(33)087 『リゾナンターたちがLAに向かう飛行機内で起きた出来事』

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「――――!」

声にならない声を上げながら、光井愛佳は“現在”へと帰ってきた。
心臓は激しく脈打ち、全身には冷や汗が流れている。

荒い息を必死で深呼吸に変え、愛佳は辺りを見回した。
消灯された機内は先ほどまでと同様に静まり返っている。
隣で毛布をかぶった久住小春の安らかな寝息もそのままだ。
機内は平和で穏やかな時間に満ちていた。

だけど―――

愛佳は先ほど“視”たビジョンを思い出し、恐怖と焦燥を新たにした。

―このままやったら……このままやったら最悪の“未来”が来てしまう…!


LAまで残りフライト時間は6時間程であろうか、それまでに何とかしなくては…
愛佳は冷たい汗が背中を伝っていくのを感じながら、もう一度久住小春へ視線を移した。
自分の予知が正しければ、もうそろそろ“それ”が来るはずだ。
凝っと息をひそめて見守っていると、小春の呼吸に変化が現れた。

―来た!

「見ろやこのエビフライ!プリップリやぞ!プリップリ――」

寝言である。それも、規格外のハイテンションを誇る寝言。
こんなものの隣でどうやって寝ろというのだ。
しかし、寝ておかなければ、折角のLAなのだ。

―少しでも寝とかんと、明日体力がもたんようになってしまう…

焦燥に塗り固められた視線を送りながら、愛佳は必死に思考を巡らせる。

「違います~私はマリリン・モンローじゃありませんってば~」

口元をふんだんにほころばせた小春の寝言が愛佳の耳を襲った。
「何を言ってやがる」と口の中で呟き、愛佳は目の前のモンスターを黙らせる決意を確固たるものにしていく。

―鼻でもつまむか?