「寒いな・・・」
「自業自得。自業自得。」
「とにかく、脱ぎなさい。それじゃ風邪引くわ。」
「そもそも代えの服がないじゃないか。・・・それとも・・・」
ズガァッ!
思いっきり本の角で殴られた。
「うう、、、そこまでしなくてもいいじゃないか。」
「そのまま外に放り出されたい?」
「ちくしょう・・・さっきの可愛いアリスはどこへ言ったのやら」
そんなボヤキを無視してすたすたと部屋の奥へ入るアリス・・・
にしても・・・
「泣くとは思わなかった。」
「私だって泣くもの。」
「いつも冷静なアリスがねぇ・・・ふふふ」
いや笑っちゃいけない、でも思い出すだけでにやけ来る俺がいる。
「暗いな・・・何してたんだ?」
「少し休んでたの。」
「珍しいな。この時間なら集中する前に散歩してる時間じゃないのか。」
「なんで、あんたが知ってるのよ?」
「まあまあ、気にしない。気にしない。」
アリスが暖炉に暖炉に火をつける。少し心細いが部屋全体に明るさを取り戻す。
不思議なもので部屋全体が暖かくなると、寒さが身にしみてくる。
本当は早く服を脱ぎたいのだが・・・
「なにしてんの?」
「いや、なんでもない。」
「脱げないの?」
「いやっ、なんていうか、脱げるけど脱げないみたいな・・・」
「子供じゃないんだから・・・」
「えっ、ちょっと、まてって!」
後ろからアリスの手が回る、一つ一つボタンをはずしてゆく・・・
「それじゃ服がぬれるだろう・・・俺一人で脱げるからさ。」
「いーのっ、じっとしてて。・・・上海、蓬莱、ちょっといいかしら。」
俺が上に羽織っていたローブを上海と蓬莱で肩の部分を片方ずつ持ち、暖炉の前まで運び乾かす、
かなり水を吸っているのかローブのところどころで水が垂れ、ローブを持っている上海と蓬莱は苦しそうだ
その姿に見かねたのか他の人形たちがぞろぞろやってきてはローブを持ち、ローブを落とさないよう頑張る。
健気なのだが、たいしたことじゃないのに大げさに振舞うような喜劇の人形劇を見ているようで、笑みがこぼれる。
「まったく・・・世話がかかるんだから。」
いつの間にか服は脱がされ一帳羅、暖炉の暖かさが俺の身体を包み血の気を通わせる・・・
不意に大きな布が俺の視界をさえぎる
「乾くまでそれで我慢して。」
藍色の長袖に白い肩掛け、上下はセットで下はスカートにエプロン。
・・・・・・・・・これってまさか。
「私の作りかけの服だけど。」
・・・・・・・・・・・・ゴクリ。
・・・ちょっとまて、冷静になって考えてみろ、そもそもこれでは着れる前に破れるぞ・・・その前にこれは女物だし・・・・・・・・・
仕方ない着るしかないか・・・
袖を通す・・・あれ、この生地結構丈夫だ。
かなり伸びるようだ、無理なく通る。
・・・・・・なんだかんだぴったりとは。これは如何に。
「魔力を通した糸なら丈夫だし、多少小さくたって着れるのよ。」
「それにしては伸びすぎじゃないか?」
「・・・あんた髪長いのね・・・」
「ああ、切る気にもならなかったし、結べば何とかなるしな。」
「意外と華奢よね。」
「う、うるさいな〜。」
少しずつアリスが近づく、好奇心にあふれた笑顔なんだけど何だか怖いのだが、
「とりおさえなさい!」
危険を感じて逃げようとした瞬間に大量の人形たちに取り押さえられた。
「なんなら私が可愛くしてあげようかしら。」
「結構です。」
「この服を着たからには着こなしてもらわないと。」
「勘弁してくれ・・・」
・・・
・・・
・・・ ・・・ ・・・
雨に濡れぼさぼさになっていた髪はしっかりとかされて、ストレートに。
自分でも意外だったが腰の部分まで髪が伸びきっていた
「はい、鏡。」
自分の姿を見る・・・少し背丈は高いがすらっとした少女が立っている。
「こっ!これがおれぇええ!」
あまりの変貌にどうしたらいいのかわからなくなってきた。いや見とれたわけじゃないぞ。
なんか不自然すぎて気持ちが悪いというか自分じゃないと言うか。
これじゃ普通の女の子と変わらないというか。
何が何だかわからない。
そんな感じ。
「後は・・・その口調直さないとね・・・ふふっ」
おいおい・・・これじゃ俺がアリスの人形みたいじゃないか・・・
まぁ・・・いいか・・・・・・
楽しいし。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして夜は更けてゆく・・・・