過去ログ4スレ

55 :小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/06/29(日) 17:19:27 0
4142
突然現れた小村にアルトは後ろを向き、

「―――――――馬鹿ですか、貴方は。
 どうやったらこんな短時間で車を壊せるというのです。
 ……機関に敵対する者の破壊工作だとしても、子供じみていますし」

と言い放った
馬鹿か・・・まあ実際私のミスだ
自分の非は素直に認める、それが小村だった

「一応言っておきますが車を破壊したのは機関の敵対者ではありませんのでご安心を」

熊田はただの野生の熊・・・なはずだ
しかし奴の異能が目覚めるきっかけとなった原因不明の高熱は・・・

「それなら、まずは上野さん。ロンバルディーニさんの服を買ってきてもらえませんか?
 流石に半裸の変質者を連れ歩くのは気が引けますからね」

…私に命令で、レオーネを変質者扱いか
出会ったときから思っていたが機関に対する恐怖心とかは本当にないな、こいつは。

「まぁ待て。上野君、何が遭ったか敢えて聞かないが、
 車が壊れたのなら機連送で本部から迎えを頼めば良いのではないか?」

さっきまで青ざめていたレオーネが話しかけてきた
…ま、それが一番いいだろう。近くにはシナゴーグもイエシヴァもある
10分か、そこらで来てくれるだろう

「ハーケン君、どうせ君は上野君を買い物に行かせている間、彼の事に探りを入れるつもりなのだろう?
 それに上野君も、機密事項…という事は、それだけの地位に居るという事を露呈させたも同然だ。
 ……もう話しても良いのではないのか?」

確かに先ほどの言葉はまずかったか・・
まあ私自体が正体を隠すのに飽きているという事か
でもどうするか・・・レオーネがこう言うなら、アルトは信用していいのか・・・
小村はすこし悩むような顔をしたが

「・・・いいでしょう。レオーネさんがそう言うなら朝食の礼も兼ねてお話しましょう。
けどその前に迎えの車を呼んでおきますよ
服は迎えに来る機関の構成員にでも買わせましょう」

特に感情のこもっていない話し方で
そう言って機連送を取り出した


56 :小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U :2008/06/29(日) 17:20:05 0
…ここからだとシナゴーグの方が近いか
小村はシナゴーグの方の番号を押す

「・・・・もしもし・・・ええ、そうです
…大至急この機連送の発信元に車をまわしていただけますか?・・・・・
ええ、すぐにです・・・・・ああ、それとスーツも買ってきてください・・・・・
私ではなくN.o6用に・・・・・では」

用件だけ伝えさっさと通話を終えた
二人の方を向き

「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
…あとは何か聞きたいことはありますか」

淡々とまるで病院の受付のように話した

【アルトに名前を明かす(まだ警戒している)】
【シナゴーグの構成員に服と車を持ってくるよう命令】


57 :廻間 統時 ◆7VdkilIYF. :2008/06/29(日) 19:02:58 0
30
「ん?」

瑞穂が俺を指差し、先輩(仮)に何か喋っている。
…しかし、こうやって他人に指を指されてみるとあまりいい気分じゃあないな。
これからは出来るだけ他人を指差す事は控えることにするか。
それにしても、何を喋っているんだ?
俺を指差しているという事は、間違いなく俺のことについて何かを言っているのだろう。
もしかして、ある事ない事適当に言ってるんじゃないだろうな。
あの男は私の友人だとか、知り合いとかだったら…まだいいんだが。
まさか彼氏だ…なんて言ってる訳はないよな。うん、無いな。
自らの答えに、俺は心の中で頷いた。

46
俺がそんな事を思っていると、瑞穂が先輩(仮)に引っ張られて待合室の隅っこに移動した。
そんなに話の内容を聞かれたくないのだろうか。
俺としては、聞こえようが聞こえまいがどうでもいいんだけど…
…暇だなー。随分と暇だ。蚊帳の外というのは、こんなにも暇なモンなんだな。
ここが病院じゃなかったら友人にメールでも送るんだが、ここは病院だ。
心臓にペースメーカーを植え込んだ人間がいてもおかしくない。
だから、携帯をいじるのはやめておこう。もちろん携帯ゲーム機も駄目だな。
と、なれば寝るしかないんだが…俺は起きたばかりだ。
今寝たら、二度寝になってしまう。いや、それは二度寝自体はどうでもいいんだけど…
俺、二度寝したら大抵12時まで寝てしまうんだよな。
今は人と行動している。そんな時間まで寝られるわけは無い。
さて、どうやって暇を潰したもんかな…

48
「なんか長くなりそうだねぇ・・・悪いけど、この話は持ち越した方がいいな」

確かに。なんだか先輩(仮)の表情は穏やかとは言いがたい表情をしている。
ライターと名乗る人物の言うとおり長引きそうだ。

「その名刺に僕の携帯電話の番号が書いてあるから、気が向いたら電話しておくれ」

名刺に携帯電話の番号が?
名刺って名前と会社とかの住所を書いてるもんじゃないんだな。
とりあえず、俺は名刺を見てみた。
…確かに携帯電話の番号が書いてあった。とりあえず、アドレス帳にでも登録するか。
暇が見つかったら電話でもするか。いや、暇なのは今なんだが…
本人を目の前にして、電話をかけるのは…ないな。うん、ない。
俺がマジマジと名刺を眺めていると、ライターが割引券を渡してきた。
全国的に展開しているチェーン店の割引券だ。
あって困る物でもないし、もらっておくか。もらった割引券をポケットに押し込める。
そして、ライターは俺にさよならをいい、病院を後にした。
うーん、これで本当に暇になったぞ。瑞穂たちを見れば、まだ会話をしている。
と、いう事は今度は俺が待つ番か。椅子に座ってボケッとするか。

【廻間:待合室の椅子に座って瑞穂を待つ】


58 :恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/06/29(日) 20:12:56 0
50
はぁ・・・はぁ・・・これだけ走ったのは何年ぶりだろう
酸素が、酸素が足りない・・・肩を小さく上げ下げして息を整える
ここだよな・・・確かバックの中身をぶちまけた場所は。俺は例の財布を捜すため、その場に屈む

だが・・・探しても探しても見つからない。次第に自分自身が情けなくなってきた
何が哀しくて病院の玄関をうろちょろしているのだろう。こんな時に人の無関心が嬉しい
つーか時間の無駄だよな・・・俺は立ち上がり、受付の看護婦さんに聞いてみる事にした

「すみません、玄関に財布を落としてしまって・・・これぐらいの大きさの黒い財布なんですけど」
ジェスチャーを交えて看護婦さんに落とした財布を説明する
・・・のだが、やはりというか残念と言うか看護婦さんは首をかしげた

「こちらに落し物の連絡は入っていませんね・・・そちらの落し物ボックスに入っていませんか?」
看護婦さんがそう言いながら視線を受付のデスク左端にポツンと置かれた白い箱に向けた
探ってみるが・・・駄目だ、やっぱり財布は無い。俺は看護婦さんに礼を言ってその場から離れた
取りあえずまだ慌てる時間じゃない。ソファーに座って今後を考えよう

・・・つーか財布の中身に全部入ってるじゃねえか。大事な物が
預金通帳も健康保険証もパスポートも名・・・名刺はまぁ良いか。いや、良くは無いな、うん
やばい、日頃のめんどくさいから財布に全部突っ込んじゃえ精神が完全に裏目に出た
やっぱ大事な物は家とか金庫とかに入れとかないとね。ずぼらっつーかめんどくさがりはいかんよ

そういやここ出る前にあの目つきの鋭い男とぶつかったな・・・ま さ か
流石にそれはあの男に失礼だよな。でも財布だけスッポリ無くなってるのもおかしいぜ
・・・駄目だ駄目だ駄目だ、疑心暗鬼は一番人として陥っちゃいけない事だ
誰彼構わず疑うなんて品位が無いにも程があるぜ。・・・でも陥りそうな絶体絶命状態

こうゆう四面楚歌?というか踏んだり蹴ったりな時は・・・そうだな
精神統一だ。俺は頭を抱え・・・否、考える人風のポーズを取って目を閉じた、よし、気持ちを落ち着けて・・・
悪いイメージしか頭に浮かばない・・・つーか健康保険証はともかく預金通帳入れちゃ駄目よね

【現在地:病院の応接室】
【今後について苦悩中】


59 : ◆KmVFX58O0o :2008/06/29(日) 20:14:25 0
5556
時刻はまだ昼頃を迎えず、まだそれほど賑やかではない商店街を、一台の車が疾走している
通りかかる人々の目を受けながら黒光りするその車は、世界でも広く知られる有名ブランド車だ
運転席や後部座席、はては助手席も外見に見合う気品溢れる装飾が成されている

だが乗っている人間は残念ながら気品が非常に低い。とても
「おい! もっと飛ばせっつてんだろジジィ!」
助手席に座っているスーツ姿の男――「機関」の元幹部である梶原が、運転手である初老の男性の頭を小突いた
運転手はぎっと歯を食いしばりハンドルを強く握って耐える。こうゆうやり取りが既に10分以上続いている

このような経緯になったのを説明すると非常に長くなるので割愛するが、端的に言えば梶原の任務は「お使い」だ
とあるミスを犯し、現在の地位を追われてしまった梶原は上司からの命令で今回の任務を半ば強制的に引き受けられた
しかもそのミスで負った傷も完全に治癒していないのに、だ。両腕を覆う包帯が実に痛々しい

「あーいてて! ちくしょう!」
先ほど運転手を小突いた部位がジンジンと痛む。いくら異能者でも痛いものは痛い
しかし小突けば痛むという事を知っていながら運転手にちょっかいをかける梶原は本当にどうしようもない
あるいは学習能力が欠けているのかもしれないが、彼自身の事は彼自身しか知らないだろう

今回受けた任務について説明しよう。梶原は微妙に自由の利かない右腕を苦労して動かし、ズボンに入れた携帯を取り出した
携帯画面に任務説明の一覧が表示される。以前の地位にいた場合は細やかに説明されるのだが、下っ端に落ちた梶原には
非常に簡素な説明しか受け取れない。幹部級の情報等はヒエラルキー的に下段の構成員にはフィルタリングされるからだ

1.指定場所への到達
2.機連送発信者の確保。及び保護
3.機連送発信者への衣類の受け渡し


60 : ◆KmVFX58O0o :2008/06/29(日) 20:15:03 0
【59の続きです】
携帯画面を見ながら梶原はかすかに頭を傾げた。最後の文はどういう意味なのだろうか
例の発信者がどんな人物なのか梶原には全く知らされていない。知る権利が無い為だ
しかし「お使い」を行えるほどの権限を持てるのはよっぽどの幹部級である事は確かだ
ふと梶原の脳裏に緊張が走る。もしも何か失礼に当たれば、今の地位から引き摺り下ろされるだけじゃすまない

梶原自身、この世界がどれほど恐ろしく、また実力主義であることかは重々理解している
自然界の弱肉強食の理ではないが、下にいるのもは黙って上の言う事を聞くしか無いのである
だが梶原にふと、案が浮かんだ。何も一から成り上がる必要は無い

これから会う人物次第では、取り付くす事でなぁなぁで幹部クラスに舞い戻れるかもしれない
今はプライドだの何だのに執着する場合じゃない。一刻も早く幹部クラスに舞い戻り、悠々自適な生活を取り戻さなければ
梶原はそう心に誓うと、先ほどの意地悪く意地汚い表情から一転柔和な表情を作った
運転手が表情を作り出した梶原を横目でチラチラと見る。今の梶原は非常に気味が悪い

商店街を抜けしばらく走っていると、閑散とした住宅街に出てきた
機連送の携帯画面が切り替わり、機連送の発信場所を知らせる為に地図を表記させた。もうすぐらしい
ポツポツと建設中の家やら工事現場やらが目立つ場所へと出てきた。別地区だろう
と、ガレキなどが積み重なった空き地で車が停車した。ちょうど地図の指定場所と現在地の点が重なっている

梶原は運転手に助手席のドアを開けて外に出ると、後部座席に回ってドアを開け、例の衣服――スーツを持ち出した
丁寧に両腕で抱え、運転手に待っているよう指示を出し、機連送の発信者へと足を向けた
遠めでは顔が判別できないが、どうやら3人いるようだ。もうすこし歩み寄ってみる
あちら側は熱心に話していて梶原には気づいていない。・・・のだが近づいた瞬間、梶原の背筋が凍った

男の方は「機関」でも有数の実力者であり、数々の逸話を持つ「機関」のファーストナンバー――レオーネ・ロンバルティーニがそこにいたのだ
なぜか毛布に包まっているが、今の梶原は緊張感でそんな事を気にする余裕は無かった。まさか幹部の中でも特上のランクと出会うとは
だが梶原が更に驚いたのはそのレオーネに気軽に話しかけている女性がいる事だ。しかし彼女の顔には梶原は覚えは無い
けれどレオーネに話しかけるほどだ。そうとう地位が高い事は理解できる

それに、その二人に話しかけている人物も梶原を恐々とさせていた
3年前のあの事件での数少ない生存者であり、特別行動を「機関」に認められている通称N.T.D.Eの肩書きを持つ男――
小村禅夜である。梶原自身話には聞いていたが、なるほどそのオーラは幾戦の死線を潜り抜けた戦士の物である
にしても・・・梶原は例の機連送の発信者達の面子に身を竦んでしまい、その場に立ち尽くした

何か会話しているが、のうのうと声を掛ければ彼彼女らの逆鱗に触れそうだからだ
ので待つ事にした。彼彼女らが衣服を持った梶原に気づいてくれるまで
ちなみに梶原は誰が着連想の発信者なのか知る芳も無い

【NPC梶原、小村らのいる場所に到着。衣服を持ってくる】
【NPCなので自由に動かしてもらって構いません】


61 :葦川妃映 ◆oov3HbsEaA :2008/06/29(日) 20:37:57 0
405154
(……まいったわね)
宗方の行動は全く予想できなかったわけではない。
だが、正義感と行動力を持っていればこその強攻策を迷い無く実行されると、こちらも迷い無く動かなければ対処しきれない。
その点では彼を賞賛したい。
が……落としどころをどうするべきか。
「バケモノとして街中を這い回った奴が悠々と受け入れられるほど
 この世の中はアホだと思うのか?
 血まみれになった手で、もう一度普通に戻れるほど世界は優しいと思うか?」
国崎の反応は予想以上のものだった。
あれだけ冷静にひょうきん物を装って居た男がこれだけ豹変するのを見るのは楽しいし、いっそこのまま深層までえぐってしまいたいけれど
(…・・・流石に危険すぎるわねぇ)
怯える演技もすっかり忘れ、目線を周囲にめぐらせる。
連れの男はまだ動く気は無さそうだが、国崎の行動次第では前面衝突になりえない。
鍵は、国崎の『女神』。彼女が説得すれば、全て上手くいくだろう。
今までの様子から察するに簡単には会える状態ではないことは間違いない。
なら私が代わりになる。イメージしろ。
国崎の望む言葉を──国崎を受け止める心を──

『貴女は何でもできる──でも、自分だけが特別だなんて思わないで』

「あー……違う。何しようとしてるんだ、私は」
そうだ。自惚れるな。
私の仕事はそれじゃない。私の仕事は「なんとかする」ことだ。

冷静な頭で、演技がはがれた仕草で、宗方を見つめる。
「スペクターさんたちが正義の味方で、正論を言っていることはわかったわ。でも私たちは貴方たちほどの正義感も、戦闘能力も無いの」
口から出てきたのは、自分でも驚くほど冷たい声。包帯を巻いた腕を突き出し、腕をまくる。
「昨日、末端の構成員に私と国崎ともう一人でかかっていって私もこれだけの被害を受けたのよ。貴方たちの戦力になれるかは怪しいわ」
嘘は何一つ言っていない。故に、私は揺れない。
「けど、貴方たちの言ってることの少なからず共感もできる。だけど、私たちは貴方たちのように「異能者」と割り切れるほどの能力も覚悟も無いの」
「私たちは日常にしか帰る場所が無い。だから殺人も、破壊工作もゴメンね」

「けど、後方支援という形なら考えてあげても良いわ。寝食と医療品の安定した供給を約束する『国崎薬局』を護る、という形でね」
この案を通すには、宗方の承諾よりも国崎の承諾の方が重要だ。
さて国崎は情に深いのか。
それともただ単に、『女神』の呪縛に縛られ続けているだけか。
「ま、国崎も商売だからある程度の対価は必要だと思うけど『絶対に裏切らず、絶対に壊滅していない補給基地』というのは貴重でしょ?」
正義に熱い宗方さんと、情に(?)熱い国崎さんの好きそうな言葉を付け加える。自然に。
「それだけでも何人もの命が救われることにつながると思わないかしら?」

「国崎は店舗を護る。私は他の薬局から買うでも何でもして、ここの医療品を絶やさないようにする」
「こういう形で私たちは貴方たちに協力する。どうかしら?」

【葦川:薬局前。交渉中】


62 : ◆KmVFX58O0o :2008/06/29(日) 20:42:18 0
【ロンバルティーニではなくロンバルディーニですね、レオーネサンごめんなさいorz】


63 :七重 凌司 ◆Wg8HeG5HhI :2008/06/30(月) 00:05:37 0
45
「すみません。異能者でしたら、大きな剣を振り回す男と、
  風を操る少女のことを知りませんか?私の仲間なんです」

随分とファンタジックな人間を捜している
剣を振り回す男と聞いて、七重はまず廻間青年の事が思い出されたが、
彼の持っていた刃が果たして大剣に含まれるのかは疑わしい
風を操るという少女については無論知らない
七重は、うーんという、返事にもならない曖昧な返事をした
その一方で、異能者を探していると言うことに、ほんの少し心を動かした

決して良い意味ではない。七重にとっての異能者とは、
愛すべき同類というよりは、まだまだ疑念の対象である
彼の目の前の女性も、例外ではない
より強い能力者を倒す為に協力しただけであり、
その後はどうにでもなれと、半ば自棄気味に戦っていたのだった
直情そうに見えていても、心の奥では余計な思案をこねて、
その癖後先を考えない行動をとる
どうにも厄介な性質の男なのである

女性は話を続ける。表情は切であった

「その人がいれば、あなたのケガを治すことができます」

もしかすれば、「人探しを手伝ったら怪我を治してやる。ただし上手くいったらだ」、
という意味に捉えかねない言い方である
多分に漏れず、七重もその通りに解釈する
あまり良い顔はしない。返答の代わり、排水溝に血を吐いた
しばし空白

「どちらも知らない。医者なら心当たりがある」

国崎のことを指すわけではない
ただ、ストリートファイターなどというふざけた肩書きを持つ彼だから、
その手の知り合いの一人もいなくては、やっていられないだろう

いまいち盛り上がらないやり取りをする二人
否、七重が勝手に盛り下げているだけなのだろうが、
その様相を見てニヤつく影があった
いつから来ていたのか、木の後に隠れるようにしており、
その服装は嫌味なほど白い
必要以上に黒い七重とは対照的であったが、さて


64 :レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6 :2008/06/30(月) 00:28:46 0
56
60
「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
…あとは何か聞きたいことはありますか」

小村の言葉にハーケンは大して驚いてなさそうだった。
予想はしていたという事か? まぁ、この世界、何事にも疑って掛かるのは当然か。

ハーケンと目が合う。私は肩をすくめて見せた。
ふと視線と気配を感じそちらを向くと、若い男が布を大事そうに両手で抱えながら立っていた。
よく見ると布はスーツだった。という事は、彼が小村の呼んだ機関の人間という事か。

「……失礼、私は着替えてくる」

私は小村たちを残して男の元へと向った。
ハーケンは私の事についても知ろうとするだろうが、今更知られる事に問題は無い。
彼女は私の名前を知っていた。つまり、それ以上の事も知っている可能性が在る。

近づくに連れて、男のディティールが判別できてくる。
顔立ちは整ってはいるが、如何にも作られた金髪で日本人の顔には似合っていない。
このような男に引っかかる女性は、世間を知らない若い娘だけだ。賭けても良い。

「ご苦労だった。ありがとう」

労いの言葉を掛けると、男は玩具の人形のように何度も頷いた。

……そんな事よりも着替えだ。先程から私の目線は男の抱えたスーツに向っていた。
安物なのがハッキリと判る。だが、この際だ、贅沢は言っていられん。
男からスーツ一式を受取ると、足りない物が無いかチェックを始めた。
まさか、下着が入っていないなんて事は無いだろうな……。
ネクタイ、シャツ、ベルトにスーツの上下、そして下着が全て揃っていた。
良かった、これで変質者ルックともお別れだ。

物陰に隠れると早速着替えを始めた。
ネクタイの締め方は『ウィンザーノット』で行こう。
……正直、片手でネクタイを締める事が、これほど苦労する事とは思わなかった。
茶色のスーツが地味だが、許容範囲だ。
最後に上着を羽織り、左腕だけ通すと先程まで身に着けていた毛布を抱え小村たちの元へと戻った。

「待たせたな。……少々地味だろう? 似合っていないと思わないか?
 それと、ハーケン君。毛布は買い替えておく。ありがとう、お陰で助かった」

赤の他人が衣類代わりに身に着けた毛布など、私だったら棄ててしまうだろう。

―――ここに来て男のナンバーを聞いて居なかった事を思い出した。

【レオーネ:梶原と接触、着替えを完了】
【梶原については覚えていないのか、それとも面識が無いのか不明】

62
【いいえ、気にしないで下さいw】


65 :池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/06/30(月) 01:43:37 0
──軽い疲労。医師が出した結論はそれだった。
医師は結論を出すと直ぐに俺に注射を打ち、ビタミン剤を処方した。

「疲れが溜まってたんだろうね。一本打っておいたから、心配はないと思うよ」

俺の目の前の、白衣に身を包んだ医師はそう言いうと、
背中をこちらに向けて何やらと机で書き物を始めるのだった。
恐らくカルテにでも診察結果を記載しているのだろう。

「そうそう、あれはもう五年前になるのかなぁ? あの時は驚いたよ」

俺に背中を向けたままだが、医師が思い出したように話し始めた。
『五年前』……この言葉から始まり、俺とこの医師に関係することと言えばあれしかない。
この医師が言おうとしていることを、俺は直ぐに感じ取っていた。

「君が血まみれで運び込まれてきてねぇ。
あの時君はまだ進学校の高校生だっただろう? 最初は何をやらかしたのかと思ったよ」

「まだ覚えてらっしゃったんですか。もう忘れてくださいよ」

五年前の春、俺は全治一ヶ月という重傷を体に負った。
その時運び込まれた病院で俺を診たのが、この医師だったのだ。
重傷の原因はトラックとの追突事故。
目撃者は誰もいなかったが、俺の証言から轢き逃げ事故だと警察は確定した。
もっとも、それは目撃者がいないという事実を逆手に、俺がでっち上げた話だ。
本当の原因、それは異能者との戦闘によるものであることを知る者は、誰もいない。

「でもあの時の犯人、まだ見つかってないんだろう?
警察も怠慢だよなぁ、轢き逃げ犯一人捕まえられないなんて」

医師はまるで自分の事であるかのように毒付いている。
しかし、こればかりは警察に同情せざるを得ない。
何しろ俺のでっち上げた証言を元に捜査をし続けているのだ、
居もしない犯人なんぞ見つかるわけがない。
挙句、捜査の手詰まりを理由に、一人の医師の信頼を確実に失わせているのだから。

「こちらも不注意だったんです。僕としては犯人一人を責める気にはなれません。
……もう、行っていいんですか?」

医師は座ったままくるりと回転式の椅子を回し、こちらに体を向けて言った。

「あぁ、会計は向こうでね。それじゃまた何かあったら来なさい。お大事に。
はい、次の人ー」


66 :池上 燐介 ◆qqu0tZFsYU :2008/06/30(月) 01:47:52 0
ふと腕時計に目を向けると、時計の針は調度九時を指していた。
正午前後までは病院に居るつもりだったが、これは当てが外れたようだ。
俺は病院内の廊下の壁に背をもたれかけ、この後の予定について思案していた。
(さて……会計も済ませてしまったが、この後どうするか。
異能力が使えないことがこれほどまでに俺の行動を縛ることになるとは……)

昨夜、城栄にしてやられたことが記憶に蘇る。
こちらも疲労していたとはいえ、あれが不覚であった事実には変わりない。
俺は思わず、唇をかみ締めた。

「あれぇー? 燐ちゃんじゃないのー?」

不意の声に一瞬俺の体が強張りを見せた。
その声の主は俺の刹那のリアクションを見てか、けらけらと嘲笑している。
声、そして笑い方に、俺は聞き覚えがあった。
まさかと思い首だけを声の方向に向け確認すると、茶髪のショートカットに、
割と褐色のいい肌、履いているミニスカートに見れるように割と露出の多い服。
俺の予想は的中していた。

「あー、やっぱりねー。やっほー! こんなところで何してたのー?」

「受診」

素っ気無く返事をする。
次いでもたれかけていた背を離し、その場を離れようとする。
これはこれ以上会話をするつもりはないとの意思表示でもあったのだが、
その声の主は……いや、その女はそれを知ってか知らずか、次々と言葉を捲くし立ててくる。

「どっか体が悪かったんだっけ? といってもいつも授業に出ないのは仮病なんでしょ?
それとも本当に体が悪かったとか? あぁ~、燐ちゃん男の人なのに色白だもんねー。
髪も毛色が悪いし、家にばっかり引きこもって太陽を浴びないから具合悪くなるのよー」

俺は思わず溜息をつくが、別にこの女の口撃は今に始まったことではないのだ。
この女の名は『四島 真琴』。俺と同じ大学に通う人間で、同期生だ。
こいつは許可した覚えもないのに、初対面でいきなり人に「ちゃん」付けで
馴れ馴れしく呼んできたことに始まり、毎度この調子で一方的に会話を進めてくるのだ。
俺は避けているのだが、どういうわけかこいつは俺に絡みたくてしょうがないらしい。
正直言って、俺が苦手とするタイプの人間だ。

「ねぇ、実は私もう用は済んだの。そっちもそうなんでしょ?
だったらさぁ、これから一緒にどっか行かない? 今、暇でさぁ~」

「行かない」

素っ気無く断ったものの、そう簡単に諦めてはくれないだろう。
俺は落し物の財布のことなど既に記憶の底に沈めてしまうほど、
これから来るであろう四島との長期戦に思案を巡らせなければならなかった。

【池上 燐介:病院の応接室。目を閉じている恋島達哉の前を調度通り過ぎようとしている】
【民間人NPC『四島 真琴』登場】
67 :アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/06/30(月) 21:27:17 0
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「まぁ待て。上野君、何が遭ったか敢えて聞かないが、
 車が壊れたのなら機連送で本部から迎えを頼めば良いのではないか?」

なるほど、幹部なのだから、それぐらいはできるか。
…しかし、変質者呼ばわりされてもあまり動揺はないか。
まあ、全裸毛布で反論もできないだろうが、そういうことにあまり固執しないタイプなのか?

「ハーケン君、どうせ君は上野君を買い物に行かせている間、彼の事に探りを入れるつもりなのだろう?
 それに上野君も、機密事項…という事は、それだけの地位に居るという事を露呈させたも同然だ。
 ……もう話しても良いのではないのか?」

好奇心は多少あったが、そこまでしつこく聞くつもりはなかったのだけれど。
―――まあ、教えてくれるならそれはそれでいいか。

「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
      • あとは何か聞きたいことはありますか」

偽名というのは考えていたが、なるほど確かに言われればそうだ。
上野恭平よりも小村禅夜の方がそれらしい。

「いえ、特にこれといってありません。
 おおよその疑問には答えが出ましたから」


68 :アルト ◆lJnztBYxY2 :2008/06/30(月) 21:28:49 0
と、ロンバルディーニが何かに気付いたように突然、

「……失礼、私は着替えてくる」

などと言い出した。彼が見ていた方を見ると、衣服を持った男が立っていた。
―――声ぐらいかけた方がよいのではないだろうか。
相手が幹部だとはいえ、なんの挨拶もなしでは逆に無礼だろうに。
そして、ほとんど間もなくスーツを着たロンバルディーニが現れた。

「待たせたな。……少々地味だろう? 似合っていないと思わないか?
 それと、ハーケン君。毛布は買い替えておく。ありがとう、お陰で助かった」

一目で安物だろうと見て取れるスーツ。だがまあ、

「十分にお似合いですよ、ロンバルディーニさん。
 …実際、あんまり高級なスーツだと目立ちますしね」

それはまあ、前線に出てくる機会がそれほどない幹部ならいいのだろうが。
今回のように街中での任務となるならば、むしろ安物の方がいいだろう。

「―――しかし、ぞっとしませんね。
 あの少女。煌神リン、とか言いましたっけ。あの娘だけでも、私が知る限りで、二人も幹部クラスが出張っている。
 そして、ここに籐堂院親子もいるとなれば、これは機関の幹部が勢ぞろいする可能性も出てくるでしょう。
 ……いや、本当にぞっとしませんよ。どんな大惨事になるか、心配です」

これは冗談ではない。機関の幹部は単独でも十分危険なのだ。
それが勢ぞろいする可能性―――煌神リンとあの娘とあの親子が組み合わされば、確実ではないだろうか。
以前ほどではないだろうが、あの籐堂院神だけでも脅威であろうことは想像できる。
そこに元から幹部を送り込むだけの重要性のある少女。これはもう、ある意味では決定事項だ。

「―――彼らを相手にするにはそれぐらい必要になるかもしれない。
 その事実だけで、私は怖いと思っているんですよ」

【アルト:機関の幹部について考える】


69 :国崎シロウ ◆Jd2pQO.KKI :2008/07/01(火) 00:51:40 0
5461
『……これが、最後の命令よ。……生きて。アンタは、普通の人間として生きて、
 絶対に……幸せになりなさい。 今まで、ありがとう――――』

殺すべきだが殺してはいけない。絶対の自縛と無二の約束に挟まれ、
もはや俺は動くことすら出来なかった。
俺は、その体制のまま、流れて来た葦川の声を聞く。

「けど、貴方たちの言ってることの少なからず共感もできる。だけど、私たちは貴方たちのように「異能者」と割り切れるほどの能力も覚悟も無いの」
「私たちは日常にしか帰る場所が無い。だから殺人も、破壊工作もゴメンね」

(……)
論理と正論と適度な虚飾。いつもの自分が使い慣れているソレと幾分似た話法が、
俺に感情と理性を呼び戻す事となった。

……ああ、そうだ。ここでこいつ等に攻撃する事に何の意味があるのか。
俺の第一条件は日常の絶対保守。
どんな手段を用いてもこの場所に戻らなければいけないのだ。
最善が適わないならば次善の策。彼等と戦闘することを考えれば、
後方支援でもしていた方が、正体がバラされる危険性も少なく、優良に違いない。
……それに、多数の生命を救えるのならば、その道を選ぶほうがいいだろう。
俺は、ゆっくりと宗方の首にかけていた手を外し、その手から眼帯を奪い返し、装着する。
そうして、レジカウンターの前にある椅子に座り、ため息を吐いて、やや俯いたままで話を始める。

「……はぁ。 スマン、どうも慣れない戦闘で知らない間にストレスが溜まってたみてぇだ。
 命懸けなんて経験、慣れてなかったらかね。……とにかく、八つ当たりみたいな真似して、悪かった」

落ち着きが戻れば仮面も戻る。自分でも思った以上に自然に、
俺は、葦川の言葉に乗り、そこまで強くない能力者としての謝罪と言葉を繋げる。

「後方支援っていう形なら、俺も構わねぇよ。
 それでこの街の住人を助けられるなら、それにこしたことは無いしな……ただ、それ以上は勘弁してくれ」



70 :恋島達哉 ◆KmVFX58O0o :2008/07/01(火) 16:54:03 0
6566
いかん・・・完全に希望を見失った。思いつく限りの財布の居場所は考えた
しかしどれもこれもあり得ないというか、俺の財布が紛失する理由になるとは思えない
誰かに蹴られてソファーの下だとか、用務員みたいな人が掃除してる時に拾ったとか

精神的にこれ以上探す気にもなれない。落し物ボックスを何度も見直したがやはり無い
なんとなく看護婦さんの俺の見る目線がだんだん哀れむように感じてきた。まぁ何時もの被害妄想だが
しっかしホントにどうしようかな。金も引き落とせない、自己証明を表す物も無い
・・・あれ、これってもう本当に終わってね? じゃあ今の俺は一体・・・

こんな事なら国崎薬局で大人しくしてれば良かったよ・・・
そういや国崎さんと葦川さんと梓川君は大丈夫かな。まさか妙な事に巻き込まれたりは
・・・は無いわな。どうみても国崎さんの薬局は何処にでもあるこじんまりとした薬局だ
変な奴らが欲しそうなヤバそうな物を持っているわけが無い。カレーはまた違う意味でやばかったけど

あぁ、頭痛が、頭痛が痛い。いっそ重病装ってぶっ倒れちゃおうかな
そうすりゃ1日くらいはこの病院で保護してくれるだろう。それから市役所なり・・・
ってバカヤロウ、財布を無くしたのは自分のミスだろうが。俺は閉じていた目を開け・・・両手で目を覆った
万事休す逃げ場なし、泣きっ面に蜂とはこの事かね。最後のは後悔の意味も込めてだ

・・・そういや、病院を出る前にぶつかったあの男の事が妙に気になる
疑う訳ではもちろん無いが、もしかしたら彼が財布の情報を知っているかもしれない
というか彼の迫力に気圧されて、ちゃんと周りを確認しなかった俺も悪いのだ
・・・僅かな希望に掛けてみるか。でもぶつかったのは俺のほうだしなぁ・・・確実に「はぁ?」みたいな反応されると思うと・・・
いや、今は俺の人生の一大事だ! こんな事で一大事なのも些かな情けないが、俺は意を決して腰を上げた

いてて・・・まだ痛みがあるが気にせず俺はあの男を捜すため病院内を探索する事にした
さて・・・どこら辺から探そうか。廊下か、病室か。・・・と思った矢先
俺の第六感が何故かピーンと閃いた。その閃きが示す方向に目を向ける
二組の男女が玄関口に向かって歩いてる。一人は髪を束ね結った、体型からして男・・・いや、例の彼だ。多分
もう一人はミニスカートを履いてその彼に親しげに話しかける今風の女の子だ。多分彼との関係は友人かなんかだろう

ぶっちゃけ俺に背を向けている男が例の彼なのかの確証は全く無い、全然無い
けど、これでも仕事で培った人を見る目・・・という奴には自信がある。これで人違いだったら間違いなく死ねるな、俺
1歩2歩しっかりとその二人の下へと歩み寄り、そして――俺は声を掛けた。おそらく彼の友人である女の子の方に

「あのー、お取り込み中で悪いだけど、ちょっと良いかな。ちょっと彼に用があって」

その瞬間、例の彼がぎろっと俺のほうにナイフの様に鋭い目線を投げかけてきた
間違いなくぶつかった彼だ・・・が・・・こ、怖い、ホントに怖い
あぁーやばいなーうん、私刑確定だな、俺
何処行ったんだろう、財布

【四島に池上と話して良いかどうかの了承を持ちかける】


71 :レオーネ・ロンバルディーニ ◆GWd4uIuzU6 :2008/07/01(火) 23:45:41 0
67
「十分にお似合いですよ、ロンバルディーニさん。
 …実際、あんまり高級なスーツだと目立ちますしね」

……これは嫌味と受取るべきだろうか? 目立つ目立たないの問題ではない。
このスーツでは精々リクルート中の学生か、新人会社員がいい所だ。
何も『ヴァレンチノ』や『ゼニア』のスーツを買って来いと言っているのではない。
着る人間に合った物を持ってきて欲しかった。

それにしても時間が気になる。出来る事なら時計も持ってきて欲しかった所だ。
城栄は本社ビルに居るだろうが、ここからあそこまでどれ位の時間が掛かるだろうか?

―――考え事をしていると、不意にハーケンが口を開いた。

「―――しかし、ぞっとしませんね。
 あの少女。煌神リン、とか言いましたっけ。あの娘だけでも、私が知る限りで、二人も幹部クラスが出張っている。
 そして、ここに籐堂院親子もいるとなれば、これは機関の幹部が勢ぞろいする可能性も出てくるでしょう。
 ……いや、本当にぞっとしませんよ。どんな大惨事になるか、心配です」

彼女の言葉は冗談ではないだろう。表情からは深刻さが窺える。
ハーケンが考える事も最もだ。幹部の中でも既にセカンドナンバーは投入が決定されている。
彼らはNo.1の命令によって、暴虐に暴れ回る事だろう。
我々ファーストナンバーだって、いつ召集されるか分からない。
セカンドナンバーに加えて我々が全員投入されるとなれば、間違いなくこの小さな地方都市は一変してしまう……。
ファーストナンバー―――。機関の最高幹部であり、同時に組織内最強の戦力。
機関の全構成員から厳選され、高い戦闘能力と異能能力は勿論の事、
重要作戦を担う指揮能力、そして何より機関への多大な貢献……。
それらを併せ持つ者がファーストナンバーに選ばれる。

先天性異能者の確保に加えて、籐堂院まで出てくるとなると、
ファーストナンバーが全員召集される可能性はゼロではなくなるな。
城栄は今度こそ籐堂院を葬るつもりだろうし、籐堂院自身も今一度勢力を起すだろう。
そうなれば、先ず間違いなくこの街は今以上の地獄と化す。

「既に投入されているセカンドナンバーにファーストナンバーも加われば、
 最悪この街が地図上から消えてしまうかも知れない。

 ……目的の為なら手段を選ばない。例え、この街を消す事になろうとも……。
 No.1はそういう男だ」

だが、例えどんな事になろうとも、私は彼に従う。
同じく長束公誠に師事した者として、そして親友として……。

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最終更新:2008年12月07日 22:59