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肉塊、と聞いて何を思い浮かべる?

肉屋に並んでいる、赤と白の混ざりあった食べ物?
それとも、食肉処理場で屠殺したばかりの、まだ温かい家畜の死骸?

いや、どちらも違う。
肉塊、というのは、ただただ、どこまでも、赤くて、黄色い。


僕が最初この聖杯戦争に呼ばれたとき、自分で大丈夫なのか、という思いに支配された。
だけれども、サーヴァントは、あなたなら大丈夫だと言ってくれた。

「私も精一杯協力するから」

その言葉は僕を奮い立たせるのには十分だった。
そういうことを言われるとは正直考えていなかった。
どんな曲者が自分のサーヴァントになるのかと思っていたから。


二人で協力して、初めて別の主従を倒したとき。
彼女は、あなたならきっと優勝できる、と言ってくれた。

そして僕はずっと彼女と共にいたい、と思うようになった。

聖杯への願いはなにかあったのかもしれない。

誰かを蘇らせたい。
元の世界に帰りたい。
力を得たい。

そんなものだったのかもしれない。

そんなものはもう、どうでもよくなった。

ただ、この時間が永遠に続けば良い。
聖杯戦争なんて終わらなければ良い。
そう思うようになった。

だけれども、永遠なんて存在しない。

その日は何かの記念日だったと思う。
おそらくこの聖杯戦争に呼ばれていくらか経った、
僕たちが出会っていくばくか経ったことを記念する日。

僕は彼女のために何かを買って、家に帰った。
ドアを開けるまで、僕は確かに幸せだったはず。

ドアを開けて目に入った「それ」は、肉塊だった。

僕は一瞬、「それ」が何かわからなかった。
いや、本当はわかっていた。ただ、頭が拒否していただけ。
「それ」を認識するまでには時間がかかった。
それこそ、永遠と感じられるほどに。

だけれども、永遠なんて存在しない。

永遠とも思える時間は、男の声によって破られた。

「悪かったね、マスター。このお嬢さんがなかなか口を割らないので、こうせざるをえなかったんだ。
別に心配しなくていい。私が知りたかったのはあくまで君のことだ。君までこうはしないさ」

椅子に座っていた、ヨーロッパ系であろうその男は、挨拶でもするようにそう告げた。
これといった特徴のない、別れたらすぐに忘れてしまいそうな顔だった。
その声色には、喜びであるとか、興奮であるとか、憎しみであるとか、そういった感情は一切含まれていない。
それこそ、事務作業をしているときのような、そんな声色。


「まあ、君にとってはいささかショックかもしれない。だが、私もあまりこういうことはしたくなかったんだ。
私とて、可愛いサーヴァントの手を汚すことも、今日の夕食までに食欲が戻るかという心配をすることも、本当はしたくはない。
残念ながら彼女は最後まで口を割らなかったが、君がのこのことやってきてくれたおかげで助かったよ」


そう言って、男は「それ」にちらりと目をやった。

「それ」は弱々しく悲鳴を発していた。

ヒュー、ヒュー、と空気が細い筒を行き交う音がする。
そしてそのたびに、おそらく胸であろう辺りが上下する。

そばには胸部から千切られたであろう物体が二つ。
断面は赤と黄色が混じった色をしている。

開いた腹部からは明るめの色をした、太い紐状のものがはみ出ている。

腕や足は奇妙な方向にねじれている。
右膝は、およそ90°に近い方向に曲げられている。

特に赤黒くみえるのは、二つの小さな穴の上にある、やや大きめの二つの孔。
そばには、かろうじて白色を帯びた、尾をつけたような二つの丸いものが落ちている。

黒くて長い繊維状のものが見える。赤い液体が絡んでいる。
その繊維状のものが付いている、ドーム状の物体は、やはり赤と黄色と白が混じっている。

床は赤い液体に塗れ、その所々に、黄色く、ぬめりのある物体が落ちている。

そして「それ」の近くにはーー所々ちぎれた、薄く、赤いものが散乱していた。

「私のサーヴァントは見かけによらず不器用でね。
私がかつて部下のモンゴル人に命じたように、綺麗にはなかなかいかなかった。
いや、悪かったとは思っている。おかげで彼女にはいらぬ苦痛を味合わせてしまった」

こともなげにそう述べた。さっきと全く同じ調子で。

「それでマスター、さっきも言ったように私は必要もなく君を殺す前に苦しめようなどとはさらさら思っていない。
しかし私も情報が欲しい。そこで、今知っていることを洗いざらい話してくれないかな。
なに、私もけちじゃない。それ相応の報酬は用意するさ。
まあ、賢い君のことだ。それが何かはわかると思うが」

僕は何かわめきながら、ナイフを手に持って男のもとへ突進していった。
サーヴァントはいない。せめてこいつだけでも。

刃先が後少しで男の胸に達する、というところで、止まった。

「どうやら君は思ったより賢くないようだな」

両腕が変な方向にへし曲がる。
あまりの痛みに悲鳴を上げる。
後ろでつまらなさそうな顔をした女の子がいることに気づく
彼女は僕の腕を掴み、へし折った。

「ではマスター、もう一度聞くが、今知っていることを洗いざらい話してくれないかな。
何を話せば良いのかわからないというのならば、例えば他の主従の居場所だとか、そういうことを話してくれればいい」

僕には何も知っていることはなかった。
目についた主従は二人で倒していった。
だから自分の知っていることなど何もない。
答えられることなどなにもない。
いや、一つだけある。
明日、戦うことを考えていた主従の居場所。

だけどーー

男は大きくため息をついた。

「やはり君は賢くないようだ」

「マスター、言われた通りにやったけど、こんな感じでいいの?」

黄色いリボンの付いた黒い帽子をかぶった、薄い緑色の髪をしたその少女は、そう尋ねる。
その手は先ほどの行為のおかげで赤く染まっていた。
ぽたぽたと、赤い液体が指先から垂れ落ちる。
その指をぺろり、と舐めると、口元に赤い線が引かれた。
しかし彼らは、さながら食事中の談話のように、彼らにとってはおそらくいつも通りの様子で、
楽しげというわけでもなく、つまらないというわけでもなく、不快だというわけでもなく、ただただいつもの調子で話していた。

「まあ、彼らにはちょっと悪いことをしたかもしれないが、そんな感じで大丈夫だ。
なに、彼らも恨みを買っていたんだ。そしてなにより、聖杯戦争を舐めていた。
どうせろくな死に方はしなかったはずさ」


二人の前には、二つの肉塊が置かれていた。


「彼は本当に何も知らなかったようだな。あるいは……」

「言わなくてもわかるよ。知っていたのかもしれないけど、女の子みたいに最後まで我慢したんだね」


二つの肉塊はもはやどちらがどちらなのかもわからないほどであった。

「彼らはずっと一緒にいたいと言っていたな。アサシン」

「うん。あいつらのことスパイしてたときも、たまにそんなこと言ってたよ。でも、あいつら、肝心なことは言わないからさ」

「だとしたら、これで彼らの願いは叶った。聖杯などに頼ることもなく、ね」

そこにはもちろん、祝福の意味など込められてはいないし、皮肉でも祝福しようなどとは思ってもいない。
そもそも、彼はそんなことに興味は全くない。

彼の今の悩みは、夕食までに食欲が戻るか、ということだけである。

【クラス】アサシン

【真名】古明地こいし@東方projectシリーズ

【属性】中立・中庸

【パラメータ】
筋力D 耐久C 敏捷D 魔力B 幸運E 宝具A

【クラス別スキル】
気配遮断 A+ 
サーヴァントとしての気配を絶つ。完全に気配を立てば発見することは非常に難しいが、
攻撃態勢に移るとランクが下がる。アサシンの場合、保有スキルによってランクを上げることが可能。

【保有スキル】
閉じられた第三の目:C
本来アサシンは覚(さとり)という妖怪であり、相手の心を読む能力を持つが、アサシンは読心を司る第三の目を閉じることにより、
その能力を封印し、同時に自らの心をも閉ざしてしまった。
このスキルにより、高度な読心術をもつ者であっても、アサシンの心を読むことは出来なくなっている。

【宝具】
『無意識を操る程度の能力』
ランク:A+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1
相手の無意識を操ることで、他人に全く認識されずに行動することができる。
たとえアサシンが目の前に立っていたとしても、さながら道端の小石のように、その存在を認識することはできない。
相手の無意識を呼び覚ますことで、例えばトラウマを思い起こさせるなどの精神攻撃を行うこともできる。


【人物背景】
相手の心を読むことができる覚(さとり)という妖怪である。
しかしその能力のせいで周囲から嫌われることを恐れ、
読心を司る第三の目を閉じて能力と自身の心を閉じてしまう。
何を考えているのかわからない部分があり、本人曰く「感情なんて元より存在しない」そうだ。


【サーヴァントとしての願い】
幻想郷に戻りたい。


【マスター】
皮剥ぎボリス(ボリス・グローモフ)@ねじまき鳥クロニクル

【能力・技能】
  • 冷血
目的のためならば眉一つ動かさず残虐な行為でも行うことができる。
人間の皮を生きたまま剥がさせることも、親の目の前で7歳の子供を殴り殺させることも。
  • 用心深さ
大粛清下のソ連で生き延びていけるほどの用心深さと慎重さをもつ。

【人物背景】
ソ連内務省秘密警察・NKGBの少佐。通称「皮剥ぎボリス」
この通称は人間の全身の皮を生きたまま剥がさせる拷問を好んで行ったことに由来する。
独ソ戦以前は、後に重用されることとなるベリヤ率いるソビエト秘密警察に範を取り、派遣されたモンゴルで反革命勢力の弾圧に辣腕をふるった。
その後ポーランドに派遣され、そこで部下に生きたまま人間の皮を剥がさせるという拷問を行わせた。
一度、共産党幹部の親族を誤って拷問死させるという失態を犯し、シベリアの収容所に送られるものの、そこでも周到に立ち回り実権を握った。
極めて残虐な人間といえるが、彼曰く必要のない殺しはしない主義らしい。

【方針】
アサシンを用いて情報収集を主に行う。必要とあらば拷問も用いる。

【マスターとしての願い】
元の世界に戻り、脅かされない地位につけるのであれば悪くない。

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最終更新:2021年06月15日 20:47