(40)098 モーニング戦隊リゾナンターR 第11話「小春の夢」

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モーニング戦隊リゾナンターR

【前回のストーリー】
「A」と一緒に新しい世界に飛ばされた愛は、海辺の病院で看護婦として働くことになった。
愛の担当する患者、久住小春はその我儘な性格と不思議な力で病院中の職員を困らせている。
芸能人月島きらりという顔を持つ小春は、劇場ジャックの人質になった際の言動が原因で、日本中からバッシングを受けていた。
偽りの両親、大切な人との別れ、テロという悪意に断たれた未来。
小春の精神に触れた愛が見たものは、絶望的なまでの孤独に打ち震える少女の姿だった。
「私には仲間なんていない、これまでも、これからも」

第11話「小春の夢」

届いた手紙の封を開けずに放りっぱなしにしている小春。
眼を患っていて読めないのではないかと思った愛は代読を申し出るが、読まなくても書いてあることは大体判るから要らない、と断られる。
何かの出演依頼じゃないの、と興味なさげな小春の気持ちを引き立てようとする愛だったが…
「この間は裸にならないかって誘いが来てたみたいだけどね」…言葉を失ってしまった。

検査室に「A」を訪ねる愛。 敵か味方か、その真意を問いただすが、お前の行動次第だとはぐらかされてしまう。
逆にこの世界でいつまでナースごっこをしているつもりだと切り返される
「小春を救うまで」という愛の思いは、あっさり無理だと断じられてしまう。 
深い絶望の底で見つけた一筋の光さえ潰えてしまったあの娘をお前はどうやって救うつもりだと。

小春をこの世界から連れ出し、自分の旅に同行させることの可否を問うが、「不可能だ」と言われてしまう。
愛自身が自分の思い通りに旅をしているわけでもないのに、どうやってあの娘を連れていくつもりだ、それに…
異なる世界を旅することが出来るのは能力者の中でも選ばれし者だけだ、あの娘がもし世界を飛び越えたとしても、命を保つことは叶わないだろう、と。

「じゃあせめてあの子の眼が良くなったら…」呟く愛だったが…。
「あの娘の眼は治癒しているぞ、医学的にはな」
あの娘の眼は見えないんじゃない、見ることを拒んでいるんだ、自分を利用して裏切った醜い世界を。


答えが見つからないまま「A」と別れた愛は小春に届いた手紙を持っていることに気付く。
握りしめていた所為か封が開いている。 ためらいながら中を確かめる愛、そこに書かれていたのは…

病院の図書館で演劇の本や戯曲を借りる愛。
様々な場面を選んで音読してテープに収録したものを小春に渡す、演技力が錆びつかんように磨いとかんと、という言葉と共に。
私のことをバカにしてるの、とテープを投げつけられた。

「で、今度はどういうつもりだ」 病室を出てきた愛に「A」が近づいてきた。
小春に届いた手紙を見せる、それは舞台の演出家が書いたもので、海外で公演される舞台のオーディションを知らせたものだった。
本人にそのつもりが無ければ無意味だろう、という「A」の指摘にも…
「あの子の精神を覗いた時、舞台の稽古に打ち込んでいるあの子は本当に輝いてた」

だから舞台への道を開いてやることがあの娘を救うことだというのが、お前の見つけだした光というわけか?
「A」の言葉に頷く愛、そして…。
「あんたに頼みがある、あの子のことを守ってあげて欲しい、これから何があっても。」

小春の精神に触れた時から、能力を常時解放していた愛は、小春を狙う悪意が急速に増えていることに気付いていた。
「A」は高レベルのテレパスである愛がその力を常時解放することの危険性を説いた、心が壊れ人でなくなるぞ、と。
「かまわない、わたしはどうなっても」
自らの危険を顧みず、小春の為に動く理由を尋ねられた愛は自分の心情を明かす。
初めて舞台を観たときに感じたある種のときめき、歌手や女優の仕事への憧れ、でも…
「あーしはそんな煌びやかな夢なんか見たらあかん人間や。 
 この旅の途中で少しずつ蘇ってきた昔の記憶の中であーしは数え切れないくらいたくさんの人間を傷つけて、
 多分その内の何人かは命を奪ってる。 そんなあーしが晴れがましい夢を見ることなんて許されない。だから、せめてあの子の、小春の夢だけは守ってやりたい」


沖合に停泊した貨物船から2隻のゴムボート、乗り込んでいるのは暗褐色の服を身に着けた十数名の兵士たち。
海岸で誘導しているのは愛に写真誌の記者を名乗った男。
上陸地点を確保するために最低限の人数を残し、残りの人員で小春の入院している病院に向かおうとする彼らの前に立ちはだかる愛。
愛は記者を騙った男―彼が兵士達を指揮している―に懇願する。このまま小春に手を出さずに自分たちの国に戻って欲しい、と。

男は自分たちの素性と目的を明かす、劇場占拠に失敗した自分たちは現場に突入した米軍部隊に拘束された。
その後身柄は祖国が捕らえていた敵国の捕虜と人質交換されたこと。
祖国に戻った自分たちを待っていた屈辱、嘲笑、猜疑の目、そして受けた厳しい粛清の嵐。その失地を回復するために今回の行動を起こした。

「我々の作戦を汚らわしい能力で妨害した反動分子を捕らえ教育して、今度はその力を我々の為に使ってもら…何が可笑しい、貴様」 
愛の顔に笑みが浮かんだのを認めた指揮官の声が響く。

そんなことをペラペラ喋るあんたのバカさ加減が可笑しい、と嘲る愛。

「お前に明かしたところで何の問題もない、お前はここで死ぬのだから」
「ふん、自分らはいつも狩る側におると確信してるんやな、虫唾が走るわ。 であの子のことを知ってるのはあと何人おるんや」
「我々を妨害したあの能力者の正体は上層部にはまだ明かしていない。 あの娘がそうだという確信を持てなかったということもある。 
 あの娘の身柄を拘束した上で正体を明かすことで、その成果がより輝かしいものに映るという思惑もある。 
 月島きらりという存在はそれ自体に非常に大きな価値があるのだ。 それが我が国に仇為す憎き能力者だったなら一粒で二度美味しいということだ」

要するに・・・
「要するにここであんたらを全員消せば、あの子の力を知る者はこの世界には存在しなくなるっていうことやね」

愛の言葉の意味するところを理解した指揮官は、自分が話している相手が、これまでに遭遇したことのない存在だということに気付いた。
「お前は一体何者だ」
「私の名前は高橋愛、世界を壊す存在としてこの世に生まれた。 でも今はあの子の、小春の夢を守る」


小春の病室。愛に投げつけたテープを拾い、掌に載せている小春。
その胸に様々な思いが去来する…何かを感じたのか、辺りを振り返る。ドアが開き、誰かが入ってくる。
「一体何の用、この病院で何が起こってるの」
「ふん、精神感応を持たないお前でも何か感じるのか。 これが能力者の絆、共鳴というものか」
「何のことかよく判らないけど、誰かが泣いている、悲しんでるよ、まさか」

「A」が事実を伝える。
劇場占拠事件の犯人達がお前を狙ってやってきている。復讐の為というよりも、お前の力が目当てだろう。
あのバカ女はそいつらからお前を守ろうと戦っている、と。
まだ出会って数日しか経っていない愛が、自分のために危険を冒す理由を尋ねる小春。

あの女は言っていた、「自分は夢を見てはいけない人間だから、お前の夢だけは守る」と。
「そんなの勝手に自分の夢を私に背負わせてるだけじゃない。 それだったら何であの人はこんな悲しい声を上げながら戦ってるの」

「お前は何百万分の一の確率で、偶然に能力を持って生まれてきた、それはお前にとっては不幸なことかもしれないが、自然の摂理の中での出来事だ。 
だがここに一人世界を破壊できる史上災厄の人体兵器として生まれてくることを期待された人間がいた。
そいつを誕生させるための実験で失われた何百の生命、
そしてそいつが生まれてから奪った何百の命。
そいつはある時から兵器として戦う運命に抗って生きてきた。 
だがそいつは今自分で自分に架した枷を壊そうとしている。 お前が聞いた悲しい声とは、そいつが心の中で上げている悲鳴だろう。 何処へ行くつもりだ 」

病室を出ていこうとする小春に声をかける「A」。

決まってるじゃん、私はあの人に助けて貰う理由なんか無い。あの人にそこまでして助けてもらうなんて…

「動くな、私はあいつにお前を守ってくれと頼まれた。 
 あんなバカに指図されるのは気に食わないが、一旦受けたミッションはコンプリートしないとな」


無視して出ていこうとする小春の顔を「A」の操るヨーヨーが掠める。 
私は記憶しているぞ、久住小春。
あのバカにお前の精神を触れさせた時、わたしはこう言った。
代償としてお前の望む物をくれてやると。 
お前の望みは永遠の沈黙と静寂だった。
時系列ではあのバカよりもお前との契約の方が先だったな。
ヨーヨーの鋼線を手繰りながら小春ににじり寄る。

兵士達を一蹴した愛。倒れている兵士達の顔は驚愕と恐怖に歪んでいた。
愛は小春を救うためと思いながら戦いを楽しんでいた自分に困惑していた。
戦いが呆気なく終わってしまったことを物足りなく思っている自分に恐怖していた。
…こんな光景、人が沢山倒れている光景は前にも見たな、と思いながら精神の奥底の闇から沸いてくる更なる破壊と殺戮を求める声を抑えようとするが…
不意に飛び込んできた誰かの感情。
不安でたまらなくて誰かの助けを求めているような怯えた声が破壊と狂気の彼岸へ渡ろうとしていた愛を踏みとどまらせる。
小春…あんたに助けられたんか。
瞬間移動の力を発動し、小春の声の響く方へ跳躍する。

!!そこは砕け散った建材で一面が瓦礫の山となっていた。 
…計画が失敗した場合を想定して、前もって爆発物が仕掛けられていたようだな。
瓦礫を押しのけて「A」が現れた、その身体の下には小春が。
「本当に守ってくれたんか」

お前とこの娘の死骸を対面させるという選択肢もあった、そうすればお前は完全に壊れて、災厄の兵器として覚醒する。 
その方がこの旅の目的には即しているが…私は自分の言葉に拘束される、策略で騙すために最初から偽りを吐く場合を除いては。
私はこの娘の望むものをくれてやると言った。だがそれは永遠の沈黙でも静寂でもなかった。それを与えられるのはお前だけだ。
小春を立たせて愛に引き合わせると背を向けて去っていく「A」。
もうすぐだぞ、と言い残して。


えっと、あんたのことを狙ってる奴は全部やっつけた。
これであんたはまたスターへの道を歩める。最初は辛いこともあるやろうけど、人の噂も七十五日っていうての

違う、愛の言葉を遮る小春。 戸惑う愛に小春は自分の思いを告げる。

自分が芸能界で頑張ってきたのはお金のためでも、スターになってチヤホヤされたかったからでもない。
頑張った自分のことを心から褒めて欲しかった、優しい手で頭を撫でて欲しかった、暖かい胸で抱きしめて欲しかった、ただそれだけの為に頑張ってきた、ただそれだけのために。
小春の声に秘められた思いに気が付いた愛だったが…

それはできん。泣き出しそうな小春。
だってあーしは小春ちゃんの演技も歌も生で見てないから。
だのに褒めたらただのおべっかになるやざ。

小春は意を決したように閉ざしていた瞼を開く、その瞳は愛の姿をしっかりと捉えていた。
「高橋さん。 小春を助けてくれたお礼に、小春が最後に舞台で演じた役を見てください」
「特等席で見せてもらうわ」
小春の口から紡ぎ出される台詞を聞きながら、その所作を心地よさげに目で追う愛。
そんな二人の様子を窺う「A」。一瞬小春が病院着でなく舞台の衣装を着ているように映る。
唇を歪める、ノイズが発生したな。
そのまま去っていく、病院の通路を歩く身体はやがて光を帯びて粒子となって…

小春が愛に舞台の一幕を披露していた空間、小春が一人佇んでいる。
寂しげな表情、でもその瞳には強い光が。
やがて歩き出す小春、一歩一歩力強い足取りで。
私は一人、だけどもう独りじゃない。




鉄橋の下、段ボールや雑誌、新聞紙が散乱している。
スポーツ紙の見出しには、元月島きらり、「久住小春米アカデミーショー候補に」という文字が躍っている。
息を切らし逃げ転ぶ男。 動けなくなった男は橋梁の陰に隠れるが…
女が音も無く舞い降りる、許しを請う男、罪は償うから赦してくれと。
女は優雅な声で告げる…ねえ罪は償ったって消えるものでは無いんだよ。
あんたを裁いてあげる、私のジャッジメントアイで。
胸を押さえ苦しみだす男。
男への関心を失った女は目もくれず空を見上げる、その目は片方が金色、片方が血の色をしていた。
ねえ愛ちゃん 早く私を殺しに来てよ
ヘテロクロミアの魔人、後藤真希が常夜の世界で愛を待ち受ける。

【次回予告】

日の昇らない常闇の世界に辿り着いた愛は女子高生としてQED学園に通う。
学園に伝わる七不思議のひとつ、裁きの女神に能力者の影を感じた愛はその謎を探ろうとするが。
「私が後藤真希でキミが高橋愛なら、私たちは殺しあわなければならないんだよ」
モーニング戦隊リゾナンターR 第12話 「QED学園の怪」
世界を繋いで、全てを裁け