与えたことで生み出された怪人・アナザーキバへの変身能力。
発動後はステータスが大幅に上昇。
後述のアームズモンスターやコウモリの使役、力の弱い者をガラスのように粉砕して即死させる能力などを得る。
なお本人はこの宝具の名前を「新しき吸血王」だと思い込んでいるが、発動に支障はない。

【weapon】
「ガルルソード/ドッガハンマー/バッシャーマグナム」
アームズモンスターと呼ばれる怪物たちが姿を変えた武器。
本来はオリジナルのキバに仕える存在だが、同じ力を持つアナザーキバには逆らえず半ば強制的に使役されている模様。

「マンホールの蓋」
下水道への出入り口を塞ぐための蓋。
別にアナザーキバの武装でも何でもないのだが、なぜか祐子は変身前・変身後にかかわらず頻繁にこれを戦闘に使用。
あまりに使いすぎたため、サーヴァントとしての基本武装として記録されてしまった。

【人物背景】
殺人犯として服役していた女性。
タイムジャッカーによってキバの力を与えられ、アナザーキバとして王の地位を手に入れ自分に冤罪を背負わせた法を変えようとする。
しかし彼女は冤罪ではなく、実際に人を殺していた。
「自分のついた嘘を真実だと信じ込んでしまう、歪んだ妄想癖の持ち主」というのが彼女の真実だった。
なお変身前でも異様に身体能力が高く、現実と同じなら40㎏の重さがあるマンホールを軽々と持ち歩いたり、
走行中の自動車を片足で止めたりしている。
これがキバの力を手に入れた影響なのか、彼女に元々備わっていた力なのかは不明。

【サーヴァントとしての願い】
王として君臨し、よりよい世界を作る


【マスター】エマ・ラッセル
【出典】ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
【性別】女

【マスターとしての願い】
自然環境の再生

【weapon】
特になし

【能力・技能】
生物知識、機械技術など

【人物背景】
怪獣研究組織「モナーク」に所属する古生物学者。
ゴジラとムートーの戦いで息子を失ったことで研究に没頭するが、その結果
「怪獣とは自然をむしばむ人類を排除する、地球の免疫機構である」との結論に到達。
環境テロリストと共謀し、怪獣をコントロールして人類の数を減らすという悪魔の計画に手を染める。
参戦時期は、ギドラを目覚めさせた直後。
この世界でのロールは、大学教授。

【方針】
優勝狙い

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年06月07日 21:54