【ザンドウ】
「夕焼けの街」にて登場。
ザンドウの正体は戦国時代に活躍した織神市ゆかりの武将だ。
その性格は残忍で狡猾、本性は黒い蛇の姿をしており、力を蓄える事で鎧武者の姿になる。
ザンドウは"蛇"の異名を持ち、執念深い性格でどんな戦でも生き残った逸話を持っている。
その逸話から、なんらかの不死性を有していると思われる(《概念:邪神》)。
ザンドウが最も大きな戦果を挙げた戦は"神楽塚古戦場"での戦いが知られている。
神楽塚の戦いでザンドウは雨に紛れ神出鬼没の働きを見せた(《次元の扉》)。
その戦で大将首を獲ったザンドウは、在間区の加神村に領地を得て隠居する。
しかしそれは、アラミタマとの《魂の契約》によって得た力で成した事だった。
戦果を挙げ領地を得たザンドウは魂の契約が成立し、アラミタマに身体を奪われる。
その後、ザンドウの言動は物の怪じみた物になり、領地の女性を誘拐し、その血を啜ったと伝わっている(《ホーンティング》)。
隠居したザンドウの行動は次第に物の怪じみたものになり、遂には4人の退魔師によって封印された。
加神村には現在もザンドウの御魂を鎮める石碑が在り、村人たちが祀っている。
伝承では4人の退魔師がザンドウを封じた土地こそが現在の球磨遊園地であり、そこは霊脈でもあった。
球磨遊園地の開拓事業によりザンドウの封印は解かれ、現代に蘇ったのだった。
蘇ったザンドウは女性の霊魂を喰らい力をつけた後、法則障害を用いた神隠しにより力を蓄え続けた。
そしてカミガカリ達との戦いでは、自らの不死性と霊紋を奪う禁術(《魂砕き》)により、シンゴというカミガカリの霊魂を奪う事に成功。
シンゴの霊魂を喰らった事で、自らを封じていた球磨の霊脈を支配できるほどの力を得た。
だが、カミガカリ達により各地の逸話を起因とした法則障害を消去され追い詰められたザンドウは、球磨遊園地の霊脈にて最終決戦を持ちかける。
そして決戦に敗れたザンドウは、今度は5人の退魔師の手により完全に滅せられる事になった。
余談だが、ザンドウは霊魂を喰らった対象のコピーを作る事が可能なようだ。
本物には及ばないがカミガカリの能力の再現も可能である。
この能力は"ラゴウサマ"から授かった能力だと本人は言っていたが詳細は不明。
【アマツタネ】
「天つ種よりこの花咲くや」にて登場。
隕石のアラミタマ。
コノハナサクヤの霊力を求めて宇宙より飛来した。
その正体は侵食・寄生系のアラミタマであり、花の精であるコノハナサクヤとの相性は最悪。
隕石はアマツタネの霊威により超常存在以外には見えず、その為に人類はアマツタネの接近を観測できなかった。
隕石の姿は地球に飛来する際に用意した外皮であり、その正体は巨大な糸球の様な姿をした菌糸状の存在。
言葉は話さず、内部の核が不気味な鼓動を続けている。
偶然にもコノハナサクヤが予言魚(なんと予言的中率100%の魚!)の元を訪れた為、本アラミタマの飛来が明らかになる。
飛来した隕石は一帯を焦土にする質量を持っていたが、コノハナサクヤが自身の魔境にこれを取り込み被害は最小限に抑えられた。
しかし、その代償としてコノハナサクヤの魔境はアマツタネに侵食される結果を招く。
予言魚の予言に従いその場に集っていたカミガカリ達が魔境へ赴きこれを排除した。
魔境を侵食する速度が速く、魔境の各地に設置した法則障害によりコノハナサクヤの眷属を洗脳し従えた(《偽りの理想郷》)。
魔境内の戦闘では、宇宙を渡る力である星間航法と不可視化の能力を駆使しカミガカリを翻弄する。
一度は倒されたが、直後に脱皮し復活。カミガカリ達が倒したのは地球に飛来する際に纏った外皮だった(《概念:邪神》)。
その後、星間航法により神域へと逃走を図る。
神域に存在する霊樹に根を張ったアマツタネは、そこから霊力を吸収し、法則障害が無くともコノハナサクヤの眷属を強制的に従える力を手にした。
神域での最終戦闘にてゼッショウに核もろとも身体を両断され、その鼓動を停止させた。
アマツタネのクシミタマは、コノハナサクヤの眷属の復活や魔境の修復、コノハナサクヤのブラック神社の改善の奇跡を起こした。
【 】
「真冬館」にて登場。
〈神名〉を持たないアラミタマ。
アラミタマは真冬館に住んでいた家族に呪いをかけ、家族を徐々に狂気へと陥らせる。
そして、両親を操り7人の姉妹を地下へと幽閉させた。
その後、法則障害《蠱毒の宴》(原初p137)を使い地下室に幽閉された姉妹達を互いに争わせる事で生き残った七女をモノノケ化させる。
アラミタマは母の姿で囁き、モノノケと化した七女に《魂の契約》を持ちかけた。
七女は、"家族揃って暮らす事"という願いを叶える為、アラミタマの囁くままに真冬館を訪れた女性を攫い、霊魂を奪い続けた。
アラミタマは、捕らえていた姉妹の魂を攫った女性に移す事で偽りの生を与える事で《魂の契約》を成立させようとしていた。
父母の役割は、アラミタマ自身が果たすつもりだった様だ。
生まれて間も無く地下に幽閉された姉妹たちにとって、父母の愛は求めはすれどそれがどの様な物なのかは分からなかったのかもしれない。
しかし、カミガカリ達が既に姉妹の魂を解放していた為に《魂の契約》は不成立となった。
アラミタマはカミガカリ達との決戦の末、コーデリアの持つ二振りの聖剣によってその闇を祓われ消滅した。
クシミタマは、モノノケと化した七女を人間に戻す奇跡を成し遂げた。
人間に戻った七女は、銀狼によって"真冬"と名を与えられ、現在〈特対〉が保護している。
姉妹との絆は今も真冬の胸に生き続けている。
【マガツチ】
「悪と、霊と」にて登場。
人々の災害への畏れが具現化し生まれたアラミタマ。
その性質は思念の集合体に近い。
マガツチはミヅチが治めていた緑香山の霊脈の霊脈を求め行動していた。
ミヅチが治める霊脈には大量の悪霊が封じられており、思念の集合体であるマガツチはこの悪霊との同化を目的としていたと思われる。
マガツチは霊脈への進入を計るも、ミヅチの権能が強固な為に一度は断念した。
しかし、マガツチはかつてミヅチと共に霊脈を治めていた神霊、コウリュウが封印された真名形代に目をつける。
マガツチはコウリュウが封印された真名形代に邪気を吹き込み、自身が操れるように弱らせた。
そうした上でコウリュウの封印を解き、帰巣本能のままに緑香山に帰ろうとするコウリュウに取り付き霊脈への進入を図る。
コウリュウはミヅチと同じ権能を持っていた為、取り付いていたマガツチと共に霊脈への進入に成功する。
霊脈に進入したマガツチは、ミヅチに《神霊封印》を使い、身体の自由と力を奪い、霊脈に封印された悪霊を解放し、力を得ようと計る。
だが、ミヅチは《神霊封印》に完全に囚われる寸前に肉体と魂を分離させていた。
ミヅチはカミガカリ達に助けを求め、カミガカリ達は霊脈の深部でマガツチと対峙する。
最終決戦にてマガツチはコウリュウの肉体から離れ、霊脈に封印されていた悪霊達を使役しカミガカリ達を追い詰めた。
激闘の末にマガツチは、古川の時空間魔術を攻撃に転用した一撃により浄化され消滅した。
マガツチが遺したクシミタマは、災害への救済を果たし、ミヅチとコウリュウの再開を成し遂げた。
【ヘドロン】
「しつこい油汚れに」にて登場。
神楽塚区の霊脈に不法投棄された廃材から生まれたアラミタマ。
神楽塚区の地には霊魂が集まりやすい性質があり、不法投棄された廃材に怨霊が結びついてヘドロンが生まれた。
不法投棄という人間の利己的な欲望から生まれた為、その性格は利己的。
その身体は霊肉が変質したヘドロで出来ており、分裂能力を持つ。
ヘドロンが生まれ、はじめてみたものは、清浄な夜明けの空だった。
視界に滴る汚物。それは自分の身体から零れていた。
そして、はじめて自分が汚れたものだと知る。
周囲を見渡すと、清浄なはずの世界は、自分のものではないもので汚されていた。
それは人間たちが棄てた廃材だった。
人間は、いつかあの空さえも汚してしまうのだろう。
そう思うと、無性に腹が立った。
たくさん食べて大きくなろう。そして世界をつつんでしまおう。
そうすれば、これ以上汚されることは無いはず。
たくさん食べて大きくなろう。
そうすれば、いつかあの空に手がとどくはず――。
カミガカリとの最終決戦にて、比良坂 暦の魔術により霊魂の核を破壊され、ヘドロンは存在を保てなくなり溶けていく。
そして、最後の最後に姫宮 六花のてのひらにすくいとられ、カミガカリたちに想いを託して逝った。
そのてのひらには、クシミタマが残った。
【双蛇】
「相克の蛇」にて登場。
〈煉獄の夜〉に日本に現れたアラミタマ。
アラミタマ化する前は海外の幻獣で、アンフィスバエナと呼ばれていた。
〈煉獄の夜〉に現れた双蛇は、封印を司る守代家と戦った。
双蛇は、死と再生の象徴である蛇が二頭で円環を成している事から不死の概念を持っており(《概念:邪神》)、その為に守代家は双蛇を討伐することが出来なかった。
守代家は止む終えず、双蛇を封印の儀式によって二つに分け、片方を檻神の霊脈に、片方を守代家の娘である明日菜の中に封印した。
時は流れ現在。近日続く霊脈の乱れの影響で、霊脈に封印された双蛇の半身が封印から目覚める。
封印から目覚めた双蛇の半身は、明日菜の中に封印された己の半身を求め動き出す。
双蛇の半身は一度カミガカリ達に倒されたが、不死の概念により復活し、《次元の扉》により逃亡を図る。
その後、明日菜に封印された双蛇の半身が原因で明日菜と双蛇の霊魂は繋がっており、両者は負傷と死亡を共有する状態にある事が判明する。
カミガカリ達は、守代家に伝わる儀式を用いて明日菜に封印された双蛇の半身を解放し、明日菜と双蛇の繋がりを断ち切る事を選んだ。
解放された双蛇の半身もまた、《次元の扉》を用いて己が半身の元へと向かい、カミガカリ達もそれを追った。
一行が向かう先は、双蛇が〈煉獄の夜〉に根城としていた神楽塚山の地下洞窟。
合流した双蛇の半身達は、封印の影響で完全に融合できずに弱体化していた。
カミガカリ達は、待ち受けていた双蛇との決戦に挑む。
戦いの末、カミガカリ達の持つ[概念破壊]の力は、双蛇の不死の概念を打ち砕いた。
【オオサキ】
「過去からの妄執」にて登場。
狐神がアラミタマと化した邪神。
複数の尾を持ち、尾が裂けて見える事からかつて尾裂きと呼ばれていた。
かつて狐塚家の狐神だったが、江戸時代の当時狐塚家は人々からの迫害を受けており、邪神とそれを祀る一族との謗りを受けていた。狐塚家への迫害は続き、やがて当時の貴丹区の大名である淡川から狐塚家討伐隊が派遣される。
討伐隊により狐塚の家は焼かれ、その子孫は各地へ逃げ延びる事となった。
この一件により狐塚家が祀っていたオオサキはアラミタマと化した。
アラミタマと化したオオサキは一帯の人々の霊魂を奪い、大名淡川の城へと攻め込み、これを焼き落とした。
焼け落ちた淡川の城は現在では淡川城跡地として観光地になっている。
淡川城を焼き落とし復讐を果たしたオオサキだがその怨嗟は静まらず、その凶行は退魔師に敗れ現在の織神市の山奥へ封印されるまで続いた。
オオサキは自身が封じられる直前、自らの霊力を"藤の花の痣"として狐塚家の人間に残していた。
痣は子孫に受け継がれ、オオサキは痣を通じて子孫から霊力を得て復活の機会を窺っていた。
時は流れ現在、封印から抜け出したオオサキは狐塚家の子孫である狐塚麻耶の霊魂を求め、彼女に接触を図る。
狐塚麻耶を護るカミガカリ達にオオサキは倒されたが、狐塚麻耶に刻まれた藤の花の痣とオオサキとの繋ががりによりオオサキ復活を果たす(《概念:邪神》)。
その後、狐塚麻耶がカミガカリとして覚醒した事により藤の花の痣とオオサキとの繋がりは無くなった。
オオサキはカミガカリとして覚醒した狐塚麻耶の喰らう為に再びカミガカリ達に戦いを挑む。
最終決戦の最中、アラミタマ化する前の記憶を思い出したオオサキは自らの子孫である狐塚麻耶の一撃を受け入れた。
それは神と人との訣別の時だった。
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