301 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/03(火) 17:06:58 ID:Qogub4tq
mixiのヤンデレコミュで『ヤンデレ喫茶の同人誌作ろうぜ!!』って企画があった……はず。


302 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/03(火) 20:56:37 ID:bhK99rbs
>>297
こんな感じ? 


とある掲示板で、面白い書き込みを見つけた。


なぁ、みんな!
ツンデレ喫茶があるんだからきっとこれからはヤンデレ喫茶もメジャーになり、テレビに進出………………………………無理か。
きっと警察沙汰になるもんな


僕がよく覗きにいくスレッドの名前は『ヤンデレスレ』。
ヤンデレとは、『男性を愛するあまり心を病んでしまった女性』のことを差して使う言葉だ。
そのスレッドはなかなかの盛況ぶりである。
帰ってきてからこのスレッドでSSを読んだり、雑談するのが僕の毎日の楽しみだ。

それはともかく。

さっきの書き込みにあるように、ヤンデレ喫茶というものが存在していたら面白い、と僕は思った。
そこで、早速僕は行動を開始した。

比較的仲のいい友人二人に連絡を取る。
彼らは、都内某所のメイド喫茶に頻繁に通っている。
詳しく聞いてみたところ、友人Aは8回、友人Bは6回同じところに通っているという。
ちなみに僕も彼らに連れられて、先日までで4回ほど通っている。

ヤンデレスレに投下されたネタによると、10回通うと特別サービスということで
特別ケーキをごちそうされて、その後で監禁されてしまうらしい。

僕が『メイド喫茶に10回通って、監禁されるか試そう』とメールすると、
友人Aは『参加希望 ノ』と返信し、
友人Bは『ヤンデレにレイプされたいので参加キボンヌ』と返してきた。

そういうわけで、僕と友人二人でヤンデレ喫茶が存在するのかを検証してみようと思う。


303 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/03(火) 20:57:42 ID:bhK99rbs
都内の大通りから少し離れた場所にある、メイド喫茶が検証の場所だ。

初めてメイド喫茶に足を踏み入れたときは「父さん母さん生まれてきてごめんなさい」と思ったが、
実際にはただウェイトレスさんがメイド服を着ているだけのお店だった。
意外と普通のお店だな、というのがメイド喫茶に対する印象だった。
―とはいえ、気が引けるのは相変わらずではあるが。

それはともかく、さっそくメイド喫茶の扉を開けるとしよう。

からんからん、という軽いベルの音が扉の上から聞こえた。
そして、入り口の近くには白と黒の組み合わせが男の妄想を掻き立てる、
メイド服を着た女の子が立って、僕たちに向けて挨拶をした。

「お帰りなさいませ。ご主人様」

うやうやしく頭を下げた女の子の髪には、フリルのついたカチューシャが飾られている。
僕としては、このカチューシャがメイド服の一番素晴らしいところだと思う。
ちなみに、友人Aにそう言ったら、「メイド服といったらエプロンだろう!」と声を荒らげ、
友人Bは「はん! メイド服はロングスカートが最高なんだよ!」と吐き捨てた。

だが、なんと言われようと僕はカチューシャが好きなのだ。ここはゆずれない。
特に理由は無いけれど。

メイドさん(ここでは便宜的にそう呼ぶことにする)に案内されて、三人で同じテーブルにつく。
「何にいたしましょうか。ご主人様」
と、漆黒の長い髪を伸ばしたクールな印象のメイドさんが聞いてきた。
僕はアイスカフェオレを注文した。友人二人とも同じものを、と言った。


「お待たせいたしました」
しばらく待っていると、さっきのメイドさんがアイスカフェオレの入ったカップをトレイの上から一つずつ、
僕たちのいるテーブルの上にゆっくりと置いた。
「それでは、ごゆっくりおくつろぎくださいませ」
と言いながら頭を下げると、メイドさんは他のお客さんの接客へと移っていった。

アイスカフェオレに口をつける。
舌で味わって見る。が、特に変わった味もしなかった。
「まだ10回通っていないからだろう」と僕は思ったが、友人二人はどこかつまらなさそうな顔をしていた。

アイスカフェオレを飲んだ後、僕たち三人はお店をでることにした。

「いってらっしゃいませ。ご主人様」
髪の長いメイドさんが頭を下げながら、僕たちを見送った。

この日で、メイド喫茶へ通った累計回数は僕が5回、友人Aが9回、友人Bが7回になった


304 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/03(火) 20:59:37 ID:bhK99rbs
検証二日目。

もしヤンデレスレのネタが実現するとしたら、友人Aは今日監禁されてしまう。
それを理解しているからだろう。
友人Aはスーツを着てメイド喫茶へやってきた。
しかし、スラックスはしわだらけだし、ジャケットのボタンはほつれている。
はっきり言って、カッコ悪い。
友人Aにさりげなく注意してみたら、「あえて着崩すのがいいんだよ」と、薄く笑いながら言った。
僕は「それを言っていいのは着こなしを知っている人だけだ」と思ったが、あえて言わないでおいた。

大通りからわき道に入り、メイド喫茶の前にやってきた。
もちろん、今日の検証場所も同じ場所だ。

「おかえりなさいませ。ご主人様」
と、お決まりになった出迎えの台詞でメイドさんに挨拶をされた。
そのメイドさんは、一日目と同じ、黒い髪に真っ白なカチューシャが映える人だった。

カウンターのテーブルに三人並んで座り、先日と同じくアイスカフェオレを三人分注文した。
ネタが実現するならば、この後で友人Aの前には薬の入ったケーキが置かれるはずだ。

「お待たせいたしました」
髪の長いメイドさんがトレイを持って僕たちの前にやってきた。
そのトレイの上にはカップが三つあるが――ケーキが置かれていなかった。

それを見て、僕は「ああ、やっぱりか」と思った。
しかし、友人Aは首が折れたのではないか、というほどにうなだれた。
友人Bはいったいどれだけの肺活量があるんだ、と言いたくなるほどの長さでため息をついた。
しかし。

「ご主人様! お着物のボタンがほつれております!」
メイドさんが突然に慌てた声をだした。

「え、あ、その」と友人Aがしどろもどろになっていると、
「私が、すぐに手直しいたします!」
と言ってから、メイドさんが友人Aを店の奥へと引っ張っていった。
「もしかして、実験成功か?」と僕たちは顔を見合わせた。


そして、友人Aが店の奥へと引っ張られていってから一時間が経過した。
「このまま戻って来るな!」と僕は祈った。友人Bもそう思っていたはずだ。
いや、友人Aを嫌っているからではない。
もしこのまま戻ってこなかったら、ヤンデレスレのネタが実現するからだ。

数分待っていると、『チャーンチャチャンチャン チャーンチャチャンチャンチャーン』というメロディーが聞こえた。
『TAXI』のテーマソングは僕のメール着信音ではない。友人Bのものだ。
友人Bが届いたメールを確認する。――それを見た彼は、顔に深いエクボを浮かべた。
彼が僕に向けて、携帯電話の画面を見せる。

『おまいらさきにかえてろ』

……おそらくは、『お前ら、先に帰ってろ』と送るつもりだったのだろう。
つまり、一緒に帰れない、ということだ。そして、友人Aは店の奥に連れて行かれてこんなことになった。
これが意味することは――ひとつしかない。
都市伝説的なヤンデレ喫茶は、ここに――大通りから外れた場所にこそ、在ったのだ。

そのあと、会計を済ませた僕らは興奮をなんとか押さえ込み、
見送るメイドさんに見向きもせずに、店をあとにした。

この日で、メイド喫茶へ通った累計回数は僕が6回、友人Bが8回になった
友人Aは、監禁(?)されてしまったので、カウントしない。さらば――エプロン萌えの勇者よ。

305 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/03(火) 21:01:53 ID:bhK99rbs
とりあえず出来上がっている分を投下しました。
今日~明日で全て投下し終わります。

306 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/03(火) 21:05:44 ID:w5w+UrXk
友人Aどうした?!
面白いな、これ

待ってるよ!

307 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/03(火) 22:18:16 ID:lQdAvuTW
ていうか三次は基本的にだめだろ常識的に考えて・・・

ヤンデレが広まるとツンデレと同じ末路をたどるような気がする

308 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/03(火) 22:45:12 ID:q4P0y3Do
どれが三次だって?

309 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/03(火) 22:49:34 ID:PHaNfVPg
ヤンデレ喫茶だろ

310 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 01:39:48 ID:04qMFGEC
さがってるage

311 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:07:38 ID:7cbl3E8J
投下する。エロ注意。

312 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:08:30 ID:7cbl3E8J
検証三日目。

僕と友人Bは昨日に引き続き、またしてもメイド喫茶へとやってきた。
ちなみに友人Aとは連絡がとれなかった。そのため、今日は同行していない。
しかし、僕には――いや、僕と友人Bには確信があった。
「友人Aは、ロングヘアーのメイドさんに監禁されてしまったのだ」という、確信が。

そのため、僕と友人Bははやる気持ちを抑えつけるのにかなりの労を要した。
僕はアルバイト中、ずっとうわの空で過ごしていた気がするし、
友人Bは朝の5時に起きて、僕にメールを送ってきた。
『早く行こうぜメイド喫茶!』というのが本文だったが、午前1時に眠りについた僕としては実に不愉快だった。

ともあれ、今日も憧れの監禁に向かう一歩を踏み出すことにした。
具体的には、メイド喫茶の入り口のドアを開けた。

「……いらっしゃいませ。…ご主人様」
挨拶してきたのは、昨日入り口近くに立っていたメイドさんではなかった。
昨日のつややかな髪をした女性ではなく、どこかくすんだ印象のある黒髪だった。
髪型はボブカット。そして、縁無しの丸い眼鏡をかけている。
だが、もっとも印象的なのは、エプロンの胸元を押し上げている巨乳であった。

見るつもりはなくても、つい凝視してしまいそうになる。
友人Bにいたっては、誰が見てもセクハラにしか思えないような目でメイドさんを見つめていた。
主に胸を。彼の萌えポイントであるロングスカートには目もくれない。
所詮、彼にとってはその程度のものだった、ということだろう。
僕は彼女の髪に飾り付けられているカチューシャを見た。
――至福。メイドにはカチューシャがあればいいのだ。胸など、おまけの要素でしかない。

メイドさんの小さな声に導かれるようにして、テーブルにつく。
僕は、「昨日の髪の長い女性は?」とメイドさんに問いかけた。
「あ……実は、昨日付けで……、やめ、てしまったんです」
僕の問いに対して、彼女は僕の視線におびえるような震えた声でそう言った。

そのまま下を向きながら、
「ご注文は、その……何に、いた、いたしま、しょう……?」
と言った。
僕はアイスカフェオレを注文した。友人Bは、カプチーノを注文した。

メイドさんがおどおどとした様子で僕たちの前から去って言った後、
僕は友人Bに「なんで今日はカプチーノなんだ」と聞いた。
彼は、「彼女の顔を見ていたら、カプチーノを注文してしまったんだよ」と言った。
その後に、「あの眼鏡、そしてあの豊満なバスト……まるでカプチーノの泡のようじゃないか」と続けた。

どうやら、友人Bは眼鏡をかけた巨乳のメイドさんに惚れてしまったらしい。
そうでなければ、そんな意味不明な言葉を発するはずがないからだ。

その後、アイスカフェオレとカプチーノをそれぞれ飲み干し、店を後にする。
巨乳のメイドさんが見送ってくれたが、彼女の声は小さくて聞こえなかった。

三日目にして、メイド喫茶へ通った累計回数は僕が7回、友人Bが9回になった。
――明日、友人Bは10回目のメイド喫茶通いを達成する。

313 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:09:34 ID:7cbl3E8J
検証四日目。

僕と友人Bは大通りから横道に入り、ひとけの少ない路地を肩を並べて歩いている。
僕の右を歩いている友人Bは、タキシードを着ていた。
「なぜタキシードを着ているのか」と問いかけると、友人Bは首もとの蝶ネクタイをつまんだ。
「今日は俺の一世一代の晴れ舞台なんだ。そして……最後のな」と彼は言った。
僕は何も言わなかった。ただ、心の中で彼の言葉に同意だけすることにした。

メイド喫茶のドアを開けると、メイドさんが二人、向かい合って立っているのが見えた。
昨日の巨乳のメイドさんと、金髪ツインテールのメイドさんだった。
二人は実に対照的だった。
とても暗く、輝きの無い黒髪と、蛍光灯の光を反射するように輝く金色の髪。
エプロンの胸元を激しく隆起させている巨乳と、エプロンの形を崩さない貧乳。
その対照的な二人が、向かい合って口論をしていた。
「あんた! もっとはっきり喋りなさいよ!」
「ひぃっ……ごめ、ごめんなさい……き、気をつけます、から……」
どうやら、金髪のメイドさんが巨乳のメイドさんを叱っているようだ。

これはどうしたものか、と思っていると、突然後ろから大声が飛んできた。
「やめたまえ! そこのツインテールの貧乳メイド!」ということを言っていた。友人Bであった。
貧乳と言われたことに腹を立てたのか、金髪のメイドさんが友人Bを睨みつけた。
「何よ、このメイド萌えのオタク! 邪魔しないでよ!」
とてもメイドが言うような言葉ではなかった。――が、僕はあることに気がついた。
彼女は「ツンデレメイド」という存在である。
ツンデレ、プラス、メイド。萌え要素を無理矢理合わせたとしか思えない存在である。
事実、こうやって目にするとちっとも萌えない。

それはともかく。
友人Bは金髪のメイドさんの声に痛いところを突かれたのか、押し黙ったままだった。
そのまま居心地の悪い空気が続くかと思ったが、意外な人によってその空気は破られた。
「ごめ、ご、ごめんなさ、……ごめんなさい……ごめんなさい……!」
謝罪の言葉を述べながら、巨乳のメイドさんが立ち上がった。
くしゃくしゃの泣き顔をした彼女は友人Bの側を通り抜けて、店内から出て行った。
友人Bはしばらく呆けていたが、すぐにきびすを返してメイドさんのあとを追った。
僕も、とりあえずその後を追うことにした。
後ろで誰かに声をかけられた気がするが、この場では優先すべきことではないと思ったので、
彼らの後をそのまま追うことにした。

店内を出て、路地を見回しながら、友人Bと巨乳のメイドさんを探す。
―――いた。メイド喫茶の向かい側の店の、裏手で向かい合っている。
僕は彼らのもとに近づこうとした。が、すぐにためらった。
友人Bが、メイドさんの眼鏡を外して、ポケットから取り出したハンカチーフで彼女の涙を拭っていたからだ。
友人Bの唇が小さく動いた。彼女に向かって、何かを言ったようだった。
すると、メイドさんがまた涙を流して、友人Bの背中に手を回して、抱きついた。
友人Bはメイドさんの黒髪をいとおしげに撫でている。
――それは、父が我が子を泣き止ます仕草にも見えた。

邪魔をするのも野暮に思えたので、僕はその場を後にして、家路につくことにした。
もし、今日のことをカウントするならば、メイド喫茶へ通った累計回数は僕が8回で、友人Bが10回ということになる。

314 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:10:56 ID:7cbl3E8J
検証五日目。

僕は今日もメイド喫茶にやってきて、アイスカフェオレを注文した。まだ届いてはいない。
携帯電話を見る。メールの着信も、電話の着信もなかった。携帯電話をポケットにしまう。
僕が誰からの連絡を待っているのかというと――友人Bからのものだ。
昨日、帰ってからも連絡をしたのだが、なしのつぶてだったのだ。

その原因がなんであるか。それはわかっている。
――自分達が原因である。
『メイド喫茶に10回通うと監禁される』。
ヤンデレスレで語られたネタを真に受けて実行してみれば、この通り。
友人Aは黒髪のメイドさんと、友人Bは巨乳のメイドさんと一緒に消えた。店内に彼女の姿が無いからだ。
消えた、という表現は正確ではない気もする。
僕の見える場所から居なくなっただけで、彼らは――おそらく――この世界に居る。
ただ、見えないだけなのだ。つまり、それが『監禁』というものの実態である。

しかし――考えてみればなんでもないことにも思える。
世界が狭くなっただけなのだ。そう。ただ、男と女の二人だけしかいない世界に変わっただけ。
とはいえ、僕としてはそれは好ましくない。
僕はただ、ヤンデレ喫茶が存在するのかを検証したかっただけだ。
友人Aや友人Bのように、監禁されたかったわけではない。
僕は家族や友人、そして、社会に住む人々との世界を望む。

だが――今僕は監禁されるかもしれない、という状態に置かれている。
今日この店を出てから、明日ここに来れば、僕はきっと監禁される。
そう考えると、店内を優雅な足取りで歩くメイドさんたちが恐ろしく見えてきた。
彼女達は、僕を監禁しようとしているのではないか。という疑心暗鬼にとらわれる。

――もう、やめよう。
ここまでやったらもう、疑う余地はない。『ヤンデレ喫茶は実在する』のだ。
あとは、それをヤンデレスレに書き込めばいい。
『俺の友達が10回メイド喫茶に行ったらいなくなっちゃったよ』と書き込めば、全ては幕を下ろす。
そのあとで適当にスルーされてしまえば、心のもやもやもなくなるはずだ。
――さらば。友人Aと友人B。

椅子から立ち上がると、金髪のメイドさんが僕の前にアイスカフェオレを持ってきた。
「あ……これ、いらないの…?」
トレイにはアイスカフェオレが注がれたカップが乗っている。
先日までは味わって飲んでいたそれも、いまとなっては恐ろしい毒物に見えてくる。
僕は「いらない」とだけ告げて、レジに立っているただ一人の男性ウェイターにお金を払う。
そして、店をでるためにドアを開ける。
と。

「待って! ……行かないで、お願い……また、ここに来て――来て、下さい……」
金髪のツンデレメイドが僕のシャツの裾をつまんでいた。
その姿を見ていると、そのままお持ち帰りしたくなる。
だが、それをしてはいけないのだ。監禁されるなんて、僕は御免だ。

全力で走って店を出て、路地を駆け抜け、大通りに出る。
これで、メイド喫茶に行ってから通算9回目。しかし、もうあの店にいくことはない。あっては、ならない。

315 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:12:11 ID:7cbl3E8J
自宅の前までようやく辿り着いた。
メイド喫茶から立ち去ったものの、さっきの金髪メイドが追ってきているかもしれない、
と思うとゆっくり歩いて帰ることができず、自宅前まで走ってきたのだ。
これなら、後をつけられたとしても、さすがにわかるまい。
僕はこれでも逃げ足だけは速いのだ。
高校では陸上部のエースとして慣らした足だ。そうそうなまるものではない。

ふと、時刻が気になった。
ジーンズの後ろポケットに入れた携帯電話を取り出そうと、手を入れる。
しかし――そこには何も入っていなかった。
走ったばかりで温まっていたはずの体に、冷たいものが走る。

どこで落とした?走っているときか?――もしそうだったら、僕でもさすがに気づくはずだ。
次に考えられるのは、どこかに忘れてきた、ということだ。
たしか最後に携帯電話を見たのは、メイド喫茶だった。
そうだ。そして、後ろのポケットに入れた。それは覚えている。
その後、勘定を済ませて、それから――――あの、メイドさんにくっつかれた。
ということは、彼女が僕に近づいたときに掠め取ったのか?

もし、そうであればまたメイド喫茶に行かなければならない。
そして――――そのとき僕は、あの店に10回目の靴の跡を残すことになる。
結果、僕は監禁される。
相手は、おそらくあの金髪のツンデレメイドだろう。
彼女以外に話をしたメイドさんはあの店にはいない。

携帯電話を放置しておいたら、他人に悪用される可能性もある。
それは良くない。
この情報化社会で情報を漏らすことは、人間関係にも悪影響を及ぼす。

そこまで考えて、僕は決断した。
――もう一度だけ、あのメイド喫茶へ行こう。

もちろん行くだけだ。
男性のウェイターさんに声をかけ、ツンデレメイドから携帯電話を返してもらう。
拒否されたら、その場合は警察に連絡をすればいいのだ。
あのツンデレメイドには近づかない。
それさえ守れば、僕が監禁されることはない。


僕は、もう一度メイド喫茶へ向かうために、さっき走ってきた道を引き返すことにした。


316 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:14:00 ID:7cbl3E8J
メイド喫茶についたとき、玄関には『CLOSED』の札が張り付いていた。
おかしい。まだ太陽は沈んではいない。
どう考えても、普通の喫茶店が閉店するような時間ではない。(メイド喫茶が普通かどうかは置いておくとして)

――店が閉店していては、どうしようもないな。
そう思い、立ち去ろうとしたら。
『キィィーーー』
という音を立てて、ドアがゆっくりと開いた。
そして、ドアが開ききったとき、僕はおかしなものを見た。

「う、うっうっうぅぅ……」

金髪のツインテールをしたメイドさんが、立ったまま、顔に手を当てて泣いていたのだ。
彼女の足元には、トレイと、それの上に乗せられたコーヒーカップがあった。
カップにはキャラメルのような色をした液体――カフェオレが注がれていた。
おそらくは、僕が注文したカフェオレだろう。
だが、何故それを今までカップに入れたままにしているんだ――?

「私のいれたカフェオレ……どうして、飲んでくれないの…?
なんで? 私………が、私が悪いの? ……あなたに、なにかしちゃった?
いつも、来た時には飲んでくれたの、にぃ……どし、て……?
私が、いれた、い、れ…ぁ…う、ふぅぅぅ、うう、う、う………」

彼女は、両手を顔から離して、僕に向かって消え入りそうな声で語りかけてきた。
僕はその姿に――ヤンデレヒロインの影を見た。
健気で、惚れた男のために懸命に尽くす、心を病んだ女性たち。
そして、主人に奉仕するメイドという職業。
僕には、その二つがどこか似通った部分があるように思えてきた。

気づいたら、僕は歩き出していた。
大きな目から涙を流す金髪のメイドさんの元へ向けて。
何も考えられなかった。
――彼女のその涙を拭いたい。
それだけしか、考えられなかった。

そして、僕が店内の床に右足をつき、次に左足をついたとき。

ばぁん! と真後ろから大きな音が聞こえてきた。
振り返ると、ドアが閉まっていた。
ノブをひねる。押しても、引いても、開かない。

鍵がかかっていた。


317 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:15:09 ID:7cbl3E8J
「あぁははは……あぁはははははは……やったぁ……ヤァッタァァァァ!
これで、これでこれでこれで! あなたはわたしの、わたしはあなたのものよ!」
笑い声に振り向くと、金髪メイドが大きい目をさらに大きく、目玉が飛び出すのではないか、
と思うほどの大きさにして、僕を見つめていた。
僕は、呼吸が重くなるのを感じた。

「うれしい。とぉっても、すっごく……うれしい。
ううん。言葉になんてできないし……、言葉にするなんてもったいない。
この想いは、私の! 私の! 私だけのものよぉ! そして! あなたもぉ!
ねえ、うれしいでしょ? ねえ。ねえねぇねえねぇねぇーーーーーーーー!」
金髪メイドが僕の肩を掴んだ。
そのまま、前後に揺らす。
だんだんと、その動きが早くなっていくのがわかる。
そして、僕が気持ち悪くなり、酔いそうになったとき――足払いをかけられ、仰向けに倒された。

金髪メイドは倒れている僕の胸の上に腰を下ろし、馬乗りになった。
彼女の右手にはコーヒーカップが握られている。

「さあ……召し上がれ」

そう言うと、彼女はとても美しい金髪の上から、カフェオレをかぶった。
ばしゃり、と。
勢い良く。ためらいなく。

それは彼女の金髪を伝い、幼さの残る顔の額、こめかみ、鼻の横を通り、彼女のメイド服を濡らしていく。
その顔を拭いもせず、彼女は僕の唇に、自分の唇で――くちづけた。

唾が、まず入った。
はじめのうちだけカフェオレの味がして、その後は甘くも苦くも辛くもなく、舌に泡の感触だけを与えてきた。
僕がそれを飲み込まないように必死に喉を引き絞ると、彼女は両手で僕の脇に指を当てて、くすぐった。
すると、引き絞っていた喉の力がほんの少しだけ緩められて、彼女の口液が喉の繊細な部分にかかった。
たまらず、僕はむせた。
一回、二回と咳き込む。僕と彼女の唇の結び目から唾液があふれ出した。
それでも、金髪のメイドは唇を離さない。

今度は、舌を入れられた。
小さい舌だった。僕がいつも口内に擦り付けている、自分の舌ではなくて、もっと細くて、
もっと薄い、それでも温かい熱を持った舌だった。
口内で蠢くそれは、上顎、下顎の順に歯茎をゆっくりと這いずり回る。
舌の裏に、ざらざらとした感触が生まれた。
時に細かく、時に素早く動く彼女の舌が僕の顎の筋肉を弱らせていく。

「ん……ふふふぅん♪」

金髪メイドは僕から顔を離すと、唇を結んだまま、鼻でわらった。

318 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:16:30 ID:7cbl3E8J
右手をつかまれた。
そして、馬乗りになっている彼女の左足の下を通り過ぎると、彼女のスカートの中に持っていかれた。
僕の手の甲と、彼女の掌が重なる。
そして指の一本ずつに、それぞれの指を添えられた。
人差し指と、中指が動いて、彼女が身に着けているパンツの上から、秘所を弄らされる。
僕の指が曲がると、彼女が両足で僕の両脇を締め付け、指が秘所から離れると軽く腰が浮く。
まるで、僕の指と性行為をしているかのようだった。

金髪のメイドは腰を動かしながら、空いている右手でブラウスのボタンを外そうとし始めた。
しかし、腰を動かしていて、さらに焦点の合っていない目では上手く外せないのか、もたついていた。
「……こうしちゃお♪」
僕の左手を掴むと、またしても指を添えて、ブラウスのボタンとボタンの間に、僕の指を差し込んだ。
そして、彼女は一気に腕を下ろした。
ぶちぶち、という音がして、ボタンがちぎれてブラウスとエプロンがはだけ、
勢いよくおろした指の勢いに負けて、ブラジャーまでがずれた。
彼女の決しておおきくない乳房には、ピンク色の乳首があった。
白い肌の上にあるそれは、雪の上に落ちた桜の花びらのようだった。

金髪の雌は僕の指を操作し、右の乳首をつまませた。
その途端、彼女の口から小さな声が漏れて、僕の指にはぷにぷにとした肉の感触があらわれた。
僕の指を使って乳首を押し込み、つまみ、そのまま上に下に、左右に弄る。
物足りなくなると、今度は左の乳首をつかって同じことを繰り返す。
僕の胸の上で暴れる腰はでたらめな動きになっていった。
前に動くと思ったら、腰で円を描き、左にいくかと思ったら上へと動く。

「あっん! も……ふぅ、あっ! …………あはっ♪」
金髪のメイドは胸の上から腰を浮かせて、後ろに下がっていく。
そして、すっかり硬くなっている僕の股間を軽く撫でた。
「…・・・これ、いただくわ……」
そう言うと、彼女は僕の身に着けているベルトを外し、ジーンズを膝まで下ろした。
その次は、僕の下着までも、ずらした。

それまで衣服の上に圧迫されていた陰茎が開放される。
すぐに金髪メイドの小さな手がそれを覆い隠す。そして上下に動かしだした。
すかさず、自分の口からうめき声が漏れた。
冷たい手の感触と、乱暴に動き出していく、速度さえもいびつな上下運動。
陰茎が、どんどん伸びていくような気がした。
腰の奥に溜まっていたものが引っ張り出されて、限りなく伸びていく。


319 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:18:56 ID:7cbl3E8J
――が、突然その動きが止まった。
思わず、「なんで」の「な」までを口に出してしまった。突然、竜巻のような快楽から開放されたからだ。
「だ、め、よ。……全部、なかにいれてぇ。中にぜぇんぶ……、だしてもらうから」
そう言いながら、彼女は右足だけを上げて、ショーツを脱いだ。
笑いながら腰を動かし、淫裂を陰茎にそって這わせる。

それを幾度か繰り返すと、垂直に立つペニスを秘所で後ろに押し倒しながら、
亀頭を彼女の入り口にぴたりと当てる。
腰をゆっくりと回しながら、彼女の下の口が陰茎を少しずつ咥えていくのが感じられた。
途中で、軽く引っかかりを感じたが、金髪のメイドはさらに笑顔を愉悦に歪め、そして――腰を落とした。
うめき声や、叫び声は出さなかった。
むしろ、笑い声の大きさがさらに増えた。
僕と彼女は、そのとき完全に繋がっていた。
僕にも彼女にも、その場所自体がスカートに隠されていて見えてはいなかったが。

金髪のメイドは髪を振り乱し、肩を上下させ、腰を乱暴に振りはじめた。
乱れていく。僕の意識が。
乱れている。メイドの体も、呼吸も、笑い声も。
締め付けられると陰茎が爆発しそうに思えるほど膨らむのに、
今度は緩められて快楽を遠くへと追いやっていく。

「あっは、は、はあぁ、あっすき、すきぃ…好きよぉ……おっ!」
彼女の動きは、止まらない。
がくがくと顎が上下に揺れて、頭も前後に振られている。
背中と、肩は入れ代わるように前へ行ったり、後ろへ行ったりあわただしく動く。
腰はどんな方向にでも動いた。
上と下、前、後ろ、斜め、横。
ときには、腰を回す動きをする。そのとき、彼女の上体は腰を中心にして円を描く。
首をがっくんがっくんと動かしながら、哄笑をあげながら。

そして、とうとう――僕に限界が訪れた。
僕は、全力で喉から声を絞り出した。
足、背中、腹、腰。全てに溜まっているものが陰茎の出口から精液とともに吐き出される。
その全ては、金髪のメイドの膣内に注がれた。

「あたしぃ、あなたの……くひ、ひく、くひひ……こども、うむ……からね……」

その言葉を聞いて、僕は完全に、自分の立場を理解した。
僕は――ヤンデレメイドに縛り付けられた。

別の言い方をすれば、金髪メイドに監禁されたのだ。――――完膚なきまでに。





320 名前:ヤンデレ喫茶は実在するのか? ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/04(水) 02:21:32 ID:7cbl3E8J
終わりです。

>>297さん、三スレの小ネタを書いてくれた方。
勝手に使用してすみませんでした。

321 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 03:43:57 ID:lYE8XNXW
イヤッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!
GJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!

322 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 06:16:07 ID:aCH5DjRu
ツンデレ喫茶:営業。ツンデレはポーズ
ヤンデレ喫茶:マジ。ヤンデレの素質がある子を雇う。
むしろ店員が気に入った子を拉致るタメの店、か。

323 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 11:55:26 ID:oZdnnlcH
ヤンデレ喫茶KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE

324 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 12:23:12 ID:UroiYnml
これはシリーズ化希望ですねww
主人公とヒロインを変更して常に違うお話を作ることも可能だw

巨乳メイドと友人Bが気になるのは俺だけかww

325 名前:297[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 13:02:17 ID:m1shhhk+
>>320 いやこちらとしても本望だ。ありがとう!

にしても……俺もう軽い気持ちで喫茶店入れねぇ

326 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 13:14:33 ID:5R7paCl3
>>324
やべぇ、俺今9回目なんだが
今週行くべきか行かざるべきか…

327 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 13:36:08 ID:c1Gv0uWs
大丈夫大丈夫。女友達とか女兄弟連れてって牽制させれば大丈夫

328 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 13:38:06 ID:rILAVw8l
>>326
お前に「行かない」という選択肢は無い

329 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 13:48:00 ID:m1shhhk+
>>327 バカ!お前、女友達も女兄弟も解体されてハンバーグの材料になっちゃうだろ!!

330 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 14:54:27 ID:Q5/0i2ba
それ以前に、嫉妬深いキモ姉やキモウト、キモ馴染みだったらそんなところ行かせてもらえないんじゃね?

331 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/04(水) 15:46:31 ID:DbqBhUSj
>>330
つか、そんなのが居るなら行く必要なくね?


332 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 15:49:23 ID:tFwEAo8O
>>331
頭良いな。おまえ

333 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:00:32 ID:oZdnnlcH
嫉妬深いキモ姉やキモウト、キモ馴染み自体この世に存在しなくね?

334 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:02:55 ID:n5PIcIn1
その通りだ

335 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:11:09 ID:FVMIoh8U
>>333
ブラコンな姉なら存在しているが・・

336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:27:26 ID:aCH5DjRu
しかし、だ。こんな風に都合よくヤンデレ少女をどうやって雇ってるんだ。
条件としては、
・客に惚れるんだから現在彼氏なし。つまり、雇う時点でヤンデレではダメ。
・惚れっぽいが一度惚れたら絶対にその人に一途。
・惚れたら手段を選ばない。
こんな人を雇うべきだ。
そして、好きな人が10回来たら持ち帰っていいと教え込む。

あれ?もしかすると、あえて罠をしかけて10回通うようにしてるんじゃね?
逆に気に食わない男は中々店に来れないようにしてなwww

337 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:29:40 ID:4FnIxPkB
あんま深く考えないほうが吉ってばっちゃがいってた

338 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:34:46 ID:lYE8XNXW
ヤンデレはヤンデレに引き寄せられるってばっちゃがいってた!

339 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:45:46 ID:m1shhhk+
おばあちゃんが言っていた。
世界は自分を中心に回っている、と

340 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 16:46:48 ID:m1shhhk+
さらにこうも言っていた。
その方が楽しい、とな

341 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 17:15:55 ID:m1shhhk+
書き込みミスしたー

ちょっとヤンデレ喫茶行ってミンチにされてくる。
みんな、ごめん

342 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 18:47:09 ID:wlxoz18X
その喫茶店は実は時空の狭間にある「ヤンデレ界」に属しているんだよ
いまだ最愛の人を見つけられずに居る潜在的ヤンデレは自然と引き寄せられるのさ

343 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 19:58:10 ID:PNxzaUaF
ヤンデレ喫茶って10回も通えば・・監禁してくれるのか・・
自分のためにヤンデレ化してくれる女の子は責任とって付き合うぜ!!
というわけでその場所を教えてくれないか?

344 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 20:08:23 ID:aCH5DjRu
>>343
店員に気に入られなきゃ10回目行けずに終わりだからな。

俺なんか10回目行こうとしたら何かしら災害や妨害に見舞われる。
>>336の最後の1行はマジだった。

345 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 20:20:42 ID:UhnyUmAu
ええい、まだるっこしい!
そのヤンデレ界とやらに行ける、銀河鉄道の切符を俺にくれ!

もちろん片道でいいから

346 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 22:34:39 ID:5R7paCl3
ふと思ったんだが、

女、男がメイド喫茶に行っている事を知る

自分以外の女が男にベタベタするのが許せないので、そこでバイトする

店、女の熱意に打たれ男が10回来客したら「お持ち帰り」して良いと言う

女、約束通り男を「お持ち帰り」
想い人のいる友達にこの事を話す

以下、無限ループ

347 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 23:15:41 ID:ORukf7MX
実の黒幕は店長だな……。
おそらく店長はヤンデレの素質を見切る慧眼を持っている。

そして、スマートに明るい未来へと誘導するための、
さりげない言葉の投げ掛け方もマスターしていると見た。



348 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 23:44:48 ID:aCH5DjRu
>>346
そこいらの話も読みたいなぁ。
表向きは普通のメイド喫茶を装い、ヤンデレ少女の恋の手助けをする。
ただ、何度も通う人に都合よく恋する人がいるのか、
逆にヤンデレの恋する相手を都合よく喫茶店の常連にできるのかが難しい。

まあ、最初はダミー用の予め用意された普通のメイドがいるよな。
だが、店長が男だとダミーメイドに計画が知られた途端、逆に自分が狙われて持ち帰られたりしてな。

349 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/04(水) 23:49:32 ID:5kyVKZ2P
いや、俺ならば仮令女店長でもその可能性は否定しない。

350 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 00:24:28 ID:5lRL2Fmz
>>349
なんのこっちゃ

351 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 00:28:05 ID:5lRL2Fmz
とりあえず、ヤンデレスレにヤンデレ喫茶の情報を書き込み、
【俺】、友人A、友人Bを喫茶店に通わせるようにしかけたのは、
彼らを狙ってた長髪、巨乳、ツインテールのメイドって事でFA?

352 名前: ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/05(木) 01:09:56 ID:NS2FAo27
>>324
それじゃ、おまいらの妄想と俺の妄想を混ぜてまたお話を書くことにするよ。

353 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 01:16:47 ID:jp+SlvaG
>>352
∧_∧
( ・∀・)ワクワク
oノ∧つ⊂)
( ( ・∀・)ドキドキ
∪( ∪ ∪
と__)__)


354 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 01:18:54 ID:Tfj6q6qw
神降ろしじゃああ

355 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 03:14:08 ID:dhFU8Zum
誰か俺の気持ちに答えてくれーっ!!!!
ヤンデレ喫茶はーっ

356 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 03:27:42 ID:ZSflysQN
なんかアウターゾーンのミザリーみたいな店長を想像したんだが
ヤンデレの素質がある女の子の前にふらりと現れてヤンデレ喫茶に
勧誘するんだ。その一方で男のほうもヤンデレ喫茶に誘導

357 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 09:27:52 ID:YVIfEc41
>>355
王者のエロよっ!


358 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 10:09:36 ID:4xBz1KzQ
勧誘の場合こんな感じか?





「ねぇ、君!
今好きな人いるでしょ!おじさんにはわかる!!伊達に生きてきたわけじゃない。おじさんの目は確かだよ。
あっ!君の恋路の邪魔をする泥棒猫や女狐が彼の近くにいるでしょ?
ほら、おじさんの目に狂いはない。
彼との2人だけの世界が欲しいんでしょ?でしょ?でしょ?
やっぱり!!
おじさんが協力してあげる。
えっ?どうするかって?
簡単、簡単。おじさんの店で働けばいいんだよ。
おじさんが、君の意中の彼が店にくるように仕向けるよ。彼が10回店に来たら、君は解雇だ。そして退職金のかわりとして、彼をお持ち帰り。好きなようにしていいよ。
ん?そんなことが許されるのかって?
ほっといたら、彼は醜い泥棒猫どもに汚されちゃうよ?
君のもののはずなのに、どんどん遠くに行っちゃうよ。
ね、いやでしょ?
そうそう、もちろん給料も出るよ。
働く気になったって?もちろん大歓迎さ!!
これからよろしくね!!
どうしてそこまでしてくれるのか?
おじさんはこんななりだけど恋のキューピッドだからさ!!」




店長が病んでるように思えてきたぜ。

359 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 10:17:41 ID:Qm98JzkY
>>358
,,,,,,,,,,,,,,,
ノ。;:,,:;,.:。;ヽ
/;,.';:. /, ’ .,;,;ヽ
(:;,.(:.;_.,;:_,;:);,..,/
ヾ,.;,:.;`:,:..,;:,,/
店長予想図

360 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 10:19:18 ID:Lq4YSlFq
>>358
それなら店長を女性にするとか(もちヤンデレ)

361 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 10:49:47 ID:5lRL2Fmz
>>360
いや、>>348のような展開なら男性でもあり。

362 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 10:52:57 ID:HsryTF/w
466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 01:24:50 ID:7pxgBqcn

「お姉ちゃん・・巴君に言っておきたいことがあるんです」
「何だよ」
「どうして、巴君はお姉ちゃんの部屋に夜這いを仕掛けて来ないの?
全国の弟の皆様は問答無用にお姉ちゃんを襲うために布団に入り込むのに」

「いい歳して姉の寝床に入り込む人間はいないだろうが」
「そんなのダメですぅ!! 巴君は若い性欲を受け止めるのは世界でただ一人だけなのよ
他の女の子に痴漢やレイプすれば、亡くなったもとい、弟と夢の二人暮らしのために
謀殺したお父さんとお母さんに顔向けすることができないわ」

「いや、ちょっと待て。数秒待て・・。今、とんでもないことを言わなかったのか」
「そ、そ、そんなお姉ちゃんのことを性欲に飢えた狼の瞳で見つめないで
恥ずかしすぎるぅぅぅよぉぉぉおぉぉ!!」
「華麗にスルーしやがった・・このクソ姉」
「巴君・・乱暴な言葉遣いしないの・・。さあ、お姉ちゃんがベットの中で
大人の保健授業を教えてあげるから♪」
「うん。全力でお断り致します」
「そ、そ、そ、そ、そんな。実の姉、義理の姉、血の繋がらない姉に欲情しない
弟は不潔よ。不潔よぉぉ!! 巴君はそんな悪い子じゃないよね?」
「残念ながら・・最近、嫉妬スレやヤンデレスレを見て悟ったことがあるんだ」
「何かな?」
「キモ姉というのは弟の事を考えずに激しい独占欲と嫉妬心で檻に閉じ込めるのがスタンダードらしい。
これはあるある捏造なんてレベルを遥かに超えている都市伝説なんだけど・・

姉は違うよな?」

「・・・・檻に閉じ込めるなんて・・そんなことは全国にいるお姉ちゃんなら誰だってやっていることじゃない!!」

「((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル」

「愛しい弟に近付く泥棒猫から守るためには家から一歩に出さないわ。プライベートも巴君の自由な時間すらも
お姉ちゃん権限で全て管理してあげるよぉ・・。ずっと、お姉ちゃんは巴君の傍から離れないわ」

「ま、ま、まさか。キモ姉は実在していたのか・・」
「うふふふ・・巴君巴君巴君・・お姉ちゃんだけの巴君・・」

「ちょっと待ってよ・・本気で俺を檻に閉じ込めるのか?」
「お姉ちゃんの布団で肌と肌を重ね合うように抱きしめてくれるなら
檻に閉じ込める件については保留してもいいですよ」
「保留かよ!!」
「嫌なら今すぐにこの時のために作った地下牢の中に閉じ込める」
「ううん・・俺も今すぐにお姉ちゃんと一緒に寝たかったんだよ」
「やったぁーーー!! じゃあ、お布団の中に入ろうね」

結局、キモ姉を持っている弟は絶対に逆らうことができないだろうと
俺は姉の暖かなゆりかごに包まれながら、意識は遠くなって行った


キモ姉SSをちらりと書いてみた
今は猛烈に反省している


ヤンデレスレ向けのネタがあったから転載してきた
キモ姉サイコーーーー!!

363 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/05(木) 11:29:52 ID:IJ3OTuT5
修羅場に出てたやつか…

364 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 12:16:37 ID:9vR8WUur
>>358
全身痙攣!

365 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 12:18:16 ID:YVIfEc41
>>364
見よ!

366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 12:46:43 ID:wcmF69gv
>>362
何このキモ姉・・・テラモエス

>>364
監禁室は血で染まっている!

367 名前:>>364と>>365の間に…[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 13:58:17 ID:9vR8WUur
電波狂乱!

368 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/05(木) 21:59:39 ID:LecRitZn
社会人になっちゃってからこのスレを離れていたが…
やっぱ無理やーーー!!ヤンデレがない生活なんて考えられない!!


369 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 22:00:42 ID:LecRitZn
間違ってageちゃった。やっぱ疲れてるみたいだ…

370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 22:11:33 ID:x4RNbPa8
最近とある喫茶店でバイトしていたのだが、9日働いたらクビになってしまった。

そしたら先程そのバイト先から、また来てくれと連絡があった。

次であの喫茶店に行くのは10回目。


まさかな……………。



371 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 22:44:10 ID:4xBz1KzQ
>>370 お前はすでに死んでいる

372 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 22:53:43 ID:bTlG1StJ
南斗水鳥拳

373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 22:57:57 ID:x4RNbPa8
>>372
効かねえよ。
肌に粗塩を擦り込んであるからな。

古代のベアナックルの選手は、そうやって切れにくい肌を作ったものさ。


バイト行って来まーす!

374 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 23:18:03 ID:r9nm0KRu
一週間後―そこには元気に監禁される>>373の姿が


「まさか、あの人が私のものになってくれるなんて思っていませんでした。
店長にはとても感謝しています。」

375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 23:29:24 ID:4xBz1KzQ
373に敬礼!!

376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/05(木) 23:44:42 ID:5lRL2Fmz
待て、男のバイトは何で雇うんだ。

377 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:03:10 ID:yZP5QFvh
監禁するために決まってるじゃないか

378 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:19:02 ID:qT8bVEa2
>>373はきっと扉を開けたのだよ。

379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:44:28 ID:wP2+pi59
>>376
「店長さん、実は秘密にしてたことがあるの。」
「どうしたの?〇〇ちゃん。怒らないから言ってごらん。」
「実は私の好きな人はお客さんじゃなくて同僚だった人なの。
その人の名前は―」
「>>373さんだね?しかも一目惚れ。」
「?!」
「なんで知ってるの、って顔してるね。おじさんを見くびってもらっちゃあ困るなぁ。
言ったでしょ?
君の意中の彼が店にくるように仕向ける、って。
なにも客としてだけなんて言ってないよ。」
「じゃあ、なんで彼をクビにしたんですか!!
もう会えないかもしれないじゃないですか!!!」
「落ち着いて。彼にもう一度店で働かないかって電話したから。
一度クビにしたのは彼に君との世界以外のものとお別れさせるため。
たぶん、もうすぐ来るさ。
あっ、ちょうど10回目になるからあなた達2人は寿退職だ!
おめでとう!!
幸せになるんだよ。おじさん、応援してるよ。」




きっとこういうことがあったのさ

380 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:50:29 ID:oKsZ0FHK
そんな店長もありだったかな、と思いつつ、少しだけ投下。

381 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:51:33 ID:oKsZ0FHK
俺は、メイド喫茶の店長というものをやっている。

店長という肩書きが引っ付いているが、実際店を回しているのは副店長で、
俺は椅子に座っているだけで、何も(と言っちゃなんだが)していないようなものだ。

俺がやっていることは、モニタを見ることと、スイッチを押すことと、メールを見ることだけ。
ひとつずつ説明していこう。

まずはモニタについて説明する。

モニタには、喫茶店の、内外の様子が映っている。
つまり、仕掛けてある監視カメラの映像を見ているのだ。
事務所の中に置いてあるモニタの数は6つ。

喫茶店の入り口から路地を見渡すように一つ。
店内に四つ置いてあるテーブルをそれぞれ監視するために、四つ。
カウンター内にいる店員の頭上からカウンター席を望むように、一つ。
いずれも、客が不審な行動をしていないかを監視するために設置されている。

たとえば――入り口に一番近い位置にあるテーブルに座っている若い男。
文庫本などを読みながら、注文の品が届くのを待っている。
たった今、本を畳んでしおりを挟み、それをテーブルの上に置いた。
大きく伸びをして、あくびをしている。
誰にも見られていないと思っているのだろう。
天井に顔を向けながら、顎が外れんばかりに口を開けている。
しかし、監視カメラを見ている俺からは、男の口内がよくわかる。

店員のメイドの一人が、トレイの上にカップを乗せて男のいるテーブルにやってきた。
男はあくびをやめて、腕をテーブルの上に置いた。
テーブルの上に置かれたカップを左手で持ち、唇をつけた。
そして、ソーサーの上にカップをもどすと、また文庫本を手にとり読み始めた。
店員はそのテーブルに背を向けて、立ち去った。

男は文庫本片手に、カップの中にある液体をちびちびと飲んでいる。
どうやら、まだこの男は10回目に達していないらしい。
普段ならこの時点で眠気を催して、テーブルに突っ伏しているからだ。
もしくは、店員がテーブルに近づいた時点でカップの中身を男にぶちまける。
その後で、その男は店の奥に連れて行かれるはず――おや?


382 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:51:43 ID:yLs1zJQn
ツンデレ喫茶が完全予約制のように、
ヤンデレ喫茶は選ばれた男性しか来られないんだろうな。
何も知らない人がやってきた場合、どうしていいかわからんもん。

383 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:52:33 ID:oKsZ0FHK
先ほどまでカウンター席に座っていたスーツ姿の男が立ち上がって、
店員に向かって何かを言っている。
彼の前にいる店員は、ぺこぺこと何度も頭を下げている。
監視カメラに併せて集音・録音用のマイクを設置したりはしていないのでよくわからないが、
男がジャケットを脱いでそれに顔を近づける様から考えるに、店員が粗相をしてしまったようだ。

普通の店ならこの場で店長なりが登場するのだが、生憎俺はそんな面倒なことはしない。
カウンターの前にいる男は店員に何か怒鳴っている。
彼に向かって、店員が申し訳なさそうに頭を下げる。

店員のメイドが何かを喋ってから、男の手をとった。
店員は男を奥へ引っ張っていこうとするが、男はその手を振り払った。
カウンターに背を向けて、男は喫茶店の入り口へ向かって歩いていく。

――どうやら、出番が来たようだ。
数少ない俺の仕事の一つ。
事務所の机の上を占領しているスイッチ類の操作。
数にして、およそ……50ぐらいだろうか。
ときどき無造作に増えているのでよく覚えていない。

ともあれ、今回のような『10回お店に来たお客様へのサービス』を拒む、
入り口へ向かって今も歩き続けている男に対しては、『car-2』スイッチを使う。
スイッチを押す。すると、カチッ、とあっけない音がした。

店先を映し出している監視用モニタを見る。
路地に停めてあるミニバンタイプの乗用車が動き出した。
乗用車には、もちろん人が乗っている。
運転ばかりは、ここにあるスイッチでは役不足というものだ。
今のスイッチは、ただミニバンの運転手に合図を送るためだけのものだ。

店の入り口と壁に張り付くように、ミニバンが停車する。
それを確認したあと、店内の様子を監視カメラで観察すると、
スーツのジャケットを腕にかけた男が入り口のドアを開けようとしていた。
喫茶店のドアは外開きになっているので、今のように外に車が停車していたら、もちろん開かない。

男は扉に向かって怒鳴ったあと、先ほど粗相をしたメイドの元へと向かう。
彼がジャケットを店員に手渡すと、店員が笑顔を浮かべたのが、俺からも良く見えた。
店員のメイドが男の腕を掴むと、男はたたらを踏みながらそのままメイドの腕に引っ張られて、
カウンター横のドアをくぐっていった。

――さて、仕上げだ。

手元の、『K-01』スイッチを人差し指で軽く押す。
しかし、特に何が起こるわけでもなく、店内はいつもの静けさを保っていて、
店員のメイド達も普段の業務へとすでに戻っている。
では、このスイッチがなんなのか、というと。

――かいつまんで言えば、お客様へ向けた、当店のサービスです。


384 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:53:48 ID:oKsZ0FHK
最後に、メールについて。これが一番簡単な仕事だ。
事務所においてあるPCに届くメールを見て、プリントアウトすることだけ。
送り主は女の子ばかりだ。では、ついさっき届いたばかりのメールの内容を紹介するとしよう。

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タイトル:
お店で働かせてください
本文:
先日、A町の街頭でお会いした者です。
名前は、T村K子です。年齢は19歳。大学生です。
私と彼の近況を明記してください、とのことでしたので、以下に記します。

私と彼は大学の同じサークルに所属しています。
講堂でも、お互い隣同士の席になることがよくあります。
いつも、彼のほうから私の隣に座ってくるんです。
彼は、私のことが好きなんです。そうに決まっています。
でも、一つ問題があります。

彼の姉と名乗る人物が、私たちの仲を壊そうとしてくるんです。
この間、私は彼のためにお弁当を作りました。
腕によりをかけて、愛情をいっぱい、いっぱい込めました。
お弁当を持って、昼食の時間に彼を探し出しました。
そのとき、彼の隣には女が座っていました。
私はあふれ出す怒りを押さえ込み、彼らの隣に偶然を装って近づきました。

彼の隣に座っていた女、彼の姉の目といったら、もう、憎くてたまりません。
『なによあんた』『私の弟に近づかないで』
『あんたみたいな他所の女に弟は渡さないわ』という、独占欲が丸出しになっていたのです。

私は彼に弁当を渡すことなく、その場を立ち去りました。
大学から家に帰って、私は泣きました。
せっかく作ったお弁当を彼に食べてもらえなかった。
あの時、無理矢理にでも押し付けていけばよかった、と後悔しました。

何時間も泣き続けて、泣きつかれて眠って、起きたときに私は決断しました。
彼を、絶対に私のものにする、と。
そのためには、彼をあの女の手の届かない場所に連れて行くことが一番だと考えました。
あなたの言うとおりに、誰も知らない場所に監禁してしまえば、
あの女もきっと彼を諦めるに違いありません。

お願いです。私をあなたのお店で働かせてください。
どうしても、私は彼が欲しいのです。
彼も、私に監禁されることを望んでいるに決まっています。

最後に、彼の名前と年齢を記します。
O谷Tくん。19歳です。
他にも必要な情報がありましたら、連絡をいただければお教えします。

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385 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:54:56 ID:oKsZ0FHK
事務所にあるPCに届くメールは、どれもこんな内容ばかりだ。
決まって、メールを送ってくる相手は年頃の女の子だ。
そして、男を手に入れるためにここで働きたい、ということが必ず書いてある。
ちなみにメールに書かれている『あなた』というのは、俺のことではない。

『オーナー』のことだ。
『オーナー』が、どんな人物なのかとか、何歳なのかとか、俺は何一つ知らない。
ただ、副店長の父親だということだけがわかっている。

副店長は、18歳の女の子だ。
身長は、160cmぐらい。
スリーサイズは、俺の目測では93・60・89。カップはF。
体重は、怖くて聞いていない。
ただ、いつも俺の体に乗ってくるときにそれほどの重さを感じないから、
体型に合わせたぐらいのものだと思う。
髪型はおかっぱで、メイド服と組み合わせるとかなりいい感じになる。
彼女がいつも浮かべている微笑からは、幻想的というか、非現実的な印象を受ける。
とはいえ、顔立ちがいいからいつもその笑顔を見ているだけで俺は癒されてしまう。

副店長――春香は、俺の恋人でもある。
俺たちの関係は、このメイド喫茶に俺がお客としてやってきたことから始まった。
そのころから、春香は喫茶店でメイド服を着ていた。
当時はまだ、副店長ではなかった。俺が店長になってから彼女も副店長になったからだ。

一目見た時から、俺は春香に惚れてしまった。
さきに挙げたように、周りにいるメイド達と比較しても際立つ魅力を放っていたからだ。
あの頃の俺はまだ女を口説くことに慣れていなかったから、声をかけることができなかった。
だから、春香に会うために俺は何度もこのメイド喫茶に足を運んだ。

椅子に座ってコーヒーを注文して、しばらく待っていると春香がトレイにカップを乗せてやってくる。
彼女が優雅な仕草でテーブルの上にカップを置く。
ナプキンを敷いて、ミルクと、砂糖と、銀製のスプーンをその上に置く。
春香は「ごゆっくりおくつろぎくださいませ」と言って頭を下げる。
きびすを返し、コツコツ、と小さな音を立てながら、俺のいるテーブルの前から居なくなる。

その一連の動作と、彼女の微笑を見ているだけで、俺の胸は締め付けられた。
――春香が欲しい。
――俺のものにしたい。
――彼女を、抱きたい。
メイド喫茶にあししげく通っていたころの俺は、いつもそう考えていて、
その考えがそのまま目に宿っていたのではないか、と今では思う。
普通に考えれば、通報ものだ。

ともあれ、10回メイド喫茶に通うことになったあの日。
――願いが、現実になった。


386 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 00:57:05 ID:oKsZ0FHK
連投規制にかかりそうなので、一旦切ります・・・・・・
ただいま、エロシーンを書き続けております・・・・・・
一時間~二時間はかかります・・・・・・

387 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 01:22:46 ID:M1TXGoEp
>>386GJ!

388 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 01:44:55 ID:yLs1zJQn
>>386
割り込んですんませんでした~。
寝てる間に完成しそうなのでゆっくり待ちまーす。

389 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:42:13 ID:oKsZ0FHK
投下します。レイプ注意。





大学からの帰り。
人でごったがえしている都内の大通りを俺は歩いている。
大通りに面する場所には、色々な、多種多様な店舗が軒を連ねている。
大手百貨店、大型電気店、数十階建てのビルに、古今東西の料理店。
通行の邪魔になるような小型の立て看板を手でどけて、人の波を避ける。

――めんどくせえ。

しかし、それでも俺の足は浮き足立っていた。
まるで天にも昇ろうかという気分ですらあった。
それは何故かというと、春香のいるメイド喫茶へと向かっているからだ。
今から春香の癒しの笑みを拝むことができるかと思うと、人の波もなんのその、というやつだ。

ホームセンターとコンビニの間に置いてある立て看板をどけて、通り抜けてからまた元に戻す。
人が一人余裕を持って通れるぐらいの幅の路地に入ると、
俺はいても立っても居られなくなり、駆け出した。

――この先に、春香がいる。

それだけしか、今の俺の頭の中にはない。
それ以外は考えない。走りながら、勢いをつけすぎて軽く前のめりになる。
倒れそうになったところで、体を軽く前に倒して足を強く踏み込む。――倒れずに済んだ。
ボロボロの服で春香に会うなど、俺にはできない。
そうなったら今日は春香と顔を合わせることもできない。
こけるわけにはいかないのだ。

その後はスローペースで路地を走って、メイド喫茶の前に到着した。
緊張で震える手で、喫茶店のドアの取っ手を掴み、静かにドアを引く。

喫茶店の店内が、良く見えた。
木製のフローリングになっている床。
右手にふたつ、左手にふたつ、向かい合わずに交互に並ぶテーブル。
グラスやカップや大小の皿が納められた食器棚が奥に置いてある、カウンター。

そして、入り口のすぐ近く。
俺の立つ場所から見ると、右斜め前の位置。

「おかえりなさいませ。ご主人様」

メイド服を着て、ほほえみを浮かべる春香がいた。

390 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:43:01 ID:oKsZ0FHK
「お席に、ご案内させていただきます」

春香が優雅に頭を下げる。俺は首を軽く前に倒した後で、店内に足を踏み入れた。
春香は音を立てるなと命じられたかのように、小さな靴の音を立てて、前を歩いている。

思わず、その後ろ姿に息を呑んだ。
そのまま近づいて、彼女の細い体を抱きしめたくなったが、自分を叱り付けてそのまま歩く。

「こちらのお席にどうぞ」

春香がカウンター前の椅子を引き、座るよう促した。
無言でその椅子に座る。音を立てないように。クッションをゆっくりと潰すように。

「何にいたしましょう。ご主人様」

――君を。
などとは言えるはずもなく、「コーヒーをください」とだけ告げる。

「かしこまりました。それでは、少々お待ちくださいませ」

そう言って、春香は手を前に合わせて、カチューシャを見せるように礼をした。
後ろを振り返り、春香はカウンターの中へと入っていった。

店内をカウンター席から見回す。
どのテーブルにも客はいないし、他のメイドさんもいなかった。
時刻はまだ四時を少し過ぎたばかりだというのに、めずらしいこともあるものだ。

「~~♪」

カウンターの向こうから、春香の鼻歌が聞こえる。
コーヒーを淹れながら、彼女は目を細めた、優しい笑顔でそこにいた。
彼女が嬉しそうにしていると、俺の心の中にも花が咲く。

そのまま、春香のハミングを目を閉じたまま聞いていると、しばらくして歌が止まった。
春香が、コーヒーカップをトレイに乗せて、カウンターから出てきたのだ。

「ご主人様。コーヒーをお持ちいたしました」

メイド服を着た春香が、左掌の上にトレイを乗せて俺がいる席の前へとやってきた。
コーヒーカップが乗せられたソーサーの縁を右手で持って、カウンターの上に置いた。
同じくカウンターに置かれたミルクと砂糖を入れようと手を伸ばすと、白い手が横から伸びてきた。


391 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:43:44 ID:oKsZ0FHK

「今日はご主人様が来られてから10日目になりますので、私めにやらせてくださいませ」

そう言うと、彼女は砂糖を入れて、次いでミルクを入れた。円を描くように。
コーヒーと乳白色の液体をスプーンで混ぜたあと、カップを差し出された。

「どうぞ。お召し上がりください」

右手の人差し指をカップの取っ手に回し、コーヒーを飲む。
いつもより、美味い。
なぜだろうか。――いや、愚問だな。

春香が淹れたコーヒーに、春香が入れた砂糖とミルクが合わさっているのだ。
俺の味覚は、これ以上美味いものは存在しない、と断言している。

そのコーヒーを味わって飲んでいるうちに、いつのまにかカップの中身が空になった。
残念に思いながら、カップをゆっくりとソーサーの上に置いた。
すると。

「ご主人様。もう一杯、いかがですか?」

春香がポットを持って、俺におかわりをすすめてきた。
せっかくの誘いを断るわけがない。
俺は「いただきます」と言って、コーヒーを淹れてくれるよう頼んだ。
ポットから、黒と琥珀の中間の色をした液体がカップに注がれる。

春香がコーヒーを注ぎ終わったあと。
なんのはずみかはわからないが、彼女の手が滑ってポットが俺の膝の上に落ちてきた。
膝の上で一旦止まり、ポットが床に落ちる。

――ガシャン

という音を立てて、ポットが割れた。

「も、申し訳ありません!」

と言って、春香が床に膝をつき、布巾を持って俺の膝を拭き始めた。
彼女は泣きそうな目をして、俺のジーンズを布巾で擦っている。
そして、彼女の手が右膝から左膝に移ったとき。 

――ドクン

心臓の音が俺の耳に届いた。


392 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:44:54 ID:oKsZ0FHK

春香はしゃがんで、俺の――股間の前にいる。
彼女の目は潤んでいた。
今にも泣き出しそうな顔をしていた。
その顔を見ているうちに、俺は、自分の喉が締め付けられるのを感じた。

普段より、目が大きく開いた。
目は、初めのうちこそ春香の顔を見ていたが、いつのまにか視線が下へと向かっていった。
その先には、メイド服のエプロンを押し上げている、春香の胸がある。
俺の手はポットが落ちたときの驚きで肩の辺りに上がっていたが、
その手が、肘が、腕が、うずうずとしていた。

手が震えている。
寒いわけでも、武者震いをしているわけでもなく、勝手に動いている。
俺の意識は「動くな」とだけしか言わないが、頭の奥の深い部分が言っていた。

――――春香を犯せ。

ジーンズに押さえつけられている肉棒が脈を打った。
睾丸の辺りから骨盤を通り、へその下の部分に得体の知れないものがたまり始めた。

――これは、肉欲だ。

「ご主人様? どうなさいましたか?」

春香の声が、下から聞こえた。
それは俺の耳だけに聞こえるはずだったが、股間にまでその声が響いてきた。
怪訝な顔をして、春香が俺の顔を上目遣いで見つめてきた。

奥歯を強くかみ締める。
鼻から大きく息を吸う。
唇を固く、離れないように強く押し付ける。
それで、なんとか体の感覚を春香に向けないようにすることができた。
が。

「ご主人様……?」

春香の白い顔が俺のすぐ目の前にやってきて、

俺は――顔の力を抜いた。


393 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:45:48 ID:oKsZ0FHK

両手で春香の顔を鷲づかみにする。
柔らかい髪が俺の指の先をとおりすぎ、指の間に埋まった。
春香は口を薄く開けて、俺をまっすぐに見据えている。
彼女の唇が薄いピンク色をしていることを理解したあと、そのあとは何も考えずにキスをした。

策も、技も、加減もなかった。
ただ、彼女の唇に自分の唇を合わせて、舌を突き出した。
彼女の舌を求めて、俺の舌は動き出す。
春香の舌の先端を、舌の裏を、舌のくぼみを舐める。
舌の先端に、意識は全て集中していた。
春香の舌は、俺の舌のなすがままにされていた。
従順に、荒い波に揉まれつづけるようにたたずんでいた。

唇を離す。
春香は呆然として俺の目を見つめている。
けれども、その目に嫌気が混じっていないことを悟った俺は、再度くちづけた。
今度は、唇を当てて、舌で舐めるだけではなく、頭までが動いた。
首の力を使って、唇を強く押し付け、舌を深く突き出す。
俺が首を左右に振りながらキスをしていると、春香の首までもが応えるように動き出した。

「ん、ふぅ……はぁ、ん……」
お互いが首を曲げるたびに唇の結び目から声が漏れる。
しかし、俺も、春香も唇をくっつけたまま、離そうとはしない。
この熱を、放したくなかった。

春香の脇に、左右それぞれの手を差し込み、彼女を立ち上がらせる。
まだ、お互いの唇は離れていない。
手を春香の背中に回し、抱きしめる。
柔らかい。
まるで、ぬいぐるみかなにかのように、ふわふわしている。
春香の頭に手を当てて、さらに強く唇を押し付ける。
もう――止まることはできない。

その体勢のまま、春香の体を抱えるようにして前進する。
喫茶店に置いてあるテーブルに、春香の体がたどりついた。
そのまま、春香をテーブルに押し倒す。


394 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:47:36 ID:oKsZ0FHK

一旦唇を離す。
俺と、春香の唇が結びついていた証のように、透明な細い糸が伸びる。
春香を見る。
顔が紅い。
目は潤んで、目じりは垂れ下がっている。
俺が見ていることに気づいたように、口の端を少しだけ上げて笑った。
その笑顔はいつも俺の心を癒すものだった。
が、今ではその笑顔すらも蹂躙することができる。
――その一手が俺には与えられている。

首を下に曲げて、春香の胸を見る。
呼吸に合わせて、上下に動いている。
二つのふくらみが、メイド服の胸元を押し上げて、その存在を主張している。
膨らみの頂点に向けて伸びるしわを見ているうちに、俺はそれに手を伸ばしていた。
両手でエプロンの上から乳房を揉む。
柔らかな、布の感覚が両手にある。
だが、――物足りない。

左手を春香の背中に回し、エプロンの結び目を探る。
丁度、腰のうしろに布の塊があった。
力任せに引っ張る。すると、結び目がよりいっそう大きくなり、解けなくなった。
何度やっても解けない。
――ならば。
エプロンがずれないようにするための、肩の布を引きちぎった。

エプロンをひっぺがすと、今度はブラウスが現れた。
左右の布を結び付けているのは、小さくて、黒いボタンだった。
両手の指をボタンの間につっこむ。
勢いよく腕を、外に向けて開く。

「あっ……」

ピンクのブラジャーがそこにはあった。
小さなフリルのようなものが、アクセントとして飾り付けられていた。
その形と色は俺をさらに興奮させた。
背中に手を回し、手探りでホックを取り外す。
背中から、ゆっくりと体に這わすように、手で下着と肌を引き剥がして、体の前に持っていく。
正面に手がやってきた時点で、そのまま手で布を押し上げる。

そこには、春香の乳房があった。
下着をつけていなくとも、それは形を崩すことなく、そこにあった。
右の乳房の頂に、くちづける。
唇の先で甘噛みすると、それは柔らかい感触を残したまま、潰れていく。
一度唇を離す。
今度は舌を唇から突き出し、ぺろり、と舐める。
すると、春香の口から喘ぎ声が漏れた。
舌を動かすたびに、その声はさらに甘さを増していく。


395 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:48:28 ID:oKsZ0FHK
ロングスカートを手で掴む。
それは何度か手を往復させていないと完全に捲くれないものであったが、
何度か、繰り返していく内にスカートの縁が俺の手の中におさまった。
春香の白い太腿に、口をつける。
舌で押しやると、柔らかく押し返す。そんな感触だった。

ショーツの上から秘所に手を当てると、そこはすでに愛液が溢れていて、ぐっしょりと濡れていた。
親指をそこに当てて、軽く押す。
「…っん、くぅ…はあっ……」
それだけで、春香の両足に力がこもった。
続けて、強く押したり、上下に押しやる。
そのたびに春香の白い足は力を込めて動き出す。

腰に手を当てて、ショーツの端を指で引っ掛けて、膝を通り、足首から脱がせる。
俺の目の前には、彼女の膣口があった。
そこからはすでに彼女の愛液が滴り落ちていて、スカートにしみを作っていた。
舌をその割れ目に這わせて、舐め上げる。
「る、ぁ、めぁぁ……ごしゅ、じ…ん……ぁ…」
幾度となくそれを繰り返すうち、彼女の陰裂はふるえてきた。
春香の足も、ふるふると動いていた。

両手で、彼女の腰に手を回す。
テーブルの上から、彼女の腰だけをはみ出させるようにする。
俺は、下半身を覆う全ての衣服を脱ぎ捨てて、それから、彼女の体と向かい合う。
目の前には、春香のあられもない姿があった。
口からはよだれを垂らし、胸元を隠す衣服は破かれ、白い乳房がむき出しになっている。
そして、俺の腰の前に、春香の陰裂がある。

へその下から彼女の体にぴたりと体を合わせて、少しずつ腰を近づける。
亀頭を春香の入り口に当てて、そして、一気に腰を突き出す。

春香の口から、叫び声が飛び出した。
その声が、まるで誘っているような響きに聞こえてくるほど、俺はおかしくなっていた。
腰を突き出して、肉棒を深く突き刺し、一気に引き抜く。
「ご、ぉっ、し……いん…ああ! …さ……ふぁっ!」
突き出すと春香は歓喜の声を上げる。
引き抜くと、切ない声を上げる。
――たまらない。
止まることなど、熱に浮かされた体では考えもつかなかった。
じゅ、じゅ、という音が聞こえてきた気がする。
だが、俺には春香の喘ぎ声しか聞こえない。

そして、大きく、理性の壁を破壊する流れが股間に集中して――俺は果てた。


396 名前:ヤンデレ喫茶の事務所にて ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 02:53:47 ID:oKsZ0FHK

そのあとは、よく覚えていない。
欲望が爆発して、そのときの記憶を頭と体から、おしやった。


その後で、体を包む倦怠感とともに目を覚ましたとき――俺は、椅子に縛り付けられていた。




俺の足首とパイプ椅子は、手錠でつながれている。
そのため、腰を浮かすことはできても歩くことはできない。
初めて自分の置かれている現状を見て、俺は「監禁されている」と理解した。

だが、特に不満なことはない。
用を足すときや、風呂に入るとき、服を着るときには、春香ガ手錠を解いてくれるからだ。
できれば食事も自分の手で食べさせて欲しいものだが、嬉しそうな春香の顔を見ていると、
何も言うことができなくなって、俺は春香のなすがままになってしまう。

そして、今もそう。

たったいま事務所にやってきた春香が、俺の前で両手を合わせながら、語りかけてくる。

「ご主人様。ごきげんいかがでございますか?
今日も、お二方が結ばれましたよ。
男性に手錠をかけて、ベッドに押し倒し、目隠しをしたときのあの女性の表情は、
本当に幸せそうで……私も、思わずご主人様に同じことをしたくなってしまいましたわ。
そうそう。また明日も一名、この喫茶店で働きたいという方がやってくるそうです。
きっと、彼女たちも結ばれますわよ……私達のように。
うふふふふ……本当に、本当に、なんと楽しいことなのでしょう。
お父様のおちからが冴えている、ということですわ。
このままゆけば、きっと……私達はさらに素晴らしい存在になれますわ。」

『――――うふふふふ』

女性の笑い声が聞こえてきた。
その声は、俺がこの椅子に座ってから、何度も聞いてきたもの。
そして、俺はこの声を聞くために、ここに座っている。

そして、これからも座り続けるだろう。この喫茶店がここにある限り。



-------
こんな感じです。
店長に期待した人。ごめんなさい。

397 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 03:41:45 ID:1Q9taPxk
一番槍GET!GJ!店長は副店長の傀儡か

398 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 03:43:41 ID:uCtXdUKl
二番槍GET!GJです。地味に店長も病んでる


399 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 06:05:16 ID:yLs1zJQn
まさか誘い受けとは・・・。GJ!

400 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 06:27:29 ID:Lj9glFke
まさか薬を盛られてたとかは無いよな・・・・

401 名前:ヤンデレ喫茶訂正 ◆Z.OmhTbrSo [sage] 投稿日:2007/04/06(金) 07:38:39 ID:oKsZ0FHK
>>396
>用を足すときや、風呂に入るとき、服を着るときには、春香ガ手錠を解いてくれるからだ。
用を足すときや、風呂に入るとき、服を着るときには、春香が錠を解いてくれるからだ。

でした。申し訳ないです。

402 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 09:29:41 ID:91sWNAal
>>400
違うのか?
てっきり薬盛られたから襲ったんだと思ってた

403 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 10:10:39 ID:dzuS8Sa8
結ばれたというよりは監禁された表現が正しいのではww

404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 10:35:50 ID:wP2+pi59
>>403 それは「愛」だから結ばれるで正しいのさ

405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 12:34:31 ID:1Yx8SgSg
GJです
個人的には薬(媚薬?)盛られたと思ってる。それっぽい描写もあるし
まあ、その方が嬉しいって事もあるがw

406 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 12:37:10 ID:Lj9glFke
>>402
いや、わざわざ書くって事でその意図を察してくれると嬉しかった

407 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 15:37:54 ID:xv/RXmbz
ようするに襲った理由は・・コーヒーの中に薬が入っていたからかな?

408 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 21:31:13 ID:FkjBvFGN
ふと妄想した。


409 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 21:36:27 ID:FkjBvFGN
すまん、途中で送ってしまった。

意中の彼を監禁するために、ヤンデレ喫茶に勤めたはいいが、そこのメイドに気に入られて逆に監禁される…。


というの妄想をしたんだ。



410 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 21:46:15 ID:yLs1zJQn
百合スレに行け

411 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 22:21:34 ID:wP2+pi59
>>410
意中の彼→彼女
に変換すれば問題なし

412 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 22:26:10 ID:23dpMhH8
主人公に協力すると見せかけて、実は…というやつか
結構いいかも

413 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 22:54:08 ID:Jkl2MzdC
メイド喫茶を執事喫茶にすればいけるんじゃね?



ただの監禁レイプになりそうだが

414 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/06(金) 23:13:46 ID:wP2+pi59
>>413 妙案だな……………………………………と言いたいが、店長は恋する乙女だけの味方さ!!

415 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 00:47:32 ID:nA+rX4nK
別に男のヤンデレが駄目とは言わんが、監禁とかとなるとウザイというのが本音だな

416 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 00:54:36 ID:qekcZacK
百合でも歓迎。嫌ならスルー


417 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 00:59:30 ID:JZkh7eRL
某スレに名前出されたせいでこっちにも流れてきた?


418 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 10:13:05 ID:E8jGwZ4Q
>>417
嫉妬SSスレのこと?

419 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 12:57:29 ID:RASyGi3T
どうでもいいさ。
二人だけの楽園を邪魔する存在には、例外無く血の裁きが下されるのだから。

420 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 16:35:38 ID:LUDJ3kz8
>>396
GJ!!
これで子供ができたら無限ループの悪寒。

421 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 17:53:24 ID:LXhQbhJd
とりあえずこの喫茶店はどこですか?

422 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 18:10:30 ID:nA+rX4nK
君の心の中にあるのさ

423 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 18:59:54 ID:dIQDsftg
>>421 君の周りに恋する乙女がいたら、後をつけてみよう。終着点にそれはある。
結界として秘密保持のために消されるかもし(ry

424 名前:慎 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:09:12 ID:okgjui4L
>>421
君が心からあってほしいと望めば、ヤンデレ喫茶は君の前に現れるのさ。

さて投下。2ルート第2話になります。前回の続き。

425 名前:慎 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:10:15 ID:okgjui4L
俺は家に帰り、絵里のうちへ行く準備をしていた。だが、なんとなく気分が浮かない。
服を用意し、今日はご飯はいらない、泊まってくることを母につげ、家を出た。
坂ををくだり、登り、下ってまた登る。
どうしてこうも複雑な地形をしているのか最近恨めしく思えてきている。
この近辺は山が二つあり片方の山に俺が通う高校、そして対面の山にうちがある。
高さはないが勾配が急で、そのせいか、うちの高校は自転車通学が禁止されている。
そもそも校則で禁止されなくても誰がするか!と言うぐらいきつい登りで、そんな坂を延々のぼった先にうちの高校はある。
生徒はバスで通学するのだが、乗り遅れたが最後。きつい登りを必死で登る必要がある。
あるものはタクシーを使うが、ばれると怒られるので模範的な生徒は使わない。
まったくなんでこんなところに学校を建てたんだか。
通学にするしても、いたずらに体力を消費するだけだし、いいことなんて一つもない。
足腰が鍛えられるといっても、運動部でない俺が足腰鍛えたってどうしようもない。
そう、まったく意味がない。坂を登り下りするという行為も、この思考もまったく意味がない。
そもそも意味があるものとは?と言われると困る。だが今の俺にはまったく意味がない。
何故こんなことをしているかと言うと、俺の頭の中がすこし困ったことになっていたからだ。
どういうことかというと、俺の頭の中で奈津子の最後の言葉がリピートされている。
”駅前で待ってるから”
表情から声質まで完全に再現されたこの言葉が、ずっと俺の脳内をリピートしている。
俺は今から絵里のところへ行くというのに、奈津子のことばかり考えてしまっている。
そのことを忘れるための思考なのだ。
そう絵里のことを考えなきゃいけないけど、よくわからないができないから、別のこと考えて気を紛らわしているだけ・・・だけなんだ。
さて次は何を考えよう・・・と思っていたら絵里が住むマンションに着いてしまった。
絵里が住むマンションは少し変わっている。下の階は全部駐車場で、3階分ある。
そのためのエレベーターにまず乗り、駐車場の上の4階まで上がる。
そこからは今度は居住階用のエレベーターに乗り換える。階段でいけば一発なのだが、
絵里の住んでる所は10階だし、そんな体力は残ってなかった。
1004号室。
絵里の住む部屋である。
すぅ、と一息すって俺はインターホンを押した。

ピンポーン

「ハーイ♪」
中から明るい声がする。
ガチャ
「慎君やっときた~♪」
明るい声を出しながら絵里がドアを開けてきた。

426 名前:慎太郎の受難2ルート第2話 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:11:40 ID:okgjui4L
「よう」
普通に挨拶をする。
「遅かったね、もう夕方だよ?」
確かに、もうそろそろ6時だ。
「あぁ練習しててさ。下校時刻ぎりぎりまでいたんだ。だから遅くなった。」
「へぇ~偉い偉い♪ぎりぎりまで練習だなんて慎君はまじめだね♪」
そのまま俺の頭をなでなでしてくる。今日の絵里は明るいな・・・
いやいつも確かに明るいんだが、いつもと違う感じの明るさ・・・
異質な感じがする。来てくれて嬉しいにしてもこのハイテンションは異常だ
そんなに不安だったのだろうか・・・なんにしても今日の喜び方は・・・すこしおかしい。
気のせいだろう。というか俺の自惚れだ。さて、変なことは考えないで、早速本題に入ろう。
「それで、今日は何の教科教えてほしいんだ?」
「え~と・・・全部♪」
「全部って何だよ全部って。」
「全部は全部。どうせ今日うちに泊まってくからいいでしょ?」
そう、俺はここに泊まっていく予定・・・だがまだ俺の頭から奈津子の声が離れない。
”待ってるから”
俺は・・・
「慎ちゃんどうしたの?」
絵里が心配そうに見つめてく聞いてくる。
「いやなんでもない。うん少し考え事してただけ。」
「・・・駄目」
「・・・へ?」
「考え事なんかしちゃ駄目。あたしのことしか考えちゃ駄目!」
「じゃぁ勉強教えれないじゃないか!」
「あ、そうだね。じゃぁ勉強のことは考えてもいいよ♪」
おかしい・・・キャラが違いすぎる。そしてもう一つ。
まとっていたオーラが、雰囲気が、一瞬変わった気がした。
不安、憎悪、嫉妬・・・何かは分からないが一瞬だけ負の感情とでもいうんだろうか・・・
そんなものが絵里の周りに見えた。
すぐになくなったが、そんな今日の絵里の様子に俺は疑問をぬぐいきれなかった。
「じゃあじゃあまずは数学からやろうか」
絵里が話題を変えるように提案してきた。
特に異論はない。まずは家庭教師役をこなすことにする。
それならば特に問題はない。そう、ない。皆無だ。ナッシング。
問題ないことを自分になぜか言い聞かせながら、
俺は絵里に招かれるままに、部屋に入っていった。
「さぁ~やるぞー!」
やけに明るい絵里に疑問を感じながら・・・

427 名前:慎太郎の受難2ルート第2話 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:13:27 ID:okgjui4L
「はやく~」
絵里が手招きしてくる。どうやら自分の部屋に入れとのことのようだ。
何度か通ったことはある。
しかし、小学生のころの話だ。中学生になってからは絵里のマンションには行ったことがなく、
俺が部屋に入ると絵里は部屋を出て行った。
今回が久々の訪問になるわけだ。どうやら部屋の場所は変わってないらしい。
この部屋でよく遊んだものだ・・・女の子と遊ぶなんてことは確かに数は少なかった。
その数少ない一緒に遊ぶ女の子が絵里だった。
思えば、絵里と一緒にいるときはいつも楽しかった。
いつも絵里と一緒にいたいなと思い、この感情が恋なのかなと思っていた。
しかし、今回のことで、いやもう前々からかもしれないが、本当に自分は絵里に恋をしているのか?
という疑問が心の多くを占めるようになっていた。
もしかして俺が恋に落ちているのは奈津子のほうじゃないのか?
さっきから俺がぐるぐるとした思考を続けてるのは奈津子のことが気になって仕方ないからだろ?
そう、ずいぶん前は疑念だった。ついさっきは、否定したかった。しかし今は確信している。
俺は・・・奈津子のことが好きだ・・・
絵里とは・・・友達的な感情・・・そう友達だ。一緒にいることは楽しい。楽しいが何か違う。
そう、俺は奈津子のことが・・・っ!
でももう遅い。いまさら気付いても、俺は絵里のもとにいる。
今日という日をうまくやり過ごすしかない・・・そう俺は思い始めていた。
「慎く~ん♪」
絵里の声が聞こえる。さて、どうやって何事もなくすごすか・・・
「何だ?」
「ご飯は~?」
「まだいい」
「お風呂は~?」
「それもまだでいい。絵里、お前ちゃんと勉強する気あるのか?」
「あるよ~。でもさ、ほら、おなかがすいて勉強できなくなったりしたら大変じゃない?
すっきりして勉強したほうが、効率よくない?そう思って聞いたんだけど」
「おれはやるべきことやってすっきりさせるほうがいいと思うな。」
「う゛~」
「・・・勉強しないなら帰るぞ。」
「・・・分かった」
絵里はしぶしぶながら従ってくれた
「じゃあ数学から。問題集は?」
絵里がすっと出してページを開く。
さぁお勉教タイムの開始だ。


428 名前:慎太郎の受難2ルート第2話 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:14:21 ID:okgjui4L
絵里の高校は、ここからバスで40分くらいかかるところにあり、女子高である。
ワンピースタイプで黒タイツという露出を抑えた制服で、キリスト教系。かなり厳しい校風である。
その昔は、男子とは友達としても付き合うことは許されず、
お兄さんと歩いてるところを見られ学校から処分をくらった生徒もいたそうだ。
いまはそんなことはまったくない。じゃなかったら今俺はここにいない。
成績のレベル的には俺が通う高校とは、何段階かは落ちる。
うちの地元では私立と公立の差は、果てしなく広い。
絵里が通ってる高校は大学を持ってる高校で、そのままその大学へ行くこともできるので、進路にさして困らないだろうが。
問題集のレベルはやはり高校のレベル差を反映してか、俺が使ってるものより少しやさしめであった。
いやむしろ俺の高校がやたらと高いのをさせてるだけかもしれないが。
先生方に過度の期待って言葉を教えてやりたいもんだ。俺には少し荷が重過ぎる。
まぁ絵里が持ってきた問題集ぐらいなら、
成績中間の俺でも教えることにはまったく問題はない。
教え始めてから気づいたんだが、絵里の理解力はすごい。俺が教えることを次々に理解していく。
この理解力を、受験のときに発揮すればよかったんだろうが・・・
いまさら何を言っても手遅れか。そう今さらだ。
絵里の抜群の理解力も手伝ってか数学、英語、と順調にこなしていき気づけば九時になっていた。
「もう九時だね」
「え・・・あーもうそんな時間か。よくがんばったな。」
もう九時か・・・
ふと不意に、本当に不意に奈津子の言葉がよみがえってきた。
”いつまでも待ってるから”
まさか・・・あの野郎・・・そんなことあるはず・・・
俺は急に不安に襲われる。
まさか今でも、駅前で待ってるというのか・・・?
俺が来ると思って、俺が来ることを信じて・・・。
いいのか俺?ここまで思ってくれてる女の気持ちにこたえなくていいのか?
今日さえやり過ごせばなんて思っていいのか?
もし、待ってる間に奈津子がトラブルに巻き込まれたら、一生後悔することにはならないか?
奈津子のもとへ行かなくていいのか?
答えは・・・明白だ。行かなければ。
一刻も早く行かなければ。何かが起こってからは遅い。
ちょうど勉強も一段落着いたころだ。抜け出すには絶好のチャンスのはず。
どう絵里に切り出すかを考えなければ・・・
「ねぇ」
俺がいかにして抜け出すかを考えてると絵里が声をかけてきた。
「さっきから何考えてるの?」
さっき俺が一瞬だけ感じた負のオーラを全開にして。

429 名前:慎太郎の受難2ルート第2話 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:15:59 ID:okgjui4L
まずい。さっき感じたときもそうだが、このオーラを出してるときの絵里は・・・
絵里であって、絵里じゃない。
今日の昼の奈津子のいろんな表情が混じった表情を見たときよりもさらに違和感を感じる。
もっというなら戦慄だ。本能が恐怖を感じている。
なんとかしなければ・・・とにかく逃げ切るしかない。
「い、いやなんでもない。うん、別に。」
「嘘」
絵里がぽつりと言う。その顔からはだんだんと表情が欠落してきている。
「いや本当になんでもないって。ところでさぁのど乾いてないか?
俺からからでさぁ。アイスも食べたいなぁなんて。そうそのこと考えてたんだ。」
「アイスならあるよ。飲み物もあるよ。」
「いや、ほらそこのロー○ンで最近売り始めアイスがあるんだが、あれが気に入っててなぁ
買いに行きたいんだが・・・」
「駄目」
「そこを何とか・・・」
「ならあたしが買いに行ってくる。何がほしいかメモして」
「いやほらちょっと外の空気でも吸いたいというか・・・散歩したいというか」
「ねぇ・・・慎君もしかして帰りたいの?」
ばれた。というかばれるか。ここまで必死だと。
「だったら?」
開き直ってみる。が、失敗だった。絵里の目が・・・今の一言で完全に死んだ。
「なんで帰るの?何か不満?慎君のいうことは何でも聞くよ?ねぇ何で?」
「いやちょっと帰らなきゃいけない用事があってな。」
「そんなことさっきまで言ってなかったじゃない。」
「今思い出しだよ。うん帰らなきゃ・・・」
「駄目よ・・帰っちゃ駄目・・・駄目、駄目・・・」
ふらりと立ち上がる絵里。そうして俺のもとへふらふらとやってくる。
来るなり胸倉につかみかかってくる。死んだ目のまま話しかけてくる。
間近で見ると、やはり表情が怖い。
「嫌よ、いまさら帰るなんて。そんなの許さない。」
「しかたがないだろう、帰らなきゃいけないんだから。」
「嫌って言ってるのが分からないの?」
「わがまま言うな。」
「嫌。嫌だよ・・・やっと、やっと、やっとチャンスが来たのに・・・」
「じゃ、じゃあこの辺でな・・・またお泊りは別の日にな?いいだろそれで」
強行突破を腹に決めた。
と、とたん俺は絵里に押し倒された。
「・・・」

430 名前:慎太郎の受難2ルート第2話 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:16:42 ID:okgjui4L
「おい絵里苦しいぞ。離せ」
「慎君がその気じゃないなら・・・」
「じゃないなら?」
「さっさか犯ってしまえばいいんだ♪」
はぁ?!ちょっとまてと言うまでもなく、絵里は着ていた部屋着を脱ごうとし始めた。
「ちょ、ちょ、ちょっとまて。意味が分からんし、流れが分からん。」
「まぁまぁ♪気持ちいんだからいいじゃない♪おとなしくあたしのものになりなさい♪」
あっという間に上を脱ぎ終わる。と、俺のズボンに手をかけ始めたじゃないか!
ここで犯されるのは本望じゃない。俺は力を出して、絵里が俺のを出すために
一瞬腰を浮かせたのを利用して、抜け出した。
「きゃ!」
絵里はそのまま、仰向けになって倒れた。
「いたた・・・」
腰を押さえ仰向けのままで、しばらく立ち上がれない絵里。
その隙に荷物をまとめてしまう。
さぁ出ようというときに、またもや絵里が立ちふさがってくる。
「駄目じゃない暴れちゃ・・・おとなしくして♪」
その表情は先ほどとは違い、何かこう・・・穏やかな目になっていた。
「慎君の中には、悪魔が住んでるんだよ。私のことを嫌いにする悪魔が。
そんな悪魔、ちゃっちゃか追い払わなきゃ♪」
「追い払うって、どうやって?」
「私とHすれば追い払えるよ♪さぁ!」
「さぁ、じゃねぇよ!お前がやりたいだけじゃないか!」
「違うよ。これは儀式なの・・・2人が結ばれるための、大切な、大切な儀式・・・さぁ!」
さっきの転倒で壊れたか?だが俺の決心に変わりはない。俺は行く、駅前へ、奈津子のもとへ。
「絵里・・・すまん、通せ!」
強行突破を決め込んでいた俺は、思いっきり真正面に突っ込み力づくで突破した。
しがみつく絵里を振り切り、部屋を出る。
エレベーターは4階。遅い。俺は階段を猛スピードで降りる。
マンションを出て、一番近いバス停へ向かう。時刻表を見る。
幸いにして、バスはすぐ来るようだ。
やってきたバスに乗り込み、俺は速くついてくれと思いながら、バスの流れる景色を見ていた。
奈津子・・・待っててくれてるのか・・・?
なら、今すぐ行くから、もう少し辛抱してくれ。すぐに、すぐに行くから。
夜は更けていく・・・そして時間は残酷にもだんだんと過ぎてゆく・・・
はやる気持ち。
遠い駅。
時間よ、止まってはくれないのか?

431 名前:慎 ◆tXhMrjO4ms [sage] 投稿日:2007/04/07(土) 19:18:08 ID:okgjui4L
投下終了です。前にも告知しましたが、諸事情により鳥変えました。
ご了承ください。

432 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 20:08:00 ID:dIQDsftg
待ってました!
鳥?そんなの気にしない!

433 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 20:22:16 ID:nA+rX4nK
ザ・ワールド!

スンマッセン言ってみたかっただけッス……
それはともかくGJッス! 主人公の流されない性格が好ましいッス

434 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 21:45:30 ID:sgWa/GIZ
こんなの愛情【あいじょう】じゃない!ただの異常【いじょう】だ!!

435 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 22:00:20 ID:dIQDsftg
>>434 坊主、大人になったらわかるようになるぜ

436 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 22:13:29 ID:DleaXnrW
>>435
お前カッコイイな

437 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/08(日) 00:27:06 ID:v85lzZEU
>>433
いやいやいやいやいや、流されていないように見えるが、優柔不断さが垣間見えてるような・・・。

以前にハッピーエンドと言っておきながら、バッドエンドのフラグが立ちまくってる気がする。

438 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/08(日) 12:07:39 ID:yypZ4o+7
サイ娘の異常な愛情 または私は如何にして正気であるのを止めて彼だけを愛するようになったか

だぁあっ、435の前では霞む('A`)

439 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/08(日) 16:38:18 ID:0+lgzImK
キモ姉&キモウト小説を書こう!
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176013240/

440 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/04/09(月) 13:35:10 ID:XQlaIcYs
俺的キモ姉の条件、キモく美しく。

441 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 14:22:06 ID:0nKh07st
キモく犯しく美しく

442 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 14:30:31 ID:tkIqVqTo
おおっ!まとめサイト更新されてる
阿修羅氏乙カレーです!

443 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 14:31:10 ID:tkIqVqTo
すまん激しく誤爆した

444 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 16:18:29 ID:s1IFIC97
>>442
期待してしまったではないか

445 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 16:19:10 ID:s1IFIC97
>>442
期待してしまったではないか

446 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 16:52:48 ID:oh2eAwB7
>>444-445
どれだけ期待してたかはよーくわかったからもちつけw
てか俺もちょっと期待しちゃったorz

447 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/09(月) 21:14:07 ID:frP+UqEQ
俺もかなり期待したorz

448 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] 投稿日:2007/04/10(火) 02:36:42 ID:vgC7m8Qf
投下します

注意 フタナリです
「あっ…、私は否命、秋月否命。宜しくね、凛ちゃん」
「りっ、凛ちゃん!?」
凛はその言葉を、まるで聞いた事がないかのようにオウム返しに言った。
「えっと…違った?」
「いえ、合ってるわよ」
「…………」
「…………」
自己紹介を終えた二人の間に沈黙が訪れる。本来ならば気まずいはずの、この沈黙を凛
は楽しんでいるようだった。顔には相変わらずのニヤニヤ笑いが浮かんでいる。一方、否
命は落ち着きなく視線を動かしながら、沈黙に耐えられずに言葉を探していたが…
「~~~~~~~!!」
凛がなんでニヤニヤ笑っているのか知り、思わず顔が真っ赤になった。
凛は未だに否命の股間で硬直し、ビクッ、ビクッと震えながら精液の残滓を放出してい
るマラを眺めていたのだ。否命は咄嗟にスカートでマラを隠したが、それでも尚マラはス
カートに染みを作りテントを張る形で自らの存在を主張していた。覆い隠されたことで、
妙な淫猥さがそこにある。
否命は凛の顔を見て、隠したことを後悔したが、隠した以上、まさか再び露出させるわ
けにはいかない。しかも、なぜかそんな状況においても否命のマラは雄雄しくそそり立っ
たままであった。そしてスカートの染みはどんどん広がっていく。
「凛ちゃん…何処を見ているの?」
半ば無駄だと分かっいたが、否命は恐る恐る訊ねてみた。
「気になる?」
あくまで視線はマラに注いだまま凛は言う。
「うん」
「どうしても?」
「どうしても…」
「ごめんなさい。だけど、私は貴方のマラが気になって仕方ないの………どうしても」
「~~~~~~~ッ!!」
叫びたかった、否命は思い切り叫んでこの、同年代の少女に射精直後のマラを見られて
いる…という羞恥プレイを誤魔化したかった。
「あら、そんなに赤くならなくても大丈夫よ、秋月さん。気にするほど、貴方のマラ、大
きくないもの」
「はぅぅ…」
人の気も知らずに…いや、凛のこの言葉は明らかに人の気を知ってるからこそのもので
あろう。そして事実、否命の陰茎は12センチをやや下回る大きさであるから、日本人の
平均より下位に位置している。世界的に見ても、この長さは短小の分類である。
「って、大きい、小さいの問題じゃないもん!!」
そう真っ赤になりながら抗議する否命の様子を見て、凛はわざらしく小首を傾げ、口に
人差しを当てて思案にふける…ふりをする。それから「嗚呼」と頷いて、
「そういうことね。それも大丈夫よ。だって、貴方の12㎝小型キャノン砲には、砲身を
起こしても、ちゃんと包皮セーフティーがかかっているじゃない。機密は守られてるわ」
そういう問題でもなーーーい!…、と云い掛けて否命は固まった。重大な事に気づいて
しまったのである。


449 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] 投稿日:2007/04/10(火) 02:37:19 ID:vgC7m8Qf
(って、凛ちゃんはずっと此処にいたんだよね?ということは、私がパソコンで×××を
見ていたところも、マラを×××しているところも見られて…あっ、あぁぁぁぁ!!)
「そっ、それで、なっ、なんで凛ちゃんが私の家に?ていうか、どうやって入ったの?私
ちゃんと鍵しめたはずだし…、防犯ブザーだって…」
否命は羞恥を隠したい一心でここまで一気にまくしたてた。
「なんでって、普通に貴方…秋月さんと一緒に家に入っただけよ」
「えっ…?」
「だって秋月さん、私が声をかけようが、手を翳そうが気付かなくて…」
「ごめんなさい…」
「いいのよ。そのおかげで灘神影流奥義・脱骨術を駆使したフタナリ美少女によるアクロ
バティックオナニーショーを見ることが出来たのだから」
そう言って、凛はニッコリ笑う。そう言われて、否命は心の中で絶叫をあげる。
(神様、私、泣いてもいいですか?)
否命は既に半べそをかいていた。
「それと秋月さんに話したい事が後二つあるのだけど、いいかしら?」
「うん…」
(まだあるの?)
否命は、もし下が地面であれば、必死になって穴を掘って埋まろうとしていただろう。
「秋月さんには残念だけど……」
凛は始めて視線をマラから逸らして…、
「どんなに頑張っても、貴方とゴミ箱の間に子供は出来ないわよ」
ゴミ箱に積まれたティッシュの山を見ながら言った。
「あ、愛は性別や年齢、有機物と無機物の壁だって超えられるって沙紀さんが…」
「それと、もう一つ!これが本題よ!!」
否命の抗議…ではなく反論を突然、凛は大声を出して遮った。
「なっ、何?」
「財布、返して頂戴」
そう言われて、否命は自分が凛の(?)財布を持っていたことを思い出した。
「………」
「今度は聞こえているのでしょう?さぁ、財布を私に渡しなさい」
「………」
「なんで黙っているの?」
「………」
「秋月否命さん、ちゃんと聞こえているわよね?じゃあ……財布を渡せ!今すぐに!」

450 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] 投稿日:2007/04/10(火) 02:39:52 ID:vgC7m8Qf
最後に込められた言葉の力強さは、衝撃的でさえあった。それは相手の意思を一切、認
めない命令だった。否命はあまりの凛の変貌ぶりにただ呆然とした。凛の目は見開き、異
様な輝きさえ帯びえている。
二人の間に沈黙が訪れた。しかし、先ほどの沈黙とは違って凛の顔にニヤニヤ笑いは浮
かんではいない。代わりに凛は否命に、爬虫類の如き冷酷な視線を向ける。
戯れの時間は終わったのだ。
凛と目を合わせられた否命は、自分の背筋が凍えるのを感じていた。否命は、ほとんど
反射的に目を逸らそうとしたが、どうしたわけか否命は凛の瞳から…この可憐な少女には
似合わない、何処か汚い瞳から…目を逸らす事がどうしても出来ないのだ。
そうして否命は、凛の瞳が本当に爬虫類と同じ金色をしている事に、気がついた。
恐怖があった、否命の中に、この瞳から目を逸らしたら、何か起きるではないか…とい
う予感にも似た不安が渦巻いているのである。
凛の視線にはある種の鋭さがあった。人にまるで、喉に刃を突きつけられているかのよ
うな威圧をかける類の鋭さである。そして凛の様相は相手の態度によっては、その刃を喉
に突きつけるだけでは終わらないと、確信させる凄みがあった。
否命と同年代の少女にしては異様なものがある。凛は恐らく、何度もこういった事をし
ているのだろう。そうでなければ、このような目を意図的に作る事が出来るはずもない。
そして、その経験こそが凛の金色の瞳に凄みを与えているのだ。
しかし、それでも尚、否命はオドオドしながらも
「やっぱり駄目だよ…、この財布はあの人の…地回りさん(?)ものなんだから」
っと、凛の要求を突っぱねた。凛の顔が驚きで歪んだが、それは一瞬の事である。凛は
腰掛けておいたソファーから立ち上がり一歩、否命へと距離を縮めた。
「今は私のものよ」
「でも………」
「渡さない…というのね」
「………うん。ね、ねぇ、凛ちゃん、この財布、あの人に返しに行こう?」
「貴方は…」
そう言って凛は、また一歩、否命のほうに歩む。
「そんな事して、五体満足で帰れると本気で思っているのかしら?」
「でっ、でも、やっぱり、こんなのおかしいよ」
消え入りそうな声で、泣き出しそうな目で否命は言う。否命の姿はこれ以上ないほど、
脆弱で、今にも崩れてしまいそうである。
それでも健気に頑張る否命の微笑ましい姿を見て、凛はつい口元が歪んでしまう。凛は
否命に好意を感じ始めていた。否、凛は否命をからかった時の反応を見て、はっきりと心
が和むのを感じていた。もっとも、本人には迷惑な話であろうが…。
そして凛がこのような気持になれるのは、この場の支配権を完全に握っているからであ
る。だからこそ、凛は余裕をもって否命の事を観察し、可愛いと思えるのだ。
だが、これとそれは全くの別問題である。凛は直ぐに、歪んだ口を直して言った。
「そう、貴方はどうしても私に財布を渡さないというのね」
それから一拍おいて、クスリっと凛は悪戯っぽく笑うと、
「私に、貴方とゴミ箱の×××な関係を公表されても?」
と、問いかけた。
それは一見、冗談のような言葉でありながら、



その言葉が否命に与えた影響は、凛の想像の及ぶ域を遙に超えていた。

451 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] 投稿日:2007/04/10(火) 02:41:45 ID:vgC7m8Qf
その言葉を聞いた否命は、身体が電気を打たれたように痙攣し、小刻みにガクガクと震
えだした。否命の顔色がまるで死人のように、みるまに白くなる。否命の歯の鳴る音は凛
にも聞こえるほどであった。
凛の言葉は詰まる所「貴方がフタナリだっていうことを、バラされても?」と言ってい
るのである。しかし、冷静に考えれば凛は否命の人間関係など知らないはずだし、、まし
てはメガホンを片手に、通行人に片っ端から否命がフタナリであることを叫ぶことなど出
来るはずもない。
だが、否命が冷静に考えられない理由は二つあった。
一つは、否命が凛に迫られ、精神的に磨耗し正常な思考能力が低下しつつある事。
そしてもう一つは、否命の忌まわしい過去が蘇ったことにある。
否命の脳裏に走馬灯のように浮かぶのは、自身の股間に生えているマラ故に、自分の元
から去っていった家族、あるいは家族同様の人間達。
姉の梓…、親戚達…、もう一人もやはり、否命の元から去っていった。
その走馬灯の後、否命の元から去っていなく、そして否命の身体の事を知らない、今や
唯一人の家族同様の人間である沙紀の顔が浮かんだ。
否命が家に厳重な防犯体制を強いているのは、全ては沙紀に自身の秘密を知られたくな
いが故であった。
その秘密をばらされる…否命は、つい頭の中で未来をシュミレートしてしまった。
それは頭で考えるだけで、耐えられない悪夢の光景であった。そしてこの悪夢は現実に
なってしまうのだろう…、沙紀に自身のマラの事を知られれば……、否命はそう考えてし
まった。
そして一度考えると、もうその悪夢から逃れる事は出来なかった。悪夢はヘドロのよう
に落とそうとすれば、落とそうとするほど、より内部へ、より深く染み込んでいった。
否命のその想像は明らかに飛躍しすぎたものであったが、忌まわしい記憶が明確に蘇り
強迫観念にも似た感情が身体を支配している中、否命はそれが飛躍した考えに過ぎないと
気付くことは出来るだろうか?
否命の背から恐怖が生温い汗となって滴り落ちる。不安が震えとなって身体を揺らす。
悲哀が冷たさとなって体温を奪う。

452 名前:しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] 投稿日:2007/04/10(火) 02:42:37 ID:vgC7m8Qf
「ちょ、ちょっと秋月さん、大丈夫なの?」
明らかに戸惑っている凛の声。その凛の声に振り向いた否命の眼を見て、更に凛は驚愕
した。
「凛ちゃん…、お願い」
「………」
「お願い…、沙紀さんには…絶対に言わないで」
否命は、まるで命ごいするかのような眼をしていた。その顔も形が変わるほ、歪んでい
る。
「だ、だったら、早く財布を渡しなさい」
それでも凛は不安を隠し、虚勢を張った。これは凛の望んだ通りの展開であったが、こ
こまで劇的な変化を否命にもたらすとは、予想だにしていなかった。
「ねぇ、絶対に言わない!?」
「だから財布を…」
「ねぇ!!」
そう言って否命は凛の腕を掴む。それは少女の力とは思えないほど力強く、そして今に
も折れてしまいそうな程、脆かった。
「お願い…、私の身体のことは、沙紀さんだけには…」
否命の声は弱弱しく、言葉は凛の慈悲を請うものである。それなのに、それは凛に対し
て圧倒的な強制力を持っていた。
「他のなにをしてもいいの!だけど…」
「分かったわよ、貴方のことは誰にも言わないわ」
「本当に!本当だよね!?」
「ええ、本当よ」
途端、否命の顔がパァーっと明るくなる。
「凛ちゃん…有り難う」
「どういたしまして…?」
否命の、あまりに純粋な喜びと感謝の笑顔に思わず凛は気が抜けてしまった。
「それで…」
っと、その時、言い掛けた凛の言葉を遮るように玄関に仕掛けられた防犯が鳴る。
沙紀が帰ってきたのだ。

投下終わります

453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 08:05:19 ID:yIJWsQe3
自分がナニしている現場を見られたって……俺だったら立ち直れないよorz

454 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 11:00:26 ID:rqFERMGb
百合板でやったればええやん(´・ω・`)

455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 15:06:26 ID:LIP3Yfkf
>>454

頼むから、某スレに帰ってくれ。

ここは初期の頃から百合モノ投下OKなんだよ。

456 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 15:58:01 ID:rqFERMGb
ふーん、専用板があるのにね。

457 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 16:03:46 ID:LIP3Yfkf
百合板にSSスレなんて有ったっけ?
SSを語るスレしか見たことないぞ?

458 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 16:13:17 ID:rqFERMGb
801は隔離されて何故百合はOKだというのだ
ワガママにしかならんけど苦手な人もいるってことを知って欲しい

459 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 16:19:43 ID:KIfivyrL
角煮に関連スレがたったので報告

ヤンデレ総合スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1176178896/

460 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 16:22:47 ID:LIP3Yfkf
>>458
◆HrLD.UhKwAの部分を選択 → NG処理
はいこれで終了。
あなたのブラウザ上には表示されなくなりました、っと。

>>459
thx

461 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 16:33:42 ID:rqFERMGb
百合板にSS投稿したらいかんちゅうルールはないでしょ?
数字板みたくヤンデレ百合ーとかスレ立てやって好きなだけやりゃあいいのに
住み分けってできないのかな、801の人とは違って

言いたいこと言ったからもういいや
ここまでの俺の発言なかったことにして
すまんかった

462 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 17:02:27 ID:umqJ4Mab
>>461
ウセロカス

463 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:19:11 ID:PwvTECI2
俺も特別に百合が好きなわけじゃないが、テンプレにヒロインって書いてあんだろ?だから百合はおk
なんでそこでやおいが出てくんだよ

464 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:20:56 ID:9jBB63c3
>>463
あれよおいちゃうねん
見苦しいホモ小説ハムニダ

465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:38:52 ID:rqFERMGb
別にやおいと変わんねえと思ったもんでwwwwww
女だったらいいんすねwwwwwwサーセンwwww

466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:41:04 ID:coJAkc59
百合って分かってんだから読まなきゃいいじゃん

467 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:50:10 ID:jAa2jYt2
ヤンデレ喫茶で、自分を監禁してくれるメイドさんを見つける方法。

友人と一緒に喫茶店に行き、ワザとコーヒーなどをこぼさせる。
それを見て、上書きしようと、自分もコーヒーをかけようとするメイドが、あなたの運命の監禁主(ひと)です。

468 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 18:56:33 ID:k7sjF5at
>>467
それなんていう「上書き」の加奈?

469 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 19:12:00 ID:+563xTiT
ヤンデレ喫茶の女性視点も読みたいが・・
まあ、楽しみに全裸で待っています

470 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 19:24:01 ID:RBYrLGuO
女の子がヤンデレしてりゃ何でもいいってのか。
そりゃ権利の濫用ってもんだろ、アホらしい。

471 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 20:33:07 ID:OJ73W12z
ヤンデレは何も気にしないからヤンデレなんだよ

472 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 22:55:24 ID:rqFERMGb
>>471
そいつは微妙に違うな

「わたしのこと以外、なんにも気にしちゃ駄目だよ……?」

つまりどちらかといえばヤンデレの獲物の方こそが何も気にしなくなるものなんだよ!!

473 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/10(火) 23:19:22 ID:w5ohQDxF
>>448
ゴミ箱に二回やられたw GJ
それと名前と言葉遣いと行動及び今回の(爬虫類)と(金色の目)で確信したんだけど、凛のモデルってグリーヴァス将軍?
なんか、気になってしょうがない。

474 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 13:57:41 ID:iu2pnztU
スレの雰囲気…まことに悪うなり申した 

475 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 15:57:55 ID:0B3EMRDf
空気悪い空気悪い言うよりその悪い空気をズバッと変えるような話題を提案する方が有意義だと思うんだ兄さん!

476 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 16:16:42 ID:lVF54DiY
>>475
あまり上手くないけど、ネタ投下

「ヤンデレについて」 南條範夫


ヒロインの感情が極端にはしるところにヤンデレはうまれる。

問題が無く、日常生活が平穏に営まれているところにはヤンデレはあらわれない。
しかし、ひとたび問題が起こり、社会や世間、とりわけ人間関係がその問題を
和らげることができず、その状況の中で人間の感情が極端にはしる時、
あらわれてくるのはヤンデレだ。

ヒロインの感情が極端にはしる場合はさまざあって、例えば三角関係などもそうである。
私がヤンデレの女房などを小説にする場合には、三角関係を描くことになるが、男の、ヘタレの問題を
小説にする場合には、修羅場を描くことになる。私は、男の、ヘタレのことを多く小説に描いて
いるので、「ヤンデレ」が当然多くなる。

ヒロインの感情がはっきりと判るのは、病んだ時である。
ヘタレ男も一応の優しさを示す。しかしそれはどこか的外れもの、かえってヒロインを傷つけるものになる。男の場合、ヘタレになる時
その本性、読者すら敵に回すウザサが出てくる。だから男の世界を現実につかみだすとすれば、それはヘタレだ。
今も、昔からもずっと、世界中のどこでもそうだ。歴史上の問題を何か一つつかんでみるとよい。
そこを突き詰めると必ずヒロインが病んでいくような状況があるだろう。

私は主にヤンデレ小説を書いて来たが、昔の社会というものにはヤンデレがあらわれやすい。
そこでは何もかも病んでいるのだ。戦国時代の武将達のように、対立を和らげる組織がないとことでは、
それぞれが敵対者、泥棒猫と直接にぶつからねばならない。自分が勝つか相手に殺されるかだ。
また一方で、今も、昔も人々は上のものに対しても仲間に対しても、普段は感情を抑えて生きていたから、
一旦それが破れると普段抑えていたものが、みなぶつかり合う。嫉妬、独占欲、変態性欲、狂気、様々なものが一気に噴出し、
感情は極端にはしる。ヤンデレになる。

人間はヤンデレなものである、などということではない。
何か問題が発生した時、それが対立に向かわないように取りまとめようとする人ももちろんいる。
穏やかで、ヤンデレが表面化してこない社会も、歴史上いくらもあった。ヤンデレが表面化しないように
しっかり抑えるのが、そもそも恋愛物語の主人公の使命だともいえる。

しかし、問題のない物語、あってもその問題を受け入れ何も事を起こさない、マグロ、
というものは小説にならない。私はそうしたものに興味はない。

私が取り上げるのは、何か問題が生じた時、それを抑え和らげようとするのではなく、むしろ
カンカンになってしまう人間、感情を極端にはしらせる、つまりヤンデレである。(談)


477 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 17:19:58 ID:N23Uq9oZ
>476
ヤンデレ道はシグルイなり。

478 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 19:09:40 ID:DwY+RYEG
>>476
新規にヤンデレキャラを産み出すよりは既存のヤンデレを探した方がいい、まで読んだ。

479 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/11(水) 19:18:18 ID:OxTDTRQy
わからぬか

その者にとっては ヤンデレなど三次のごとき萌えないゴミに過ぎぬと・・・

480 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 22:10:59 ID:MSuSMdO5
>>479
二次オタ・・・・三次もいいぞ・・・・

481 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 22:24:55 ID:lWsKybgf
三次ヤンデレか……俺が常駐しているスレのスレ主が
そういったタイプの女の子に好かれてやすくてウラヤマシスなんだが。
ちなみに本人「超」がつくほどのお人よしで
やはりそういう男に惹かれるものなんだろうか

482 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 22:37:07 ID:XonC/nqr
エロパロのスレで三次の良さを語られてもな

483 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 22:38:40 ID:lWsKybgf
それもそうだな
すれ違いスマソ

484 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 23:00:43 ID:vNLhR3/+
さっきほど、
「男側が病んでるってどうだ!?新しいな!!スゲー!」


と思って書いてみたら、ただの変態SSになったorz



485 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 23:05:29 ID:VBFDIWWX
読みたい・・・
投下しないか?

486 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 23:10:18 ID:nu2K3tEq
男側を病ませるという発想は前からあったが、いざ書くとなると難しいもんな。
だが誘い受けは勘弁だ、今すぐ投下すんだ、さぁ早く。

487 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/12(木) 23:36:03 ID:nFzbdN4X
男側が病むと「キモイ」「ムカつく」になりかねないからなぁ。
変態ではなく、狂人方向にもっていければあるいは…

488 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 00:25:44 ID:C7YrzPfn
女ヤンデレ化→女と一緒にいるため男も病む。
とかなら大好きだけどな。
少し違うかもしれんが沙耶の唄のカップルなんか最高。

489 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 00:48:28 ID:wP/DDkd+
>>488
「上書き」なんかは主人公もいい感じに病んでいたな。


490 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:18:52 ID:f7lY9HEd

「起立、礼」
「ありがとうございました。」
皆が担任の田並先生に礼をすると一日の終わりだ。

いや僕にとっては一日の『始まり』だろうか、100m走も万年ビリから数えて四人目な僕がカモシカに変身したが如く、全速力で家

路に着く。部活の準備をしたり、仲間とぺちゃくちゃと話をしている連中の間をすり抜け、人が廊下に出てくる前に、無人の野を行く

ように、って、無人だからそのままだったっけ、下駄箱へ行く。で、そこから愛用の自転車に乗り、後は十五分間いつもの道を走り

続けるだけだ。

説明すると長いのだが、とにかく今日も全速力で帰るとしますか。
と言うわけで、前述の通り、教室を神速で出て、廊下を走り、下駄箱に・・・、ってところで僕より先に来ていた、北方さんに腕を掴ま

れた。

北方さんは僕の隣の席に座っているクラスメイトで、妙に落ち着いているというか、クールな感じで、僕からするととっつきにくい人

だ。そのため、この人とはあまり口を利かない。

「な、なんですか。急いでいるんですよ、僕は。」
急に思わぬところで、思わぬ人に足止めを食らわされて狼狽してしまったのだろう、声が裏返ってしまった。
そんなこちらの様子を見て、彼女はクスリと小さく笑うと、「図書室の片付け手伝ってくれないかしら?」とのたまった。

は、はい?今、なんていいました?図書室の片付け?
僕は今すぐ家に帰って、漫画を読んで、アニメを見て、ネットゲームをやると言う責務が待っているというのに!
なんてひどい人だ。

491 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:19:58 ID:f7lY9HEd
どう扱ったらいいか分からないので、適当に用事があることにしてしまおう。
「え、ちょっと今日は用事があって無理。」
すると顔を近づけてきて、無表情な目をこちらに向けて、
「今、適当に用事のせいにしてしまえ、って思ったでしょう?」

やべぇ、顔に出ていたようだ。まずいな、何とかしなければ。
「いいのかしら?あなたが学校にいろいろと持ち込んでいるの、私、知っているわ。誰に告げ口されたい?」
独特の落ち着いた声に、氷のような冷たさが混じる。
下駄箱に生徒が随分と来ていたようで、北方さんが早く答えてくれないか、と促した。

しかたない、学校に持参しているアレをばらされるよりは、彼女の手伝いもするほうが賢明か。
なんだか、女子に負けてしまってみっともないような感じがするが気にしないことにしておこうか。
「わかったよ、じゃ、手伝いますから、はい。例の事は・・・・。」
「ええ、黙っておいてあげるわ。じゃ、そのまま図書室に来て。」そういうと、下駄箱の近くにある階段を登ろうとしたが、ふと思い出

したように立ち止まり、踵を返した。彼女長い黒髪がフワリとゆれる。
そして「案外に松本君、素直なのね。」と言った。

まったく、人を脅しておいて、何が『素直なのね。』だ・・・。実にこっちはひやひやしたものだ。
ここで、いきなり約束を破って、変えるというのも手なのだが、男に二言はない、だ。
なんて、格好をつけてみるが、単に僕って脅されて使われているだけだよな。


・・・・・。をいをい、いいのか、これで。
どうするんだ、俺!

492 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:20:47 ID:f7lY9HEd
というわけで、そそくさと四階にある図書室に向かった。
荷物を持って、四階まで上るのは実に気が引ける。万年文化部の僕の場合、息すら上がる。
ひいひい言いながら、図書室のドアを開ける。放課後、いつもは鍵がかかっているのだが、図書委員の北方さんが先に来ている

ので当然すんなりと開くわけだ。

図書室の隅に鞄や荷物類を置いた。
「で、何をすればいいんですかね、図書委員さん。」
「返却された本を私は戻したり整理するから、松本君は箒がけをして。」

素直に掃除用具箱からT字箒を取り出し掃除を黙々と行った。
というのは、最初の数分だけの話。僕にそんな集中力があろうはずも無く、適当なことを考えながら適当に仕事する。
北方さんが図書準備室にいて、こちらの様子が分からないときは箒を動かす手を止めて、こちらに来て、本の整理をし始めたら、

手を動かす。そんな感じだった。

ふと、不覚にもさっき顔を近づけてきた北方さんの容姿を想像した。
よくよく考えると、腰にまで届こうかというほどの長い瀬戸黒の髪に、目鼻立ちの整っていて、人形のように繊細で、落ち着いた容

姿から言えば、かなりがつく美人なのだろう。まあ、顔が良くとも、性格についてはどうか分からないのだが。彼女はあまり他人と

話さないようだが、どうも人の弱みをきちんと握っているようで、あまりよいとはいえないかもしれない。
現に今だって、僕は脅されていたのだから。

いずれにせよ、実に女と言うのは扱いにくい生物だな。
持論を力説し、自己完結させて、頭を上下に動かして頷くところを北方さんに見られていたようだ。

「あら、終わったのかしら?こちらは終わったのだけれど・・・。」
おお、相手が終わったのなら、こちらも無理に掃除を続ける必要はない。
やったぜ!農奴解放令が出た!我々は長年にわたる闘争を終え・・・、北方さんは、こちらを不機嫌そうに切れ長の目で見ている


「・・・・・嬉しそうね。」
無言のままでも強い圧力を掛けられているようだったが、口を開けば開いたで実に刺すような痛みが感じられた。


493 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:21:30 ID:f7lY9HEd
ああ、やってしまったか・・・。そう思ったが、彼女が口にしたのは予想とは別物であった。
「仕事、無理強いしてごめんなさい。私の家、この学校のすぐ傍だから、寄っていかない?お礼させていただくわ。」
「お、お礼?」
思わぬ言葉に鸚鵡(おうむ)返しにしてしまった。
「ええ、そうよ。」
ふと、図書室の時計を見ると・・・・南無三。見たかったアニメの時刻をゆうゆう過ぎてしまっている。それなら、特に断る理由がな

いと思って、彼女についていくことにしました。

図書室の鍵をかけ、その鍵を二回の職員室に返しに行き、校門を出た。
僕は自転車を転がしながら、北方さんについていく。いままで、彼女の家については実際に見たことはないのだが、仲間から聞い

ていて、それは随分と大きい家らしい。
北方さんの家は学校から歩いて五分ほどのところにあった。
学校の東は小高くなっており、閑静な住宅地になっている。ここは市内でも裕福な人が住んでいる場所の一つだ。

立派な門が堂々と立っており、門柱には重々しく北方と書かれた表札が掲げられていた。
門は開いたままで、内側の様子が見えていたが、手前に池のある広々とした庭があり、その奥に純和風の母屋があり、落ち着い

た佇まいを見せていた。
「さ、自転車は適当にその辺に停めて。」
門の前に言われるがままに停める。そうしているうちに当たり前のように北方さんは庭には目もくれずに、ずんずん母屋のほうへ

向かっていた。まぁ、彼女の家なのだから当たり前なのだけれども。

「ち、ちょっと待って。」
こんなところに取り残されたのでは困る。あわてて、彼女の後を追いかける。

まず、母屋の中に入ると客間に通された。さっきの庭に面しており、池とその横の木々が見えた。
十畳ほどの部屋にはテーブルと腰掛がいくつかあり、床の間には掛け軸がかけられ、高そうなつぼが置かれていた。
「へぇ~、北方さんの家って、随分広いね~」と喉元まででかかったが、さすがに失礼だと思ってやめておいた。
それを見透かしてか、クスクスと彼女は笑っていた。
あいも変わらず無表情な笑いであったが、学校でのそれとは違う感じがした。

494 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:22:06 ID:f7lY9HEd
腰掛に腰掛けると、彼女は学校のこと、家族のこと、趣味のこと、様々な話をしてきた。学校の彼女とはまた違った一面を垣間見

れたような気がする。
あ、よくよく考えてみると、こんな風に女子の家に行った事って、これが初めてだったっけ。
そう意識してしまい、なんとなく途中から話しにくくなってきた。
「あ、適当にお菓子とお茶持ってくるわ。」
「いや、結構です。気にせずに。」

「そうは言っても、喉、渇いたでしょう?」
「それはどうも。」
「この家に呼ぶ人、そう多いわけじゃないし、たまにだから。」
あまり良く理解できない理由のような気がしたがそれはおいておくことにしようか。
彼女がお菓子を持ってくるまでの間、読書でもしようと、鞄の中にある、本を読む。
マンガ好きな僕もたまには活字の本だって読むことがあるのだ。それもラノベだが。
・・・・。
・・・・・・・・・。
七、八分するとお茶と茶菓子を持ってきた彼女が戻ってきた。
「持ってきたわ、和菓子と洋菓子でどちらにしようか、迷ってしまって・・・。」
「え、気を遣わなくて良いのに。」
「で、どっちが好き?」
「へ?」
「だから、和菓子と洋菓子。」
「ああ、お菓ね・・・。うん、洋菓子。」
「そう、残念だわ。」
そういうと、彼女は本当に残念そうな顔をして、緑茶とお茶請けの羊羹を僕の前に置いた。

黙々と北方さんは羊羹を食べ始めた。
テンションはかなり低いようだ。というより、いつもの無表情に戻ったと言うべきところだろうか。
それからいくらか羊羹をつまみ、お茶を飲んだりしながら、いくつか話題を振ってみたのだが、北方さんは「ええ」や「そうね」としか

返さなくなったため、なんとなく気まずい感じになってしまった。

何か彼女の機嫌を損ねるようなことをしてしまったのは確かだろうが、それは何であろうか?
さっきの和菓子と洋菓子の質問くらいしか思い当たらない。しかし、何だってそんなことが関係しているのだろう?

ふと、彼女の視線が僕のさっきまで読んでいたラノベにいっている。
興味がありそうなので、このラノベについて話題を振ってみた。
話題に食いついてきたので、ノリでいくらか話し続けて、時計が六時半をさしたころに帰途につくことにした。
そとは暗くなっていたので、随分と長居したことが改めて感じられたが、まあ、たまにはよかろう。
しかし、アニメ録画予約してたか、激しく気になった。


495 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:22:50 ID:f7lY9HEd
女子の部屋とは思えないような瀟洒な部屋に一人、北方時雨は佇んでいた。


松本君と話していた時間は夢のように早く過ぎていった。
彼が洋菓子のほうが和菓子より好きだとは調べが不十分だった。
私が作った羊羹をほめてくれて、彼の優しい心遣いには涙すらとめどなく出てくるが、本当に彼の好きなケーキかプリンかを作っ

てあげればよかったと後悔している。
それにしても、あんなにも人と話をして楽しい、そう感じられたのは久しぶりだ。

私は生まれつき人と話をするのが苦手だ。
だから、学校でも話をしない。
ごくごく規則的なつまらない毎日を消費するだけ。

こちらから話さなければ相手からも話されず、自然と距離が生じてくるものだ。
でも、そんな私にさえ、隣の席に座っている彼は話しかけてくれた。
彼は私にとってのオアシスのようなものだ。

だから、自然と私は彼に惹かれていった。好き、という言葉では言い切れない感情。当然、こちらから話しかけたいと言う気持ちが

無かったわけでもないが、それでも、話しかけることができず、三年間もの間、同じクラスでありながら無為に過ごしてきた。

引き出しから、今のクラスの全体写真を取り出す。
その写真のただ一点のみを眺めているその写真に写っている松本君、そうそのただ一点。
それ以外の人間なんて要らない。
さらに言うと、彼だけしか写っていない写真がほしいのだが、私にとっては度の過ぎた贅沢というもの。


496 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:23:19 ID:f7lY9HEd
今日、彼は私に自身の妹について話した。
彼に対して異常なまでに粘着質であり、世話焼きであるため、自分からはなれず困っているといっていた。
妹の存在については話される前から知っていた。
一学年違いなので、学校で本人を知っているのだ。

みるからに脆くはかなげな感じの子で、えらく、おとなしく従順そうな、寧ろ誰かの従属的なポジションにいたいという感じがした。し

かし、同時に直感で彼女が内に黒々したものを秘めているのを感じた。
私はあまりああいう子は好かない。
そして、あんな魔女の大鍋のような醜い心を持った害毒があの心優しい、松本君の傍に、私よりもはるかに近いところにいること

が許せなかった。本当に許せない、許せない、許せない、許せない。あんな子に彼が毒されることがないと祈りたいが、彼から私

に相談してくるくらいなのだから、かなり彼女のいわば寄生によって病状は悪化しているようだ。

あんな子は松本君から相手にされず、クラスでも苛められても自分の深い罪に気づかないだろう。百歩譲って、その罪深さに気

づいて自分の罪を贖ったところで、到底、贖いきれるほどのものではない。
現に彼女はその罪に気づいていない。そんな害毒は誰かの手を借りて滅せられなければならない。それが社会のルールにのっ

とっているというものだ。

497 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:24:03 ID:f7lY9HEd
本当にあんな毛虫か寄生虫のような子、死んでしまえばいいのに。それも、尋常じゃない殺され方で。
だって、そうされても仕方ないことをしたんだもの。
私の大切な命にも代えがたい松本君を穢して、寄生して、あそこまで追い詰めているのだから。

いけない、いけない、感情的になりすぎたようだ。

確かに今から、とっくの昔から位置を知っている、彼の住む家に武器を持っていって、ごくごくわずか、千数百秒のうちに彼を解放

してあげたい。
でも、それは重病患者に手術を強いるようなもの。決して賢明ではない。彼にとっても、あんな寄生虫でも肉親ということになって

いるのだから、彼を悲しませるようなことは私にとっては絶対のタブーだ。

だからといってこのまま放置しておいたのでは、取り返しのつかないことになってしまうだろう。
それを防ぐためには、積極的ならなくてはならない。話すのが苦手だとか言っている場合ではないのだ。
彼を守れるのは私だけ。そして彼に心から尽くすことがふさわしいのも私だけ―。


498 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 01:25:02 ID:f7lY9HEd
読みずらくなってしまって、すみません。
とりあえず、続くかもということで。

499 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 02:15:08 ID:DsThKMK7
>>488
ナカーマ
俺も沙耶の唄の主人公カップル大好きだ。

500 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/04/13(金) 02:30:23 ID:YoRHa50v
乙!

最終更新:2009年01月13日 13:26