(28)266 『本当の裏切り者』

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本当の裏切り者は誰なのか?


闇に身を潜め、共鳴者と共に歩もうとした者か?
かつては共に歩んだ仲間を引き連れて闇に染まった者か?

もしくは、闇に身を投じる覚悟を決めたにも関わらず、共鳴者の行く末を案じてしまう者か?


今では誰にも分からない。
誰が正義で、誰が悪なのか。

ただ己の正義を信じ、目の前を阻む敵を倒していくのみ。
己の正義から見出した悪を切り取り、排除するべく立ち上がるのみ。


誰にも分からない真実。
誰にも分からない未来。

どこへと進む世界は、誰にも味方をせずに、運命を受けるのみである。

世界は、その手にかかっている。


    **


きっかけは何だったのか。
いつからだったのか。

世界のみぞ知り、運命を託される手は知らず。


金髪で長身の女性は考える。
この世界を能力者として生きている自分を視点として。

世界を動かしているのは誰なのか。
行く末の運命をその手に握る者は万人にあるのに、
本当は誰も握っていないかもしれない思いが頭を掠める。

そして世界の運命を決めるのは誰の手か。
世界が味方をするのは、もしくは選ぶのか。
誰も知らないそれは、当然女性も知らず答えなど出るわけもなく。



かつての同胞は変わってしまった。
かつての温かさを残してほしいという願いなど叶うわけもなく。

闇に染まり、闇の道を行き、いつか共に戦った仲間と敵対することに。
今では疑問を浮かべることはなく、ただ戦いに身を委ねる。

それでも戦いが終われば、言い知れぬ虚脱感が少しだけ残るのは、
本当は抵抗している状態なのか、はたまた完全に闇に染まり身を委ねたいと思う無意識の感情なのか。


立ちはだかる蒼き正義は、光を携えて闇が進む道を阻む。
ならば私は身を委ねた闇の為に、輝く蒼き正義を潰して道を行こう。


それしか方法の無い自分。
それしか歩む道が無い自分。

とうに捨ててしまった純粋なる正義。
万人が掲げるような蒼き正義。



本当の裏切り者は誰なのか?


今ではもう共鳴者となったかつての仲間は、
涙を流しながらも己の道を蒼き正義へと変えた。


闇への裏切り

しかし闇すらも、世界を裏切っているというのに…


本当の裏切り者は誰なのか?


 「…誰もが、そうなのかなー……」


金髪の女性は考える。
見上げる夜空に星は無く、映る瞳の色は深い闇だった。