熱くなれ!夢見た明日を 必ずいつか捕まえる

走りだせ!振り向くことなく 冷たい夜を突き抜けろ!!





      ――影山ヒロノブ『HEATS』より引用―――





「アツくねえ漢は死んでよ――――し!!」

高層ビルに囲まれたコンクリートジャングルに爆弾のような怒声が響き渡る。
炎のように逆立った髪、筋骨隆々の肉体に羽織られた学ラン。
召喚された漢、爆熱番長もといバーサーカーは第一声にその言葉を放った。

「俺は爆熱番長!!貴様のサーヴァントとして戦う漢だ!!」

弱点を隠す必要など無しとでもいうようかのように真名を叫ぶ爆熱番長。
そんな彼を呼び出したマスター、松岡修造は、降りかかる熱気にも堪えず涼しげな笑みを浮かべていた。

「いいねえ、熱いよ~熱い熱い。俺はそういう奴、大好きだ!」

彼、修造は己の経緯を振り返る。
気が付けばここに連れてこられていた彼の記憶―――それは、テレビや修造チャレンジを通じてテニスの普及に尽力していたものだ。以上。
そう。彼という男はここに連れてこられてもなんら変わらず熱い男だった。


「俺は問う!!果たして貴様に俺のマスターたる資格があるかどうかを!!」

爆熱番長は、修造へ指差し声を荒げる。

「俺の支配する国にアツくねえ弱者など必要なし!!俺の目的は聖杯を手にし、全日本国民の中からアツき魂を持ったエリートのみを選別することだ!!」
「選別?」
「貴様の願いはなんだ!!如何な願いであろうと迷わず爆進するならそれでよし!!そうでないなら俺がこの手で」
「言い訳してるんじゃないですか?」

爆熱番長の怒声を遮る修造の声。
その声は、爆熱番長のものと比べれば静かで小さい。だが、確かに彼の声は周囲に染み渡っていた。

「...なんだと?」
「熱い国を目指すって言ったよな。でも、そんなことできない、無理だって諦めてるんじゃないですか?」

静かに、しかし力強く問いかける修造に、爆熱番長も思わず耳を傾ける。

「アツくない奴はいらないって言ったよな」
「当然だ!!世間では無気力で心の弱い後ろ向きなクズ共が蔓延っている!!奴らが巣食う限り国の崩壊は火を見るより明らか!!そんなクズ共など排除するのが国n」
「んなわけねぇだろぉええええええ!!!!」

突然の叫び。
先程までずっと叫んでいた爆熱番長ですら肌が泡立つほどの超怒号だ。
「お前なに諦めてんだよ!!なんとなくで終わってんじゃねえよ!!」
「俺が諦めてるだと!!?ふざけるな、俺は熱き魂を持つエリートだ!!諦めなどという言葉は知らん!!」
「ちゃんと、伝えろよ!!!」
「ぬぐお...!!?」

大気を震わす修造の怒号。
気圧されかける爆熱番長に構わず、修造はペンを持ちホワイトボードに文字を描きなぐる。

「これ、なんて読むかわかるか?」
「...『Failure』」
「そう。フェイルアー。『Failure』っていうのは、失敗ってことですよ」

『失敗』。
熱さとは無縁な後ろ向きな文字に爆熱番長の眉がピクリと動く。
しかし、修造は意にも介さず続ける。

「アツくない奴を応援する時に、あぁ~、失敗したらどうしよう~とか。失敗を怖がってんじゃねーのか?失敗やだとか思ってんじゃねーのか!?」
「なに!?」

修造の言葉は、爆熱番長の琴線に触れるもの。
失敗を恐れ目を背ける。爆熱番長の嫌う無気力なクズ共と同じだというのだから当然である。
だが、爆熱番長の声からは先程の熱さは弱まっていた。


「言っても無駄だって、みんなを熱くするのを諦めてんじゃねーのか!?」
「お、オレは...!!」

止めろ。言うな。
そんな想いを表すかのように、爆熱番長の声に動揺が生じる。

「熱くない奴を見つけたら殺すのがアツさか?違うだろ!!」

だが、修造は言い放つ。
爆熱番長の気持ちは痛いほどわかる。
けれど、伝えたい言葉があるから。
熱き魂を追い求める者として、理解してほしいから。
最大の熱意をもってこの言葉を贈る。



「熱くなれなくてツマらなさそうな奴がいたら、熱くするのが俺たちだろ!!!!」


「う、うおおおおおおおおお――――――!!!」

修造の魂の叫びに、爆熱番長は全身を震わせる。
彼には、先程まではただの人間にしか見えなかったマスターが、いまは仁王像のように巨大な姿に見えていた。

(ば、バカな...俺が圧されているだと...!?)

修造の叫びに応えるかのように、爆熱番長のこれまでの記憶がリフレインされる。


『熱くねえ男は死んでよ――――し!!』

その決まり文句のもと、熱くないと判断した奴らを制裁してきた。
世間が無気力な者で溢れれば、その国は確実に崩壊する。それは真実だ。だが...

(俺は...目を逸らしていたのか?)

その実、爆熱番長は拒絶されることから逃げていたのかもしれない。

わかっていた。あの自分が生きた現代社会、異端なのは自分であったことは。
もしも熱さを訴え爆進するのが己一人だけであれば、いずれは周囲に訴えることを止め、ただ一人熱くいればいいと思っていたかもしれない。
だが、熱き魂を持った者は他にもいた。
東京23区計画、その実験体である「番長」の称号を与えられた者たち。そして、自らを慕い舎弟としてついてきてくれた者たち。
彼らも自分の知る限りでは崇高な目的のため日々おのれを磨き爆進する熱き者たちだった。

そんな彼らの存在を知ったからだろうか。

爆熱番長は、周囲に熱き魂の大切さを訴えるのを止め、熱き国を作るために、熱き魂を持った者を選別するようになった。
理由など云うまでもない。
熱くするより排除した方が楽だから。世の中を熱さを持った者たちだけにしてしまえば、己の熱さを否定されなくて済むから。

だが、そんな妥協した熱さが真の熱さと云えるのか。―――――否。
それはニセモノだ。己の初志を貫徹できなかった見せかけの熱さだ。

(最早...俺に価値は、ない)

ガクリ、と爆熱番長は膝をつく。
己の熱さの矛盾に気が付いた彼は、もう一人では熱くなれない。
爆熱番長の魂の火は、此処にて消えた。


「...世間はさぁ、冷てぇよな」

修造は、爆熱番長の肩に手を置き静かに語る。

「みんな君の思いが...感じてくれねぇんだよ。どんなに頑張ってもさ、『なんでわかってくれねぇんだよ!』って思う時あるのよね。
俺だってそうよ。熱く気持ちを伝えようと思ったってさぁ、『お前熱すぎる』って言われるんだから」
「マスター...」
「でも大丈夫!わかってくれる人はいる!!」

爆熱番長が顔を上げれば、その瞳に映るのは力強い笑みを向ける修造。

そうだ。熱き魂の火が消えたのならまた灯せばいいだけのこと。

彼の微笑みを見た時、爆熱番長は悟った。

「そう!俺についてこい!!」

この漢には完敗だ、と。

気が付けば、爆熱番長の両頬には一筋の涙が走っていた。



「そういえば聖杯に何を望むとか言ってたよな」
「うむ」
「俺は聖杯なんていらないよ。自分の夢は自分で叶えたいから」
「...そうか」

爆熱番長は、やはりこの男には敵わないと思った。
自らは熱さを謳いながら強大な力に頼るつもりでいたのに対して、この男は自らの力で道を切り開こうとしているのだから。

そして、同時に思う。

「...俺もお前の夢に付き合おう。いや、付き合わせてくれ!!」
「おっ?」
「俺はお前に真の熱さを見た!!お前の熱き魂に惚れ込んだのだ!!」

この熱き漢を失いたくない。己の命を賭けるに値する漢だと。
この聖杯戦争はただの競技ではない。文字通り、血で血を洗う死闘である。
おそらく他のマスターやサーヴァントの中にはこちらの熱さに耳を傾けない者もいるだろう。
決して譲れぬものを抱いて死にモノ狂いで殺しにくる者もいるだろう。
そういった奴らからの盾となり時には矛となるのが己の役目だ。

己の信じた熱さに殉じる遺恨、一切なし!

「いいヤツだねぇ~。仲間がいて、自分がいる! 互いに競い合って高め合っていく、それが切磋琢磨!今から俺達は切磋琢磨し合う友達だ!!よろしく!」
「!!友、か...フッ、熱い響きだ。悪くない」

熱き漢達は固い、固い握手を結ぶ。


ひゅうっ、と風がなびき二人の髪を揺らす。

「あー...ちょっと冷えてきたかなー...寒い寒い...」
「...そうだな。だが、寒いというから寒いのだ」

にやりと笑みを交わし合う漢たち。

「そう。言葉っていうのは大事なんだよ。寒いって言えば寒いだろ。熱いって言えば熱くなる。だから俺たちは誰よりも熱くなるんだよ!!いくぞォ!!」
「応ッ!!」

漢達は頷き合い、深く息を吸う。
そして。

「もっと!!」

この聖杯戦争に携わる者達へ激励を飛ばすように。

「もっと!!」

この聖杯戦争を司る者達へ反逆の狼煙をあげるように。



「「熱くなれよおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォ――――――――――――――!!!!!!!!」」





漢達の叫びは、空高く響き渡った。

【クラス】バーサーカー

【真名】爆熱番長

【出典作品】金剛番長

【ステータス】筋力A 魔力E 耐久B 幸運E 敏捷D 宝具C

【属性】秩序:中庸


【クラススキル】

狂化:E
理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
だが、俺の求める熱さとは己の意思によるもの!意思なき強化など眼中にないわ!


【保有スキル】

戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

勇猛:B
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

怪力:A
一時的に筋力を増幅させる。使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。



【宝具】
『熱き漢の熱き叫び(ココデアキラメルノハアツクネエ!!)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:5~50 最大補足:声の届く限り。

熱き漢の熱き叫び。これを聴いた者は一定時間、爆熱番長のように己の目標へと向かって爆進するようになる。身体能力の向上などは特にないし、効果が切れた後のデメリットも特にない。
また、参加者やNPC全ての者に通用するが個人差があり、感情の起伏が少ない者・冷めきった者には効果が薄い。
マスターである修造が魔力を供給する・熱き魂を叫ぶことで効果は増していく。


【weapon】
  • 己の拳
火薬仕込みの手甲で殴りつける。その威力は強烈。

『重・爆・撃』:火薬による爆発と拳の連打。2つの衝撃を叩き込む!!

『焼・夷・爆・撃』:空気中に散布した火薬を発火させ炎の渦を生み出す!!

『垂・直・爆・撃』:炎を纏った両拳を相手の頭上に打ち降ろす!!



  • 身体能力

高圧電流やミサイルすらものともしない頑強な肉体を持つ。また、ミサイルを棒っ切れのように振り回せる程の怪力を誇っている。



【人物背景】
『アツくねえ漢は死んでよし!』。

「番長」たちによる日本征服計画・東京23区計画の「番長」の1人。江東区担当。
なによりも「熱さ」を重んじ、「熱さ」を追い求め、「熱く」生きる漢(おとこ)。
後退することをよしとせず、己の目標に向かいたゆまぬ努力とみなぎる闘志を持って、前向きに前進ならぬ爆進のみが「熱さ」だと信じている。


【方針】
修造と共に戦う。


【聖杯にかける願い】
聖杯なんぞに頼らん!俺はこのマスターと共に熱さを極めるのみ!


【把握用資料:金剛番長 単行本3巻~5巻】

627: 血潮が燃えるなら、ただそれだけで何もいらない ◆ZbV3TMNKJw :2021/06/14(月) 22:53:26 ID:m7Mtiqbo0

【マスター名】松岡修造
【出典作品】松岡修造関連作品(ニコニコ動画又はyoutube)
【性別】男

【weapon】
  • テニス
ラケットは人を傷付ける道具ではない。これはテニスのためにのみ使う。


【人物背景】
日本人男子として62年振りにグランドスラムベスト8に進出した元テニスプレイヤー。
現在、ウィンブルドン選手権では日本人男子最後のベスト8進出者となっている。また、ウィンブルドン選手権での通算7勝は2015年に錦織圭に抜かれるまで日本人最多の記録であった。
現役引退後はジュニア選手の指導やテニス大会の運営、日本テニス協会の理事を務めるなど引き続きテニスに携わりつつ、スポーツキャスター、タレント、日本オリンピック委員会スポーツ環境専門委員、ミズノスポーツ振興財団顧問などとしても活動している。



【能力・技能】


  • 熱い心。
  • 10°の海でしじみが採れる程の熱き心を持っている。彼の熱き心から発された言葉を効いた者は心を揺さぶられずにはいられないだろう。

  • 培ってきたテニスの技術
ただし半月板を損傷しているため全盛期の動きをするのは難しい可能性がある。


  • 四字熟語・英単語の知識
意外と博識


【方針】
聖杯よりも己の手で夢を掴む熱さを布教する。


【聖杯にかける願い】
聖杯なんて必要ない。俺たちの手で色んな奴を熱くできればそれでいい。


【把握用資料:松岡修造でぐぐればたくさんある】

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最終更新:2021年06月15日 20:49